天気図は「等圧線・前線・風・天気記号」の4つが読めれば、ニュースの解説がそのまま自分でできるようになります。この記事では、気象庁の地上天気図を例に、等圧線から風の強さを読む、前線の種類と通過前後の変化を読む、風の矢羽根と天気記号を読む、そして西高東低・南岸低気圧などの典型的な気圧配置を見分ける方法を、図解でまとめました。気象予報士試験の実技(前線解析・穴埋め)の基礎でもあり、後半に確認クイズ15問を置いています。今日の実況は当サイトの全国実況モニターと気象庁の天気図で見比べてください。

天気図を読むコツは、「気圧の数字」ではなく「線の混み具合と、線に対して風がどう吹くか」を見ることです。これだけで風・雨・気温の変化の8割が説明できます。
- 等圧線が混んでいる所は風が強い。4hPaごと、20hPaごとに太線
- 北半球の低気圧は反時計回りに吹き込み、高気圧は時計回りに吹き出す。前線は低気圧から南西と東へ
- 温暖前線=前面に広い雨、寒冷前線=通過時に強い雨と突風、その後北風で気温急降下
- 矢羽根は風が吹いてくる向き。長い羽根10ノット、短い5ノット、旗50ノット
- 西高東低は日本海側の雪、南岸低気圧は関東の雪、南高北低は蒸し暑い晴れ
図解|温帯低気圧と前線の基本形
温帯低気圧は「暖かい空気と冷たい空気の境目」で発達します。中心の東側に温暖前線、南西側に寒冷前線がのび、その間の暖域には南寄りの暖かい風が入ります。低気圧は東〜北東へ進むので、ある地点から見ると「温暖前線の前面の広い雨→暖域で気温上昇→寒冷前線通過で強い雨と突風→北西風で気温急降下」の順に天気が変わります。この順番を覚えるだけで、天気図から明日の変化が言えます。
1. 等圧線の読み方|混んでいる所は風が強い
| 見る所 | 読み方 | 目安 |
|---|---|---|
| 等圧線の間隔 | 狭いほど気圧傾度が大きく、風が強い | 関東で4hPa間隔が100km以下なら強風の目安 |
| 線の値 | 4hPaごと。20hPaごと(1000・1020)が太線 | 中心気圧はLやHの近くの数字 |
| 閉じた等圧線 | 中心にLなら低気圧、Hなら高気圧 | 等圧線が多いほど発達した低気圧 |
| 等圧線の曲がり | 低圧側に張り出す=気圧の谷、高圧側に張り出す=気圧の尾根 | 谷の前面で天気が崩れる |
| 縦じま(南北の等圧線) | 西に高、東に低=西高東低の冬型 | 間隔が狭いほど強い北西風・大雪 |
風は等圧線に沿って吹き、地上では摩擦の影響で等圧線を少し横切って低圧側へ向かいます(陸上で30度前後、海上で15度前後)。この「横切る角度」が学科一般の力学と実技の風向の読み取りで問われます。理屈は高気圧は時計回りに吹く理由の風向シミュレーターで動かして確認できます。風速の数字がどれくらいの強さかは風速の目安で。
2. 前線の種類と、通過前後の変化
| 前線 | 記号 | 雲と雨 | 通過時の変化 |
|---|---|---|---|
| 温暖前線 | 赤の半円(進行方向側) | 前面に乱層雲・高層雲。広く長い穏やかな雨 | 通過後は暖域に入り気温上昇、南寄りの風、雨は弱まる |
| 寒冷前線 | 青の三角形(進行方向側) | 前線付近に積乱雲。短時間の強い雨・雷・突風 | 風が南寄りから北西へ急変、気温急降下、気圧は上昇に転じる |
| 停滞前線 | 赤の半円と青の三角形を交互 | 梅雨前線・秋雨前線。長雨、南側で大雨 | 動かない。前線の位置が南北に動くと天気が変わる |
| 閉塞前線 | 紫。半円と三角形を同じ側に | 寒冷前線が温暖前線に追いついた状態。広い雨域 | 低気圧は最盛期を過ぎ衰弱へ |
前線は「暖気側に傾いた面」で、地上の線はその面が地面と交わる所です。温暖前線の傾きは1/100〜1/300と緩やかなので雲域が前面に広く、寒冷前線は1/50〜1/100と急なので雲域が狭く激しい。実技試験の前線解析では、850hPaの相当温位の集中帯の暖気側の縁、風向のシアー、気温の急変を手がかりに描きます(詳しくは実技試験の解き方)。
3. 風の矢羽根と天気記号
国際式天気図の観測点には、風向風速(矢羽根)、気温、露点、気圧、雲量(丸の塗り方)、天気(記号)が記入されます。雲量は丸の中を塗る割合(全部白=快晴、半分=雲量5、全部黒=雲量10)、天気記号は雨が点、雪が星型、霧が横線、雷が矢印付きの稲妻です。日本式天気記号(快晴○、晴・曇・雨・雪など)は主に教育用で、気象庁の天気図では国際式が使われます。
4. 典型的な気圧配置と天気
| 気圧配置 | 天気図の形 | 天気 | 季節 |
|---|---|---|---|
| 西高東低(冬型) | 大陸に高気圧、日本の東に低気圧。縦じまの等圧線 | 日本海側は雪・雨、太平洋側は乾いた晴れ。強い北西風 | 12〜2月 |
| 南岸低気圧 | 本州の南岸を低気圧が東進 | 太平洋側で雨、寒気が残れば関東で雪 | 1〜3月 |
| 日本海低気圧 | 日本海を低気圧が北東進 | 全国で南風・気温上昇。春一番、フェーン、山岳で雪崩 | 2〜4月 |
| 移動性高気圧 | 西から高気圧が東進。周期的に低気圧と交互 | 晴れて朝は放射冷却で冷える。2〜3日周期で天気が変わる | 春・秋 |
| 梅雨型 | 東西にのびる停滞前線。南に太平洋高気圧、北にオホーツク海高気圧 | 前線付近で長雨、南側で大雨 | 6〜7月 |
| 南高北低(夏型) | 太平洋高気圧が日本を覆う | 晴れて蒸し暑い。内陸で夕立 | 7〜8月 |
| 台風 | 同心円状の等圧線、TやTSの記号 | 進行方向右側で暴風、前面で大雨 | 7〜10月 |
| 二つ玉低気圧 | 日本海と南岸に低気圧が並んで東進 | 全国的に荒れる。通過後に冬型で大雪 | 春・晩秋 |
季節ごとにどの型が多いかは、当サイトの東京で冬に晴れが多い理由(西高東低)、日本一暑い街(南高北低とフェーン)、三大豪雪地帯(冬型と地形)で実データとともに解説しています。
気象予報士試験の定番テキスト
独学なら「一般気象学(小倉義光)」で土台を作り、「らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト」で学科の穴を埋め、過去問は最低5回分を3周するのが王道です。実技は解説つきの過去問集が必須です。
5. 天気図を毎日読む練習|どこで見るか
- 気象庁「天気図」:実況(3時間ごと)と予想(24・48時間)。等圧線・前線の公式図
- 全国実況モニター:雨雲・衛星・気温・風を同時表示。天気図の前線と雲の対応を見る
- 高層天気図の見方:850/700/500/300hPaで、地上の前線や低気圧の「上空の理由」を見る
- エマグラム:前線の通過前後で状態曲線がどう変わるか
- 過去の天気検索:天気図で予想した変化が、実際の観測でどう出たかを確認する
慣れるまでは「今日の天気図を見て、明日の自分の街の風向と天気を言葉にする→翌日答え合わせ」を2週間続けると、前線と風の関係が体に入ります。
図解|気圧配置の型・地上風の向き・前線の断面
本文の表を「絵」で持てるように、気圧配置4型のミニ天気図、地上風が等圧線を横切る角度、前線の鉛直断面を追加しました。実技の前線解析はこの断面のイメージが土台になります。
例題で確認|天気図の読み取り
- ① 約10m/s、地上はそれより強い
- ② 約20m/s、地上は摩擦で6〜7割程度
- ③ 約40m/s、地上も同じ
- ④ 約5m/s、地上は0
解答・解説を見る
f=2Ωsin35°≒8.4×10⁻⁵ s⁻¹、気圧傾度=400Pa/200km=2×10⁻³ Pa/m。V=2×10⁻³/(1.2×8.4×10⁻⁵)≒20m/s。地上は摩擦で風速が落ちて等圧線を横切る向きになるので、目安として地衡風の6〜7割(約12〜14m/s)です。等圧線の間隔が半分(100km)なら地衡風は倍の約40m/sになります。
- ① 北西から南西へ(反時計回り)
- ② 南西から北西へ(時計回り)
- ③ 東から西へ
- ④ 変わらない
解答・解説を見る
暖域では南寄り(南西)の風、寒冷前線の後ろでは北西の風になるので、通過時に南西→北西へ時計回りに変わります。同時に気温は急降下、気圧は下降から上昇に転じ、短時間の強い雨と突風を伴います。
- ① 気圧の尾根で晴れる
- ② 気圧の谷で天気が崩れやすい
- ③ 風が止む
- ④ 必ず雪になる
解答・解説を見る
等圧線が低圧側へ張り出した所は気圧の谷(トラフ)。谷の前面(東側)は上昇流の場で雲が発生しやすく、天気が崩れます。高圧側へ張り出した所は気圧の尾根で、下降流のため晴れやすい、と対で覚えます。
- ① 温暖前線・南へ
- ② 寒冷前線・北へ
- ③ 寒冷前線・南へ
- ④ 停滞前線・動かない
解答・解説を見る
三角形は寒冷前線の記号で、記号は前線が進む側(寒気が暖気を押す側)につけます。北側についていれば北へ進む寒冷前線です。日本付近の寒冷前線は南東〜南へ進むものが多いので「三角=南向き」と思い込みがちですが、記号の向きで判断するのが原則です。温暖前線の半円も同じく進行方向側につきます。
解答・解説を見る
等圧線が混む=気圧傾度が大きい=風が強い。冬型では日本海で水蒸気を得た寒気が山にぶつかって雪雲を作るので、季節風が強いほど日本海側の雪は強まります。上空の寒気(500hPa −30〜−36℃)を合わせて読むと「大雪」の判断になります。
- 高層天気図の見方
- パターン別①温帯低気圧の発達(10/16公開)
- パターン別②南岸低気圧と雨雪判別(10/17公開)
- パターン別⑤冬型・JPCZ・日本海側の大雪(10/20公開)
- 大気の力学(地衡風・温度風・渦度)(10/05公開)
- 大規模運動と温帯低気圧(10/06公開)
確認クイズ|天気図の読み方 15問
天気図の読み方 確認クイズ(15問)
等圧線・風・前線・気圧配置から出題。当サイトのオリジナル問題です。
天気図の読み方 よくある質問
等圧線は何hPaごとに引かれていますか?
気象庁の地上天気図では4hPaごとで、20hPaごと(1000・1020hPaなど)が太線です。間隔が狭いほど風が強いことを示します。
低気圧の周りの風はどう吹きますか?
北半球では反時計回りに、中心へ向かって吹き込みます。高気圧は時計回りに吹き出します。地上では摩擦の影響で等圧線を少し横切ります。
温暖前線と寒冷前線の違いは?
温暖前線は暖気が寒気の上をゆっくり這い上がるため前面に広く穏やかな雨域、寒冷前線は寒気が暖気を押し上げるため前線付近に積乱雲による短時間の強い雨と突風が出ます。寒冷前線が通過すると北西風になり気温が急に下がります。
風の矢羽根の読み方は?
矢羽根は風が吹いてくる方向に立ちます。長い羽根1本が10ノット、短い羽根が5ノット、旗が50ノットです。1ノットは約0.5m/sです。
西高東低とは何ですか?
大陸に高気圧、日本の東海上に低気圧がある冬型の気圧配置です。南北にのびる等圧線が混み、強い北西の季節風で日本海側に雪、太平洋側に乾いた晴天をもたらします。
天気図はどこで見られますか?
気象庁のサイトで実況天気図(3時間ごと)と予想天気図(24・48時間先)が見られます。当サイトの全国実況モニターで雨雲・衛星と重ねると、前線と雲の対応がつかめます。
- 等圧線の混み具合=風の強さ。4hPaごと・20hPaで太線
- 低気圧は反時計回りに吹き込む。東に温暖前線、南西に寒冷前線
- 温暖前線は前面の広い雨、寒冷前線は通過時の強い雨と突風→北西風・気温急降下
- 矢羽根は吹いてくる向き、長い羽根10ノット
- 気圧配置の型(西高東低・南岸低気圧・南高北低・梅雨型)で季節の天気が読める
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出典:気象庁「天気図の見方」「予報用語」、小倉義光「一般気象学」。図は当サイトの模式図です。


