こんにちは!のぶやんです。
今回は500hpaの高層天気図の見方について解説したいと思います。
僕の簡単なプロフィールです。
・気象予報士(福岡あたりの気象のこと中心)
・マラソン(サブ3.5)
・家族との時間が一番好き
500hpa天気図を見るときのポイント
今日(2021年7月30日)の天気図を使って解説していきたいと思います。
※福岡県からの目線での解説していきます
さっそくもってきました(見えにくくなるので日本付近を抜粋で解説します)。
高層天気図の基本
高層天気図には、300hpa、500hpa、700hpa、850hpaの各層の、
09時と21時の実況天気図が気象庁から配信されています。
UTCとは協定世界時で、UTC+09時間で日本時間になります。
- 00UTCであれば日本時間の09時
- 12UTCであれば日本時間の21時
AUPQ35については、AUが上層解析(Analysis Upper)、PQは北西太平洋(Western North Pacific)、35は300hpa、500hpa のことを指しています。
AUPQ35は、300hpaと500hpaの天気図が上下1セットになっているためです。
では次に、見るときのポイント解説していきます。
見るポイント① トラフとリッジ
まず500hpaで着目するものは、気圧の谷と呼ばれるトラフ、気圧の尾根と呼ばれるリッジです。
これらは、等高度線の曲がりが大きい部分で、等圧面の中で空気が周囲より高い部分をつないだのがリッジ(尾根)、空気が低くなっている部分をつないだのがトラフ(谷)です。
天気図にトラフとリッジを描いてみました。
二重線がトラフ、ギザギザ線がリッジです。
福岡県の西側には次第にトラフが接近しそうですが、これを西側にあるトラフなので西谷といいます。
トラフの前面(西谷)では地上の低気圧などのじょう乱が発達して悪天になりやすいです。
偏西風の流れは南西、西南西になっていて、トラフの前面にあたる付近では低気圧が発生・発達しやすくなりますし、南西風により海上から湿った空気が流れ込みますので、雨や曇りの天気となることが多くなります。
トラフが福岡県の上空にある場合、本邦谷とか日本谷といったりするようです。
動きが遅い場合は上空に寒気が停滞ことになり大気の状態が不安定となります(夏だったら大雨や落雷かな)。
トラフが東に位置することを、東谷といいます。
偏西風の流れは北西、西北西になっていて、このときは、上空に寒気が自らの重みで沈み込みながら(沈降昇温)流れ込み、乾燥した下降流を形成するため、雲が消散して晴天となることが多くなります。
また、東谷の時には、リッジの前面になっていることも多くじょう乱の発達が抑えられて好天になりやすいです。
30日日中は福岡県付近の九州北部あたりでは天気が良かったです。
これはリッジが前面だったことが影響していそうです。
見るポイント② 東西流(ゾーナル)、南北流(メアンダが大きい)、サブハイ
等高度線が南北方向にほとんど変化しないで、トラフやリッジが顕著でないときを東西流とよびます。東西流の場合は、大気の東西方向の流れが速く、天気は短い周期で変化します。
等高度線に沿った流れをしていることもあり、ゾーナルといったりします。
逆に南北方向に大きく曲がるときを南北流とよび、メアンダが大きいと言ったりします。
メアンダ(meander)とは英語で「蛇行する」という意味で、南北流とは偏西風の蛇行が大きい状態です。蛇行が大きいということは、トラフが深くなるので、トラフの前面での暖気移流、後面での寒気移流が大きくなるため、トラフの前面では低気圧が発達しやすくなります。また、大気の東西方向の流れが遅いため天気の変化が遅くなります。
また、等高度線5880mをサブハイと言ったりします。太平洋高気圧に対応するといわれています。
(ちなみに、高度線の間隔は60mです。)
今回の天気図でみてみましょう。
日本付近は南北流となっています。
また、サブハイは日本の東に位置しています。同じ時間の、地上天気図でも同様に太平洋高気圧は日本の東にありますね。日本付近には低気圧ばっかり…。
福岡県から見ると西谷のトラフになっていて、かつ南北流でメアンダが大きいので
トラフ前面のまま動きが遅くて、悪天が続くことになりそうです。
実際、8/1には佐賀県では記録的短時間大雨情報が発表されるような大雨になっていました。
500hpa高層天気図の入手方法
500hpaの高層天気図の入手方法をいくつか掲載します。
Sunny Spot 天気・気象情報サイト! (sunny-spot.net)・・・最新のほかにもエマグラムや過去の天気図も少し置いてあるのでおすすめです。
専門天気図 – [専門気象情報] 地球気 (n-kishou.com)
まとめ
今回の500hpa高層天気図についての見方を解説した内容についてまとめました。
- 等高度線の曲がりの大きいところで高い所をつないだのがリッジ、低い所をつないだのがトラフ
- 気圧の谷をトラフといい西谷で天気が悪く、東谷で天気が良いことが多い。
- 南北流だと天気周期がはやく、南北流だと天気変化が遅い
- 5880mの等高度線をサブハイと言い、太平洋高気圧に対応している。
僕は500hpaが大体の場をとらえるのに、役立つためにみています。
できたら他の高層天気図の解説も機会があれば、解析したいと思います。
※今回の資料は気象庁HPより取得しました。
読んでいただきありがとうございました。
皆さんにとって有益な情報になっていたら嬉しいです。