こんにちは!のぶやんです。
気象の世界では「イベントアトリビューション」という言葉が気候変動の分野で結構使われるようになってきています(トレンド?)。
今後も大雨の検証では使われていくのかなあと思いますので、解説していきます。
僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
- 福岡あたりの気象のこと中心になりがち
イベントアトリビューションってなに?
イベントアトリビューションとは、「地球温暖化が進む今の世界」と「温暖化がなかった世界」を気候モデルで作り上げて、地球温暖化の影響ってどんだけあるの?っていうのを検証することを「イベントアトリビューション」といいます。
スーパーコンピューターが進化することによって数値計算モデルに太陽活動や火山噴火による自然的な現象や人間活動によって発生する温室効果ガス気体やエアロゾル等の変化や海面水温を組み込むことができるようになりました。
これを気候モデルといいます。
ちなみに、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋さんは気候モデルを使って地球温暖化が今後進むことを検証。
真鍋さんは30年以上前に気候モデルを使って今現在の地球温暖化を予想していました。すげー。
イベントアトリビューションで、実際に起きた豪雨や猛暑の異常気象が実際に人間活動によって起こっているといわれてる地球温暖化にどれくらい影響を及ぼしているのか?を確認できます。
やり方は、気候モデルと人間活動によって発生する温室効果ガスを除いた気候モデルを何個も計算します。
何回もモデルを走らせて計算することをアンサンブル実験といいます。
気象研究所の資料によるイベントアトリビューションのイメージ図だとこんな感じです。
①地球温暖化してるのパラレルワールドを作る
何回もモデルを走らせるのは、現実に起きたのはひとつだけど、ちょっとした偶然で、もしかしたら起きたかもしれない世界、つまりパラレルワールドを想定してみることで実際に起きた異常気象ってどれくらいの確率で起きたものか?を検証します。
②地球温暖化のない仮想世界を作る
地球温暖化のなかった気候モデルで何パターンも計算することによって地球温暖化がなかったらどうやったん?っていう仮想世界を想定して温暖化の影響がどれくらい異常気象に影響しているのかを検証するのです。
平成29年7月九州北部豪雨・平成30年7月豪雨 の事例もイベントアトリビューションで検証している
実際にイベントアトリビューションで検証したものを紹介します。
「平成29年7月九州北部豪雨」や「平成30年7月豪雨」の大雨に地球温暖化の影響がどれくらいあるのか?を気象庁気象研究所や東京大学大気海洋研究所などがイベントアトリビューションで検証しています。
平成29年7月豪雨で温暖化がなかった気候条件では約54年に1度の頻度であった降水量が、実際の気候条件では約36年に1度のレベルまで頻度が増加していました。
「50年に1度の大雨」の発生確率にすると、大雨発生確率は1.5倍になっています。
平成30年7月豪雨で温暖化がなかった気候条件では約68年に1度の頻度であった降水量が、実際の気候条件では約21年に1度のレベルまで頻度が増加していました。
「50年に1度の大雨」の発生確率にすると、大雨発生確率は3.3倍になっています。
イベントアトリビューションで、どっちの大雨も地球温暖化によって大雨に発生確率が増えていることが明らかになりました。
(参考資料)地球温暖化が近年の日本の豪雨に与えた影響を評価しました
まとめ
今回の内容についてまとめました。
以上が、イベントアトリビューションってなに?でした。
読んでいただきありがとうございました。