東京(吉祥寺・成蹊気象観測所)で毎朝9時に富士山が見えたかを数えた記録では、1960年代は年間40日ほどだったのが、2020年代は年間150日ほどと4倍近くに増えています。大気汚染の改善が主因です。月別では12〜2月が最も見えやすく(月の半分以上)、6〜8月は月に数日。時間帯は日の出〜午前9時が圧倒的に有利です。
この記事では、東京から富士山が見える確率を月別・時間帯別に整理し、見えやすい気象条件(湿度・風・晴れ)、新幹線・スカイツリー・高尾山など場所ごとの見え方、当日に見えるかを判断する方法を気象予報士が解説します。河口湖からの見える確率(日別)は富士山が見える確率|62年データで検証(河口湖)をどうぞ。

富士山が見えるかどうかは「晴れ」より「空気の透明度」で決まります。冬の朝、北西の風で乾いた空気が入ったときが最高。逆に夏は晴れていても水蒸気で白くかすんで見えません。100km先の山を見るには、湿度50%以下と風が条件です。
【ツール】その日の過去58年の東京の天気を調べる(晴れ・湿度の目安)
日付を選ぶと、東京でその日が晴れた割合・雨の割合と直近の記録が表示されます。富士山が見えるかは晴れに加えて空気の乾き具合で決まるため、「昼が晴れ」の割合が高く、雨の翌日に当たる日が狙い目です。
月別の見える確率(東京の気象データから)
成蹊気象観測所の観測(吉祥寺、9時)では冬に多く夏に少ないことが知られています。当サイトの東京(千代田区)の観測データで、富士山の見えやすさを左右する「昼が晴れ」「湿度」「風速」を月別に並べました。
| 月 | 昼が晴れる割合 | 平均湿度 | 平均風速 | 富士山の見えやすさ(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 70% | 51% | 2.7m/s | ◎ 年間で最も見える。晴れて乾燥、北西風 |
| 2月 | 61% | 52% | 3.0m/s | ◎ 1月に次ぐ。春一番のあとはかすむ |
| 3月 | 51% | 57% | 3.1m/s | ○ 前半は見える日が多い。花粉と黄砂でかすむ日も |
| 4月 | 48% | 62% | 3.2m/s | △ 霞(かすみ)の季節。雨上がりの朝に限る |
| 5月 | 43% | 68% | 3.1m/s | △ 雨上がりの翌朝のみ |
| 6月 | 27% | 75% | 2.8m/s | × 梅雨。月に数日 |
| 7月 | 34% | 76% | 3.2m/s | × 水蒸気で白くかすむ。台風一過の朝が例外 |
| 8月 | 46% | 74% | 2.9m/s | × 晴れても見えない日が多い |
| 9月 | 35% | 75% | 2.7m/s | △ 台風一過の朝は雪のない富士山が見える |
| 10月 | 43% | 71% | 2.6m/s | ○ 後半から見える日が増える。初冠雪のころ |
| 11月 | 55% | 64% | 2.5m/s | ◎ 秋晴れと乾燥で急に見える日が増える |
| 12月 | 67% | 56% | 2.6m/s | ◎ 冬の快晴。雪をかぶった富士山が最も美しい |
ポイントは湿度です。1〜2月の平均湿度は51〜52%、7〜9月は74〜76%。同じ「晴れ」でも、夏は空気中の水蒸気が光を散乱させて100km先の山が白い空に溶け込みます。冬は北西の季節風が乾いた空気を運び、視程が50〜100km以上に伸びます。
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時間帯別|朝がいちばん見える理由
成蹊気象観測所が9時に観測しているのは、朝が最も見えやすいからでもあります。理由は3つです。
- 朝は空気が安定して汚れが少ない:日中は地面が暖まって上昇気流が起き、ちり・水蒸気が舞い上がる。夜間に沈んだ大気が朝はまだ澄んでいる
- 逆光にならない:東京から富士山は西〜南西方向。午後は太陽が富士山の方向にあり、逆光と光の散乱で見えにくい。朝は順光
- 雲が湧く前:冬でも昼過ぎには富士山の周りに雲がかかることが多い。早朝は山頂まで見えやすい
目安として、冬の快晴日なら日の出〜10時が確率最大、11〜14時は半減、夕方は富士山のシルエット(影富士)が見えるという順です。夕方は見えても山肌の雪や稜線のディテールは見えにくくなります。
場所別|どこから見える?
| 場所 | 距離 | 見え方と条件 |
|---|---|---|
| 東京スカイツリー(天望デッキ) | 約100km | 冬の朝なら高確率。展望台の営業は朝が早くないので10時ごろが勝負。午後は逆光 |
| 高尾山(山頂) | 約65km | 冬の快晴日は稜線までくっきり。「ダイヤモンド富士」は12月下旬(冬至前後)の夕方 |
| 東海道新幹線(車窓) | 新富士〜三島で最接近 | 東京→新大阪は進行方向右側(D・E席側)。新富士駅付近で最も大きい。冬は東京駅を出て多摩川を渡る前から見える日も |
| 羽田空港・飛行機 | 離着陸時 | 北風運用で離陸後に左旋回すると右窓に富士山。冬の朝の便が有利 |
| 都心のビル・タワー | 約100km | 六本木・新宿・池袋の展望台。いずれも西〜南西の窓。冬の朝10時前 |
| 東京湾岸・お台場 | 約110km | 海の上を見通すため意外と見える。冬の日没後の影富士も |
当日に見えるかを判断する方法(気象予報士の視点)
- 前日夕方:明日の天気図:冬型(西高東低)か移動性高気圧なら期待大。低気圧が近づく日は雲
- 当日朝:湿度と風:実況モニターで東京の湿度が50%以下、北〜北西の風なら透明度が高い
- 富士山のライブカメラ:山頂に雲がかかっていないか。東京が晴れでも富士山側が雲のことがある
- 視程の目安:東京から筑波山(約60km)が見えていれば、富士山(約100km)も見える可能性が高い
- 雨上がりの朝:春〜秋は、前日に雨が降って空気が洗われた翌朝が数少ないチャンス
なぜ「見える日」が増えたのか
成蹊気象観測所の記録で1960年代に年40日ほどだった富士山の見える日が2020年代に150日前後まで増えたのは、大気汚染(ばい煙・浮遊粒子)の改善が最大の要因です。工場や自動車の排出規制で東京の視程は1970年代以降に大きく改善しました。近年は「見える日数の増加」が頭打ちになり、年ごとの天候による変動が中心になっています。
東京の月別の天気の割合(観測の集計)
| 項目 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 昼が晴れ | 70.1% | 61.3% | 51.2% | 47.6% | 43.3% | 26.7% | 34% | 45.9% | 35.4% | 42.6% | 55.1% | 67.1% |
| 快晴 | 17% | 10.7% | 7.7% | 6% | 3.7% | 1.1% | 1.2% | 0.9% | 1.6% | 4.9% | 10% | 14.6% |
| 1mm以上の降水 | 13.8% | 19.6% | 29.3% | 32.8% | 32.3% | 39.1% | 32.8% | 27.2% | 37.2% | 31.9% | 22.4% | 14.5% |
都道府県別の気候データを指標で切り替える
富士山の見えた日数は成蹊学園 成蹊気象観測所(東京都武蔵野市、毎朝9時の観測、1963年〜)の公表傾向を引用。晴れ・快晴の割合は気象庁の日ごとの値(東京、1968〜2025年)を当サイトが集計、湿度・風速は気象庁の平年値(1991〜2020年)。場所別の見え方は一般的な傾向です。
指標別ランキング|東京は各指標で何位?
1月の湿度が低い県(空気が澄む):東京は1位
| 順位 | 都道府県 | 平均湿度(1月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 51% | 30.7 |
| 2位 | 埼玉県 | 53% | 33.3 |
| 3位 | 千葉県 | 53% | 33.3 |
| 4位 | 神奈川県 | 53% | 33.3 |
| 5位 | 群馬県 | 54% | 34.5 |
| 6位 | 山梨県 | 55% | 35.8 |
| 7位 | 静岡県 | 57% | 38.3 |
| 8位 | 栃木県 | 61% | 43.4 |
| 9位 | 三重県 | 61% | 43.4 |
| 10位 | 大阪府 | 61% | 43.4 |
東京都は1位(51%、偏差値30.7)。1位は東京都(51%)、47位は福井県(82%)、全国平均は66%です。比較:神奈川4位(53%)・山梨6位(55%)・静岡7位(57%)。詳しくは平均湿度の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。
1月の晴れの日の割合:東京は6位
| 順位 | 都道府県 | 晴れの日の割合(1月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 埼玉県 | 76.7% | 66.5 |
| 2位 | 群馬県 | 74.9% | 65.6 |
| 3位 | 山梨県 | 73.5% | 65.0 |
| 4位 | 栃木県 | 73.2% | 64.8 |
| 5位 | 茨城県 | 69.4% | 63.0 |
| 6位 | 東京都 | 68.3% | 62.5 |
| 7位 | 静岡県 | 68.2% | 62.5 |
| 8位 | 高知県 | 66.2% | 61.5 |
| 9位 | 神奈川県 | 65.9% | 61.4 |
| 10位 | 宮崎県 | 64.8% | 60.8 |
東京都は6位(68.3%、偏差値62.5)。1位は埼玉県(76.7%)、47位は秋田県(5.3%)、全国平均は42.1%です。比較:神奈川9位(65.9%)・山梨3位(73.5%)・静岡7位(68.2%)。詳しくは晴れの日の割合の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。
年間の快晴日数:東京は10位
| 順位 | 都道府県 | 快晴日数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 埼玉県 | 57.3日 | 74.7 |
| 2位 | 宮崎県 | 52.0日 | 70.4 |
| 3位 | 千葉県 | 50.7日 | 69.3 |
| 4位 | 静岡県 | 50.5日 | 69.1 |
| 5位 | 茨城県 | 40.9日 | 61.2 |
| 6位 | 山梨県 | 40.4日 | 60.8 |
| 7位 | 佐賀県 | 39.6日 | 60.2 |
| 8位 | 高知県 | 39.0日 | 59.7 |
| 9位 | 群馬県 | 38.3日 | 59.1 |
| 10位 | 東京都 | 37.6日 | 58.5 |
東京都は10位(37.6日、偏差値58.5)。1位は埼玉県(57.3日)、47位は沖縄県(7.9日)、全国平均は27.3日です。比較:神奈川15位(32.9日)・山梨6位(40.4日)・静岡4位(50.5日)。詳しくは快晴日数の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。
7月の平均湿度(かすむ季節):東京は24位
| 順位 | 都道府県 | 平均湿度(7月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 宮城県 | 83% | 72.3 |
| 2位 | 茨城県 | 82% | 69.0 |
| 3位 | 青森県 | 80% | 62.5 |
| 4位 | 岩手県 | 80% | 62.5 |
| 5位 | 島根県 | 80% | 62.5 |
| 6位 | 長崎県 | 80% | 62.5 |
| 7位 | 秋田県 | 79% | 59.2 |
| 8位 | 栃木県 | 79% | 59.2 |
| 9位 | 新潟県 | 79% | 59.2 |
| 10位 | 富山県 | 79% | 59.2 |
| 24位 | 東京都 | 76% | 49.4 |
東京都は24位(76%、偏差値49.4)。1位は宮城県(83%)、47位は京都府(69%)、全国平均は76%です。比較:神奈川15位(78%)・山梨43位(72%)・静岡11位(79%)。詳しくは平均湿度の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。
東京の月別データ(湿度・晴れ・快晴・風)
| 指標 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均湿度 年間5位 | 51 | 52 | 57 | 62 | 68 | 75 | 76 | 74 | 75 | 71 | 64 | 56 |
| 晴れの日の割合 年間22位 | 68.3 | 58.8 | 48.3 | 43.7 | 40.3 | 25.1 | 31.3 | 42.4 | 32.4 | 39.5 | 52.6 | 65.2 |
| 快晴日数 年間10位 | 8.3 | 5.0 | 3.4 | 2.8 | 1.6 | 0.6 | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 2.3 | 4.3 | 7.3 |
| 平均風速 年間26位 | 2.7 | 3.0 | 3.1 | 3.2 | 3.1 | 2.8 | 3.2 | 2.9 | 2.7 | 2.6 | 2.5 | 2.6 |
東京の快晴日数は12〜1月に集中し、湿度は1〜2月が51〜52%で最低。富士山が見える日の多さは、この「快晴と乾燥」の重なりで説明できます。
視程100kmの条件|湿度と「大気の透明度」
東京から富士山までは約100km。この距離の山が見えるには、大気の透明度を表す「視程」が100km以上必要です。視程を下げるのは、水蒸気(湿度)、ちり・煙・排気(エアロゾル)、黄砂・花粉です。
冬の北西風は大陸の乾いた空気を運び、しかも東京の風上(山梨・埼玉方面)に大きな汚染源がないため、視程が伸びます。逆に南風の日は東京湾・工業地帯の湿った空気が入り、同じ「晴れ」でも富士山は白い空に溶けます。「北西の風の晴れ」が富士山日和、と覚えてください。
季節ごとの「富士山が見える日」の狙い方
冬(12〜2月):冬型の朝は高確率。特に寒波の翌朝は雪をかぶった富士山がくっきり見えます。春(3〜5月):霞と花粉・黄砂でかすむ季節。雨上がりの翌朝に限って見えます。
夏(6〜8月):最も見えない季節ですが、台風一過の朝は例外的に空気が洗われ、雪のない黒い富士山が見えます。秋(9〜11月):10月下旬から急に見える日が増え、初冠雪(平年10月上旬)の後の11月は冬に次ぐ好機です。
雨上がりの翌朝に見えやすい理由は、雨が空気中のちりを洗い流し、雨の後に乾いた空気が入るためです。上のツールで「雨の日の翌日」に当たる日付を見比べると、この傾向が確かめられます。
よくある質問
東京から富士山が見える確率は?
成蹊気象観測所(吉祥寺、9時観測)では2020年代に年間150日ほど見えています。月別では12〜2月が最も多く月の半分以上、6〜8月は月に数日です。
何時ごろが見えやすい?
日の出〜午前10時です。朝は空気が澄んで順光になり、昼過ぎには富士山に雲がかかりやすくなります。
新幹線のどちら側に富士山が見える?
東京発の下り(新大阪方面)は進行方向右側(D・E席側)、新大阪発の上りは左側です。新富士駅付近で最も大きく見えます。
夏はなぜ見えない?
湿度が74〜76%と高く、水蒸気が光を散乱させて100km先の山が白い空に溶け込むためです。台風一過や雨上がりの朝が例外です。
見える日は増えている?
はい。1960年代の年40日ほどから2020年代は年150日ほどに増えました。大気汚染の改善が主因です。
同じ晴れでも富士山が見える日と見えない日があるのはなぜ?
風向きと湿度です。北西の風は大陸の乾いた空気を運んで視程が伸び、南風は東京湾の湿った空気で白くかすみます。「北西の風の晴れ」が富士山日和です。
夏に富士山が見えるチャンスは?
台風一過の朝です。空気が洗われ、雪のない黒い富士山が見えます。それ以外の夏は湿度75%前後で、晴れてもほとんど見えません。
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- 東京の気候と天気出現率
- 全国実況モニター
- 東京から富士山が見える日は2020年代で年間150日ほど(1960年代は40日)。12〜2月が最多、6〜8月は数日
- 決め手は晴れより湿度。冬の平均湿度51%、夏は75%。北西風の乾いた朝が最高
- 時間帯は日の出〜10時。午後は逆光と雲で半減
- 新幹線は東京発なら右側、新富士付近が最大。前日の天気図と当日朝の湿度・風で判断
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