30・40・50年前の夏の気温|昔の夏は涼しかった?昔と今を比較

気象

こんにちは!のぶやんです。

30年前、40年前、50年前の日本の夏って、こんなに暑くなかったんじゃないか?と思う方が多いと思いますので、その頃の夏の気温ってどんなだったのか?また、昔の夏は今よりも涼しかったのか?を解説していきます。

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30年前、40年前、50年前の夏の気温ってどれくらいだったの?

30~50年前の夏の気温ってどれくらいだったんでしょう?

いまから30~50年前とは1970~1990年頃ですね。

夏の真っ盛りといえば8月なので、8月の1970~2020年までの日最高気温の平均を主要都市(福岡、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台)のアメダス地点のデータを使用して昔よりも暑くなっているのかを確認しました。

データをグラフにまとめてみました。

うーん…わかりにくかったので、各年代ごと10年間の平均を算出してグラフにしてみました。

こうすると、50年前の70年代から見ていくと右肩上がりに気温が上昇しているのがわかります。

それぞれの数字ももってきました。

8月の日最高気温の平均福岡東京大阪名古屋札幌仙台
70年代31.5 ℃31.0 ℃32.5 ℃31.7 ℃26.0 ℃28.1 ℃
80年代31.5 ℃30.4 ℃32.9 ℃32.0 ℃26.3 ℃27.4 ℃
90年代31.9 ℃31.1 ℃33.3 ℃32.7 ℃25.8 ℃27.8 ℃
00年代32.3 ℃31.2 ℃33.7 ℃33.2 ℃26.4 ℃27.6 ℃
10年代33.2 ℃32.0 ℃34.0 ℃33.5 ℃27.0 ℃29.2 ℃

どの都市も2010年代が一番暑くて、30年~50年前の70年代~90年代は最近と比較するとまだ涼しいかったことがわかります。

さらに気象庁の資料によれば、過去100年間で日最高気温 35℃以上(猛暑日)と日最低気温 25℃以上(熱帯夜)がどれくらい増えているかも調べてくれています(これは都市部の影響の少ない地点で集計されています)。

まずは猛暑日の日数についてです。

これでみると、長期のトレンドで赤線のように増加傾向となっていて実際猛暑日は増加しているされています。

また30年~50年くらい前の70年~90年くらいの猛暑日の日数って青線でみるとわかりますがここ最近と比べるとかなり少なかったのがわかります。

やっぱり過ごしやすかったってことですね。

続いて、熱帯夜の日数についてもみていきましょう。

こっちも長期トレンドで増加傾向なのがわかりますね。

ってことで、現在は昔よりも日中はめちゃくちゃ暑い日が増えて夜は寝苦しくなっているっていうのがわかります。

こんなにエアコンつけてなかったですよね・・・。

こんなに暑くなった原因は何なの?

30~50年前にはこんなに暑くなかった夏ですが、こんなに暑くなってしまった原因はなんでしょう?

暑くなった原因については、地球温暖化とヒートアイランド現象の2つが考えられます。

一つは地球温暖化だと考えられます。

地球温暖化は大気中の温室効果ガスの濃度が急増したことによるものです。

温室効果ガスの代表的なのが、二酸化炭素になります。

この二酸化炭素が急増した理由が、産業が発展してきたためです。

二酸化炭素は、主に化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)を燃焼させると発生します。

火力発電で電気などのエネルギーを作る時に、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)が使われ大量の二酸化炭素が発生します。

僕たちの日常でも、車でガソリンを使っていれば二酸化炭素が発生しています。

また、森林は二酸化炭素を吸収して酸素を排出してくれる役割がありますが産業や農地の拡大等により伐採がすすんで、二酸化炭素吸収が減って大気中の温室効果ガスの濃度を増加させた要因になります。

地球温暖化によって、日本でどのような影響が出ているか気象庁HPではこのように書いていました。

日本の平均気温は、1898年(明治31年)の統計開始以降、様々な変動を繰り返しながら上昇しています。

特に、1990年代以降、高温となる年が頻出しています。日本の気温上昇が世界の平均に比べて大きいのは、日本が、地球温暖化による気温の上昇率が比較的大きい北半球の中緯度に位置しているためと考えられます。

 気温の上昇にともなって、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)増加し、冬日(1日の最低気温が0℃未満の日)は減少しています。

 1日に降る雨の量が100mm以上というような大雨の日数は、長期的に増える傾向にあり、地球温暖化が影響している可能性があります。

気象庁も地球温暖化によって日本での平均気温が上昇していることを認めていますね。

もう一つの要因として、今回都市部の観測地点を扱ったのでヒートアイランド現象が考えられます。

ヒートアイランド現象とは、都市部特有の要因により気温が上昇する現象です。

草地や森林、水面などではアスファルト等と比べて保水力が高く、日中の日射で水分が蒸発することによって気温の上昇を抑えます。

しかし、都市部では地面がアスファルトやコンクリートで舗装されています。暖まりにくく、冷めにくい性質をもっているため、草地等とくらべ熱をため込みやすく夜間でも気温が下がりにくくなっています。

また、ビルなどの建物が熱を反射したり、吸収したり、熱を出したりします。また、風の通りも悪くなることで放射冷却が効きにくくなります。

ビルの空調の室外機や自動車の排気ガスからたくさんの熱が出ることにも気温上昇の要因になります。

実際、気象庁HPにある「ヒートアイランド監視報告 2017」でも長期的な変化傾向として都市の高温化について次のようにまとめています。

【都市の高温化】

○都市化による気温の長期的な上昇傾向が見られ、特に日最低気温の上昇率が大きい。

○気温の長期的な上昇は、夏に最小となる都市が多い。

○都市化率が大きい地点ほど気温の上昇率が大きい。

○冬日は減少し、熱帯夜や猛暑日、真夏日は増加している。

○都市化の影響の小さい 15 地点平均に比べ、東京では 1950 年代後半から 1970 年頃にかけて気温が大きく上昇している。

将来の気温は上昇する?低下する?どうなっていくの?

30~50年前の気温は現在よりも低くて過ごしやすかったのはわかりましたが、将来はどうなっていくのでしょう?

気象庁の資料によれば、100年後の未来については地球温暖化によって気温は上昇するとされています。

さらに日本の気温が上昇する度合いを2パターンに分けて紹介しています。

一つはパリ協定に基づく地球温暖化対策のための温室効果ガス削減を達成した場合、もう一つは現状のまま地球温暖化対策をしなかった場合です。

2つのパターンによる気温上昇度合いはこんな感じです。

どちらのシナリオでも21世紀末の日本の平均気温は上昇して、多くの地域で猛暑日や熱帯夜の日数が増加、冬日の日数が減少すると予測されています。

それにしても地球温暖化対策をしなかった場合だと、猛暑日19.1日増加、熱帯夜40.6日増加する予想になっててとんでもないことになっていますね・・・。

また、別の資料で環境省のサイトには2100年の天気予報っていうのがあって2100年夏の最高気温予想を掲載してくれています。

これは有効な地球温暖化対策がされなかった場合の2100夏の最高気温の予想ですが、ほとんどの地域で40度以上とされています。

今でも十分蒸し暑いのに、どんな世界になるんだ・・・。

30年~50年前のあの頃の過ごしやすかった夏は、戻ってこない予想となっていますので毎年しっかり夏は暑さ対策をしていきましょう。

ちなみに、なぜ日本の夏が蒸し暑いのか?についても別の記事で解説しています。

今メディアでよく出てくる大雨をもたらす線状降水帯は、地球温暖化によって増加傾向とされています。

暑さ対策・熱中症予防ってどうしたらいいの?

近年のこの過酷な暑さへの対策ってどうしたらいいのでしょうか?

これは熱中症予防としてこれはやっておいてほしい!というのを紹介していきます。

まずは、外出の際には遮熱日傘をおススメしたいです。

環境省の資料をもってきました。

帽子・通常傘・遮熱日傘でどれが強い日差しに暑さを防げるのか実験したもので、明らかに遮熱日傘が一番暑さを防いでくれているのがわかります。

さらに遮熱日傘が暑さを防ぐことで発汗も抑えられます。

汗は血液から作られるため汗をかくと血液が少なくなり体調を崩す場合があります。

このことから夏の時期は遮熱日傘をお出かけの際には必ずもっていくようにしましょう。

環境省も遮熱日傘の使用を推奨しています。

また、女性だけじゃなく男性もこれからは遮熱日傘を持参するのがスタンダードになっていくと思いますので、1つカバンにいれるようにしてほしいです。

晴雨兼用になっているものも多いですしね。

ちなみに帽子かぶるのは体温を下げる効果はないのか?というと熱中症予防の論文によれば以下のように記載がありました。

帽子の効果を実験的に検討した結果、帽子着用は頭頂部の皮膚温上昇を抑制するだけでなく、発汗による余分な水分損失を防ぐが、頭部温冷感には帽子着用の有無により差が見られないことを示した。したがって、炎天下での防止着用は主観的な温冷感に頼らず積極的に着用を心がける必要がある。

日本における熱中症予防研究

帽子を着用しても体感ではそんなに変わんないけど、帽子による皮膚温度上昇は防げるので積極的に着用しようねっていわれていますので効果はしっかりあります。

ただ、帽子はむれるので時々はずして、汗の蒸発を促しましょう。

このほか、こまめな水分や塩分補給が欠かせません。

暑い中だと汗をかきます。

汗の原料は、血液中の水分や塩分ですから、体温調節のためには、汗で失った水分や塩分を適切に補給する必要があります。

環境省の資料によれば、水分補給はお茶などの飲料が5~15度での吸収が良いとされていますので冷却効果も大きくなりますので保冷効果の高い水筒をおススメします。

ちなみに、アルコールでの水分補給は尿の量を増やし体内の水分を排泄してしまうのでNGです。

あとは、電動ネッククーラーやクールリングも有効です。

首まわりの血管を冷やすことで血液の温度は上がりにくくなります。

首の付け根など大きくて太い血管の近くを冷やせば、効率的に身体を冷やすことができますよ~。

まとめ

今回の内容についてまとめました。

まとめ
  • 30~50年前の気温は低くて涼しかった
  • 30~50年前と今とを比較すると昔は猛暑日も熱帯夜もどちらも少なくて過ごしやすい夏だった
  • 気温が上昇している原因は地球温暖化や都市化の影響によるもの
  • 将来も地球温暖化により引き続き気温が上昇する予想になっていて、猛暑日と熱帯夜が増える予想になっている

以上が、「30・40・50年前の夏の気温|昔の夏は涼しかった?昔と今を比較」でした。

読んでいただきありがとうございました。

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