10月10日と11月3日は本当に「晴れの特異日」か|過去58年の晴天率・雨の確率で検証

秋晴れの日本地図に晴れやすさの色分けと10月上旬の日ごとの雨の確率の折れ線を重ねたイメージ おでかけ・服装の天気

「10月10日は晴れの特異日だから東京オリンピックの開会式に選ばれた」「11月3日(文化の日)は晴れの特異日」——この定説を、1968〜2025年の58年分の東京の観測で確かめると、10月10日に1mm以上の雨が降った割合は20.7%で、前後の日(10月8日44.8%、9日39.7%、11日34.5%、12日27.6%)より明らかに低い一方、昼が晴れた割合は36.2%で前後の日(34.5〜43.1%)と差がありません。つまり10月10日は「雨が降りにくい日」ではあるが、「晴れやすい日」とは言えないのが東京の実態です。

11月3日は雨17.2%・晴れ60.3%と、こちらは雨が少なく晴れも多い日でした。ただし11月上旬は前後の日も同程度に晴れやすく、「11月3日だけが特別」とは言い切れません。この記事では東京・大阪・福岡・札幌の4都市で10月8〜12日、11月1〜5日の天気を並べ、特異日の定説がどこまで本当かを気象予報士が検証します。

のぶやん
のぶやん

「特異日」は統計上、前後の日と比べて特定の天気が現れやすい日を指しますが、気象学的な仕組みは証明されていません。58年分で見ると、10月10日の「雨の少なさ」は確かに目立ちます。ただ晴れの割合はふつう。曇りの日が多いんです。

【ツール】10月10日・11月3日の過去58年の天気を地点別に調べる

地点と日付を選ぶと、その日の「晴れ・雨」の割合と直近の記録が表示されます。「前後±1日」「±3日」に切り替えると、特異日が本当に前後の日と違うかを自分の地点で検証できます。

読み込み中…

東京の10月8〜12日・11月1〜5日の天気(58年分)

各日について昼が晴れた割合1mm以上の雨が降った割合を並べました。特異日とされる10月10日と11月3日を太字にしています。

日付昼が晴れた割合1mm以上の雨の割合
10月08日34.5%44.8%
10月09日34.5%39.7%
10月1036.2%20.7%
10月11日34.5%34.5%
10月12日43.1%27.6%
11月01日53.4%24.1%
11月02日55.2%15.5%
11月0360.3%17.2%
11月04日55.2%19%
11月05日43.1%20.7%
東京の各日の天気(1968〜2025年、自動更新)

東京の10月10日は雨20.7%で、10月上旬〜中旬の中では突出して低い日です(8日44.8%、9日39.7%)。しかし晴れは36.2%で、10月中旬の平均的な水準。「降らないが曇り」の日が多いということです。11月3日は雨17.2%・晴れ60.3%と好条件ですが、11月4日も晴れ55.2%・雨19.0%で、11月上旬全体が晴れやすい季節に入っています。

大阪・福岡・札幌ではどうか

日付昼が晴れた割合1mm以上の雨の割合
10月08日34.5%39.7%
10月09日56.9%31%
10月1055.2%22.4%
10月11日46.6%25.9%
10月12日48.3%20.7%
11月01日56.9%27.6%
11月02日58.6%15.5%
11月0369%12.1%
11月04日70.7%12.1%
11月05日60.3%22.4%
大阪の各日の天気(1968〜2025年、自動更新)
日付昼が晴れた割合1mm以上の雨の割合
10月08日48.3%31%
10月09日63.8%22.4%
10月1063.8%10.3%
10月11日56.9%17.2%
10月12日55.2%27.6%
11月01日56.9%29.3%
11月02日60.3%22.4%
11月0365.5%20.7%
11月04日63.8%17.2%
11月05日62.1%22.4%
福岡の各日の天気(1968〜2025年、自動更新)
日付昼が晴れた割合1mm以上の雨の割合
10月08日46.6%41.4%
10月09日53.4%29.3%
10月1046.6%39.7%
10月11日41.4%44.8%
10月12日50%25.9%
11月01日36.2%53.4%
11月02日41.4%37.9%
11月0348.3%37.9%
11月04日58.6%36.2%
11月05日46.6%32.8%
札幌の各日の天気(1968〜2025年、自動更新)

大阪の10月10日は雨22.4%・晴れ55.2%、福岡は雨10.3%・晴れ63.8%と、西日本では10月10日が「雨が少なく晴れも多い」日になっています。11月3日は大阪で晴れ69%・雨12.1%、福岡で晴れ65.5%・雨20.7%と、こちらも西日本では好天の日です。札幌は10月10日の雨39.7%と特異日の傾向は見られません。

10月10日が「雨が降りにくい」理由

10月上旬は秋雨前線が本州付近に停滞し、台風も接近しやすい時期で、東京の10月8〜9日の雨の確率が40%を超えるのはこのためです。10月10日前後になると秋雨前線が南下し、大陸からの移動性高気圧に覆われる日が増え始めます。つまり10月10日は「秋雨シーズンの終わりと秋晴れシーズンの始まりの境目」に当たり、統計上の雨の少なさはこの季節の切り替わりを反映しています。

ただし移動性高気圧の通過は3〜4日周期で、特定の日付に固定されているわけではありません。58年の統計で10月10日の雨が少ないのは、季節の切り替わりと偶然が重なった結果と考えるのが妥当で、今年の10月10日が晴れる保証にはなりません

11月3日が晴れやすい理由

11月上旬は移動性高気圧が最も安定して日本を覆う季節で、東京の11月の昼の晴れ率は55.1%と10月(42.6%)から大きく上がります。11月3日の晴れ60.3%はこの季節の水準そのもので、特異日というより「秋晴れの季節の典型的な日」です。文化の日に晴れが多いという実感は正しいものの、11月2日も4日も同じくらい晴れます。

10月・11月の天気の割合(月別・都市別)

項目1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
東京70.1%61.3%51.2%47.6%43.3%26.7%34%45.9%35.4%42.6%55.1%67.1%
名古屋64.8%62%58%51.8%47.4%32.1%38.2%50.7%42.6%53.7%60.9%64.8%
大阪56.2%52.5%49.2%50.2%45.7%31.4%42%54.3%43.3%53.4%58.3%60.8%
広島51.8%51.5%51.7%50.5%48%35.1%41.8%56.5%46.5%58.8%58.4%55.1%
福岡34.8%40.3%47.3%49.4%46.4%32.1%42.4%55.8%47.2%57.4%50.3%40.4%
仙台60%59.1%56.5%51.9%44.9%30.3%26.9%36.1%36.3%49.5%56.1%57.6%
札幌34%38.1%43.9%45.1%45.5%42.9%39.6%41.8%49.5%50.8%37.2%35%
那覇35%32.5%35.9%39%35.7%42.3%65.8%65.7%63.6%59.5%45.7%42.2%
各月の「昼が晴れた日」の割合(1968〜2025年の平均、%)。10月→11月で東京・仙台の晴れ率が大きく上がる

運動会・イベントの日程を決めるなら

  • 10月10日前後:雨は少ないが曇りが多い。秋雨前線と台風の動きを1週間前から確認
  • 11月上旬:関東〜西日本で年間有数の安定した晴れの季節。屋外イベントに最も向く
  • 体育の日(スポーツの日):2000年以降は10月第2月曜で日付が動く。10月10日の統計はそのまま当てはまらない
  • 北日本:10月中旬以降は低気圧の通過が増える。札幌の10月は雨39%と特異日の傾向なし

都道府県別の10月・11月の晴れデータを切り替える

集計方法:気象庁「過去の気象データ」の日ごとの値(47都道府県の気象台、1968〜2025年の58年分)を当サイトが集計しています。「晴れ」は気象庁の天気概況(昼=6〜18時/夜=18〜翌6時)が「快晴」または「晴」で始まる日、「雪」は降雪の記録があるか天気概況に雪が含まれる日、「雨(1mm以上)」は日降水量1.0mm以上の日です。千葉の天気概況は2010年までしか公開されていないため、千葉は参考値です。 特異日の統計は東京(千代田区)ほか各気象台の観測によるもので、同じ都市でも場所により差があります。

指標別ランキング|東京は各指標で何位?

10月の晴れの日の割合:東京は42位

順位都道府県晴れの日の割合(10月)偏差値
1位長崎県59.5%67.5
2位鹿児島県58.3%65.6
3位熊本県57.9%65.0
4位広島県57.5%64.4
5位佐賀県57.3%64.1
6位山口県56.6%63.0
7位高知県55.6%61.5
8位岡山県54.9%60.4
9位愛媛県54.7%60.1
10位福岡県54.7%60.1
42位東京都39.5%36.9
10月の晴れの日の割合ランキング(昼の天気概況)

東京都は42位(39.5%、偏差値36.9)。1位は長崎県(59.5%)、47位は千葉県(35.6%)、全国平均は48.1%です。比較:大阪19位(50.7%)・福岡10位(54.7%)・北海34位(43.3%)。詳しくは晴れの日の割合の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。

11月の晴れの日の割合:東京は23位

順位都道府県晴れの日の割合(11月)偏差値
1位群馬県63.9%63.4
2位山梨県63.5%63.1
3位高知県61.3%61.2
4位埼玉県61.2%61.1
5位三重県60.1%60.1
6位宮崎県59.3%59.4
7位栃木県58.8%59.0
8位愛知県58.4%58.6
9位静岡県58.1%58.4
10位岡山県57.7%58.0
23位東京都52.6%53.6
11月の晴れの日の割合ランキング(昼の天気概況)

東京都は23位(52.6%、偏差値53.6)。1位は群馬県(63.9%)、47位は秋田県(22.5%)、全国平均は48.5%です。比較:大阪17位(55.6%)・福岡33位(47.5%)・北海44位(27.0%)。詳しくは晴れの日の割合の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。

10月の雨の日が少ない県:東京は35位

順位都道府県雨の日の割合(10月)偏差値
1位佐賀県17.0%34.0
2位長崎県18.1%35.8
3位熊本県18.7%36.8
4位広島県18.9%37.1
5位山口県19.2%37.6
6位岡山県20.5%39.7
7位大分県20.5%39.7
8位福岡県20.8%40.1
9位愛媛県21.2%40.8
10位鹿児島県21.9%41.9
35位東京都29.5%54.1
10月の雨の日が少ない県ランキング(少ない順)

東京都は35位(29.5%、偏差値54.1)。1位は佐賀県(17.0%)、47位は秋田県(42.0%)、全国平均は26.9%です。比較:大阪21位(24.7%)・福岡8位(20.8%)・北海40位(33.6%)。詳しくは雨の日の割合の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。

11月の雨の日が少ない県:東京は27位

順位都道府県雨の日の割合(11月)偏差値
1位群馬県14.0%39.9
2位大分県15.3%41.1
3位山梨県15.4%41.2
4位埼玉県15.5%41.3
5位岡山県16.1%41.9
6位宮城県16.4%42.2
7位広島県16.8%42.6
8位兵庫県17.2%43.0
9位福島県17.5%43.3
10位栃木県17.5%43.3
27位東京都20.6%46.2
11月の雨の日が少ない県ランキング(少ない順)

東京都は27位(20.6%、偏差値46.2)。1位は群馬県(14.0%)、47位は新潟県(52.2%)、全国平均は24.5%です。比較:大阪15位(18.6%)・福岡33位(24.3%)・北海34位(24.4%)。詳しくは雨の日の割合の都道府県ランキングで全47都道府県と市町村の順位を確認できます。

東京の月別データ(晴れ・雨・気温)

指標1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
晴れの日の割合
年間22位
68.358.848.343.740.325.131.342.432.439.552.665.2
雨の日の割合
年間20位
9.414.424.130.429.436.030.325.435.129.520.612.6
くもりの日の割合
年間44位
17.520.224.625.730.338.938.432.132.531.026.721.4
年平均気温
年間25位
5.46.19.414.318.821.925.726.923.318.012.57.7
東京の月別平年値(%・℃)。単位は指標ごと

東京の晴れの日は10月40%→11月53%→12月65%と、秋から冬にかけて月ごとに10ポイント以上上がります。11月3日の晴れやすさは、この「季節の上り坂」の途中にあります。

「特異日」という言葉の由来と、統計上の注意点

特異日(singularity)は、気候学で「ある日付の前後と比べて特定の天気の出現率が統計的に高い(または低い)日」を指す用語です。日本では10月10日の晴れ、11月3日の晴れのほか、9月17日の台風、6月28日の雨などが語られてきました。

ただし統計的な検証では、多くの「特異日」は前後の日との差が偶然の範囲に収まることが指摘されています。58年分のデータで見ても、10月10日の雨の少なさは前後の日より目立つものの、隣の日と10ポイント程度の差であり、翌年その日が晴れることを保証するものではありません。

この記事で示したように、東京の10月10日は「雨が降りにくいが晴れも多くない」日です。特異日の話は天気の雑学として楽しみつつ、実際の予定は週間予報で決める、という距離感がちょうどよいと思います。

1964年10月10日、東京オリンピック開会式の天気

1964年の東京オリンピック開会式は10月10日、前日までの雨が上がり、当日は快晴となりました。この成功体験が「10月10日は晴れの特異日」を国民的な常識にした面があります。

当時の気象庁の資料では、10月10日は過去の統計で晴れの割合が高い日の1つとして候補に挙がっていたとされます。当日の快晴は、統計と幸運の両方の結果と言えるでしょう。なお2021年に行われた東京オリンピックの開会式は7月23日で、こちらは猛暑と夕立の季節でした。

よくある質問

10月10日は晴れの特異日?

東京の58年間の観測では、1mm以上の雨が降った割合が20.7%と前後の日(27.6〜44.8%)より明らかに低い一方、昼が晴れた割合は36.2%で前後と同程度です。「雨が降りにくい日」ではあるが「晴れやすい日」とは言えません。

11月3日は晴れの特異日?

東京の11月3日は晴れ60.3%・雨17.2%と好条件ですが、11月上旬は前後の日も同程度に晴れやすく、特異日というより秋晴れの季節の典型的な日です。

特異日に気象学的な根拠はある?

特定の日付に天気が偏る仕組みは証明されていません。10月10日の雨の少なさは、秋雨シーズンから秋晴れシーズンへの切り替わりの時期に当たることの反映と考えられます。

東京オリンピックの開会式が10月10日だったのは特異日だから?

統計上、雨が少ない日として選ばれたと伝えられています。実際に1964年10月10日の東京は晴れでした。

特異日は気象学の用語?

はい。気候学で「ある日付の前後と比べて特定の天気の出現率が統計的に高い(低い)日」を指します。ただし多くの特異日は前後の日との差が偶然の範囲に収まることも指摘されています。

1964年の東京オリンピック開会式の天気は?

10月10日、前日までの雨が上がって快晴でした。この成功体験が「10月10日は晴れの特異日」を常識にした面があります。

あわせて読みたい

まとめ
  • 東京の10月10日は雨20.7%と前後の日より少ないが、晴れは36.2%で前後と同じ。「降らないが曇り」の日
  • 11月3日は晴れ60.3%・雨17.2%。ただし11月上旬全体が同程度に晴れやすい
  • 福岡・大阪では10月10日が雨少なめ・晴れ多め。札幌には特異日の傾向なし
  • 特異日は季節の切り替わりの反映であり、今年のその日が晴れる保証ではない
タイトルとURLをコピーしました