気象予報士試験の合格基準は、学科試験(一般・専門)が各15問中11問以上(73%)、実技試験が総得点の70%以上が原則です。ただし試験案内に「難易度により調整することがある」と明記されていて、実際には直近11回すべてで調整され、学科は9〜11問、実技は60〜69%の間で動いています。この記事では、配点と採点のしくみ、調整の実態(第55〜65回の一覧とグラフ)、「何問まで落とせるか」を分野別に逆算するツール、自己採点から本番までに埋める差を出すツール、免除との関係、合格発表の流れまで、元気象庁職員の気象予報士がまとめました。
- 原則:学科は各科目15問中11問以上、実技は総得点の70%以上。3つすべてを満たして合格(学科免除者は実技のみ)。
- 毎回調整される。直近11回の実績は学科一般10〜11問、学科専門9〜11問、実技60〜69%。最も緩かったのは第65回の専門9問と第63回の実技60%。
- 目標は「学科12問・実技72%」。調整はあてにせず、原則+1問・+2ポイントを狙えば、どの回でも合格できる。
- 学科で落とせるのは4問。法規4問を満点にすれば、残り11問中7問(64%)で足りる。
- 実技は「白紙をなくす」だけで60%台に届く。穴埋め・計算で9割、記述で半分取れば総得点70%前後。
【ツール】合格ライン逆算|何問落とせるか、本番までに何を埋めるか
①で目標(安全圏/原則/調整に期待)と受験区分を選ぶと、学科で落とせる問題数の分野別配分と実技の問題タイプ別の目標が出ます。②に模試や過去問の自己採点と試験までの日数を入れると、原則の基準までの差と、実技の練習量の目安が出ます。
① 合格ライン逆算|目標を選ぶと「落とせる問題数」と分野別の目標が出る
② 模試・過去問の自己採点から「本番までに埋める差」を出す
公式の合格基準と配点|学科11問・実技70%
| 科目 | 形式 | 時間 | 合格基準(原則) | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 学科試験 予報業務に関する一般知識 | 5肢択一・15問(マークシート) | 60分 | 11問以上正解 | 73.3% |
| 学科試験 予報業務に関する専門知識 | 5肢択一・15問(マークシート) | 60分 | 11問以上正解 | 73.3% |
| 実技試験1 | 記述・作図・計算(1題) | 75分 | 実技1・2の総得点の70%以上 | 70% |
| 実技試験2 | 記述・作図・計算(1題) | 75分 |
学科は1問1点換算で、部分点はありません。5肢のうち「正しいものの組み合わせ」を選ぶ形式が多く、(a)〜(d)の正誤4つのうち1つ間違えると不正解になるのが厳しいところです。実技は「問題ごとの配点は公表されていません」(気象業務支援センターは正答例のみ公表)。記述には部分点があり、作図も「前線の位置が許容範囲内」なら得点します。実技1と実技2は合計点で70%なので、片方が苦手でももう片方で補えます。
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合格基準の調整|直近11回はすべて調整されている
| 回 | 実施 | 学科一般 | 学科専門 | 実技 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第55回 | 2021年1月 | 10問以上 | 9問以上 | 63%以上 | 5.6% |
| 第56回 | 2021年8月 | 11問以上 | 11問以上 | 65%以上 | 4.2% |
| 第57回 | 2022年1月 | 10問以上 | 11問以上 | 62%以上 | 4.9% |
| 第58回 | 2022年8月 | 11問以上 | 11問以上 | 68%以上 | 6.0% |
| 第59回 | 2023年1月 | 11問以上 | 10問以上 | 65%以上 | 4.8% |
| 第60回 | 2023年8月 | 11問以上 | 10問以上 | 66%以上 | 4.8% |
| 第61回 | 2024年1月 | 11問以上 | 11問以上 | 69%以上 | 6.2% |
| 第62回 | 2024年8月 | 10問以上 | 10問以上 | 66%以上 | 5.8% |
| 第63回 | 2025年1月 | 10問以上 | 10問以上 | 60%以上 | 6.0% |
| 第64回 | 2025年8月 | 11問以上 | 10問以上 | 63%以上 | 5.2% |
| 第65回 | 2026年1月 | 10問以上 | 9問以上 | 65%以上 | 5.3% |
グラフから読み取れることは3つです。第一に、実技は70%に達した回が一度もないこと。第二に、学科は専門のほうが一般より緩められやすいこと(専門は9〜10問の回が7回、一般は10問の回が5回)。第三に、基準が緩い回も合格率は4〜6%で変わらないこと。つまり調整は「受験者を救う」ためではなく、問題の難易度のばらつきを吸収して合格者の水準を一定に保つためのものです。「今回は簡単だったから基準が上がる」「難しかったから下がる」は本当ですが、自分の点が周囲より高いかどうかは変わらないので、目標は原則の1問上に置くのが安全です。合格率の推移と受験者像は合格率5%の理由と難易度で。
学科は何問落とせるか|法規4問を満点にすると残りは7問で足りる
学科一般の15問は、おおむね法規4問、熱力学2〜3問、力学2〜3問、放射1〜2問、降水過程1問、気象現象(低気圧・台風・前線)2問、気候・大気の構造1〜2問という配分です。法規は暗記で確実に満点が取れるので、法規4問を取れば残り11問中7問(64%)で11問に届きます。熱力学と力学は「式の意味」を理解すれば安定して6問中4〜5問取れるため、ここまでで9問。あとは放射・降水・現象から2問拾えば合格ラインです。分野別の対策は学科一般の頻出分野と対策、法規の攻略は気象業務法(法規)完全攻略で。
学科専門は観測4問、数値予報・ガイダンス3問、予報(短期〜季節・精度)3問、警報・注意報・防災情報3問、局地・短時間予報ほか2問が目安。専門は「覚える数字」(観測の高さと時刻、警報基準の指数、台風の階級、予報の発表回数)で確実に取れる問題が5〜6問あり、残りの数値予報と予報技術で5〜6問取れれば11問です。学科専門の頻出分野と対策に一覧をまとめています。
実技の採点と「70%」の意味|穴埋めで稼ぎ、記述で半分
実技は1題あたり15〜20の小問があり、穴埋め・読み取り(数値・用語)が3〜4割、記述(20〜60字)が3〜4割、計算1〜1.5割、作図1割という構成が典型です(配点は非公表のため、問題数と字数からの目安)。穴埋めと計算は「正解か不正解か」がはっきりしていて、天気図とエマグラムを正確に読めれば9割取れます。記述はキーワードごとの部分点で、「原因(何が)→現象(どうなって)→結果(何が起きる)」の要素が入っていれば満点でなくても半分以上もらえます。
| 問題タイプ | 配点の目安 | 目標 | 落とす原因 |
|---|---|---|---|
| 穴埋め・読み取り | 30〜40% | 9割 | 等値線の読み違い、単位(ノット・m/s)の混同、風向の「吹いてくる方向」 |
| 計算 | 10〜15% | 8割 | 有効数字、1ノット=0.514m/s、1度=111km、時刻の日本時とUTC |
| 作図 | 10% | 7割 | 前線の位置が等相当温位線の集中帯の南縁からずれる、トラフを風の流れから読めない |
| 記述 | 35〜45% | 6割 | 時間切れの白紙、問われていないことを書く、字数オーバー、専門用語の誤用 |
この配分で計算すると、穴埋め9割・計算8割・作図7割なら、記述が5割でも総得点は70%前後になります。逆に言えば、実技で落ちる人の大半は「記述が書けない」のではなく「時間切れで後半が白紙」です。75分で1題を解き切る時間配分と記述の型は実技の解き方・時間配分、記述の添削例は記述問題の書き方と添削例20で。
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一部合格(学科免除)との関係|学科に通れば次の2回は実技だけ
学科試験に合格した科目は、合格発表日から1年以内に行われる試験で免除されます。試験は年2回(1月・8月)なので、たとえば8月の試験で学科2科目に合格すると、翌年1月と翌年8月の2回は実技だけを受験できます。一般だけ、専門だけの一部合格も同じです。免除は「学科の合格基準を満たしたが実技で落ちた」場合に自動的に適用され、次回の申請時に前回の受験番号を記入します(免除申請を忘れると免除されません)。
| 合格した回 | 免除される試験 | 実技だけ受験できる回数 |
|---|---|---|
| 第66回(2026年8月)→ 発表10月 | 第67回(2027年1月)・第68回(2027年8月) | 2回 |
| 第67回(2027年1月)→ 発表3月 | 第68回(2027年8月)・第69回(2028年1月) | 2回 |
この制度があるため、1回目は「学科2科目合格」を現実的な目標にする受験生が多く、受験者の約4割が学科免除つきです。免除の期限計算と申請手続きは2027年の試験日程・申込・免除の免除期限ツールで確認できます。
合格発表までの流れ|自己採点から登録まで
- 試験当日〜翌日:気象業務支援センターが学科の正答と実技の正答例を公表。学科は自己採点で合否がほぼ分かる。
- 試験から約1か月半後:合格発表(8月試験→10月上旬、1月試験→3月上旬)。支援センターのサイトに合格者の受験番号を掲載し、合格基準(調整後の問数・%)も同時に公表。
- 発表後:合格者に合格証書、一部合格者に一部合格通知が郵送される。
- 登録:気象予報士として名乗るには気象庁長官の登録が必要(登録免許税を納付し、気象庁に申請)。合格しただけでは「気象予報士」ではない。手続きは気象予報士の仕事と登録手続き。
第66回(2026年8月23日実施)の合格発表は10月上旬の予定で、当サイトでも発表日に合格基準と合格率を更新します。試験日程の詳細は2027年の試験日程で。
気象予報士試験の定番テキスト
独学なら「一般気象学(小倉義光)」で土台を作り、「らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト」で学科の穴を埋め、過去問は最低5回分を3周するのが王道です。実技は解説つきの過去問集が必須です。
合格基準についてよくある質問
Q. 気象予報士試験の合格基準は何点ですか?
A. 学科試験は一般・専門とも15問中11問以上(73%)、実技試験は総得点の70%以上が原則です。難易度により毎回調整され、直近11回では学科一般10〜11問、学科専門9〜11問、実技60〜69%で推移しています。
Q. 合格基準は毎回変わるのですか?
A. はい。試験案内に「難易度により調整することがある」とあり、直近11回はすべて調整されています。ただし合格率は4〜6%で安定しており、問題の難しさのばらつきを吸収するための調整です。目標は原則の1問上(学科12問・実技72%)に置くのが安全です。
Q. 学科は何問落とせますか?
A. 原則の11問なら4問、調整で10問になった回なら5問、最も緩かった回(専門9問)なら6問まで落とせます。法規4問を満点にすれば残り11問中7問で届きます。
Q. 実技の配点はどうなっていますか?
A. 問題ごとの配点は公表されていません。問題数と字数から見ると穴埋め・読み取りが3〜4割、記述が3〜4割、計算1〜1.5割、作図1割が目安です。実技1と実技2の合計点で70%(調整後は60〜69%)が基準で、1題ごとの足切りはありません。
Q. 実技は部分点がありますか?
A. あります。記述はキーワードごとに部分点が与えられ、作図も前線やトラフの位置が許容範囲内なら得点します。白紙は0点なので、時間内にすべての小問を埋めることが最も効果的な得点対策です。
Q. 学科だけ合格した場合はどうなりますか?
A. 一部合格として、合格発表日から1年以内に行われる試験(次の2回)でその科目が免除されます。次回の申請時に免除申請が必要です。受験者の約4割がこの免除を使って受験しています。
Q. 合格基準が緩い回を狙って受けたほうが得ですか?
A. 基準は問題の難易度に応じて事後に決まるので、狙って受けることはできません。難しい回は基準が下がり、易しい回は上がるため、どの回でも「上位5%前後」に入る必要がある点は同じです。
Q. 合格発表はいつですか?
A. 8月の試験は10月上旬、1月の試験は3月上旬に気象業務支援センターのサイトで発表されます。合格基準(調整後の値)も同時に公表されます。
- 原則は学科11問/15問、実技70%。3つ同時に満たして合格。
- 直近11回はすべて調整(学科9〜11問、実技60〜69%)。合格率は4〜6%で一定。
- 目標は学科12問・実技72%。法規4問満点+残り7問で学科は届く。
- 実技は穴埋め9割・計算8割・作図7割・記述6割で総得点75%。白紙をなくすのが最大の得点対策。
- 学科合格は次の2回免除。1回目は学科合格を現実的な目標に。
出典:一般財団法人 気象業務支援センター「気象予報士試験 試験案内」「試験の実施状況」「合格基準」(第55〜65回)、気象庁「気象予報士について」。実技の配点の目安は当サイトの推定です。
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