飛行機・新幹線・電車は風速何mで止まる?欠航・運休の基準まとめ|空港別「横風」判定ツールと鉄道・高速道路の風雨規制チェッカー【気象予報士が解説】

日本地図上に都道府県別の平均風速の強さを白から濃い青で色分けし、羽田空港と福岡空港の位置をピンで示し、風の強い県の棒グラフを重ねたイメージ 気象

こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

「台風が来るけど、明日の飛行機は飛ぶ?」「風速何mで新幹線は止まる?」——出張や旅行の前に一番知りたいのに、航空会社の欠航基準は公表されておらず、鉄道の規制値も会社や区間で違います。この記事では、飛行機の欠航を左右する「横風」の仕組みと空港別の判定ツール新幹線・在来線・高速道路・フェリーの風雨規制値のまとめとチェッカー計画運休がどう決まるか、いつ判断されるかを、公表資料と気象の知識から整理しました。

この記事の結論(30秒で読める版)
  1. 飛行機は「風速」ではなく「横風成分」で決まる。滑走路と風向の角度が効くので、同じ風速15m/sでも正面なら飛び、真横なら欠航になる。目安は横風13m/s(25ノット)で小型機が危険域、18m/s(35ノット)で大型機も欠航ライン。
  2. 東海道新幹線は「風速20m/s超で徐行、25m/s超で運転見合わせ(防風柵区間は30m/s)、1時間雨量60mm以上で運転見合わせ」(JR東海公表)。在来線は瞬間風速20m/sで規制・25m/sで見合わせが一般的。
  3. 高速道路は風速20m/sで速度規制・25m/sで通行止め、時雨量50mm・連続雨量200mm前後で通行止めが目安。フェリーは15〜20m/sで欠航が増える。
  4. 計画運休は前日の夕方までに発表されることが多い。台風が接近する日は、前日17時と当日朝の2回、各社の運行情報を見る。
  5. 台風の風は進路の右側で強く、雨は累積雨量で止まる。風向・風速の予報が出たら、上のツールで自分の空港・路線を確認。

【ツール】空港別「横風」判定と、鉄道・道路の風雨規制チェッカー

①は空港と予報の風向・風速(気象庁やtenki.jpの「風向・風速」の時系列で確認できます)を入れると、滑走路ごとの横風成分と欠航リスクの目安が出ます。②は風速と雨量を入れると、新幹線・在来線・高速道路・フェリーの規制の目安が出ます。

① 飛行機の横風チェッカー|空港と予報の風向・風速から「飛べる?」を判定

② 鉄道・道路の風雨規制チェッカー|風速・雨量から「止まる?」を判定

①は滑走路の方位(磁方位の概略)と風向から横風成分・向かい風成分を計算し、旅客機の一般的な横風制限(機種により25〜35ノット=13〜18m/s前後、瞬間風速で判断されることが多い)と比べた目安です。実際の運航判断は航空会社・機長が視程・雷・降雪・機体の制限値・整備状況などを総合して行います。②は東海道新幹線(JR東海公表値)・JR在来線の一般的な規制値・高速道路の目安をもとにした判定で、路線・区間・防風柵の有無で異なります。必ず各社の運行情報を確認してください。

▶ 各空港の「今の風」は 空港のMETAR/TAFページ(METAR=空港の実況気象、TAF=空港予報)で確認できます。風向は「°」表示なので、上のツールの16方位に読み替えてください(例:180°=南、220°=南西)。

飛行機は風速何mで欠航する?決めるのは「横風成分」

航空会社は「風速○m以上で欠航」という基準を公表していません。理由は、欠航を決めるのが風速そのものではなく、滑走路に対して横から吹く成分(横風成分)だからです。飛行機は風に向かって離着陸するため、正面からの風は追い風にならず、むしろ短い距離で浮きます。問題は真横からの風で、機体が流され、着陸時に滑走路の中心線からずれるため、機種ごとに「横風制限値」が決まっています。

3416風(南西・15m/s)向かい風成分 10.6m/s横風成分 10.6m/s(21kt)横風成分=風速×sin(風向と滑走路の角度)滑走路に対して45°の風なら風速の71%90°(真横)なら100%、正面なら0%旅客機の横風制限の目安プロペラ機・小型ジェット:25〜28kt(13〜14m/s)B737・A320:33〜38kt(17〜20m/s)B777・B787:35〜40kt(18〜21m/s)※メーカー実証値。各社はこれより低い社内基準で運用※瞬間風速(ガスト)で判断されることが多い
横風成分の考え方。滑走路16/34(南北方向)に南西から15m/sの風が吹くと、横風成分は15×sin45°≒10.6m/s(21ノット)。出典:当サイト作成
横風成分の目安運航への影響備考
〜13m/s(〜25kt)ほぼ通常運航プロペラ機・小型ジェットが制限に近づく。揺れ・遅延あり
13〜18m/s(25〜35kt)小型機は欠航、中型機は条件付きB737・A320クラスの制限値付近。着陸やり直し・引き返しが増える
18m/s以上(35kt〜)ほぼ全便欠航・目的地変更大型機の制限値も超える。地上作業(ブリッジ・貨物)も停止
平均風速25m/s以上横風に関係なく全便欠航が多い地上の安全確保ができない。台風の暴風域内
横風成分と運航への影響の目安。機種・航空会社の社内基準・視程・雷などで変わる

横風以外にも欠航の原因はあります。(空港周辺で雷が発生すると地上作業が中断)、視程(濃霧・大雪で滑走路視距離が基準を下回る)、降雪・凍結(除雪・防除氷作業)、低い雲(着陸の最低気象条件)、そして台風の暴風域に入る時間帯は、風向にかかわらず前日から欠航が決まります。台風の右側で風が強くなる理由は 台風の右側が強い理由、暴風域の意味は 台風の上陸・通過・接近の定義 で解説しています。

空港によって「弱い風向」がある

滑走路が1本の空港は、その方向と直角の風に弱い。例えば福岡(16/34)は東風・西風に弱く、松山・高知・長崎(14/32)は南西・北東の風に弱い。逆に羽田は4本の滑走路が2方向、関西・那覇・新千歳・伊丹・成田も2本あり、風向に合わせて滑走路を選べるため、同じ風でも欠航が少なくなります。離島の空港(新石垣・宮古・久米島など)は台風の通り道で滑走路も1本なので、台風接近時は早めに全便欠航が決まります(沖縄の台風シーズン台風接近数ランキング)。

▶ 都道府県別の風の強さと月別の傾向はこちら。台風シーズンの9月、冬の季節風の1月に注意。

新幹線・在来線は風速何mで止まる?雨量は?

東海道新幹線(JR東海の公表基準)

要素基準規制備考
20m/s超170km/h以下の徐行運転防風柵のある区間は25m/s超から
25m/s超運転見合わせ防風柵のある区間は30m/s超から
1時間雨量60mm以上運転見合わせ2025年6月から新基準。従来の「連続雨量150mm以上かつ時雨量40mm以上」「10分間雨量」の基準は廃止
土壌雨量指数が基準超運転見合わせ雨量計ごとに設定(数値は非公表)。長雨で地盤に水がたまると時雨量が少なくても止まる
関ケ原付近の積雪スプリンクラーで散水、徐行雪自体では止まらないが遅れる
地震沿線で一定以上の揺れ緊急停止・点検早期地震検知システム
出典:JR東海「東海道新幹線における新しい降雨運転規制について」(2025年5月30日)、報道各社。JR東海プレスリリース

ポイントは、雨の基準が2025年6月に「時雨量60mm」と「土壌雨量指数」の2本立てに変わったことです。土壌雨量指数は「地面にどれだけ水がたまっているか」を表す指標で、数日雨が続いたあとは、それほど強くない雨でも運転見合わせになることがあります。2026年9月上旬の長雨で東海道新幹線が何度も止まったのは、この仕組みが働いたためです(最近雨が多いのはなぜ?2026)。

在来線・私鉄(一般的な基準)

路線風の基準規制備考
JR在来線(多くの線区)瞬間風速20m/s以上速度規制(25km/h前後)瞬間風速25m/s以上で運転見合わせ
JR東日本(防風柵設置区間)瞬間風速25m/s以上速度規制30m/s以上で運転見合わせ
西武・京急など私鉄25m/s以上速度規制30m/s以上で運転見合わせ
橋梁・海沿い・高架区間路線基準より低い値先に規制東京湾アクアラインや瀬戸大橋線などは特に早い
雨(線区ごと)時雨量30〜50mm・連続雨量100〜150mm前後徐行〜運転見合わせ盛土・切土の多い線区は低い基準
出典:JR西日本「暴風の場合(在来線)」、JR東日本 技術資料、乗りものニュース(2022年)ほか。鉄道の運休基準まとめ

在来線は新幹線より基準が低く、瞬間風速20m/sで規制が始まるのが一般的です。台風のときは「風で止まる前に、雨の累積で止まる」ことも多く、線区ごとに雨量計の基準が違うため、同じ路線でも区間運休になります。風速の体感は 風速の目安(5m・10m・15m・20m・25m)、雨量の目安は 降水量の目安(10mm・30mm・50mm) で確認できます。

高速道路・フェリーの規制の目安

交通基準の目安規制備考
高速道路(NEXCO)風速15m/s〜横風注意の表示、二輪車・ハイルーフ車に注意喚起橋・高架・海沿い・トンネル出口は突風
高速道路(NEXCO)風速20m/s〜50km/h規制、二輪車・トレーラーの通行止め
高速道路(NEXCO)風速25m/s以上(瞬間30m/s)通行止め本四架橋・アクアライン・湾岸線は先に止まる
高速道路(NEXCO)時雨量50mm前後/連続雨量200mm前後通行止め区間ごとに基準。土砂災害の危険が高い区間は低い
フェリー・高速船風速15m/s〜、波高3m〜高速船・小型船から欠航外洋航路は前日に欠航が決まる
フェリー風速20m/s〜、波高4m〜ほぼ全航路欠航台風のうねりは風が弱くても残る
NEXCO各社・海運各社の公表情報をもとにした一般的な目安。区間・航路で異なる

計画運休はいつ、どう決まる?前日17時が目安

2018年の台風24号で首都圏の在来線が初めて「計画運休」を実施して以降、台風の接近が確実なときは前日の夕方までに運休が発表されるのが標準になりました。流れは次のとおりです。

タイミング根拠発表内容
2〜3日前気象庁の台風情報で暴風域に入る確率が高まる各社が「計画運休の可能性」を告知
前日 昼〜17時頃予報が固まる計画運休の時刻(何時以降運休・何時から再開)を発表。航空会社は欠航便を確定
当日 朝実況で確認運休の前倒し・延長。再開は点検後(線路・架線・倒木)
翌日 始発〜点検終了後に順次再開始発から通常運転に戻らないことが多い。空港は機材繰りで翌日も欠航が続く
計画運休・欠航の決まり方(一般的な流れ)

鉄道の計画運休は「風が基準を超える時刻」ではなく、「利用者が帰宅できる時刻」と「点検して翌日始発に間に合う時刻」から逆算して決まります。台風が夜に来る場合は昼過ぎから運休、朝に来る場合は前日夜から運休、というパターンが多いです。台風の進路予報は 台風のたまご最新情報(各国モデル比較)、進路が変わる理由は 天気予報がコロコロ変わる理由 を参考に。

過去の主な計画運休・大規模欠航

日付台風影響
2018年9月30日台風24号JR東日本が首都圏在来線で初の計画運休(20時以降)。関西も前日から運休
2019年9月9日台風15号首都圏の在来線が始発から運休、成田空港で1万人以上が足止め
2019年10月12日台風19号東海道・東北・上越新幹線を含む広域で終日計画運休。長野新幹線車両センター浸水
2023年8月15日台風7号東海道新幹線が名古屋〜新大阪で終日運休、翌日も遅れ
2024年8月28〜31日台風10号東海道新幹線が数日にわたり計画運休。進路が遅く区間運休が長期化
2026年8月11日台風15号茨城県に統計開始以来初の上陸。関東の在来線・羽田発着便に影響(今年は台風が多い?2026
主な計画運休・欠航の事例

出発前チェックリスト

  • 3日前:台風情報まとめ で暴風域に入る確率を確認。50%以上なら日程変更を検討。
  • 前日17時:鉄道各社・航空会社の運行情報で計画運休・欠航を確認。航空は「条件付き運航」の便も要注意(引き返し・目的地変更あり)。
  • 前日〜当日:気象庁の風向・風速の時系列を見て、上のツールで自分の空港・路線を判定。風は台風の進路の右側、雨は前線側で強い。
  • 当日朝:実況(アメダスの風速、空港の実況 のMETAR)で規制値を超えていないか確認。再開後も遅れは長引く。
  • チケット:台風による欠航・運休は手数料なしで払い戻し・振替できる。航空は「天候調査中」の便でも事前に無料変更できることが多い。
  • 学校・会社の判断基準台風による休校の基準 にまとめています。
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欠航・運休の基準についてよくある質問

飛行機は風速何メートルで欠航しますか?

航空会社は風速の基準を公表していません。決め手は滑走路に対する横風成分で、目安は横風13m/s(25ノット)で小型機が制限に近づき、18m/s(35ノット)以上でほぼ全便が欠航・目的地変更になります。同じ風速でも滑走路と平行な風なら飛び、真横なら欠航になります。平均風速25m/s以上では地上作業ができず、風向にかかわらず全便欠航が多くなります。

新幹線は風速何メートルで止まりますか?

東海道新幹線は風速20m/s超で170km/h以下の徐行、25m/s超で運転見合わせです(防風柵のある区間はそれぞれ25m/s超・30m/s超)。雨は1時間雨量60mm以上、または雨量計ごとに設定した土壌雨量指数の基準を超えると運転見合わせになります(2025年6月からの新基準)。

在来線は風速何メートルで止まりますか?

多くの線区で瞬間風速20m/s以上で速度規制、25m/s以上で運転見合わせです。防風柵のある区間や一部の私鉄は25m/sで規制、30m/sで見合わせ。橋の上や海沿いの区間はこれより低い風速で先に止まります。

高速道路は風速何メートルで通行止めになりますか?

目安は風速15m/sで横風注意、20m/sで50km/h規制と二輪車・トレーラーの通行止め、25m/s(瞬間30m/s)以上で通行止めです。雨は時雨量50mm前後、連続雨量200mm前後で通行止めになる区間が多く、基準は区間ごとに異なります。

計画運休はいつ発表されますか?

多くの場合、前日の昼〜17時頃までに「何時以降運休」「翌日何時から再開」が発表されます。2〜3日前に「計画運休の可能性」が予告され、当日朝に前倒し・延長が決まることもあります。航空会社の欠航便も前日夕方までに確定するのが一般的です。

台風が来る日、飛行機と新幹線はどちらが動きますか?

一般に新幹線のほうが動きます。新幹線は風速25m/sまで(防風柵区間30m/s)走れるのに対し、飛行機は横風18m/s前後で欠航ライン、平均風速25m/sで全便欠航になるためです。ただし新幹線は雨の累積で止まることがあり、台風が過ぎたあとの再開は点検のため遅れます。

欠航・運休のときチケットはどうなりますか?

天候による欠航・運休は、航空・鉄道とも手数料なしで払い戻しや振替ができます。航空会社は「天候調査中」の便でも事前に無料で変更できることが多いので、前日に運行情報を確認して早めに判断してください。

まとめ

  • 飛行機は横風成分で決まる。13m/sで小型機が危険域、18m/sで大型機も欠航ライン。平均25m/s以上は全便欠航。
  • 東海道新幹線は風20m/s超で徐行・25m/s超で見合わせ、雨は時雨量60mm・土壌雨量指数。在来線は瞬間20m/s規制・25m/s見合わせ。
  • 高速道路は20m/sで規制・25m/sで通行止め。フェリーは15〜20m/sで欠航。
  • 計画運休は前日17時が目安。3日前・前日・当日朝の3回確認する。
  • 予報の風向・風速が出たら、上のツールで自分の空港・路線を判定。

出典:JR東海「東海道新幹線における新しい降雨運転規制について」(2025年5月30日)・「よくいただくご質問」、JR西日本「暴風の場合(在来線)」、JR東日本「防風柵設置による輸送障害対策について」(2014年)、乗りものニュース「台風接近 鉄道の運休基準は?」(2022年)、NEXCO各社の交通規制情報、航空機メーカー公表の横風実証値、気象庁。滑走路の方位は各空港の公開情報にもとづく概略値です。

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