福岡市7区 地震で揺れやすい区・強い区ランキング【30年以内に震度6弱以上の確率】南区12.1%〜早良区6.0%、警固断層帯の真上はどの区?

日本地図で福岡の位置を強調した点と同心円、7区の確率を並べた棒グラフを重ねたイメージ 気象

「福岡市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、福岡市7区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い南区の12.1%から最も低い早良区の6%まで、同じ市内で2.0倍の差があります。

この記事では福岡市7区の確率を一覧にし、全国的には低い福岡市の中で南区・博多区が相対的に高い理由(警固断層帯と那珂川・御笠川沿いの低地)、2005年の福岡県西方沖地震で何が起きたか、そして「確率が低い」都市の落とし穴を気象予報士がまとめます。

のぶやん
のぶやん

福岡市は政令市の中で最も確率が低いグループです。ただし2005年の福岡県西方沖地震(M7.0)は、それまで「地震が少ない」と信じられていた福岡を震度6弱で襲いました。福岡の本当のリスクは確率の数字よりも、都心の真下を走る警固断層帯です。

福岡市7区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング

確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。

順位6弱以上6強以上全国偏差値
1南区12.1%4.2%43.7
2博多区9.3%3.5%42.6
3城南区8.5%3.2%42.3
4西区8.3%2.8%42.2
5東区6.3%2.3%41.4
6中央区6.2%2.6%41.4
7早良区6%2.2%41.3
福岡市 区別 30年以内に震度6弱以上・6強以上の揺れに見舞われる確率(J-SHIS 2024年版、区役所付近250mメッシュ、平均ケース)

福岡市7区の平均は8.1%で、福岡県の県庁所在地メッシュ値6.3%(都道府県ランキングでは41位)、全国の市区町村平均28.1%と比べると市の平均は県の代表値をやや上回りますが、全国平均の3分の1以下で、政令市の中では最も低い水準です。上位の南区と、下位の西区・東区・中央区・早良区では、同じ市でも「別の街」といえるほど数字が違います。

【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認

下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料・台風接近数を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(福岡県を黄色で強調表示)。

なぜ区によって確率がこれほど違うのか

南区・博多区が高いのは警固断層帯と低地の組み合わせ。南区12.1%・博多区9.3%は市内で最も高いグループです。福岡市の都心を北西から南東に走る警固断層帯(南東部)は、天神の西側から薬院・高宮を経て南区の大橋付近から春日市・大野城市方面へ延びており、南区役所付近はその直上に近い位置です。さらに南区・博多区は那珂川・御笠川が運んだ沖積低地で、揺れが増幅しやすい地盤です。

中央区・早良区・東区は低め。中央区6.2%・早良区6.0%・東区6.3%は市内最低グループです。ただし早良区役所や東区のアイランドシティ・香椎浜、中央区の天神北側などは埋立地・砂州で、揺れの確率は低くても液状化しやすい地盤です。2005年の福岡県西方沖地震でも東区の埋立地や中央区の百道浜周辺で液状化が発生しました。

福岡全体が低い理由。福岡市は南海トラフや相模トラフのような海溝型巨大地震の想定震源域から遠く、周辺の活断層の活動間隔も長いため、確率としては低く出ます。全国偏差値では7区すべてが平均以下で、都道府県ランキングでも福岡県は下位です。

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福岡市で想定される地震

警固断層帯(南東部):地震調査研究推進本部の評価ではM7.2程度、30年以内の発生確率は0.3〜6%と、全国の主要活断層の中では「高い」グループに入ります。福岡県の被害想定では、中央区・南区・博多区・城南区の広い範囲が震度6強〜7となり、天神・博多の都心機能が直撃されるシナリオです。

2005年 福岡県西方沖地震(M7.0):3月20日午前、警固断層帯の北西延長にあたる玄界灘の海底で発生し、福岡市中央区・東区などで震度6弱を観測。玄界島(西区)では住宅の半数以上が損壊し、全島避難となりました。「福岡に地震はない」という思い込みを覆した地震で、この地震で北西部が動いたため、残る南東部(都心部)の地震が懸念されています。

南海トラフ・日向灘の地震:福岡市では震度5弱〜5強程度と想定され、直接の被害よりも長周期地震動による高層ビルの揺れや、九州全体の物流停止の影響が課題です。

福岡市全体の地震リスク(データベースより)

指標備考
年平均有感地震回数12回1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点)
総観測回数609回同上
過去最大震度6弱2005年3月20日の福岡県西方沖地震(M7.0)
30年確率(6弱以上)6.2%市役所付近メッシュ
30年確率(5強以上)20.3%同上
表層地盤増幅率1.441.6以上で「揺れやすい」とされる
役所付近の地形分類砂州・砂礫州国土地理院 地形分類
福岡市の地震リスク詳細ページより

福岡市は「普段の地震が少なく、確率も低いが、都心直下に活断層がある」都市です。地震が少ない市町村ランキングで上位に入るような地域ほど、いざ地震が起きたときの備えや経験が乏しい傾向があります。詳しくは「地震が少ない県は本当に安全か」をご覧ください。

区の確率をどう読むか——3つの注意点

  1. 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
  2. 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
  3. 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。

備えのチェックリスト

  • 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
  • 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方
  • 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
  • 火災保険と地震保険の加入状況を確認(福岡県は等地1等地(イ構造・保険金額1,000万円あたり年7,300円)で全国最安グループ)

都道府県で見る福岡の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数

福岡市の区ごとの比較に加えて、福岡県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。

30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:福岡は40位

順位都道府県30年以内に震度6弱以上の確率偏差値
1位高知県77.7%69.9
2位徳島県77.5%69.8
3位香川県73.6%68.2
4位和歌山県73.1%68.0
5位静岡県72.8%67.9
6位千葉県71.2%67.3
7位埼玉県62.4%63.7
8位岐阜県61.9%63.5
9位大分県57.4%61.6
10位三重県48.9%58.2
40位福岡県6.3%40.8
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さランキング(J-SHIS 2024年版・県庁所在地)

福岡県は40位(6.3%、偏差値40.8)。1位は高知県(77.7%)、47位は北海道(2.3%)、全国平均は28.8%です。比較:佐賀35位・熊本22位・大阪19位・東京13位。詳しくは今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率ランキングをご覧ください。

表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):福岡は13位

順位都道府県表層地盤増幅率偏差値
1位石川県1.60倍68.6
2位千葉県1.55倍65.2
3位茨城県1.54倍64.5
4位埼玉県1.54倍64.5
5位新潟県1.53倍63.8
6位山口県1.51倍62.4
7位香川県1.50倍61.8
8位佐賀県1.50倍61.8
9位富山県1.45倍58.4
10位福井県1.45倍58.4
13位福岡県1.42倍56.3
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均)ランキング(J-SHIS)

福岡県は13位(1.42倍、偏差値56.3)。1位は石川県(1.60倍)、47位は長野県(0.97倍)、全国平均は1.33倍です。比較:佐賀8位・熊本30位・大阪17位・東京23位。詳しくは揺れやすい地盤ランキングをご覧ください。

有感地震の年間回数の多さ:福岡は39位

順位都道府県有感地震の年間回数偏差値
1位長野県650回107.1
2位東京都286回71.4
3位茨城県182回61.2
4位北海道153回58.3
5位福島県139回57.0
6位岩手県132回56.3
7位宮城県118回54.9
8位鹿児島県114回54.5
9位栃木県114回54.5
10位千葉県95回52.6
39位福岡県16回44.9
有感地震の年間回数の多さランキング(1919年以降の平均)

福岡県は39位(16回、偏差値44.9)。1位は長野県(650回)、47位は佐賀県(8回)、全国平均は68回です。比較:佐賀47位・熊本14位・大阪42位・東京2位。詳しくは地震が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。

震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:福岡は21位

順位都道府県震度6弱以上を観測した市区町村数偏差値
1位福島県3485.9
2位茨城県3081.0
3位宮城県2777.3
4位熊本県2372.3
5位北海道1663.7
6位新潟県1157.5
7位岩手県1056.3
8位栃木県1056.3
9位鳥取県1056.3
10位石川県752.6
21位福岡県246.4
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さランキング(気象庁震度データベース)

福岡県は21位(2、偏差値46.4)。1位は福島県(34)、47位は沖縄県(0)、全国平均は5です。比較:佐賀31位・熊本4位・大阪15位・東京12位。詳しくは震度6強以上を観測した市町村一覧をご覧ください。

福岡県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10

福岡県の60市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。

30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村

順位市区町村30年確率(6弱以上)
1吉富町21.8%
2大刀洗町17.0%
3朝倉市14.4%
4行橋市13.0%
5大川市12.8%
6中間市12.6%
7柳川市12.3%
8大木町12.3%
9志免町12.1%
10遠賀町11.9%
福岡県の30年確率(6弱以上) 上位10(60市区町村中)

地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村

順位市区町村表層地盤増幅率
1大刀洗町2.19倍
2大川市2.15倍
3中間市2.13倍
4遠賀町2.13倍
5宗像市2.12倍
6水巻町2.11倍
7柳川市2.05倍
8志免町2.05倍
9大木町2.05倍
10朝倉市2.02倍
福岡県の表層地盤増幅率 上位10(60市区町村中)

有感地震の回数が多い市区町村

順位市区町村年平均有感地震回数
1みやま市21.5回
2八女市18.4回
3久留米市17.2回
4糸島市16.4回
5大牟田市14.6回
6柳川市14.6回
7筑前町13.8回
8朝倉市12.6回
9飯塚市12.1回
10福岡市12.0回
福岡県の年平均有感地震回数 上位10(60市区町村中)

過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは2市区町村(福岡市=6弱、糸島市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。

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水害・台風の備えは保険の見直しから

地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 福岡市で最も安全な区は?

早良区・中央区・東区は確率6%台で市内最低グループですが、早良区の百道浜や東区のアイランドシティなど埋立地は液状化に注意が必要です。

Q. 警固断層帯の地震はいつ?

南東部の30年確率は0.3〜6%で、主要活断層の中では「高い」グループ。2005年に北西部(海域)が動いたため、残る都心側の南東部が懸念されています。

Q. 福岡は本当に地震が少ない?

有感地震の回数は全国39位で少ないほうですが、2005年福岡県西方沖地震(震度6弱)のように「少ない地域」でもM7クラスは起きます。地震が少ない県は本当に安全かをご覧ください。

Q. 北九州市の区は?

北九州市7区や久留米市など県内60市町村の値は福岡県の地震リスク一覧で確認できます。

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まとめ
  • 福岡市7区の30年確率(6弱以上)は南区12.1%〜早良区6.0%で、全国平均28.1%の3分の1以下。
  • 南区・博多区が高いのは警固断層帯の直上に近く、那珂川・御笠川の低地にあるため。
  • 早良区・東区・中央区の埋立地は確率が低くても液状化リスクがある。
  • 警固断層帯南東部はM7.2・30年0.3〜6%で、発生すれば天神・博多の都心が震度6強〜7。
  • 2005年福岡県西方沖地震(震度6弱)は「福岡に地震はない」を覆した。
  • 他の政令市の区ランキング:東京23区大阪市名古屋市札幌市横浜市

出典:気象庁 震度データベース(1919年1月〜)、防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、役所付近の250mメッシュ値)区別の確率は防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版・平均ケース・全地震)の各区役所付近250mメッシュ値です。地形・断層の解説は国土地理院 地形分類、地震調査研究推進本部の長期評価によります。。当サイトは独自の地震予測を行っていません。偏差値・順位は当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)から集計しています。

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