台風の朝、「保育園は開いているの?」「預けて大丈夫?」と迷った経験は、子育て中なら誰にでもあるはずです。私は気象予報士として天気を読む側と、家族が運営する保育園で事務を担う側の両方にいます。この記事では、台風・大雪・地震のときに登園するかどうかを決める考え方を、保護者向けと園向けの両方の視点で整理し、状況を選ぶだけで判断の目安と連絡文例が出るツールを用意しました。
- 判断は「①園は開いているか ②行き帰りは安全か ③迎えに行けるか」の3つ。1つでも×なら休む
- 保育園は「原則開園」の園が多く、幼稚園・学校(暴風警報で休校)より基準がゆるい。園が開いている=安全ではない
- 台風は「暴風警報」と「計画運休」、大雪は「10cm」と「翌朝の凍結」、地震は「震度5弱」が多くの園の分かれ目
- 園から見ると、いちばん困るのは「連絡がつかない保護者」。預けるなら『何時までに迎えに行けるか』を先に伝える
- 入園時の「しおり」の警報時対応のページを写真に撮り、園のアプリの通知をオンに。災害用伝言ダイヤル171を家族で試しておく
状況を選んで判断の目安を出す
何が起きているか、出ている警報、時刻、交通、園の規程を選ぶと、4段階の判定と「やること」、園への連絡文例が出ます。
登園判断ツール台風・大雪・地震:保護者向けの目安と連絡文例
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判断の軸は3つだけ
警報の種類や自治体の基準を全部覚える必要はありません。園が開いているか、行き帰りが安全か、迎えに行けるかの3つを順に確認し、1つでも×なら休む。これだけです。特に3つ目は見落とされがちで、台風の日に預けたあと電車が止まり、迎えに行けなくなって園が深夜まで子どもを預かる、というケースが実際に起きています。
保育園は「原則開園」──幼稚園・学校との違い
幼稚園や小中学校は、自治体の基準で「午前7時に暴風警報が出ていれば休校」のように決まっていることが多く、テレビの情報で判断できます。一方、保育園は児童福祉施設で、保護者の就労を支えるのが役割なので、暴風警報が出ていても開園する園が多数です。休園になるのは、特別警報、交通の全面停止、施設の被害や停電・断水、自治体からの要請があったときが中心です。
| 施設 | 休みになる目安(一般的な例) | 判断の情報源 |
|---|---|---|
| 小中学校・幼稚園 | 午前7時(または6時)時点で暴風警報・暴風雪警報・特別警報 → 休校。大雨警報だけでは休みにならない自治体が多い | 自治体・学校のメール、テレビ |
| 認可保育園(公立) | 特別警報、自治体の要請、施設被害・ライフライン停止 → 休園。暴風警報だけでは原則開園。「登園自粛のお願い」が出ることも | 自治体の一斉メール、園のアプリ |
| 認可保育園(私立)・こども園 | 園ごとの規程。暴風警報で休園と決めている園、原則開園の園、両方ある | 入園時のしおり、園のアプリ |
| 小規模保育・企業主導型 | 園ごとの規程。職員の通勤が困難なら休園 | 園への直接確認 |

園の事務をしていて実感するのは、暴風警報の朝に鳴り続ける電話の半分が「開いていますか?」だということです。園としては規程どおり開けていても、職員も通勤できるかぎりぎりの人数で回しています。「開いているから預ける」ではなく「自分が帰れるから預ける」と考えてもらえると、園も保護者も安全です。
台風:暴風警報と計画運休が分かれ目
台風で登園を左右するのは、雨より風です。暴風警報(平均風速おおむね20m/s以上)が出ると、傘は壊れ、看板や瓦が飛び、ベビーカーは押せません。さらに近年は鉄道の計画運休が前日に発表されるため、朝は動いていても夕方に帰れなくなる事態が起きます。台風の暴風がいつピークになるかは、気象庁の進路予報と「暴風域に入る確率」で前日のうちに分かります。
- 前日:進路予報で「暴風域に入る確率」と時間帯を確認。計画運休の発表をチェック。園のアプリの通知をオンに
- 当日朝:暴風警報が出ているか、電車が動いているか、ピークが日中か夕方か。ピークが夕方なら「早めのお迎え」を前提に預けるか、休む
- 預ける場合:登園時に「◯時までに迎えに行けます」「連絡先は◯◯」を伝える。園からの早めのお迎え要請には従う
- 園側:前日のうちに「明日の対応」を一斉配信。暴風警報が出た時点で「早めのお迎えをお願いする可能性」を予告。職員の帰宅手段を確認
風速ごとに何が起きるか、電車・飛行機が止まる基準は飛行機・新幹線・電車は風速何mで止まる?にまとめています。台風の右側で風が強くなる理由はこちら、今年の台風の傾向は台風の進路と備えを参照してください。
大雪:「10cm」と「翌朝の凍結」
雪に慣れていない関東・西日本の平野部では、積雪10cmで交通が止まり、5cmでもバスが遅れ、幹線道路が渋滞します。大雪警報の基準も、東京23区は「12時間降雪の深さ10cm」、福岡市は「10cm」と低く設定されています(雪国の新潟市は30cm)。もう一つ見落としがちなのが翌朝の凍結で、雪がやんだ翌日のほうが転倒・スリップ事故が多くなります。ベビーカーと自転車は使わず、歩くなら滑りにくい靴で時間に余裕を持ってください。
| 予想される雪 | 関東・西日本の平野部 | 雪国(北海道・日本海側) |
|---|---|---|
| 1〜4cm | バスの遅れ、歩道がぬかるむ。登園は可 | 通常 |
| 5〜9cm | 車は冬タイヤ必須。バス運休・電車の遅れ。園に確認 | 通常 |
| 10cm以上(大雪警報) | 電車の運休、道路の通行止め。休園・登園自粛の可能性 | やや遅れ。除雪次第 |
| 20cm以上 | 都市機能がほぼ止まる。休園 | 交通に影響。園に確認 |
冬の雪の見通しは今年の冬は雪が少ない?2026-27年、初雪の時期は初雪はいつ?2026年、都道府県ごとの雪の日数は世界で最も雪が降る都市ランキングや気候ページで確認できます。
地震:震度5弱で「引き渡し」
地震は予告なく起きるため、台風・大雪と違って「登園前に決める」より「開園中に起きたときの引き渡し」が中心になります。多くの園は震度5弱以上で、施設の安全点検→保護者への引き渡しという規程を持っています。開園中に大きな揺れがあれば、園は子どもを園庭など安全な場所に集め、保護者が来るまで保護します。電話は一斉につながらなくなるので、園のアプリ・メール、災害用伝言ダイヤル171の使い方を家族で確認しておいてください。
- 登園前に起きた場合:震度5弱以上なら休園の連絡を待つ。自宅〜園の経路に落下物・火災・通行止めがないか確認。沿岸部で津波警報が出たら迎えに行かず、まず自分の避難
- 開園中に起きた場合:園に電話をかけ続けない(回線がふさがる)。アプリの一斉配信を待ち、安全が確認できたら迎えに行く。徒歩で行ける距離かを平時に確認
- 迎えに行けない場合:園は保護者が来るまで預かる。「引き渡しカード」に登録した祖父母や知人が代理で迎えに行ける園が多い
- 余震:震度5弱以上の地震のあと1週間程度は同規模の余震に注意。数日は早めのお迎えを
自宅や園の地域の揺れやすさは地震リスクDB、最近の地震の傾向は最近地震が多いのはなぜ?2026を参照してください。福岡市は7区の揺れやすさランキングもあります。
園側の実務:前日に決めて、朝に迷わせない
園の立場では、当日の朝に電話対応で手いっぱいになる前に、前日のうちに方針を配信するのがいちばん効きます。私の園でも、台風のときは前日15時ごろの進路予報と計画運休の発表を見て「明日は◯時開園、暴風警報が出た場合は早めのお迎えをお願いします」を一斉配信し、当日の朝は追加の連絡だけにしています。
| タイミング | 園がやること | 保護者に伝えること |
|---|---|---|
| 前日(台風・大雪) | 進路予報・計画運休の確認。職員の出勤可否と帰宅手段。給食の食材の手配 | 開園時刻、早めのお迎え要請の可能性、連絡手段 |
| 当日朝 | 警報・交通の確認。開園の可否を7時までに配信 | 開園/休園、お迎えの目安時刻 |
| 開園中 | 園庭遊びの中止、窓から離す、非常持ち出し品の確認。地震なら安全点検 | 早めのお迎え要請、引き渡し場所 |
| 夕方 | ピーク前の引き渡し。残っている子どもの保護者に連絡 | 何時までに迎えに来るか |
| 事後 | 施設の点検、ヒヤリハットの記録、規程の見直し | 翌日の開園予定 |
気象予報士の視点:警報は「出た瞬間」より「解除の見込み」を見る
警報は出た瞬間に注目が集まりますが、登園判断で本当に役立つのはいつ解除されそうかです。気象庁の「警報・注意報」ページには、警報ごとに「◯日昼前まで」のように継続期間の見込みが書かれています。台風なら暴風のピークの時間帯、大雪なら降雪のやむ時刻。朝の時点で「昼には解除見込み」なら午後から登園という選択肢もあります。逆に「夕方にかけて強まる」なら、朝は穏やかでも預けないほうが安全です。
天気予報の当たりやすさと、何日前から予定を決められるかは天気予報はどこまで当たる?で解説しています。今日の気圧の下がり方(台風・低気圧の接近の目安)は今日の気圧の変化で確認できます。
あわせて読みたい
- 保育園の外遊びをやめる基準(暑さ指数WBGT)
- 飛行機・新幹線・電車は風速何mで止まる?
- 台風の進路と備え
- 最近地震が多いのはなぜ?2026
- 地震リスクDB(市区町村別)
- 今年の冬は雪が少ない?2026-27年
- 天気予報はどこまで当たる?
よくある質問
暴風警報が出たら保育園は休みですか?
幼稚園・学校は休校が一般的ですが、保育園は「原則開園」の園が多いです。ただし園ごとの規程で違うので、入園時のしおりで確認してください。開園していても、行き帰りの安全と迎えに行けるかで判断します。
大雨警報だけのときは?
暴風警報が出ていない大雨警報では、幼稚園・学校も休みにならない自治体が多く、保育園はほぼ開園です。ただし冠水や川の増水で通園路が危険なら休んでください。
計画運休が発表されたら?
朝は動いていても夕方に帰れなくなります。預けるなら「運休前に迎えに行ける」ことが条件。園も早めのお迎えを要請するのが普通です。
雪は何cmで休園になりますか?
決まった基準はありませんが、関東・西日本の平野部では10cm前後で交通が止まり、休園や登園自粛のお願いが出ることが多いです。翌朝の凍結にも注意してください。
地震のとき、迎えに行くべき震度は?
多くの園が震度5弱以上で引き渡しの規程を持っています。開園中に起きたら、園からの一斉配信を待ち、経路の安全を確認してから迎えに行ってください。津波警報が出た沿岸部では、まず自分の避難が優先です。
休園になった日の保育料は?
自治体や園によって扱いが異なります。多くの場合、災害による休園は日割りの返金対象になりませんが、自治体の要請による休園では減免されることがあります。園または自治体にご確認ください。
- 判断は「園が開いているか・行き帰りが安全か・迎えに行けるか」。1つでも×なら休む
- 保育園は原則開園が多く、開いている=安全ではない
- 台風は暴風警報と計画運休、大雪は10cmと翌朝の凍結、地震は震度5弱が目安
- 預けるなら「何時までに迎えに行けるか」を先に伝える
- 園は前日に方針を配信し、朝に迷わせない
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
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参考:気象庁「警報・注意報の発表基準」、こども家庭庁「保育所における災害時の対応」関連資料、各自治体の休校・休園基準。園の対応の記述は一例で、実際の対応は各園の規程によります。


