こんにちは!のぶやんです。
最近、大雨の時期になると線状降水帯のニュースが増えましたね。
線状降水帯って実際増えているのか?なぜ増えているのか?その原因は地球温暖化なのか?解説していきます。
僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
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線状降水帯とは?
線状降水帯ってなんなのでしょう?
気象庁の用語によると、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。」と定義されています。
積乱雲が次々に発生して、それが同じような場所に線状になって大雨になってる雨域のことですね。
参考に平成29年7月九州北部豪雨の時のレーダー画像をもってきました。
線状降水帯による大雨は増えているの?
線状降水帯による大雨って実際に昔と比べたら増加しているのでしょうか?
大雨に関しての研究の権威である気象研究所の加藤さんの論文をもってきました。
この論文では1976(1979)~2020年までのアメダス1300地点の降水量のデータを集めて経年による変化について調べてくれています。
3時間積算降水量130ミリ以上(集中豪雨)と1時間積算降水量68ミリ以上(短時間強雨)の発生回数の経年変化がこちらです。
赤色直線が集中豪雨の発生回数の長期変化傾向になってて直線が右肩あがりになっているのがわかります。
集中豪雨は昔と比べると増加傾向ってことになります。
さらに加藤さんは論文中で「集中豪雨の中には,土砂災害の多くをもたらす線状降水帯による大雨も半数程度含まれている」とされていますので、集中豪雨の増加に伴いその中に含まれる線状降水帯も増加傾向と考えて問題なさそうです。
つまり、線状降水帯は昔と比べたら発生回数は増えているといえます。
実際に論文のなかでも、これらの増加傾向はともに信頼水準99%以上で統計的に有意であるといわれています。
線状降水帯が増えた原因は地球温暖化なの?
線状降水帯が近年増加傾向である事実がわかったところで原因は地球温暖化なのでしょうか?
先ほどの加藤さんの論文では線状降水帯と地球温暖化の関係についてはこのような記載があります。
短時間大雨で示唆されているように,集中豪雨の発生数の増加についても基本的には,地球温暖化等にともなう気温上昇で大気中に含まれ得る水蒸気が多くなることで大雨が増えるということで説明できる.下層水蒸気量の増加傾向については,JRA‒55を用いた統計解析を行い,その結果でも全国的に有意であることを確かめた。
地球温暖化に等をつけられていますが、主に地球温暖化を要因とした気温上昇によって空気中に含まれる水蒸気が全国的に増えてて、それによって線状降水帯はしっかり増加してるよってことをいわれています。
せっかくなので別の調査もみて見ましょう。
近年の線状降水帯が発生した豪雨に地球温暖化がどれだけ影響をあたえているのか?っていう報告があります。
気象研究所が調査したもので地球温暖化しなかった世界を再現して現実世界と比較した結果豪雨の発生頻度が増えていることを発表しています。
取り上げた事例は線状降水帯が発生して豪雨となったもので、平成29年7月の九州西部においては発生頻度が1.5倍に、平成30年7月の瀬戸内地域においては3.3倍になっていたと推定できるとされています。
図をもってくるとこんな感じです。
青字が温暖化しなかった世界の再現、赤字が現実世界になります。
現実世界のほうが降水量が多くなる傾向がありますね。
ということで、近年の線状降水帯の増加についてはやっぱり地球温暖化が関係していました。
なんとなく、感覚的に大雨増えてるそんな気がするな~?もしかして地球温暖化の影響かなあ~?をちゃんと気象の研究者の方々も調べてくれてましたね。
まとめ
今回の内容についてまとめました。
以上が「線状降水帯はなぜ増えた?原因は地球温暖化?解説します」でした。
読んでいただきありがとうございました。
別の記事で線状降水帯の発生しやすい場所がどこなのか?発生しやすい時期はいつか?発生しやすい要因は何か?についてもまとめています。