こんにちは!のぶやんです。
北海道には台風ってあまりやって来ないイメージですよね。
台風がなぜ北海道にはやって来にくいのはなぜなのか?解説していきます。
僕の簡単なプロフィールです。
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北海道に台風が来ない理由その①海水温が低いから
北海道に台風が来ない理由は、何なのでしょう?
1つ目の理由としては、北海道付近は緯度が高くて海水温が低いことです。
台風は低緯度の熱帯地方の暖かい海の上で湿った空気をエネルギーとして発達する熱帯低気圧のことで、熱帯低気圧が風速17.2メートル以上になると台風と呼ばれるようになります。
熱帯低気圧がパワーアップしたのが台風ってことですね。
暖かい海上で発達した台風は、そのパワーを維持するには暖かい海水が必要なのですが北海道付近は海水温が低いです。
このため、海水温が低い北海道付近になるとパワーダウンして熱帯低気圧となってしまいます。
海水温でいうと26~27℃以上ないと台風はその勢力を維持できないとされています。
じゃあ北海道の海水温は何度なのかというと、実際に最も海水温が高いとされる9月(今回は中旬)の海水温の平年値(1991~2020年の30年平均)をもってきました。
資料をみてみると北海道付近は18℃程度となっていて台風が勢力を維持できるような気温ではないというのがわかります。
暖かい海上が台風のパワーの源のため、台風が陸上に上陸することもパワーダウンする理由のひとつです。
実際に台風から熱帯低気圧にパワーダウンして北海道にやってきた事例をもってきました。
2007年8月1~4日の天気図をもってきました。
日本の南の海上にあるときは、945hPaとかなり発達した台風でしたが、九州を通過して、北上するうちに勢力が弱まり北海道に近づくことには熱帯低気圧となっていました。
北海道が台風に来ない理由その②温帯低気圧化するから
2つ目の理由としては、台風が温帯低気圧化してしまうためです。
温帯低気圧とは、北側の寒気と南側の暖気との境となる中緯度で発達して前線を伴っている低気圧のことで南北の温度差があることが大きな特徴です。
秋頃になると北の方から冷たい空気が流れ込んでくるようになります。
上空では偏西風が吹くようになり、これに台風が取り込まれるようになると温帯低気圧化することになります。
日本のなかでは北海道が北側に位置しており、秋ごろには上空に偏西風が他の地域より吹きやすくなります。
このため、台風の姿から温帯低気圧に姿を変えて北海道にやってくることは結構あります。
個人的には、温帯低気圧化したもののほうが熱帯低気圧で来るより多いんじゃないかなあと思います。
しかも温帯低気圧化は台風と構造や発達過程がかわるだけで、大雨の危険性は変わらなかったり強風域が拡大するので台風じゃなくなったからといって発達することもあるので注意が必要です。
気象学者の荒木健太郎さんの台風から温帯低気圧に変わっても注意してね!っていうつぶやきも載せておきます。
実際に台風が温帯低気圧に変わった事例をみてみましょう。
2017年9月16~18日の天気図をもってきました。
はじめ九州付近では台風だったものが構造がかわり18日には温帯低気圧化して、しかも結構発達しています。
このため北海道では1時間85ミリの猛烈な雨を記録していて、暴風も吹いていました。
温帯低気圧化したからといって注意を怠ってはいけないっていうのがわかるかなあと思います。
過去北海道に台風が上陸したのは6回ある
北海道に台風が来ない理由をあげてきましたが、記録が残っている1951年から2023年2月に至るまでの72年間で北海道に台風が6回上陸したことがあり、いずれも8月に上陸しています(再上陸のぞく)。
これは秋になると9月に偏西風が吹くようになるため温帯低気圧化して北海道にやってくるからだと考えられます。
中心付近の気圧を調べてみるとそこまで強い勢力の台風はやってきていないようです。
また、これまで台風は必ずしもやってこないってわけではないです。
年 | 月 | 台風番号 | 中心気圧 |
1952 | 8 | 5209 | 990 |
1956 | 8 | 5609 | 994 |
1962 | 8 | 6209 | 990 |
1993 | 8 | 9311 | 980 |
2016 | 8 | 1607 | 980 |
2016 | 8 | 1611 | 1002 |
ただ、秋には台風から温帯低気圧化しても発達して危険な勢力でがくることはありますし、台風が来そうなときは最新の気象情報を取得するようにしましょう。
まとめ
今回の内容についてまとめました。
以上が、「北海道に台風が来ないのはなぜ?理由を解説します」でした。
読んでいただきありがとうございました。