気象予報士試験 学科一般③「降水過程」完全解説|雲粒の生成(ケーラー曲線)・暖かい雨と冷たい雨・氷晶過程・あられとひょう・霧の種類|出題傾向とオリジナル問題15問+一問一答20問【元気象庁職員が解説】

青い日本地図に6月の降水量で色分けし、雨の粒を散らしたイメージ 気象

降水過程は学科一般で毎回1問、ときに2問出る分野です。「雲粒はなぜできるか(凝結核・過飽和・曲率効果と溶質効果)」「雲粒はどうやって100万倍の体積の雨粒になるか(併合過程と氷晶過程)」「雪・あられ・ひょうはどう違うか」「霧の種類」が柱で、範囲が狭い分、細かい数値と用語の言い換えで差がつきます。特に「氷に対する飽和水蒸気圧は水に対するものより小さい」を出発点にした氷晶過程の理屈は、実技の雨雪判別や雲頂温度の読み取りにもつながる重要論点です。この記事は出題傾向の整理、4つの図解、日本の雨の実例、オリジナル問題15問+一問一答20問で構成しています。

のぶ
やん
気象庁の予報現業で冬に一番神経を使うのは「雨か雪か」でした。雨雪判別の理屈は、この降水過程の「氷晶が0℃層を通って融けるかどうか」がすべてです。試験のためだけでなく、予報の現場で毎日使う知識だと思って読んでください。

出題傾向|第55〜65回でどう出たか

直近11回で降水過程に分類できる出題はのべ13問(1回あたり1問、2問の回も)。

分野・論点出題頻度典型的な問われ方
氷晶過程(冷たい雨)◎ ほぼ毎回過冷却水滴と氷晶の共存、氷と水の飽和水蒸気圧の差、昇華成長、あられ・ひょうの成長
併合過程(暖かい雨)○ 2回に1回落下速度の差による衝突・併合、熱帯・海洋性の雲、大きな凝結核の役割
雲粒の生成(凝結核・過飽和・ケーラー曲線)○ 2回に1回曲率効果と溶質効果、過飽和度が1%を超えない理由、海洋性と大陸性の雲粒数
粒子の大きさと落下速度△ 3回に1回雲粒10μm・雨粒1mm、落下速度の目安、雨粒の形(扁平)と最大サイズ
降水粒子の分類・雪の結晶△ 3回に1回あられとひょうの境(5mm)、凍雨、雪の結晶形と温度
霧の種類・雲の分類△ 3回に1回放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧・滑昇霧の成因、雨を降らせる雲
当サイトの分類。氷晶過程の理屈が最頻出
この分野の攻略ポイント
  • 数値は雲粒 半径10μm、雨粒 半径1mm(体積100万倍)、過飽和度は1%未満、氷と水の飽和水蒸気圧の差は−12℃付近で最大、均質凍結は−40℃、あられ/ひょうの境は直径5mm
  • 「小さいほど蒸発しやすい(曲率効果)」「塩が溶けていると蒸発しにくい(溶質効果)」「氷は水より蒸発しにくい(氷晶過程)」の3つの飽和水蒸気圧の違いで全体がつながる
  • 日本の雨は大部分が冷たい雨(氷晶が融けたもの)。「暖かい雨」は熱帯や夏の海洋性の積雲

雲粒の生成|凝結核がなければ雲はできない

凝結核半径 約0.1μm雲粒半径 約10μm 落下速度 約1cm/s霧雨半径 約0.1mm 約0.7m/s雨粒半径 約1mm 約6.5m/s雲粒(半径10μm)が雨粒(半径1mm)になるには、半径100倍=体積100万倍。雲粒100万個分が必要凝結成長だけでは半径10〜20μmで頭打ち → 併合(暖かい雨)か氷晶過程(冷たい雨)で一気に大きくなる
図1 核・雲粒・雨粒の大きさと落下速度の目安。雲粒は落ちないも同然

空気が上昇して冷え、相対湿度が100%を超えても、何もないところで水滴はできません。純水の小さな液滴は表面が強く曲がっていて水分子が逃げやすく(曲率効果:小さい液滴ほど飽和水蒸気圧が大きい)、半径0.01μmの液滴を作るには相対湿度110%以上が必要ですが、実際の大気では過飽和度(相対湿度−100)は1%を超えることがほとんどないからです。

代わりに、大気中に大量にある凝結核(エーロゾル:海塩粒子、硫酸塩、土壌粒子、燃焼粒子など)のうち、水に溶ける吸湿性の粒子の上で凝結が始まります。塩が溶けた液滴は蒸発しにくく(溶質効果)、相対湿度が100%未満でも液滴として存在できます(海塩粒子は湿度75%程度で潮解)。この2つの効果を合わせたのがケーラー曲線です。

-10199.8100100.2100.4100.6100.8101液滴の半径(μm、対数目盛:0.1・1・10)平衡相対湿度(%)純水(曲率効果のみ)小さい核大きい核曲率効果:小さい液滴ほど表面が丸く、水分子が逃げやすい(飽和水蒸気圧が大きい)溶質効果:溶けた塩が蒸発を抑える(100%未満でも液滴でいられる)。山の右側は自発的に成長できる
図2 ケーラー曲線の模式図。山の頂上(臨界過飽和度)を越えると、あとは湿度が下がらない限り成長し続ける(活性化)

ケーラー曲線の山の左側では液滴は周囲の湿度と釣り合った大きさで止まり(もや・ヘイズ)、山を越えると自発的に成長を続けて雲粒になります。大きな核ほど山が低く(必要な過飽和度が小さく)先に活性化するので、海塩のような大きい核は大きな雲粒を作り、暖かい雨の種になります。

海洋性の雲大陸性の雲
凝結核の数少ない(海塩など、大きい核が多い)多い(燃焼粒子・土壌粒子など小さい核)
雲粒の数密度約100個/cm³以下数百〜1000個/cm³
雲粒の大きさ少数で大きい(半径15〜20μm)多数で小さい(半径5〜10μm)
雨になりやすさ併合が起きやすく、雨になりやすい粒がそろって小さく、併合が進みにくい
海洋性と大陸性の雲の違い。同じ水量なら核が多いほど粒は小さくなる

雲粒は凝結(水蒸気が直接くっつく)で半径10μm程度まではすぐ成長しますが、それ以上は成長が急に遅くなります。凝結による半径の増加率は半径に反比例するため、大きくなるほど遅くなるからです。雲粒100万個分の水を集めて雨粒になるには、凝結とは別の仕組みが必要になります。それが「暖かい雨」と「冷たい雨」の2つの過程です。

暖かい雨と冷たい雨|雨粒への2つの道

暖かい雨(併合過程)冷たい雨(氷晶過程)雲全体が0℃より暖かい。熱帯・海洋性の雲雲頂が0℃以下。日本の雨の大部分① 吸湿性の大きな核(海塩など)で大きめの雲粒ができる① 過冷却水滴の雲に少数の氷晶(氷晶核は水滴の核より少ない)② 大きい粒ほど速く落ち、小さい粒に追いついて衝突・併合② 氷の飽和水蒸気圧<水の飽和水蒸気圧水滴が蒸発し氷晶が昇華成長③ 成長するほど速く落ちてさらに集める(雪だるま式)③ 氷晶どうしの併合(雪片)や過冷却水滴の付着凍結(あられ)④ 半径1mmを超えると雨粒として落下④ 落下して0℃層を通過し融ければ雨、融けなければ雪
図3 暖かい雨(併合過程)と冷たい雨(氷晶過程)。日本の雨の大部分は右のルート

暖かい雨(併合過程・衝突併合過程)

雲全体が0℃より暖かく氷ができない雲では、落下速度の差が雨を作ります。大きい雲粒ほど速く落ちるので(半径20μmで約5cm/s、半径50μmで約25cm/s)、大きい粒が小さい粒に追いつき、衝突して併合(合体)します。大きくなるほど速く落ちてさらに多く集めるので、成長は加速します。ただし、粒が小さいと空気の流れに乗って避けられてしまうため、衝突効率は粒が大きいほど高く、半径20μmを超える雲粒がある程度ないと始まりません。海洋性の雲で暖かい雨が多いのはこのためで、熱帯の積雲や日本でも夏の海上の背の低い積雲から雨が降るときはこの過程です。

冷たい雨(氷晶過程・ベルシェロン過程)

雲頂が0℃以下の雲(日本の雨雲の大半)では、雲粒は0℃以下でもすぐには凍らず過冷却水滴として存在します。純粋な水滴が自然に凍る(均質核形成)のは約−40℃で、それより高い温度で凍るには氷晶核(土壌粒子、特定の細菌など。凝結核よりはるかに少ない)が必要です。氷晶核は−10〜−20℃で活性化するものが多く、温度が低いほど有効な氷晶核が増えます。

こうして、−10〜−20℃の雲では多数の過冷却水滴の中に少数の氷晶が混じった状態になります。ここで効くのが「氷に対する飽和水蒸気圧は水に対するものより小さい」という性質です(大気の熱力学参照)。水滴に対して飽和(相対湿度100%)している空気は、氷に対しては過飽和(−12℃で約112%)なので、水滴は蒸発し、その水蒸気が氷晶に昇華して氷晶だけが成長します。差が最大の−12℃付近で最も効率がよく、氷晶は数十分で降水粒子の大きさになります。

氷晶はその後、①昇華成長(雪の結晶)、②氷晶どうしの併合(凝集)で雪片(ぼたん雪)、③過冷却水滴の付着凍結(ライミング)であられ、さらに積乱雲の中で何度も上下してひょうへと成長します。落下して0℃層を通過し、融ければ雨、融けきらなければみぞれ、融けなければ雪。この「0℃層からの距離」が雨雪判別の本質で、実技では南岸低気圧と雨雪判別として扱います。

のぶ
やん
雨雲を人工的に降らせる「人工降雨」は、この氷晶過程を人為的に起こすものです。氷晶核として働くヨウ化銀や、−78℃のドライアイスで過冷却水滴を凍らせて氷晶を作ります。核が足りない雲にだけ効くので、どの雲でも雨が降らせられるわけではありません。試験でも「暖かい雨にヨウ化銀は効かない」の形で出ます。

氷晶過程の細部|雪の結晶とあられ・ひょう

温度雪の結晶の基本形備考
0〜−4℃板状(六角板)
−4〜−10℃針状・角柱状−5℃前後で針状
−10〜−22℃板状・樹枝状−15℃前後で樹枝状(雪の結晶らしい形)。過飽和度が大きいほど枝分かれ
−22℃以下角柱状上層雲(巻雲)の氷晶
雪の結晶の形は温度でほぼ決まり、過飽和度で細部が決まる(中谷宇吉郎の実験)
粒子でき方特徴
雪片(ぼたん雪)氷晶どうしが併合0℃付近で表面が融けてくっつきやすく大きな雪片になる。気温が低いと粉雪
あられ(直径5mm未満)氷晶に過冷却水滴が付着凍結(ライミング)雪あられは白く不透明で軽い。冬の日本海側の積乱雲でよく降る
ひょう(直径5mm以上)積乱雲の強い上昇流の中で上下を繰り返し層状に成長透明・不透明の層が交互(乾いた成長と湿った成長)。落下速度は直径3cmで約25m/s。5〜6月の関東内陸に多い
凍雨雨滴が地表付近の寒気で凍る上空に暖気(雪が融ける層)、地上付近に0℃以下の層があるとき。透明な氷の粒
雨氷過冷却の雨滴が地物に当たって凍る着氷。凍雨と同じ気温分布で、地上付近の層が薄い場合
氷から生まれる降水粒子。あられとひょうの境は直径5mm

降水粒子と雲の分類|どの雲が雨を降らせるか

霧雨直径0.5mm未満の水滴。層雲・霧から雨直径0.5mm以上の水滴。最大でも直径5〜6mm(それ以上は分裂)雪氷晶が昇華成長・併合した結晶や雪片みぞれ雨と雪が混在。0℃層が地表近くにあるあられ直径5mm未満の氷粒。雪あられ(白く不透明)と氷あられひょう直径5mm以上。積乱雲の中で上昇・落下を繰り返し層状に成長凍雨雨滴が落下中に凍った透明な氷粒。上空に暖気、地上付近に寒気
図4 降水粒子の分類。定義は「直径」で覚える

雨粒は落下中に空気抵抗で下側が平らな饅頭型になります(涙型ではありません)。大きくなるほど扁平になり、直径5〜6mmを超えると分裂するので、それより大きな雨粒は存在しません。落下速度は雨粒の大きさとともに増えますが、直径5mm付近で約9m/sで頭打ちです。

高さ雲降水
上層雲(5〜13km)巻雲・巻積雲・巻層雲氷晶でできている。降水はほぼなし(尾流雲は蒸発)
中層雲(2〜7km)高積雲・高層雲・乱層雲乱層雲は広い範囲に長く続く雨・雪(温暖前線・低気圧)。高層雲からも弱い雨
下層雲(2km以下)層積雲・層雲層雲から霧雨。層積雲から弱い雨
対流雲積雲・積乱雲積乱雲は強い雨・雷・ひょう・突風。雄大積雲からもしゅう雨
10種雲形と降水。まとまった降水は乱層雲と積乱雲

層状の雲からの雨は「シーダー・フィーダー」で強まることがあります。上の雲(乱層雲の上部など)から落ちてきた氷晶(種=シーダー)が、下の湿った雲(フィーダー)の中で併合や付着で急成長する仕組みで、山地の風上側で雨が強まる理由の一つです。

霧の種類|成因で5つに分ける

種類成因典型例
放射霧晴れて風の弱い夜に地表が放射冷却し、地表付近の空気が露点まで冷える秋〜冬の盆地・内陸の朝霧。日が昇ると消える。竹田城の雲海もこれ
移流霧暖かく湿った空気が冷たい海面・地面に流れてきて冷やされる春〜夏の三陸・北海道太平洋側(親潮上を南風が吹く)。長時間続き、風があっても消えにくい
蒸気霧(蒸発霧)冷たい空気が暖かい水面に流れ、水面からの蒸発で飽和冬の朝の川霧・湖霧、けあらし。気温と水温の差が大きいとき
前線霧温暖前線の前面で、暖気からの雨が寒気の中で蒸発して飽和前線通過前の広い範囲の霧・低い雲
滑昇霧(上昇霧)湿った空気が斜面を上昇して断熱冷却で飽和山の斜面の霧(山からは雲に見える)
霧の5分類。「冷やされる(放射・移流)」「水蒸気が足される(蒸気・前線)」「上昇する(滑昇)」で整理

霧は「視程1km未満」、もやは「1km以上10km未満」が定義です(METARの視程の読み方)。試験では「移流霧は風が強いと消える」(×:風があっても続く。放射霧は風で混ざると消える)、「蒸気霧は暖かい空気が冷たい水面に流れてできる」(×:逆)の形で出ます。

ひっかけ10選

選択肢の言い方正誤なぜ
大気中の過飽和度は数%から10%程度になることが多い×凝結核が豊富にあるので1%未満にとどまる
純水の小さな液滴ほど飽和水蒸気圧は小さい×曲率効果で小さいほど大きい。だから核なしでは雲粒ができない
凝結核の数が多いほど雲粒は大きくなる×水を分け合うので多いほど小さくなる(大陸性の雲)
雲粒は凝結成長だけで雨粒の大きさになる×半径10μm付近から急に遅くなる。併合か氷晶過程が必要
0℃以下の雲の中の水滴はすべて凍っている×過冷却水滴として存在。自然に凍るのは約−40℃
氷晶過程では、氷晶が過冷却水滴と衝突して融け合うことで成長する×主役は水滴の蒸発→氷晶への昇華(飽和水蒸気圧の差)。付着凍結は「あられ」の成長
氷に対する飽和水蒸気圧と水に対する飽和水蒸気圧の差は−40℃付近で最大×−12℃付近で最大
直径5mm以上の氷の粒をあられという×5mm以上はひょう、未満があられ
落下する雨粒は涙の形をしている×下が平らな饅頭型。大きいほど扁平
移流霧は放射霧より持続時間が長く、風が吹いていても発生する○暖湿気の供給が続く限り続く。三陸の海霧が典型
ひっかけ10選

オリジナル問題15問

選択肢ごとに正誤を判定してから解答を開いてください。過去問は気象業務支援センターで。

問1 【雲粒の生成】 難易度:★ 択一
雲粒の生成について正しいものを選べ。
  1. ① 大気中では相対湿度が110%程度に達してはじめて雲粒ができる
  2. ② 純水の液滴は半径が小さいほど飽和水蒸気圧が小さく、凝結しやすい
  3. ③ 吸湿性の凝結核があると、相対湿度100%未満でも液滴が存在できる
  4. ④ 凝結核の数が多いほど、できる雲粒は大きくなる
  5. ⑤ 雲粒の生成には氷晶核が必要である
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正解:③
③(溶質効果)。過飽和度は通常1%未満。小さい純水滴ほど飽和水蒸気圧は大きい(曲率効果)。核が多いほど雲粒は小さい。氷晶核は氷晶の生成に必要。
問2 【雲粒の生成】 難易度:★★ 択一
ケーラー曲線について正しいものを選べ。
  1. ① 曲線の極大(臨界過飽和度)を越えた液滴は、周囲の相対湿度が下がらない限り成長を続ける
  2. ② 大きな核ほど活性化に必要な過飽和度は大きい
  3. ③ 曲線の左側(極大より小さい液滴)は不安定で、必ず雲粒に成長する
  4. ④ 曲率効果は液滴が大きいほど強く働く
  5. ⑤ 溶質効果は液滴の飽和水蒸気圧を大きくする
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正解:①
①。大きい核ほど山が低く先に活性化。山の左側は周囲の湿度と釣り合う安定な平衡(ヘイズ)。曲率効果は小さいほど強く、溶質効果は飽和水蒸気圧を下げる。
問3 【大きさ】 難易度:★ 択一
半径10μmの雲粒が併合して半径1mmの雨粒になるのに必要な雲粒の数に最も近いものを選べ。
  1. ① 約100個
  2. ② 約1万個
  3. ③ 約100万個
  4. ④ 約1億個
  5. ⑤ 約1兆個
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正解:③
③。半径100倍→体積は100³=100万倍。凝結だけでは到底無理なことがわかる。
問4 【暖かい雨】 難易度:★ 択一
暖かい雨(併合過程)について誤っているものを選べ。
  1. ① 雲全体が0℃より高い雲で起こる
  2. ② 大きい雲粒ほど落下速度が大きいため、小さい雲粒に衝突して併合する
  3. ③ 海塩粒子のような大きな凝結核が多い海洋性の雲で起こりやすい
  4. ④ 雲粒の大きさがそろっているほど併合が進みやすい
  5. ⑤ 熱帯の積雲から降る雨の多くはこの過程による
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正解:④
④が誤り。大きさがそろっていると落下速度に差がなく衝突しない。大きさにばらつきがあるほど併合が進む。
問5 【冷たい雨】 難易度:★ 択一
冷たい雨(氷晶過程)について正しいものを選べ。
  1. ① 雲の中の水滴は0℃以下になるとすべて直ちに凍る
  2. ② 同じ温度では氷に対する飽和水蒸気圧のほうが水に対するものより大きい
  3. ③ 過冷却水滴と氷晶が共存すると、水滴が蒸発し氷晶が昇華成長する
  4. ④ 氷晶核は凝結核より数が多い
  5. ⑤ この過程は雲頂の温度が0℃より高い雲でも起こる
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正解:③
③。水滴に対して飽和した空気は氷に対して過飽和なので、氷晶が成長し水滴は蒸発。氷の飽和水蒸気圧は水より小さく、氷晶核は凝結核よりはるかに少ない。均質凍結は約−40℃。
問6 【冷たい雨】 難易度:★ 択一
氷晶過程による氷晶の成長が最も効率よく進む温度として適切なものを選べ。
  1. ① 0℃付近
  2. ② −12℃付近
  3. ③ −25℃付近
  4. ④ −40℃付近
  5. ⑤ −60℃付近
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正解:②
②。水と氷の飽和水蒸気圧の差が最大になる−12℃付近。
問7 【冷たい雨】 難易度:★★ 択一
過冷却水滴について正しいものを選べ。
  1. ① 気温が0℃以下なら存在できない
  2. ② 純粋な水滴でも約−10℃になると自然に凍結する
  3. ③ 氷晶核がなければ約−40℃まで凍らずに存在できる
  4. ④ 過冷却水滴が航空機に衝突しても凍ることはない
  5. ⑤ 過冷却水滴は氷晶より飽和水蒸気圧が小さい
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正解:③
③。均質核形成は約−40℃。それより高い温度で凍るには氷晶核が必要。過冷却水滴が機体に当たって凍るのが着氷で、航空機の危険要因。
問8 【降水粒子】 難易度:★ 択一
あられ・ひょう・凍雨について正しいものを選べ。
  1. ① 直径5mm以上の氷の粒をあられという
  2. ② ひょうは氷晶どうしが併合してできる
  3. ③ 雪あられは氷晶に過冷却水滴が付着して凍ったもので、白く不透明である
  4. ④ 凍雨は上空から地上まで気温が0℃以下のときに降る
  5. ⑤ ひょうは層雲から降ることが多い
解答・解説を見る
正解:③
③。5mm以上はひょう。ひょうは過冷却水滴の付着凍結を積乱雲内で繰り返したもの。凍雨は上空に暖気(雪が融けて雨になる層)があり、地上付近だけ0℃以下のとき。
問9 【降水粒子】 難易度:★★ 択一
雪の結晶について正しいものを選べ。
  1. ① 結晶の形は主に気圧で決まる
  2. ② 樹枝状の結晶は−15℃付近で成長したものが多い
  3. ③ −5℃付近では板状の結晶が主である
  4. ④ 結晶の形は気温によらず過飽和度だけで決まる
  5. ⑤ 角柱状の結晶は0℃付近でできる
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正解:②
②。基本形は温度で決まり(0〜−4板、−4〜−10針・角柱、−10〜−22板・樹枝、−22以下角柱)、過飽和度で細部が決まる。
問10 【大きさ】 難易度:★ 択一
落下する雨粒について正しいものを選べ。
  1. ① 雨粒は落下中に涙のような形になる
  2. ② 雨粒は大きいほど落下速度が大きく、直径10mm程度まで成長できる
  3. ③ 雨粒の落下速度は大きさによらずほぼ一定である
  4. ④ 大きな雨粒は下面が平らな扁平な形になり、直径5〜6mmを超えると分裂する
  5. ⑤ 霧雨は直径2mm未満の雨粒をいう
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正解:④
④。落下速度は大きいほど大きい(半径1mmで約6.5m/s)。霧雨は直径0.5mm未満。
問11 【雲粒の生成】 難易度:★★ 択一
海洋性の雲と大陸性の雲を比べたとき正しいものを選べ。
  1. ① 大陸性の雲は雲粒の数が少なく、粒が大きい
  2. ② 海洋性の雲は雲粒の数が少なく、粒が大きいため雨になりやすい
  3. ③ 海洋性の雲は凝結核が多いため雲粒が小さい
  4. ④ 大陸性の雲のほうが併合過程による雨が起こりやすい
  5. ⑤ 雲粒の数密度は海洋性で約1000個/cm³、大陸性で約100個/cm³である
解答・解説を見る
正解:②
②。海洋性は核が少なく粒が大きくて少ない(約100個/cm³)、大陸性は核が多く粒が小さくて多い(数百〜1000個/cm³)。
問12 【冷たい雨】 難易度:★★ 択一
人工降雨について正しいものを選べ。
  1. ① ヨウ化銀は凝結核として働き、暖かい雨を促進する
  2. ② ドライアイスは過冷却水滴を凍らせて氷晶を作る
  3. ③ 人工降雨はどのような雲にも有効である
  4. ④ 氷晶核が十分にある雲にヨウ化銀をまくと降水が増える
  5. ⑤ 人工降雨は雲のない空に雲を作る技術である
解答・解説を見る
正解:②
②。ドライアイス(−78℃)は空気を冷やして過冷却水滴を凍結させる。ヨウ化銀は氷晶核として働き、氷晶が不足している過冷却雲に有効。核が十分な雲や暖かい雲には効かない。
問13 【霧】 難易度:★ 択一
霧について正しいものを選べ。
  1. ① 放射霧は曇って風の強い夜に発生しやすい
  2. ② 移流霧は暖かく湿った空気が冷たい海面上に流れてきて発生し、風があっても持続する
  3. ③ 蒸気霧は暖かく湿った空気が冷たい水面上に流れて発生する
  4. ④ 前線霧は寒冷前線の後面で発生することが多い
  5. ⑤ 滑昇霧は空気が斜面を下降して発生する
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正解:②
②。放射霧は晴れて風の弱い夜。蒸気霧は冷たい空気が暖かい水面上に流れたとき。前線霧は温暖前線の前面。滑昇霧は斜面を上昇。
問14 【雲】 難易度:★ 択一
雲と降水について正しいものを選べ。
  1. ① 巻層雲からは広い範囲に持続的な雨が降る
  2. ② 乱層雲は温暖前線の前面などで広い範囲に長く続く雨や雪をもたらす
  3. ③ 層雲からは激しいしゅう雨が降る
  4. ④ 積乱雲からの降水は弱く長時間続く
  5. ⑤ 高積雲は地上付近にできる下層雲である
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正解:②
②。上層雲(巻層雲)は氷晶の薄い雲で降水はほぼなし。層雲は霧雨。積乱雲は強い短時間の降水。高積雲は中層雲。
問15 【冷たい雨】 難易度:★★ 択一
日本で降る雨について最も適切なものを選べ。
  1. ① 大部分は暖かい雨(併合過程)による
  2. ② 大部分は氷晶過程で成長した雪やあられが融けたものである
  3. ③ 冬の日本海側の雪は主に併合過程による
  4. ④ 夏の雨はすべて暖かい雨である
  5. ⑤ 梅雨の雨は雲頂が0℃より高い雲から降る
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正解:②
②。日本の雨雲の大半は雲頂が0℃以下で、氷晶過程が主。夏の海上の背の低い積雲など一部で暖かい雨が起こる。

一問一答20問|分野別の成績が出ます

降水過程 一問一答20問

数値(1%・10μm・−12℃・−40℃・5mm)を確実に。

この分野でよくある質問

Q. 降水過程で一番出るのは何ですか?

A. 氷晶過程です。「過冷却水滴と氷晶が共存」「氷の飽和水蒸気圧は水より小さい」「水滴が蒸発し氷晶が昇華成長」「−12℃付近で最も効率がよい」の4つを一続きの理屈として覚えてください。

Q. 暖かい雨と冷たい雨はどう見分けるのですか?

A. 雲頂の温度で分けます。雲全体が0℃より暖かければ暖かい雨(併合過程)、雲頂が0℃以下なら氷晶過程が働きます。日本の雨のほとんどは後者です。

Q. 雲粒はなぜ落ちてこないのですか?

A. 半径10μmの雲粒の落下速度は約1cm/sで、雲の中の上昇流(数十cm/s〜数m/s)よりはるかに小さいためです。雨粒(半径1mm、約6.5m/s)になってはじめて落ちてきます。

Q. 雪の結晶の形は覚える必要がありますか?

A. 「−15℃付近で樹枝状」「−5℃付近で針状」「形は温度で決まり過飽和度で細部が決まる」の3点で十分です。

Q. この分野は実技にも出ますか?

A. 雨雪判別(0℃層の高さ・850hPa気温・層厚)、積乱雲の雲頂温度と降水の強さ、ひょうの発生条件などで直接使います。また記述問題で「なぜ雪になるか」を説明するときの理屈がここです。

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基礎知識

学科一般

学科専門

  • 学科専門の頻出分野と対策・一問一答
  • 気象観測(地上・高層・レーダー・衛星)(近日公開)
  • 数値予報のしくみ(近日公開)
  • ガイダンス・予報精度・アンサンブル(近日公開)
  • 短期・週間予報と天気予報の表現(近日公開)
  • 季節予報・長期予報(近日公開)
  • 短時間予報・ナウキャスト・局地現象(近日公開)
  • 警報・注意報・気象災害と防災情報(近日公開)

実技

ツール・実況

まとめ
  • 雲粒は凝結核の上にできる。曲率効果(小さいほど蒸発しやすい)と溶質効果(塩があると蒸発しにくい)=ケーラー曲線、過飽和度は1%未満
  • 雲粒10μm→雨粒1mmは体積100万倍。凝結では届かず、併合(暖かい雨)か氷晶過程(冷たい雨)で成長
  • 氷晶過程は「氷の飽和水蒸気圧<水」が原動力。過冷却水滴が蒸発し氷晶が昇華成長、−12℃付近で最も効率的、均質凍結は−40℃
  • 雪片は併合、あられは付着凍結、ひょうは積乱雲内で層状成長(直径5mm以上)、凍雨は上空暖気・地上寒気
  • 霧は放射・移流・蒸気・前線・滑昇の5種。日本の雨の大部分は冷たい雨

出典:気象庁「気象観測の手引き」「予報用語」、気象業務支援センター「気象予報士試験 過去の試験問題」、小倉義光『一般気象学』、Rogers and Yau『A Short Course in Cloud Physics』。オリジナル問題の設問・選択肢は当サイト作成です。

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