こんにちは!のぶやんです。
今回は、「カルマン渦」について解説していきます。
衛星画像をみていたら、済州島や屋久島の風下でたまにみかける不思議な雲です。
これができていると冬になったんだなあ~と感じます。
僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
- 福岡あたりの気象のこと中心になりがち
カルマン渦ってどんなの?
カルマン渦は、ハンガリー人の航空学者カルマンさんがみつけたうずまきなのでカルマン渦といいます。
カルマン渦列ともいったりします。
カルマン渦は流れのなかに置かれた物体の下流で、左側は半時計周りのうずまき、右側は時計回りのうずまきが2列交互に並びます。
発生しやすいのはチェジュ島、屋久島、利尻島、千島列島のウルップ島、パラムシル島の風下でみられます。
実際に、カルマン渦が発生している動画が気象庁ホームページにありますのでみてみましょう。
2020年11月8日に済州島の風下にカルマン渦ができたやつです。
自然の神秘ですねー。
利尻島のカルマン渦もありましたので掲載します。
このほかにも屋久島でも風下側にカルマン渦ができることがあります。
カルマン渦ができる原理ってどんなの?
気象衛星センターの資料によると、カルマン渦ができる原理についてこのように記載しています。
水や空気などの流体中に円柱を置くと、円柱後面の流れの下流側に2 列の渦が規則正しく並ぶことがある。この現象はカルマン渦、あるいはカルマン渦列と呼ばれており、渦列の間隔(h)と同じ渦列内の渦の間隔(a)との比は0.28<h/a<0.52 になるという(Chopra、Hubert1965)。
今月の気象衛星画像(2005 年 11 月)
空気等の流れの中に円柱(何かの物体)があって、その風下に一定の渦列の間隔と渦の間隔との比が一定値にならないと発生しないみたいです。
ここでいう円柱は、先ほど紹介した済州島や屋久島、利尻島にあたります。
物が風上にあって、風下の渦列の間隔と渦の間隔との比が一定値でできるって理屈はわかった。
けど具体的にどういう気象条件でカルマン渦ってできるのかはこれじゃわからんやん!
てことで次に解説していきましょう。
カルマン渦ができる気象条件とは?
気象庁の資料にはカルマン渦が発生する気象条件は主に3つあるとされています。
- 強い逆転層下にあるSt(層雲)またはSc(層積雲)によって覆われた広い海域であること
- 風向が一定した比較的強い下層風が持続すること
- 逆転層の上へ数100m突き抜けている山岳を持つ島が存在すること
この様な条件は、寒候期において流入した寒気が徐々に昇温する時期にあたる。
カルマン渦の走行はほぼ下層風の流れに沿っている。
冬場に寒気が流入したあとに発生しやすい条件だよっていっています。
また、島にはある程度逆転層を突き抜けるような高い山がないとだめだよと。
事例検証
実際の事例で発生条件を満たしているのか見ていきましょう。
最初に紹介した済州島の2020年11月9日の事例を見て確認してみましょう。
結果からいえば、発生条件を満たしています。
①強い逆転層下にあるSt(層雲)またはSc(層積雲)によって覆われた広い海域であること
最初の動画をみても下層雲が周辺はびっしりあるのがわかります。
鹿児島のエマグラムを描画してました。
900hpaくらいに明瞭な強い逆転層がありますね。
②風向が一定した比較的強い下層風が持続すること
天気図を見てみると、等圧線間隔の狭い縦じまが並んでいて風が強かったのが伺えます。
衛星画像の雲の走行は北よりの風によるものが続いています。
③逆転層の上へ数100m突き抜けている山岳を持つ島か存在すること
済州島では、韓国最高峰の漢拏山が標高1950mで、この時の逆転層が900hpa(1,000m程度)でした。
済州島の山の標高が逆転層よりも1,000m近く突き抜けていますね。
寒気が弱まって雲の成長が抑えられて対流があまり立たなくなるっていうのもポイントですかね。
ちなみに、カルマン渦が発生する屋久島の標高は1936m、 利尻島は1721mでやっぱ結構高い山だったりしますね。
まとめ
今回の内容についてまとめました。
以上が、「カルマン渦の雲はどうやってできるの?解説します」でした。
読んでいただきありがとうございました。