気象衛星画像の見方|可視・赤外・水蒸気の違い、雲の種類の見分け方、台風の眼・にんじん雲・筋状雲の読み方【気象予報士が図解】

夜空色の日本地図に雲を思わせる白い点描と、衛星の視点を示す光を重ねたイメージ 気象

気象衛星「ひまわり」の画像は、可視・赤外・水蒸気の3種類を見比べると、雲の「厚さ」「高さ」「上空の湿り」が分かります。テレビで流れる白黒の雲画像はほとんどが赤外画像で、白いほど雲頂が高い(冷たい)ことを示しています。この記事では、3種類の画像の違いと、雲の種類の見分け方、台風・前線・冬型など典型的な雲パターンの読み方をまとめました。気象予報士試験の学科専門で毎回のように出る範囲でもあります。今の衛星画像は当サイトの全国実況モニターで、雨雲レーダー・気温・風と同時に見られます。

のぶやん
のぶやん

衛星画像は「上から見た雲」なので、雲の下で雨が降っているかは分かりません。雨はレーダー、雲は衛星、上空の乾き具合は水蒸気画像、と役割を分けて見るのが気象庁の現場のやり方です。

衛星画像の結論
  • 可視=太陽光の反射。白いほど厚い雲。夜は使えない
  • 赤外=雲頂の温度。白いほど高い(冷たい)雲。昼夜使える。テレビの雲画像はこれ
  • 水蒸気=上・中層の水蒸気。白いほど湿り、暗いほど乾燥(沈降場)。雲がなくても模様が出る
  • 可視で白く赤外で暗い=低い厚い雲(層雲・霧)。可視で灰色、赤外で白い=高い薄い雲(巻雲)。両方白い=積乱雲
  • ひまわり9号は全球10分・日本域2.5分ごと。可視500m、赤外2km

図解|同じ雲が3つの画像でどう見えるか

可視画像反射した太陽光 = 雲の厚さ赤外画像雲頂の温度 = 雲の高さ水蒸気画像上・中層の水蒸気の量積乱雲巻雲層雲・霧晴れ積乱雲巻雲層雲・霧晴れ積乱雲巻雲層雲・霧晴れ左から積乱雲(高く厚い)・巻雲(高く薄い)・層雲や霧(低く厚い)・晴れ(乾燥)。3つの画像で「白さ」の出方が変わる
可視は雲の厚さ、赤外は雲頂の高さ、水蒸気は上中層の湿りを「白さ」で表す。積乱雲はどの画像でも白く、層雲・霧は可視だけ白い
画像測っているもの白い=使える時間得意なこと
可視画像(0.64μm)太陽光の反射率厚い雲、雪面、海氷昼間のみ雲の厚さ、霧・層雲の広がり、積雪域
赤外画像(10.4μm)雲頂・地表の温度(赤外放射)冷たい=高い雲昼夜雲の高さ、台風の眼、積乱雲の発達、夜の監視
水蒸気画像(6.2〜7.3μm)上・中層の水蒸気による吸収上中層が湿っている昼夜トラフ・ジェット気流の位置、乾燥域(沈降)、低気圧の発達
トゥルーカラー再現画像可視3バンドの合成雲は白、地表は自然な色昼間黄砂・煙・火山灰と雲の区別
ひまわり8・9号の主な画像。気象庁は16バンドを観測している

雲の種類の見分け方|可視と赤外を重ねる

可視赤外雲の種類天気
白(厚い)白(高い)積乱雲・厚い乱層雲激しい雨、雷。前線・台風・低気圧の中心付近
白(厚い)暗い(低い)層雲・層積雲・霧曇り、霧雨、霧。海霧や放射霧
灰色(薄い)白(高い)巻雲・巻層雲晴れ〜薄曇り。前線の遠く前面、ジェットの南側
灰色〜白灰色(中層)高層雲・高積雲曇り。温暖前線の前面
暗い暗い雲なし晴れ

赤外画像の「白さ」は温度なので、夏の地表(暑い)は黒く、冬の雪面(冷たい)は白っぽく見えます。雪面と低い雲の区別は、可視画像で表面の質感を見るか、時間を追って動くかどうかで判断します。動かない白い領域は雪や氷です。

典型的な雲パターンの読み方

パターン見え方意味・注意
台風の眼赤外で渦の中心に暗い点。可視で穴眼が明瞭で丸いほど発達。眼の壁雲で最大風速。台風のたまご最新で実物を
テーパリングクラウド(にんじん状)風上側が細く、風下へ扇形に広がる先端で積乱雲が次々発生。先端付近で大雨・雷・突風・竜巻
バルジ前線の雲域が高気圧側(北側)にふくらむ低気圧が発達中。バルジの下流で悪化
ドライスロット低気圧の南〜西側に水蒸気画像で暗い切れ込み乾いた空気の巻き込み=低気圧の最盛期〜閉塞
筋状雲(冬型)大陸から日本海へ、風向に沿った雲の列寒気の吹き出し。列の間隔が狭いほど寒気が強い。日本海側の雪
JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)筋状雲が集まった太い帯北陸・山陰の大雪。三大豪雪地帯
クラウドクラスター丸くまとまった積乱雲の塊梅雨末期・熱帯。線状降水帯の元になることも
層状の白い塊(可視のみ)海上や盆地に薄く広がる海霧・放射霧。日が高くなると消える
雲の縁の影可視で雲の縁に影朝夕の低い太陽で背の高い雲の影。高さの目安
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気象予報士試験の定番テキスト

独学なら「一般気象学(小倉義光)」で土台を作り、「らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト」で学科の穴を埋め、過去問は最低5回分を3周するのが王道です。実技は解説つきの過去問集が必須です。

見るときの手順|3つの画像を順番に

  1. 赤外で全体の雲の分布と高さを見る。白い塊=発達した雲。渦や帯の形から低気圧・前線・台風を探す
  2. 可視(昼)で雲の厚さを見る。赤外で見えなかった低い雲や霧、雪面が出てくる
  3. 水蒸気で上空の流れを見る。暗域(乾燥)の位置がトラフやジェットの目印。低気圧の南西側に暗域が巻き込むと発達期
  4. 動画で動かす。雲の動きが上空の風。時間で変わらない白い領域は雪や氷
  5. レーダーと重ねる。雲があっても雨が降っていない場所、雲の下で強い雨の場所が分かる。実況モニターで同時表示

確認クイズ|衛星画像の読み方 8問

衛星画像の読み方 確認クイズ(8問)

学科専門の観測(衛星)の範囲から。当サイトのオリジナル問題です。

高層天気図と組み合わせると「雲の形」と「上空の流れ」がつながります。高層天気図の見方天気図の読み方、雲の縦の構造はエマグラムで。試験対策は学科専門の頻出分野へ。

衛星画像 よくある質問

可視画像と赤外画像の違いは何ですか?

可視画像は太陽光の反射で雲の厚さを、赤外画像は雲頂の温度で雲の高さを表します。可視は昼間だけ、赤外は昼夜使えます。テレビの雲画像はほとんどが赤外です。

水蒸気画像の白い部分と黒い部分は何ですか?

白い部分は上・中層の大気が湿っている領域、黒い(暗い)部分は乾燥している領域(下降流の場)です。雲がなくても模様が出るので、上空の流れやトラフの位置が分かります。

霧は衛星画像で分かりますか?

昼間の可視画像では白く滑らかな塊として見えますが、赤外画像では低くて暖かいためほとんど見えません。可視と赤外を比べるのが霧の見つけ方です。

ひまわりの画像はどのくらいの間隔ですか?

ひまわり8・9号は全球を10分ごと、日本域を2.5分ごとに観測しています。可視画像の解像度は500m、赤外画像は2kmです。

台風の発達は衛星画像でどう見ますか?

眼がはっきり丸く見えるほど発達しています。赤外で眼の周りの雲頂が白く(冷たく)、円形にまとまっているかがポイントです。

衛星画像はどこで見られますか?

気象庁のサイトと、当サイトの全国実況モニター(雨雲レーダー・気温・風・キキクルと同時表示)で見られます。

気象予報士試験 対策シリーズ(元気象庁職員の予報士が解説)全40記事の案内ページ(ロードマップ)▶

基礎知識

学科一般

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  • 放射と熱収支(近日公開)
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学科専門

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  • 警報・注意報・気象災害と防災情報(近日公開)

実技

ツール・実況

まとめ
  • 可視=厚さ(昼のみ)、赤外=高さ(昼夜)、水蒸気=上空の湿り
  • 可視白・赤外暗=低い雲や霧、可視灰・赤外白=巻雲、両方白=積乱雲
  • 台風の眼、にんじん雲、バルジ、筋状雲、JPCZの形を覚える
  • 赤外→可視→水蒸気→動画→レーダーの順に見る

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出典:気象庁「気象衛星」「ひまわり8号・9号の観測バンド」、気象衛星センター。図は当サイトの模式図です。クイズは当サイトのオリジナルです。

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