こんにちは!のぶやんです。
高気圧が時計回りに風が吹き出して、低気圧が反時計回りに吹き込むのはなぜなのか?
解説していきます。

僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
- 家族だんらんが好き
- 原因は「コリオリの力」。地球の自転のせいで、北半球では動くものすべてが進行方向の右にそらされる
- 高気圧は中心から外へ吹き出す風が右へ右へ曲げられて時計回りに、低気圧は中心へ吹き込む風が右へ曲げられて反時計回りになる
- 南半球ではコリオリの力が左向きに働くので逆。高気圧が反時計回り、低気圧(サイクロン)が時計回り
- 地上の風は摩擦のせいで等圧線を30度ほど横切る。だから高気圧の南側では北東〜東よりの風、低気圧の東側では南東〜南よりの風になる。下のシミュレーターで確認できます
この記事は2022年の公開後もずっと読まれているので、2026年9月に、高気圧・低気圧のまわりの風を動かして確かめられるシミュレーターと、風向から低気圧の方角がわかるツール、天気図の読み方を加えて全面的に書き直しました。
高気圧・低気圧の風を動かして確かめるシミュレーター
高気圧か低気圧か、北半球か南半球か、地上か上空かを切り替えて、自分の位置を選んでみてください。回転の向きと、その場所の風向が出ます。オレンジの点のところに、風を決めている3つの力(気圧傾度力・コリオリの力・摩擦力)の矢印も表示しています。
🌀 高気圧・低気圧の風向シミュレーター(北半球/南半球)
矢印は風の向き。地上では摩擦のため等圧線を30度ほど横切って、高気圧なら外へ吹き出し、低気圧なら中心へ吹き込みます。上空(摩擦なし)では等圧線に平行に吹きます(地衡風)。緑=気圧傾度力、赤=コリオリの力、灰=摩擦力。
「高気圧の南側では東よりの風」「低気圧の東側では南よりの風」という、天気図を読むときの基本がこの図の中に全部入っています。上空(摩擦なし)に切り替えると、風が等圧線に平行になって、高気圧から吹き出しも低気圧への吹き込みもなくなるのがポイントです。
高気圧が時計回りに風が吹き出すのはどうして?
高気圧って時計回りに中心から風が吹き出すのはなぜなんでしょう?
空気には、気圧の高い所から低い所に向かおうとする性質があります。この「気圧の差が空気を押す力」を気圧傾度力といいます。
高気圧とは、周りにくらべて気圧の高い大気のかたまりのことをいいます。上空で集まった空気が下降気流になって地上付近にたまり、周りへ吹き出していきます。下降流だと雲ができにくくなり、天気が良くなって晴れます。
風が時計回りになるのは、コリオリの力によるものです。北半球ではコリオリの力が進行方向の右側に働きます。高気圧の中心からまっすぐ外へ吹き出そうとした風が、右へ右へと曲げられることで、上から見ると時計回りに回りながら吹き出す流れになるんです。
図にするとこんな感じです。

コリオリの力は北半球だと進行方向の右に曲げようとして、南半球だと左側に曲げようとします。ちなみに南半球だと、高気圧は反時計回りの風の流れになります。これもコリオリの力によるもので、地球の自転の方向が北半球と逆に見えるため、左側に曲げようとするコリオリの力が働くためです。
低気圧が反時計回りになるのはどうして?
低気圧の風が中心に向かって反時計回りになるのはなぜなんでしょう?
低気圧(台風)の動画をもってきました。

綺麗に反時計回りの流れになっていますね。
低気圧とは、周りにくらべて気圧の低い大気のかたまりのことをいいます。高気圧とは反対に、低気圧は反時計回りに中心に向かって風が吹き込み、集まった空気は上昇気流になります。上昇気流になっていることで雲ができて雨が降るので、天気が悪くなります。
風の流れが反時計回りになるのは、高気圧の風の流れと同じくコリオリの力によるものです。低気圧の中心に向かって吹き込む風が、コリオリの力によって右側に曲げられることで、中心へまっすぐ入れずに渦を巻きながら吹き込むため、反時計回りになるんです。

ちなみに高気圧と同じく、南半球だったら低気圧は時計回りの風の流れになります。オーストラリアのサイクロンを持って来てみました。

低気圧が時計回りですね~なんだか不思議。台風・ハリケーン・サイクロンの回転の向きについては、次の記事でも詳しく解説しています。
風を決めている3つの力|気圧傾度力・コリオリの力・摩擦力
シミュレーターに出てくる3本の矢印について、もう少しだけ説明します。ここがわかると「なぜ等圧線に沿って吹くのか」「なぜ地上では斜めに吹くのか」が一気に腑に落ちます。
| 力 | 向き | 役割 |
|---|---|---|
| 気圧傾度力(緑) | 気圧の高い方→低い方(等圧線に直角) | 風を吹かせる元の力。等圧線が混んでいるほど強い |
| コリオリの力(赤) | 北半球:進行方向の右向き/南半球:左向き | 風を曲げる。風が速いほど・緯度が高いほど強い。赤道ではゼロ |
| 摩擦力(灰) | 風と逆向き | 地上付近だけ働く。風を弱め、その分コリオリの力が弱まって等圧線を横切る |
上空では気圧傾度力とコリオリの力がつり合って、風は等圧線に平行に吹きます(地衡風)。気圧の高い方を右に見て吹く、と覚えるとわかりやすいです。地上では摩擦で風が弱まる分コリオリの力も弱まり、気圧傾度力が少し勝つので、風は等圧線を約30度横切って低気圧側へ吹きます。これが「高気圧から吹き出す」「低気圧へ吹き込む」の正体です。海上は摩擦が小さいので角度は10〜20度、陸上は30〜45度くらいになります。
コリオリの力はどれくらいの強さ?緯度で変わる
コリオリの力の大きさは「2×Ω×sin(緯度)×風速」で決まります(Ωは地球の自転の角速度)。赤道でゼロ、極で最大です。
| 緯度 | コリオリ・パラメータ f | 風が1周する時間(慣性周期) | 目安 |
|---|---|---|---|
| 0°(赤道) | 0 | ∞ | コリオリの力なし。台風は赤道付近(緯度5度以内)ではほぼ発生しない |
| 10°(フィリピン南部) | 2.5×10⁻⁵ /s | 約69時間 | 弱い。台風が発生し始める緯度 |
| 25°(那覇) | 6.2×10⁻⁵ /s | 約28時間 | |
| 35°(東京・福岡) | 8.4×10⁻⁵ /s | 約21時間 | 日本の標準的な値 |
| 45°(稚内) | 1.0×10⁻⁴ /s | 約17時間 | |
| 90°(北極) | 1.5×10⁻⁴ /s | 約12時間 | 最大 |
数字にすると小さく見えますが、気象の現象は何百kmという広さで何時間も続くので、この小さな力が効いてきます。逆に言うと、お風呂の栓を抜いたときの渦や洗面台の渦にはコリオリの力はほぼ関係ありません。渦の向きは容器の形や水の初速で決まります。「北半球では反時計回りに排水される」というのは俗説です。
同じ理由で、高気圧・低気圧の回転はスケールが大きいほどきれいに現れます。夏の夕立の入道雲くらいの大きさでは、はっきりした回転はありません。
天気図から風向を読む|気圧配置別の早見表
ここまでの理屈を使うと、天気図を見ただけで自分の地域の風向がだいたいわかるようになります。
| 気圧配置 | 日本付近の風向 | 理由 | 天気の特徴 |
|---|---|---|---|
| 西高東低(冬型) | 北西の季節風 | 西の高気圧から時計回りに吹き出し、東の低気圧へ反時計回りに吹き込む風が日本の上で重なる | 日本海側は雪、太平洋側は乾いた晴れ |
| 南高北低(夏型) | 南〜南西よりの風 | 太平洋高気圧の縁(西側〜北西側)を時計回りに回る風 | 蒸し暑い晴れ、夕立 |
| 移動性高気圧が接近(西にある) | 北〜北東よりの風→中心通過後は南よりの風 | 高気圧の東側は北よりの風、西側は南よりの風 | 晴れ。通過後は次の低気圧で下り坂 |
| 低気圧が西から接近 | 東〜南東よりの風→南→(前線通過で)西〜北西 | 低気圧の東側は反時計回りに吹き込む南東の風 | 雨。寒冷前線通過後は北よりの風に変わって気温急降下 |
| 台風が自分の西を通る | 東→南→西(時計回り) | 自分は台風の右側(危険半円) | 風が特に強い |
| 台風が自分の東を通る | 東→北→西(反時計回り) | 自分は台風の左側 | 右側よりは弱めだが吹き返しに注意 |
等圧線の間隔にも注目してください。間隔が狭いほど気圧傾度力が強く、風が強いです。冬型の天気図で日本の上に縦じまが何本も詰まっているときは、北西の季節風が強く吹きます。
- 北よりの風・南よりの風・西よりの風・東よりの風とは?向きや方角は?
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- 台風の風向変化には法則があるので紹介します
風向から低気圧の方角がわかる(ボイス・バロットの法則)
逆に、いま吹いている風から「低気圧はどっちにあるか」を当てることもできます。19世紀にオランダの気象学者バイス・バロットが見つけた法則で、北半球で風を背中に受けて立つと、左手のやや前方に低気圧があるというものです。
🧭 風向から低気圧・高気圧の方角を当てる(ボイス・バロットの法則)
船乗りが天気図なしで低気圧の位置を知るために使っていた法則ですが、今でも「南風が強まってきたな→西に低気圧が来ているな→天気が崩れるな」という読みに使えます。
高気圧の中心は風が弱く、なぜ晴れる?
シミュレーターで中心近くに行くと風が弱くなっていましたが、実際の高気圧の中心付近も風が弱く、いわゆる「凪」の状態になります。気圧傾度力がほとんど働かないからです。夜はこの静かな空気の中で放射冷却が進み、冬は冷え込み、秋は霧が出やすくなります。
高気圧に覆われると晴れる理由(下降気流で空気が圧縮されて暖まり、雲が消える)と、夏の太平洋高気圧のでき方は別の記事で詳しく解説しています。
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- 500hPa天気図で見るポイント解説◆トラフ・リッジ・メアンダ・サブハイ・ゾーナル等
風の強さの目安や、都道府県別の風の強さ・晴れの日の多さは、次のツールと記事で確認できます。
よくある質問
高気圧の風はなぜ時計回りに吹き出す?
高気圧の中心から外へ向かう風が、コリオリの力で進行方向の右にそらされるためです(北半球)。中心から放射状に吹き出すはずの風が右へ右へと曲げられ、上から見ると時計回りになります。
低気圧の風はなぜ反時計回りに吹き込む?
低気圧では周りから中心へ向かって風が吹きますが、これもコリオリの力で右にそらされるため、中心へまっすぐ入れずに反時計回りに渦を巻きながら吹き込みます。台風はこの渦が極端に強くなったものです。
南半球では逆になる?
はい。南半球ではコリオリの力が左向きに働くので、高気圧は反時計回り、低気圧(サイクロン)は時計回りになります。オーストラリア付近のサイクロンの衛星画像は台風と逆向きに回っています。
高気圧に覆われるとなぜ晴れる?
高気圧の中心では上空から空気が下りてくる下降気流があり、空気が圧縮されて暖まり、雲が消えるためです。逆に低気圧は上昇気流で雲ができて雨になります。
なぜ風は等圧線に沿って吹くのですか?
上空では、気圧傾度力(高い方から低い方へ押す力)とコリオリの力(右向き)がつり合うため、風は等圧線に平行に吹きます(地衡風)。地上では摩擦で風が弱まる分コリオリの力も弱まり、風は等圧線を約30度横切って低気圧側へ吹きます。
赤道付近に台風がないのはコリオリの力が関係している?
はい。コリオリの力は緯度のsinに比例するので赤道でゼロになり、渦を巻けません。台風が発生するのはおおむね緯度5度より高い海域です。
お風呂の水の渦も北半球では反時計回り?
いいえ。お風呂や洗面台の渦は小さすぎて、コリオリの力の影響はほぼありません。渦の向きは容器の形や水の動きで決まります。コリオリの力が効くのは、高気圧・低気圧のように何百kmの広さで何時間も続く現象です。
風向から低気圧の位置はわかりますか?
わかります。北半球で風を背に受けて立つと、左手のやや前方に低気圧、右手のやや後方に高気圧があります(ボイス・バロットの法則)。日本で南よりの風が続くときは西〜北西に低気圧があり、天気は下り坂になります。
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まとめ
今回の内容についてまとめました。
- 高気圧が時計回りになるのは、コリオリの力で進行方向右側に曲げられながら中心から風が吹き出すため(北半球)
- 低気圧が反時計回りになるのは、コリオリの力で進行方向右側に曲げられながら中心に向かって吹き込むため(北半球)
- 南半球だとコリオリの力が反対になるので、高気圧が反時計回り・低気圧が時計回りになっている
- 上空の風は等圧線に平行(地衡風)、地上の風は摩擦のせいで等圧線を約30度横切る。これを知っていると天気図から風向が読め、風向から低気圧の方角もわかる
以上が、高気圧が時計回り・低気圧が反時計回りになるのはなぜ?でした。
読んでいただきありがとうございました。


