2021年11月10日より気象庁が「今後の雪」というプロダクトを開始しました。
寒い季節には活用できるかなあと思うので、利用方法について解説していきます。
僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
- 福岡あたりの気象のこと中心になりがち
今後の雪(降雪短時間予報)でわかること
今までは、現在の積雪・降雪がどれくらい積もっているのがわかる「現在の雪」というのプロダクトを気象庁は提供してくれていました。
現在の雪といっても、本当に降った雪じゃないんです。
詳しくいうと、解析積雪深・解析降雪量と呼んでいます。
解析雨量に局地数値予報モデル(LFM)などの降水量、気温、日射量などを
積雪変質モデルに与えて積雪の深さを計算 した後、アメダスの積雪計の観測値で補正することでできあがります。
気象庁HPより
数値予報モデルやデータをもとに今大体どれくらい降っているのか?を推測して示してくれるものです。
ちなみに、積雪変質モデルというのは、積雪をいくつかの層に分けて、その中で積雪の状態変化(積もる、溶ける、積雪が沈み込む等)を計算して積雪の深さを求めるものです。
解析積雪深が1時間に増加した量を1時間降雪量として作成されます。
気象庁HPより
各データを活用して解析することによって今現在の雪が大体どれくらい降っているのかがわかるのです。
さらに今回始まった「今後の雪」は現在の降雪・積雪に加えて6時間先までの積雪深さと降雪量を5キロ格子で面的に予測したものを提供してくれるようになりました。
降雪短時間予報といいます。
このデータは1時間ごとに更新されます。
降水短時間予報の降水量や局地数値予報モデルの気温、放射量などの予測値を解析積雪深と同じ積雪変質モデルに与えて「積雪の深さ」を計算した後、積雪の深さの増加量を統計的に補正し予測しております。「降雪量」は積雪の深さの 1 時間毎の増加量を表し、減少が予測される場合は0となります。
気象庁HPより
いままで現在の雪だけだったものが、6時間先の予測まで追加されてパワーアップした感じですね。
気象庁ホームページで実際に見てみましょう。
気象庁ホームページ→左上の「三」を選びます。
防災情報の項目にある「今後の雪」を選びます。
今後の雪の画面はこんな感じです。
下の赤丸の所に方法を変更するところがあります。
表示できる項目は7項目です。
・積雪の深さ
・3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間降雪量
オレンジ色でマルをしたところは凡例がでてきます。
今後の雪は、気象庁の資料によると、降雪短時間予報は、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)や南岸低気圧による大雪は精度がいいとされています。
これらは雪雲が背の高くなることからレーダーで捉えやすくなるようです。
また、雪の面的な広がりは適切に予測してくれるみたいです。
今後の雪(降雪短時間予報)の利用上の注意
解析や予測するデータにはくせがあるようです。
使用する際には、いくつか注意点がありますので紹介しておきます。
- 局地的な降雪の多い少ないは表現できません。 5キロ格子で平均的な値になっているためです。
- アメダス地点の観測値と必ずしも一致するわけではない。
- 雪の広がりは適切に予報できるけれど、その量は実際よりも少なめに予報する傾向があります。
- 以下の気象条件の時には制度が落ちてしまう。
- 風が強い場合:雪が風で流されるため
- 地上の気温が1~3℃の時:雨雪の判別が難しいため
- 上空に温かい空気が入っているとき:上空で雪がとけてしまうため
- 降水量予測(降水短時間予報)の誤差が大きい場合
まとめ
今回の内容についてまとめました。
以上が、 気象庁が始めた「今後の雪(降雪短時間予報)」ってどんなの?でした。
読んでいただきありがとうございました。