こんにちは!のぶやんです。
僕が気象予報士試験を勉強しているときに資料が見当たらなくて困ったことがあったので記事にしました。
ラジオゾンデによる高層気象観測は世界中で9時と21時に実施されています。
僕の簡単なプロフィールです。
・気象予報士
・家族だんらんが好き
気象庁HPにはエマグラムの観測データがない!
気象予報士試験を勉強しているとき、ラジオゾンデで観測されたエマグラムが試験問題に出ることがあります。
早速見てみようかと気象庁HPで探しましたがどこにもみあたらない…。
やっと見つけたのが ワイオミング大学のupperairのサイトでした。
ワイオミング大学サイトのエマグラムデータ描画方法と解説
英語なので使い方を解説していきたいと思います。
まず、ワイオミング大学のupperairのサイト に行きます。
そして
- Region を SoutheastAsia (下のStation Numberに日本の観測地点番号を入力すれば不要)
- Type of plotを GIF:Stuve にして
- Station Numberを日本の観測地点番号を入力 すればOK。
日本の観測地点番号
地点番号 | 地点名 |
47401 | 稚内(わっかない) |
47412 | 札幌(さっぽろ) |
47418 | 釧路(くしろ) |
47582 | 秋田(あきた) |
47600 | 輪島(わじま) |
47646 | 館野(たての) |
47678 | 八丈島(はちじょうじま) |
47741 | 松江(まつえ) |
47778 | 潮岬(しおのみさき) |
47807 | 福岡(ふくおか) |
47827 | 鹿児島(かごしま) |
47909 | 名瀬/本茶峠(なぜ/ふんちゃとうげ) |
47918 | 石垣島(いしがきじま) |
47945 | 南大東島(みなみだいとうじま) |
47971 | 父島(ちちじま) |
47991 | 南鳥島(みなみとりしま) |
89532 | 昭和(しょうわ) |
今回は福岡の観測地点を描画してみました。
右側に記載されている要素の解説をします。
- SHOW SSI ショワルターインデックス 負だと不安定
- KINX Kインデックス 40以上でほぼ確実に雷雨が発生する
- CAPE 対流有効位置エネルギー 値が大きいと対流が起きやすく上昇流が強まる
- CINS 対流抑制 値が大きいと対流が起きにくくなる
- EQTV 平衡高度(hpa) 雲頂高度
- LFCT 自由対流高度(hpa)もちあげられなくても勝手に浮いていく高度
- LCLP 持ち上げ凝結高度(hpa) 雲底高度になる
- PWAT 可降水量(mm) どれくらい気柱に水蒸気が含まれているかの値
今回の福岡のエマグラムの値を確認してみましょう。
- SHOW 1.58 マイナスじゃないので安定
- KINX 37.40 雷雨が発生しやすい環境場だったけど雨も雷もなし
- CAPE 274.1 一度対流がたてば積乱雲が上昇流で雲が発達しそうな数値
- CINS -15.8 対流の抑えがきかなさそう
- EQTV 311hpa 9000mくらい
- LFCT 869.0hpa 1500mくらい
- LCLP 918hpa 750mくらい
- PWAT 61.64mm 空気中に水蒸気たっぷり
台風が朝鮮半島を通過して南から湿った空気が流れ込みやすかったため、可降水量はたっぷりで、下層で何か空気を上昇させるものがあれば、一気に9000mくらいまで発達するようなポテンシャルがあります。
数値だけみると大気の状態は不安定なようです。
でも実際には、この時間、福岡県は大雨になるほどの雨はありませんでした。
大体同じ時間帯で解析雨量で筑後地方が15mm程度でした。
これは、地形性の降水によって雨量がでているようでした(気象庁HPより)。
こんな風に実況を眺めながら、エマグラムをみながらすると楽しめるかもしれません。
エマグラムの状態曲線の代表的な事例
これから教科書にのっていそうな代表的なエマグラムの事例を紹介していきます。
豪雨になった時のエマグラム
令和3年8月の豪雨で福岡県に大雨特別警報が発表された時のエマグラムです。
豪雨の時には、全層で湿っているのが特徴です。
地表面~300hpaまで湿ってますね。
西高東低冬型の気圧配置
西高東低冬型の気圧配置の時に、福岡県で大雪注意報が発表された事例です。
豪雪になったときのエマグラム
令和3年1月8日にJPCZの影響で、がんがん雪が降って豪雪となった事例です。
この時、福井県・富山県・石川県・新潟県に「顕著な大雪に関する情報」が発表されました。
その時の輪島(石川県)のエマグラムです。
福岡県で大雪注意報がでたものよりも、湿った領域が550hpaくらいまであって冬場としては対流活動が活発なのが伺えます。
対流不安定(大気の状態が非常に不安定)
令和3年7月15日福岡のエマグラムです。
上空に寒気が流入して、下層に温かく湿った空気が流れ込んでいて大気の状態が非常に不安定だった時の事例です。
福岡県では竜巻注意情報も発表されていました。
地上天気図では高気圧後面で、南から湿った空気が入ってきているのがわかります。
この日の事例を扱った記事
沈降性逆転層
令和2年10月20日高気圧に覆われていて沈降性逆転層が明瞭となっていました。
前線性逆転層
平成29年9月27日に福岡県が温暖前線前面にあった時のエマグラムです。見えにくいですが850~800hpa付近に前線性の逆転層が見られます。
寒冷前線通過に伴う逆転層
寒冷前線通過に伴う逆転層がみえていました。
風向̪シアーが下層から上空に向かって反時計回りに風向変化していて、寒気移流場になっています。
接地逆転層により霧が発生
接地逆転層が発生しているエマグラムをもってきました。
この日は前日の夜から天気が良くて、放射冷却により地表面が冷やされることにより地表面付近のごくごく低い層で接地逆転層ができて、霧が発生しているところもありました。
福岡県の筑豊地方・筑後地方では濃霧注意報が発表されていました。
1000hpaより低いところで接地逆転層、850hpaあたりが沈降性逆転層になっています。
上層雲が出ていたパターン
続いて上層雲がでていた場合の例をもってきました。
松江のエマグラムで見ると400hPaよりも上空が湿っています。
九州にある停滞前線付近では雨が降っていたものと考えられますが、その北側へ雲が広がってきて松江では上層雲が観測されて薄曇りとなっていました。
まとめ
今回の内容についてまとめました。
以上が「エマグラムのデータはワイオミング大学から入手できます」でした。
よんでいただきありがとうございました。