日本で一番激しい雨は、どこで、どれだけ降ったのか——。この記事では、気象庁の「観測史上1〜10位の値」をもとに、歴代の10分間降水量・1時間降水量・日降水量ランキングを作成しました。雨量を観測する全国1670地点の観測史上1位の記録を、指標別・年間・各月・都道府県別に切り替えて見られるツール付きです。
答えを先に言うと、日降水量の歴代1位は箱根の922.5mm(2019年10月12日・台風19号)。1時間では香取と長浦岳の153.0mm、10分間では木古内の55.0mm(2021年)です。「1日で1年分の半分近い雨」が実際に降った日本の記録を、データで振り返ります。

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歴代降水量ランキング【全1670地点・ベスト1000】
下のツールでは、指標(日降水量・1時間降水量・10分間降水量)と期間(年間・各月)を切り替えて、観測史上1位の値の深い順にベスト1000を表示します。都道府県での絞り込みと地点名・市町村名の検索もできます。偏差値は表示中の全地点平均から算出しています。
※日降水量・年間上位15地点の簡易表示です(公開ページでは指標・期間切替、都道府県絞り込み・検索付きでベスト1000が表示されます)
歴代日降水量トップ30
| 順位 | 地点(都道府県・市町村) | 記録 | 観測年月 | 偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 箱根(神奈川県) | 922.5mm | 2019年10月 | 104.7 |
| 2位 | 魚梁瀬(高知県) | 851.5mm | 2011年7月 | 98.7 |
| 3位 | 日出岳(奈良県) | 844.0mm | 1982年8月 | 98.1 |
| 4位 | 尾鷲(三重県・尾鷲市) | 806.0mm | 1968年9月 | 94.9 |
| 5位 | 内海(香川県・小豆島町) | 790.0mm | 1976年9月 | 93.6 |
| 6位 | 与那国島(沖縄県・与那国町) | 765.0mm | 2008年9月 | 91.5 |
| 7位 | 宮川(三重県) | 764.0mm | 2011年7月 | 91.4 |
| 8位 | 成就社(愛媛県) | 757.0mm | 2005年9月 | 90.8 |
| 9位 | 繁藤(高知県) | 735.0mm | 1998年9月 | 89.0 |
| 10位 | 剣山(徳島県) | 726.0mm | 1976年9月 | 88.2 |
| 11位 | えびの高原(宮崎県) | 715.0mm | 1996年7月 | 87.3 |
| 12位 | 本川(高知県) | 713.0mm | 2005年9月 | 87.1 |
| 13位 | 神門(宮崎県・美郷町) | 694.5mm | 2022年9月 | 85.6 |
| 14位 | 湯ケ島(静岡県) | 689.5mm | 2019年10月 | 85.2 |
| 15位 | 色川(和歌山県) | 672.0mm | 2001年8月 | 83.7 |
| 16位 | 上北山(奈良県・上北山村) | 661.0mm | 2011年9月 | 82.8 |
| 17位 | 池川(高知県) | 644.0mm | 2005年9月 | 81.4 |
| 18位 | 福原旭(徳島県) | 641.5mm | 2011年7月 | 81.2 |
| 19位 | 浦山(埼玉県) | 635.0mm | 2019年10月 | 80.6 |
| 20位 | 多良間(沖縄県) | 629.0mm | 1988年4月 | 80.1 |
| 21位 | 高知(高知県・高知市) | 628.5mm | 1998年9月 | 80.1 |
| 22位 | 天城山(静岡県) | 627.0mm | 1983年8月 | 79.9 |
| 23位 | 西川(和歌山県・古座川町) | 626.0mm | 2011年9月 | 79.9 |
| 24位 | 名瀬(鹿児島県・奄美市) | 622.0mm | 2010年10月 | 79.5 |
| 25位 | 那須高原(栃木県・那須町) | 607.0mm | 1998年8月 | 78.3 |
| 26位 | 小沢(東京都) | 602.5mm | 2019年10月 | 77.9 |
| 27位 | 梅ケ島(静岡県) | 597.5mm | 2019年10月 | 77.5 |
| 28位 | 彦根(滋賀県・彦根市) | 596.9mm | 1896年9月 | 77.4 |
| 29位 | 相模湖(神奈川県) | 595.0mm | 2019年10月 | 77.3 |
| 29位 | 船戸(高知県) | 595.0mm | 2005年9月 | 77.3 |
1位の箱根922.5mm(偏差値104.7)は、2019年10月12日の台風19号(令和元年東日本台風)によるもの。東京の1年分の降水量(約1600mm)の6割近くが、たった1日で降った計算です。2位の魚梁瀬851.5mm(2011年台風6号)、4位の尾鷲806mm(1968年)と、台風の湿った空気が山にぶつかる「地形性豪雨」の名所が上位を占めます。
1時間降水量:153mmが2地点で並ぶ
| 順位 | 地点(都道府県・市町村) | 記録 | 観測年月 | 偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 香取(千葉県・香取市) | 153.0mm | 1999年10月 | 84.0 |
| 1位 | 長浦岳(長崎県) | 153.0mm | 1982年7月 | 84.0 |
| 3位 | 多良間(沖縄県) | 152.0mm | 1988年4月 | 83.5 |
| 4位 | 清水(高知県・土佐清水市) | 150.0mm | 1944年10月 | 82.7 |
| 4位 | 甲佐(熊本県・甲佐町) | 150.0mm | 2016年6月 | 82.7 |
| 6位 | 下関(新潟県・関川村) | 149.0mm | 2022年8月 | 82.3 |
| 6位 | 室戸岬(高知県・室戸市) | 149.0mm | 2006年11月 | 82.3 |
| 8位 | 前原(福岡県・糸島市) | 147.0mm | 1991年9月 | 81.4 |
| 9位 | 岡崎(愛知県・岡崎市) | 146.5mm | 2008年8月 | 81.2 |
| 9位 | 上市(富山県・上市) | 146.5mm | 2024年8月 | 81.2 |
1時間降水量の1位は香取(千葉県・1999年10月)と長浦岳(長崎県・1982年7月長崎大水害)の153.0mmで同率。3位の多良間152.0mm(1988年)まで、わずか1mm差に3地点がひしめきます。1時間100mmを超えると「記録的短時間大雨情報」が出るレベルですから、150mm超は災害級の中でも別格です。
10分間降水量:1位は意外にも北海道・木古内
| 順位 | 地点(都道府県・市町村) | 記録 | 観測年月 | 偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 木古内(北海道・木古内町) | 55.0mm | 2021年11月 | 111.3 |
| 2位 | 室谷(新潟県) | 50.0mm | 2011年7月 | 101.6 |
| 2位 | 熊谷(埼玉県・熊谷市) | 50.0mm | 2020年6月 | 101.6 |
| 4位 | 清水(高知県・土佐清水市) | 49.0mm | 1946年9月 | 99.6 |
| 5位 | 石巻(宮城県・石巻市) | 40.5mm | 1983年7月 | 83.1 |
| 6位 | 秩父(埼玉県・秩父市) | 39.6mm | 1952年7月 | 81.4 |
| 7位 | 柏原(兵庫県・丹波市) | 39.5mm | 2014年6月 | 81.2 |
| 8位 | 洲本(兵庫県・洲本市) | 39.2mm | 1949年9月 | 80.6 |
| 9位 | 横浜(神奈川県・横浜市) | 39.0mm | 1995年6月 | 80.2 |
| 10位 | 練馬(東京都・練馬区) | 38.5mm | 2018年8月 | 79.3 |
10分間降水量の1位は木古内(北海道)の55.0mm(2021年11月9日)。豪雨のイメージが薄い北海道の、しかも11月の記録という意外な結果です。寒冷前線に伴う猛烈な雨柱が直撃したもので、10分で55mmは1時間換算330mmの猛烈さ。2位は室谷(新潟県・2011年)と熊谷(埼玉県・2020年)の50.0mmです。
都道府県別の歴代日降水量1位
| 順位 | 都道府県 | 地点 | 日降水量 | 観測年月 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 神奈川県 | 箱根 | 922.5mm | 2019年10月 |
| 2位 | 高知県 | 魚梁瀬 | 851.5mm | 2011年7月 |
| 3位 | 奈良県 | 日出岳 | 844.0mm | 1982年8月 |
| 4位 | 三重県 | 尾鷲 | 806.0mm | 1968年9月 |
| 5位 | 香川県 | 内海 | 790.0mm | 1976年9月 |
| 6位 | 沖縄県 | 与那国島 | 765.0mm | 2008年9月 |
| 7位 | 愛媛県 | 成就社 | 757.0mm | 2005年9月 |
| 8位 | 徳島県 | 剣山 | 726.0mm | 1976年9月 |
| 9位 | 宮崎県 | えびの高原 | 715.0mm | 1996年7月 |
| 10位 | 静岡県 | 湯ケ島 | 689.5mm | 2019年10月 |
| 11位 | 和歌山県 | 色川 | 672.0mm | 2001年8月 |
| 12位 | 埼玉県 | 浦山 | 635.0mm | 2019年10月 |
| 13位 | 鹿児島県 | 名瀬 | 622.0mm | 2010年10月 |
| 14位 | 栃木県 | 那須高原 | 607.0mm | 1998年8月 |
| 15位 | 東京都 | 小沢 | 602.5mm | 2019年10月 |
| 16位 | 滋賀県 | 彦根 | 596.9mm | 1896年9月 |
| 17位 | 宮城県 | 筆甫 | 558.0mm | 2019年10月 |
| 18位 | 山梨県 | 南部 | 532.0mm | 2019年10月 |
| 19位 | 岡山県 | 恩原 | 530.5mm | 2023年8月 |
| 20位 | 兵庫県 | 家島 | 528.0mm | 1976年9月 |
| 21位 | 鳥取県 | 大山 | 524.0mm | 2011年9月 |
| 22位 | 福岡県 | 朝倉 | 516.0mm | 2017年7月 |
| 23位 | 岐阜県 | 樽見 | 495.0mm | 2002年7月 |
| 24位 | 熊本県 | 阿蘇乙姫 | 493.0mm | 2012年7月 |
| 25位 | 愛知県 | 東海 | 492.0mm | 2000年9月 |
| 26位 | 岩手県 | 小本 | 484.0mm | 2023年8月 |
| 27位 | 長崎県 | 雲仙岳 | 482.0mm | 1982年7月 |
| 28位 | 大分県 | 湯布院 | 476.0mm | 2005年9月 |
| 29位 | 山口県 | 羅漢山 | 472.0mm | 2005年9月 |
| 30位 | 群馬県 | 西野牧 | 471.0mm | 2019年10月 |
| 31位 | 茨城県 | 花園 | 455.5mm | 2019年10月 |
| 32位 | 北海道 | 苫小牧 | 447.9mm | 1950年8月 |
| 33位 | 京都府 | 舞鶴 | 445.5mm | 1953年9月 |
| 34位 | 佐賀県 | 多良岳 | 441.0mm | 1976年8月 |
| 35位 | 富山県 | 立山 | 435.0mm | 1978年6月 |
| 36位 | 福島県 | 只見 | 430.0mm | 2011年7月 |
| 37位 | 千葉県 | 鋸南 | 426.0mm | 1989年8月 |
| 38位 | 新潟県 | 栃尾 | 421.0mm | 2004年7月 |
| 39位 | 長野県 | 北相木 | 395.5mm | 2019年10月 |
| 40位 | 島根県 | 浜田 | 394.5mm | 1988年7月 |
| 41位 | 山形県 | 鳥海山 | 392.0mm | 1990年6月 |
| 42位 | 石川県 | 白山河内 | 392.0mm | 2022年8月 |
| 43位 | 広島県 | 廿日市津田 | 346.0mm | 2005年9月 |
| 44位 | 秋田県 | 仁別 | 330.5mm | 2023年7月 |
| 45位 | 青森県 | 四兵衛森 | 328.0mm | 1977年8月 |
| 46位 | 福井県 | 九頭竜 | 312.0mm | 2002年7月 |
| 47位 | 大阪府 | 熊取 | 281.5mm | 2017年10月 |
47都道府県すべてで日降水量300mm前後以上の記録があります。最も「控えめ」な大阪府でも熊取の281.5mm。日本に「豪雨と無縁の県」は存在しないことがわかります。
月別の記録分布——9月が最多、夏秋に集中
| 月 | 地点数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1月 | 0地点 | 0.0% |
| 2月 | 0地点 | 0.0% |
| 3月 | 1地点 | 0.1% |
| 4月 | 4地点 | 0.2% |
| 5月 | 23地点 | 1.4% |
| 6月 | 136地点 | 8.1% |
| 7月 | 329地点 | 19.7% |
| 8月 | 433地点 | 25.9% |
| 9月 | 477地点 | 28.6% |
| 10月 | 248地点 | 14.9% |
| 11月 | 18地点 | 1.1% |
| 12月 | 1地点 | 0.1% |
- 年間最大の日降水量記録は9月が477地点(28.6%)で最多。8月433地点、7月329地点と続き、7〜10月の4ヶ月で89%を占めます。台風と秋雨前線、梅雨末期の豪雨が日本の雨の記録を作っています。
- 冬の記録(12〜2月)はわずか2地点。豪雪地帯でも「雨」の記録は夏に出ます。
- 記録が出た年代を見ると、2010年以降が723地点(43.3%)と圧倒的。1990〜2000年代の476地点と合わせ、観測網の充実を考慮しても近年の豪雨の激甚化がうかがえます。
考察——日本の豪雨の「3つの顔」
日降水量は「台風×山」、1時間は「積乱雲の列」、10分間は「一撃の雨柱」
3つの指標で上位の顔ぶれが変わるのが面白いところです。日降水量の上位は箱根・魚梁瀬・日出岳・尾鷲——いずれも湿った風が山腹を強制的に駆け上がる地形性豪雨の聖地。1時間降水量は香取・長浦岳・甲佐など、線状降水帯や猛烈な積乱雲の直撃を受けた地点。そして10分間降水量は木古内・室谷・熊谷と、たった一つの雨柱の「当たりどころ」で決まるため、豪雨常襲地とは限らない地点が並びます。時間スケールが短いほど、記録は「どこにでも起こりうる」ものになるのです。
2010年以降に記録の43%——豪雨は確実に激しくなっている
全1670地点のうち、日降水量の観測史上1位が2010年以降に出た地点は723地点(43.3%)にのぼります。アメダスの多くは1970年代後半の観測開始なので単純比較はできませんが、平成30年7月豪雨(2018年)、令和元年東日本台風(2019年)、令和2年7月豪雨(2020年)と、近年の豪雨イベントが各地の記録を次々に塗り替えているのは確かです。気温が1℃上がると大気が含める水蒸気は約7%増える——温暖化と豪雨の激甚化の関係は、歴代記録の分布にもはっきり表れています。
【豆知識】世界記録と比べると?
世界に目を向けると、WMO(世界気象機関)が認定する日降水量(24時間)の世界記録は、インド洋レユニオン島フォクフォクの1825mm(1966年1月、サイクロン・デニーズ)。箱根の記録のほぼ2倍です。1時間降水量では米ミズーリ州ホルトの305mm(1947年)という記録が知られています。世界の「雨の聖地」はインド・チェラプンジやレユニオン島など。日本の記録は世界一ではないものの、先進国の人口密集地域でこのレベルの豪雨が毎年起こる国は世界でも稀です。
使用データと出典
- 出典:気象庁「過去の気象データ検索」観測史上1〜10位の値(2026年7月時点の掲載値)。雨量を観測する全国の気象台・アメダス1670地点の、日降水量・日最大1時間降水量・日最大10分間降水量の観測史上1位(年間・各月)を集計。
- 統計開始年は地点により異なります(気象台は明治〜、アメダスの多くは1970年代後半〜)。
- 世界記録の豆知識はWMO(世界気象機関)の極値アーカイブおよびNOAAの公表資料に基づきます。
- 偏差値は表示中の期間・指標における全地点の値から平均・標準偏差を計算(平均50・1標準偏差=10)。
まとめ
- 歴代日降水量の日本一は箱根の922.5mm(2019年10月12日・台風19号)。偏差値104.7の異次元。
- 1時間降水量は香取・長浦岳の153.0mmが同率1位。10分間は木古内の55.0mm(2021年11月)が1位。
- 日降水量の記録は9月が最多(28.6%)、7〜10月で89%。台風・秋雨・梅雨末期が日本の雨の記録製造機。
- 2010年以降に記録の43.3%が集中。豪雨の激甚化がデータにも表れている。
- 都道府県別1位の最小でも281.5mm(大阪府)。豪雨と無縁の県は日本にない。
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