「昔の夏はもっと涼しかった」という感覚は、どこまで本当なのか。気象庁が公開している月別平均気温をもとに、1970年代から現在まで観測が続いている全国677地点の夏(6〜8月)の平均気温を年代ごとに集計しました。
何年前の夏を調べますか
| いまから | 西暦 | 全国平均 | 現在との差 |
|---|---|---|---|
| 50年前の夏の気温 | 1970年代(1976年ごろ) | 23.0℃ | +1.4℃ |
| 40年前の夏の気温 | 1980年代(1986年ごろ) | 22.4℃ | +2.0℃ |
| 30年前の夏の気温 | 1990年代(1996年ごろ) | 23.0℃ | +1.4℃ |
| 20年前の夏の気温 | 2000年代(2006年ごろ) | 23.2℃ | +1.2℃ |
| 現在 | 2020年代 | 24.4℃ | ― |
地域別に見る
大阪府の夏の気温 東京都の夏の気温 福岡県の夏の気温 愛知県の夏の気温
ほかの都道府県のデータは、全年代まとめページの都道府県別ツールでご覧いただけます。
全国平均の50年 ― 上昇は一直線ではなかった
| 年代 | 1970年代 | 1980年代 | 1990年代 | 2000年代 | 2010年代 | 2020年代 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全国平均 | 23.0℃ | 22.4℃ | 23.0℃ | 23.2℃ | 23.6℃ | 24.4℃ |
この表でまず目を引くのは、もっとも涼しかったのが1970年代ではなく1980年代だったという点です。全国平均で 22.4℃。1970年代より 0.6℃低くなっています。気温の上昇は一直線ではありませんでした。「昔から少しずつ暑くなってきた」というイメージを持たれがちですが、実際には下がった時期を挟んでいます。
もうひとつ重要なのが、上昇のほとんどが最近に集中していることです。1970年代から現在までの上昇幅は 1.4℃ですが、そのうち 1.2℃(約86%)が2000年代以降の20年で起きています。50年かけてゆっくり上がったのではなく、ここ20年で一気に上がったというのが実態です。
「子どものころより暑くなった」という体感が、年齢の高い人ほど強いとは限らないのはこのためです。2000年代を知っている世代でも、当時と今とでは1℃以上違います。
なぜ夏の気温は上がったのか
日本の夏の気温上昇には、性質の違う2つの原因が重なっています。この2つを分けて考えないと、データの読み方を誤ります。
地球温暖化
地球全体の平均気温が上がっている影響です。これは日本だけでなく世界中の観測所で共通して現れ、都市も田舎も、山も海上も、同じ方向に動きます。
ヒートアイランド現象
都市そのものが熱を溜め込むことで起きる、局地的な昇温です。アスファルトとコンクリートは日中に熱を蓄え、夜間に放出します。緑地や水面が減れば、蒸発によって熱を逃がす働きも弱まります。加えて、エアコンの室外機や自動車が出す人工の排熱が直接加わります。
この2つは、データの見え方で区別できます。大都市の観測所では両方が乗るため上昇幅が大きく出ますが、周囲に市街地がほとんどない観測所ではヒートアイランドの寄与が小さく、上昇幅は控えめになります。上の表で県ごとに上がり方が違うのは、この寄与の差を反映しています。
夜の気温を見ると、区別はもっとはっきりします。ヒートアイランドは日中よりも夜間の気温を強く押し上げる性質があるためです。昼間に蓄えた熱がゆっくり放出されるので、都市部では朝になっても気温が下がりきりません。熱帯夜の増え方が大都市で突出しているのは、そのためです。
数字を読むときの3つの注意
① 観測所は動いていることがある
観測所は、周囲の環境が変わったり施設が移転したりすると場所が移されることがあります。移転の前後では観測条件が変わるため、長期の変化を論じるときは注意が必要です。このページでは、1970年代から現在まで観測が続いている地点だけを使っています。
② 「平均気温」と「最高気温」は別の話をしている
平均気温は1日を通した平均で、夜間の値も含みます。最高気温はその日のピークです。ヒートアイランドの影響は平均気温のほうに強く出ます(夜が下がらないため)。一方、猛暑日の増減を見るなら最高気温を見る必要があります。このページの数値は6月・7月・8月の月平均気温を平均したものです。
③ 1年だけを比べても意味がない
夏の気温は年ごとの振れ幅が大きく、暑い年と涼しい年が数年おきに来ます。「30年前の夏」を1996年の1年だけで代表させると、たまたま暑い年・涼しい年に当たったときに結論がひっくり返ります。このページでは年代ごと(10年間)の平均を使い、年ごとのばらつきをならしています。
