高潮について詳しく解説します

気象

こんにちは!のぶやんです。

今回は、高潮について解説していきます。

どんな時に高潮が起きやすいのか?高潮と津波との違いなど詳しく解説していきます。

のぶやん
のぶやん

僕の簡単なプロフィールです。

  • 気象予報士
  • 福岡あたりの気象のこと中心になりがち
スポンサーリンク

高潮とは?

高潮は、台風や低気圧による海面の吸い上げ効果と風による吹き寄せ効果のため、海面が異常に上昇する現象のこととされています。

潮位は天文潮位と潮位偏差で決まります。

式にするとこんな感じです。

潮位=天文潮位+潮位偏差

天文潮位は、天文的な要因によるもので、潮位偏差は気象的な要因によるものです。

なので高潮は潮位偏差による影響といえますが、実際には様々な要因が重なって高潮の影響が大きくなっていきます。

天文潮位による潮位変動

天文潮位は気象の影響は含まれなくて、月や太陽の引力等により生じる海面の変動のことをいいます。

潮のみちひきをおこす力を潮汐力(ちょうせきりょく)といいますが、月の潮汐力は、月の引力と地球の周りをまわる遠心力により「満潮」・「干潮」が発生します。

図:干潮や満潮の起こるわけ
国立天文台HPより

この影響により、潮位が高くなるのが「満潮」、潮位が低くなるのが「干潮」となります。

1日に2回満潮、干潮があります。

月の潮汐力に加えて、太陽の潮汐力も加わったものが「大潮」や「小潮」になります。

地球に対して月と太陽が直線上に重なるとき、1日の満潮と干潮の潮位差が大きくなります。 この時期を「大潮」といいます。新月や満月の時です。

逆に月と太陽が互いに直角方向にずれているときは、「小潮」となり、上弦や下弦の半月のときになります。

月の満ち欠けは約29.5日になります。

図:大潮と小潮の起こるわけ
国立天文台HPより

このため、天文潮位のうち、満潮でかつ大潮のタイミングの時が高潮の影響が大きくなるってことなります。

潮位偏差による潮位変動

続いて、潮位偏差についてです。

潮位偏差とは、気象などの影響を受けた実際の潮位と天文潮位との差のことです。

気象要因によって発生し、あとで説明する吹き寄せ効果や吸い上げ効果などの影響によるものです。

国土交通省の資料にある過去の主な高潮の事例を見て見るとほとんどの事例が、 台風による被害で時期は潮位が高くなる夏~秋頃になっています

夏から秋ごろは熱膨張などの影響により一年で一番海面が高くなっています

これも高潮の影響を大きくする要因になっているのかなあと思います。

吸い上げ効果

吸い上げ効果とは台風などが近づいて気圧が下がるにより海面が吸い上げられるように上昇する効果のことです。

1hPaの気圧が下がることにより大体1cm上昇します。

例えば、平均的な気圧1013hpaくらいとしていわれていて、970hpaの台風がきた場合は約40㎝上昇することになります。

吹き寄せ効果

吹き寄せ効果とは風により海水が海岸に吹き寄せられる効果のことです。

水位の上昇量は、風速の2乗に比例します。

風速が2倍になれば海面上昇は4倍になるってことですね。

また、水平距離が長く水深が浅いほど水位の上昇は大きいとされています。

高潮のあったほとんどの事例では、この吹き寄せ効果のほうが吸い上げ効果の影響がかなり大きいといわれています。

気象庁の資料にあった事例をもってきました。

平成11年(1999年)台風18号の事例です。

熊本県の八代海に高潮により潮位偏差3mを超える波が押し寄せてきました。

このときの台風の中心気圧が960hpaくらいなので吸い上げ効果は60cmほどですが、残りの2.4mは吹き寄せ効果によるのものなので、吹き寄せ効果の影響がめっちゃ大きいんです。

国土交通省の資料から過去の高潮の事例をみると、潮位偏差数mになることが多いので吸い上げ効果よりも吹き寄せ効果の方が影響が大きいことなります。

台風の進路や地形の影響によって高潮のリスクが大きくかわる

台風の進路と、地形の影響でリスクが大きく変わるっておはなししておきます。

下の図をみてもらうとわかるとおり、台風の進路位置がちょこっとずれるだけで、台風被害影響が全然異なってきます

台風の進行方向右側に位置していたり、湾に吹き寄せる風になるかどうかでどこで高潮になるか?が全然異なってきます。

また、地形的なリスクが大きいのは、南に開かれた水深の低い湾は特に危険だとされています

先ほど説明したとおり水深が低いのは吹き寄せ効果を高めるためです。

南に開かれていると台風の風の影響を受けやすいためです。

有明海、八代海、鹿児島湾、周防灘、瀬戸内海、大阪湾、伊勢湾、東京湾は南側に開かれていて、水深の浅い湾になるため特に危険とされます。

先ほど紹介した過去の高潮事例でもでてくる湾になります。

高潮と津波の違い

気象庁の資料によると、高潮と津波との違いはこんな感じです。

高潮が、台風などの影響による強風や海面気圧低下なのに対して、津波は海底地震や噴火の影響により発生するものです。

原因が異なるだけで、性質や、空間スケールや時間的なスケールは類似していて、高潮は津波に近い現象であるとされています

まとめ

今回の内容についてまとめました。

まとめ
  • 高潮は、主に台風の吹き寄せ効果や吸い上げ効果による気象的な影響により発生するもの
  • 大潮や満潮に重なる天文的な要因、台風の進路や地形的な要因も結構ある
  • 高潮は津波と発生原因が異なるが、性質等は似ていて津波に近い現象

以上が、「高潮について詳しく解説します」でした。

読んでいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました