こんにちは!のぶやんです。
昨日から大気の状態が非常に不安定だったことから福岡県に竜巻注意情報が発表されていました。
竜巻注意情報ってどんなものか?
竜巻注意情報の的中率や、発生しやすい場所、発表されたらどんなことに気をつけたらよいかを解説していきたいと思います。
僕の簡単なプロフィールです。
・気象予報士
・福岡あたりの気象のこと中心
竜巻注意情報とは
竜巻注意情報とは、積乱雲の下で発生する竜巻、ダウンバースト、ガストフロントなどの激しい突風が発生しやすい気象状況になったとき(竜巻発生確度ナウキャストで確度2になった時)に発表されます。2008年から運用が開始されてました。
竜巻注意情報が発表された場合、情報の有効期間は、発表から約1時間です。
竜巻発生確度ナウキャストとは
竜巻発生確度ナウキャストは、竜巻の発生確度を10km格子単位で解析し、その1時間後(10~60分先)までの竜巻発生の予測を行うもので、10分ごとに更新して提供されています。
気象ドップラーレーダーでサイクロン状の回転性があるものをみつけ、さらに突風が起こる可能性の高まりを表す指数(突風危険指数)を組み合わせて竜巻ナウキャストの予想が作られます。
確度は1と2にわかれており、
確度2は的中率重視、確度1は捕捉率重視になっています。
確度1 | 竜巻発生の可能性あり 予想の的中確率は1~7%程度 捕捉率は80%程度(捕捉率重視) |
確度2 | 確度1より竜巻の可能性があり注意が必要 予想の的中率は7~14%程度 捕捉率50~70%程度 |
確度2のほうがより危険が高まっていて、この確度2が予想されると竜巻注意情報が発表されます。
昨日の福岡県に発表されていた竜巻注意情報と竜巻発生確度ナウキャストをもってきました。
八女市あたりが竜巻に注意すべきだったようです。
今日になっても竜巻被害がありましたという報道はなかったのでとりあえず被害はなかったみたいです。
ほっ。
竜巻注意情報の的中率はどれくらいなのか?
竜巻注意情報を発表してこれまでの的中率がどれくらいか気象庁HPからもってきました。
竜巻注意情報の適中率は概ね5%程度となっているようですが、年によってばらつきがあるようです。
捕捉率(竜巻発生をあらかじめ竜巻注意情報により注意できたもの)も30%程度です。
平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | |
適中率 | 9% | 5% | 5% | 1% | 3% | 4% | 2% | 4% | 4% | 2% | 3% | 4% | 3% |
捕捉率 | 24% | 21% | 34% | 21% | 32% | 42% | 27% | 35% | 39% | 38% | 44% | 33% | 31% |
発表数 | 172 | 128 | 490 | 589 | 597 | 606 | 604 | 402 | 372 | 909 | 648 | 331 | 349 |
突風回数 | 70 | 34 | 67 | 39 | 50 | 59 | 37 | 48 | 41 | 45 | 48 | 39 | 39 |
的中率、捕捉率とも少ないように感じるかもしれませんが、
竜巻はとても小さな現象なので、予想も難しいものなので十分捉えられている方なのかなと思います。
今後の予測精度の向上にも期待します。
竜巻はあらかじめ予測できないの?的中率が低いのはなぜ?
竜巻はあらかじめ予測できるものか?
結論からいうと数値予報モデルでの予測するのは現状だと難しいです。
低気圧とか擾乱のスケール(大きさ)をもってきました。
低気圧とか台風はスケールが大きくて、寿命が長いです。
竜巻は圧倒的にスケールが小さく寿命が小さいです。
低気圧や台風はある程度大きくて、寿命も長いので予想が可能です。
しかし数値予報だと竜巻は空間的にも時間的にも予想することがあらかじめ予測するのが困難なのです。
なので、そもそも的中率も低くて当然といえます。
竜巻を注意すべき時の気象情報の使い方
竜巻が発生しそうだという時の、気象庁の情報使い方を時系列で解説します。
- 1日前~気象情報
気象庁は数値予報資料では、ピンポイントには当てられないけれどある程度竜巻発生しそうな気象状況であるのを気象情報で1日程度前から教えてくれます。
今回出ていたのは「落雷と突風及び降ひょうに関する福岡県気象情報」でした。
「福岡県では、16日にかけて落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意
してください。」ちなみに気象庁では数値予報で突風可能性があるかどうか「突風可能性予測プロダクト 」を使って気象情報発表に活かしているようです。(気象庁資料)
- 数時間前~雷注意報
雷注意報の中で竜巻についての注意喚起がされます。
こんな感じです。
「福岡県では、竜巻などの激しい突風や落雷に注意してください。」
- 雨が強まってきて~竜巻発生確度ナウキャスト・降水ナウキャスト・雷ナウキャスト
実際に天気が悪くなったら使ってほしい気象庁のプロダクトです。
雨雲が近づいてないか?…降水ナウキャスト
雷が鳴っているか?・・・雷ナウキャスト
竜巻の可能性があるか?・・・竜巻発生確度ナウキャスト - 実況~竜巻注意情報
竜巻発生確度ナウキャストで確度2がでた場合には、竜巻注意情報が発表されるので竜巻の事前の予兆がある場合には、身の安全を確保してください。
竜巻の発生しやすい場所はどこ?発生しやすい時期は?
竜巻が過去にどこに発生していて、発生しやすい時期がありますので紹介します。
竜巻の発生しやすい場所はどこ?
竜巻は、平地で発生しやすいものとされています。
日本は山地が多いので、平野部か沿岸部で多く発生しています。
全国の過去に発生した突風の分布図と地形がわかるように標高地図(国土地理院より引用)をもってきました。
視覚的にみても沿岸部や平野部が発生頻度が多いのがわかります。
また地元の福岡県がある九州付近ももってきました。
やっぱり全国の分布と同じく 沿岸部や平野部が発生頻度が多いですね。
竜巻の発生しやすい時期はいつ?
次に、竜巻の発生しやすい時期についてみてみましょう。
これでみると9月が圧倒的に多いです。次に10月。
どの時期も、絶対発生しないわけではなく、いつでも発生はするようですね。
月別発生確認数 (1991~2017年) | |||||||
件数 | 件数 | 件数 | 件数 | ||||
1月 | 13 | 4月 | 17 | 7月 | 40 | 10月 | 70 |
2月 | 18 | 5月 | 19 | 8月 | 61 | 11月 | 42 |
3月 | 14 | 6月 | 28 | 9月 | 110 | 12月 | 26 |
竜巻に備えるにはどうしたらよいか
竜巻の危険が迫っている場合の特徴についてまとめました。
同様の現象がある場合には要注意しください。
危険レベル① 竜巻が発生しそうな発達した積乱雲が近づく兆しがある
竜巻が発生するには発達した積乱雲が近づく兆しがあります。
特徴としては以下のとおりです。
- 雨風が強まる
- ヒヤッとした冷たい、風が吹き出す。
- 雷鳴や雷光みえる
- 黒い雲(積乱雲)が近づく
- 大粒の雨や「ひょう」が振り出す。
危険度レベル② 竜巻の危険が身に迫っている
竜巻が近くにまで迫ってきている場合の特徴を紹介します。
竜巻に遭遇した人の証言によると以下の現象が起きるようです。
- 雲の底から地上に伸びる漏斗状の雲を見た
- 飛散物が筒状に舞い上がるのを見た
- ゴーという音がしたのでいつもと違うと感じた
- 気圧の変化で耳に異常を感じた
- 土煙が近づいてくる
- ごーっという音がする
- 気圧変化により耳に異常を感じたりする
身の安全の確保の方法
竜巻が近づく予兆があって、身の危険が迫っている場合の緊急の身の安全確保の方法をそれぞれ屋内・屋外の場合で解説します。
屋外の場合
- 頑丈な建物の物陰に入って身を小さくする
- 物置や車庫・プレハブの中は危険
- シャッターを閉める
- 電柱や太い樹木であっても倒壊することがあり、危険。
- もし、頑丈な建物がない場合(屋内がない場合)は、頑丈な建物のそばにうずくまったり側溝に伏せたりしてください
屋内の場合
- 家の1階の窓のない部屋に移動する
- 窓やカーテンを閉める
- 窓から離れる。大きなガラス窓の下や周囲は大変危険
まとめ
竜巻注意情報やその的中率、実際竜巻のおそれがある場合の対処法についてみてきました。
今回の内容についてまとめます。
- 竜巻注意情報は竜巻発生確度ナウキャストで確度2が出る場合に発表される
- 的中率は5%程度
- 竜巻は平地や沿岸部で発生しやすい
- 竜巻の発生しやすい時期は9月、10月
- 竜巻が近づいている兆候があるときは、頑丈な建物に退避しましょう
大気の状態が非常に不安的になるときは、竜巻が気象情報や雷注意報で予想されることも多いです。
事前に注意できることは注意してほしいです。
ご覧いただきありがとうございました。
※画像やデータは気象庁HPより引用しました。