久留里線はなぜ廃止前に復旧断念?台風25号で坂畑は2日で551mm・日降水量は観測史上1位|房総7地点の2026年の雨をデータで検証【雨量チェッカー】

坂畑の2026年9月の日降水量と線路を表した図 気象

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こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

JR東日本は10月23日、台風25号の影響で不通になっていた久留里線の久留里〜上総亀山間について、鉄道での復旧を断念すると発表しました。この区間はもともと2027年4月1日に廃止される予定でしたが、上総松丘〜上総亀山間で盛土(線路の土台)が3か所で大きく崩れ、復旧には工事を始めてから半年ほどかかることがわかったためです。2027年3月31日まではバスなどによる代行輸送が続きます(JR東日本の発表を伝える各社の報道より)。

「そんなにひどい雨だったの?」と思った方も多いはず。そこで、上総亀山駅に最も近い気象庁のアメダス坂畑(君津市)のデータを調べると、9月20〜21日の2日間で551.0mm、21日の日降水量375.0mmは1978年の観測開始以来の1位でした。この記事では、房総の7地点の観測データで「線路が崩れた時期の雨」を検証し、地点を選ぶと今年の雨がわかるチェッカーも作りました。

この記事の結論(30秒で読める版)
  • 久留里〜上総亀山間は台風25号の影響で盛土が3か所崩壊(JR東日本の発表)。復旧に半年かかり、2027年4月1日の廃止までほとんど運転できないため鉄道での復旧を断念(代行輸送は2027年3月31日まで)
  • 坂畑(君津市)は9月20〜21日の2日で551.0mm。21日の375.0mmは観測史上1位、9月の1,119.0mmは平年(252.0mm)の4.4倍で、月の記録も1位
  • その2週間前の9月7日にも坂畑で210.5mm。土が水を含んだところへ記録的な大雨が重なった「二段構え」の雨でした
  • 房総の7地点すべてで、2026年9月は観測開始以来の月降水量1位
  • 坂畑の今年の雨(10月22日まで)は2,778mm。年間の最多記録(1989年の2,891mm)まであと113mm。牛久・木更津・大多喜・茂原はすでに年間の最多記録を上回っています(速報値)

房総の雨チェッカー:地点を選んで2026年9月と今年の雨を見る

地点を選ぶと、9月20〜21日の雨、9月の雨と平年比、21日の日降水量が観測史上何位か、そして9月の毎日の雨のグラフが出ます。下の段では、今年の雨が年間の最多記録まであと何mmかを計算できます。スライダーで「これから降る雨」を足すと、台風30号などで記録が塗り替わるかを試せます。

房総の雨チェッカー:2026年9月と「今年の雨」(7地点)
9月20〜21日の雨
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9月の雨(平年比)
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21日の日降水量の順位
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今年の雨は記録を超える? あと何mmで年間最多
データ:気象庁 アメダス(2026年は速報値を含む)。順位は各地点の観測開始から。今年の累計は1月1日〜10月22日。平年値は1991〜2020年。

坂畑は君津市の山あいにあるアメダスで、久留里線の終点・上総亀山駅の近くです。終点近くの坂畑と、起点の木更津のアメダスでは、どちらでも9月21日の日降水量が観測開始以来1位になっています。坂畑の気候は坂畑の気候、君津市の地盤や過去の震度は君津市の地震リスクデータで見られます。

図解:大雨で線路の盛土が崩れるのはなぜ?

今回崩れたのは、谷や低い土地に土を盛って線路を通している盛土です。盛土は、ふだんは土の粒どうしがかみ合って重い列車を支えています。ところが大雨で水がしみこむと、土が重くなるうえに、粒のすき間の水の圧力が上がって、粒どうしを押さえつける力が弱まります。限界を超えると、斜面がすべり面に沿ってまとまって崩れます。

線路の盛土が大雨で崩れるまで 線路 しみこんだ雨水(地下水位が上がる) すべり面 ①先に降った雨で、土が水を含んだ状態に ②次の大雨:水の重さと水圧で支えきれない
図1(盛土が崩れる一般的な仕組み。今回の崩壊の詳しい原因はJR東日本から公表されていません):盛土(土を盛って造った線路の土台)は、雨がしみこむと重くなり、土の粒どうしを押さえる力が弱まる。先に降った雨(先行降雨)で湿っていると、次の大雨で崩れやすい

ポイントは「先に降った雨」です。坂畑では9月7日に210.5mm(日降水量の観測史上7位)が降り、その前後の9月5〜11日の1週間で約420mmに達していました。土がたっぷり水を含んだ状態のまま、2週間後に2日で551mmの雨が降ったことになります。気象庁の土砂災害の危険度(キキクル)も、こうした土の中にたまった水の量(土壌雨量指数)をもとに計算されています。見方はキキクルの使い方ガイドで解説しています。

データ検証:台風25号の雨は房総でどれくらいだった?

気象庁アメダスの1時間ごとの観測から、9月20〜21日の雨を7地点で比べました。台風25号は21日に関東へ最接近しています。

地点2日間の雨量21日の日降水量日降水量の観測史上の順位21日の最大1時間降水量
坂畑(君津市)551.0mm375.0mm1位(1978年〜)50.5mm
大多喜507.0mm304.5mm3位(1976年〜)50.0mm
牛久(市原市)487.0mm341.0mm1位(1978年〜)50.0mm
茂原465.0mm309.5mm2位(1976年〜)54.0mm
鋸南417.0mm276.5mm3位(1976年〜)37.0mm
木更津400.5mm291.0mm1位(2006年〜)40.0mm
鴨川381.0mm255.0mm2位(1976年〜)47.0mm
表1:9月20〜21日の雨(気象庁アメダス)

最大1時間降水量は任意の60分間の最大値です(正時ごとの1時間値では、坂畑は21日18〜19時の49.5mmが最大)。7地点すべてで2日間に380mmを超え、そのうち3地点で日降水量の記録を更新しました。いちばん多かったのが、久留里線の終点に近い坂畑です。坂畑の日降水量の2位は1989年8月1日の364mm、3位は1996年9月22日の363mmで、今回はこれを10mm以上上回りました。

02040020040060020日0時20日12時21日0時21日12時22日0時棒:1時間降水量(赤は30mm以上)線:積算(mm・右目盛)
図2:坂畑(君津市)の9月20〜21日の1時間降水量と積算雨量。2日間で551.0mm、21日18〜19時に1時間49.5mm(気象庁アメダス)

坂畑の1時間ごとの雨を見ると、20日の朝から雨が降り続き、20日22〜23時に1時間32mm、21日5〜6時に42.5mm、さらに21日の昼から夜にかけて1時間30mm前後の雨が何度も降っています。最も強かったのは21日18〜19時の49.5mm。強い雨が「何時間も続いた」ことが、積算のグラフの急な立ち上がりからわかります。

551mmはどれくらいの雨?

雨量1mmは、1平方メートルあたり1リットルの水です。坂畑の2日間の551mmは、1平方メートルに551リットル、たたみ1畳(約1.6平方メートル)に換算すると約900リットル、ドラム缶4本半ほどの水が2日で降り注いだことになります。坂畑の年間の平年値は2,046.5mmなので、1年分の約4分の1が2日で降った計算です。

なぜ房総の山あいで雨が多くなったのでしょうか。台風が関東に近づくと、南東や南の海上から暖かく湿った空気が流れこみます。房総半島の中央部には標高200〜400mほどの房総丘陵が連なり、湿った風がぶつかって持ち上げられることで雨雲が発達しやすくなります。今回も、雨量が多かった坂畑・大多喜・牛久はいずれも丘陵の中や縁にある地点でした。

坂畑の「記録的な大雨」ランキング

順位日付日降水量
1位2026年9月21日375.0mm
2位1989年8月1日364mm
3位1996年9月22日363mm
4位2023年9月8日333.0mm
5位2006年4月12日243mm
6位2019年10月25日241.5mm
7位2026年9月7日210.5mm
8位2013年10月16日208.5mm
9位2019年9月9日207.5mm
10位2017年10月22日201.5mm
参考表:坂畑(君津市)の日降水量の多い日(1978年〜)

上位10日のうち2日が2026年です。2023年9月8日は台風13号による大雨、2019年は房総半島台風(9月9日)や10月25日の大雨と、近年は房総で記録的な雨が続いています。1時間降水量の記録も、坂畑では2026年8月22日の75.5mmが観測史上1位です。2026年の坂畑は、1時間・1日・1か月の雨の記録をすべて塗り替えた年になりました。

9月21日前後の千葉の天気(サイト内ツール)

千葉(千葉市)の9月21日前後の天気の記録は、こちらで見られます。坂畑の平年の気候は坂畑の気候のページをご覧ください。過去の同じ日との比べ方は過去の天気検索、9月21日の全国の傾向は9月21日の天気にまとめています。

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9月の雨は7地点すべてで「観測史上1位」

地点9月の降水量平年値(1991〜2020年)平年比これまでの1位
大多喜1,134.5mm280.0mm4.1倍874mm(2004年10月)
坂畑1,119.0mm252.0mm4.4倍795mm(2004年10月)
鋸南932.5mm205.3mm4.5倍637mm(1989年8月)
牛久910.5mm237.1mm3.8倍694mm(1991年10月)
鴨川908.5mm214.3mm4.2倍784mm(2004年10月)
茂原902.0mm229.5mm3.9倍718mm(2004年10月)
木更津801.0mm229.2mm3.5倍541.0mm(2015年9月)
表2:2026年9月の降水量と平年比、月降水量の順位(9月の降水量の多い順)

房総の7地点はどこも、9月の雨が平年の3.5〜4.5倍。これまでの月の1位(多くは2004年10月)を120〜320mm上回る(坂畑は324mm上回る)、けた違いの9月でした。千葉県全体で2026年がどれほど雨の多い年だったかは千葉で大雨が続くのはなぜ?2026年は観測史上最多、9月の雨が続いた理由は最近雨が多いのはなぜ?でも解説しています。

今年の雨は年間の最多記録に迫る

地点2026年(10月22日まで)年間の平年値に対して年間の最多記録記録との差
坂畑2,778.0mm136%2,891mm(1989年)あと113mm
鴨川2,358.5mm128%2,446mm(1989年)あと87.5mm
鋸南2,179.0mm130%2,616mm(1989年)あと437mm
大多喜2,919.5mm131%2,870.0mm(2019年)49.5mm上回る
牛久2,334.5mm140%2,219mm(1989年)115.5mm上回る
木更津2,024.5mm123%1,985.0mm(2019年)39.5mm上回る
茂原2,406.5mm143%2,137mm(1991年)269.5mm上回る
表3:2026年の降水量(1月1日〜10月22日)と年間の最多記録

まだ10月なのに、4地点で年間の最多記録をすでに上回っています(2026年の値は速報値を含みます)。坂畑もあと113mmで年間の最多記録です。台風30号は27日ごろに本州の南を通る予報で、雨の量しだいでは坂畑や鴨川でも年間の記録が塗り替わる可能性があります。台風30号の関東の見通しは台風30号は関東・東海・近畿に来る?をご覧ください。

千葉県の月ごとの雨の多さは、こちらのツールで確かめられます。

全国で今日いちばん雨が多かった所は、次のランキングでわかります。

歴代1時間降水量ランキング トップ10(観測史上1位の値)
順位地点(都道府県・市町村)記録観測日偏差値
1位香取(千葉県・香取市)153.0mm1999年10月27日83.9
1位長浦岳(長崎県)153.0mm1982年7月23日83.9
3位多良間(沖縄県)152.0mm1988年4月28日83.5
4位甲佐(熊本県・甲佐町)150.0mm2016年6月21日82.6
4位清水(高知県・土佐清水市)150.0mm1944年10月17日82.6
6位下関(新潟県・関川村)149.0mm2022年8月4日82.2
6位室戸岬(高知県・室戸市)149.0mm2006年11月26日82.2
8位前原(福岡県・糸島市)147.0mm1991年9月14日81.4
9位上市(富山県・上市)146.5mm2024年8月25日81.2
9位岡崎(愛知県・岡崎市)146.5mm2008年8月29日81.2

久留里線の久留里〜上総亀山間はどうなる?

項目内容
不通の原因台風25号の影響。上総松丘〜上総亀山間で盛土が3か所で大規模に崩壊(長さ約20m・約50m・約60m、崩れた土は計約5,600立方m)
復旧にかかる期間工事を始めてから半年程度
判断鉄道での復旧を断念(10月23日発表)
代行輸送バスなどで2027年3月31日まで
廃止日2027年4月1日(2026年3月9日に廃止を届け出済み)
表4:久留里〜上総亀山間のこれから(JR東日本の発表を伝える報道より)

久留里線は木更津駅から上総亀山駅までの32.2kmの路線で、このうち久留里〜上総亀山間の9.6km(久留里・平山・上総松丘・上総亀山の各駅)が廃止の対象です。房総丘陵の山あいの谷を縫うように走る区間です。

廃止予定の区間が、廃止を待たずに災害をきっかけに列車が走らないまま終わるかたちになりました。代行輸送の時刻や乗り場は、JR東日本の案内で確認してください。

大雨のあとの「崩れやすさ」に注意

大雨が続いた年に気をつけたいこと
  • 雨がやんだあとも、しみこんだ水で斜面や盛土が崩れることがある。小石が落ちる・水がわき出す・地鳴りは危険のサイン
  • 先に大雨が降った地域は、次の雨が少なめでも土砂災害の危険度が上がりやすい。キキクルで「土砂災害」を確認
  • 台風30号の接近時は、大雨の警報・危険度の情報と、市町村の避難情報に注意
  • 鉄道・道路は、雨が強まる前に運休や通行止めの情報を確認

新しい警報のレベルはレベル4大雨危険警報とは?、台風が遠くても大雨になる仕組みは「台風が前線を刺激する」とは?、千葉県で起きた水害の記録は千葉県の水害の記録で見られます。

よくある質問

Q. 久留里線の久留里〜上総亀山間はなぜ復旧を断念したのですか?

JR東日本の発表を伝える報道によると、台風25号の影響で、上総松丘〜上総亀山間の盛土が3か所で大規模に崩れ、復旧に工事開始から半年程度かかることがわかったためです。この区間は2027年4月1日の廃止が予定されていたため、JR東日本は鉄道での復旧を断念し、2027年3月31日までバスなどで代行輸送を行います。

Q. 台風25号で久留里線の沿線にはどれくらい雨が降りましたか?

上総亀山駅に近い気象庁のアメダス坂畑(君津市)では、9月20〜21日の2日間で551.0mm、21日の日降水量は375.0mmで、1978年の観測開始以来1位でした。木更津でも21日に291.0mmで観測史上1位でした。

Q. 坂畑の9月の雨は平年の何倍でしたか?

2026年9月の坂畑の降水量は1,119.0mmで、平年値(1991〜2020年)の252.0mmの約4.4倍でした。これまでの月降水量の1位は2004年10月の795mmで、それを300mm以上上回りました。

Q. なぜ大雨で線路の盛土が崩れるのですか?

盛土に雨がしみこむと土が重くなり、土の粒のすき間の水の圧力が上がって、粒どうしを押さえる力が弱まるためです。坂畑では9月7日にも210.5mmの雨があり、土が水を含んだ状態で記録的な大雨が重なりました。

Q. 久留里〜上総亀山間の代行輸送はいつまでですか?

JR東日本の発表を伝える報道によると、バスなどによる代行輸送は廃止予定日の前日、2027年3月31日まで行われます。

Q. 2026年の千葉の雨は記録的ですか?

はい。房総の7地点すべてで2026年9月の降水量が観測開始以来1位で、牛久・木更津・大多喜・茂原では10月22日の時点で年間の最多記録を上回っています(速報値)。坂畑も年間の最多記録まであと113mmです。

Q. 台風30号で千葉に大雨は降りますか?

気象庁の10月23日16時45分発表の予報では、台風30号は27日ごろ本州の南を東へ進む見込みです。進路によって雨の量が大きく変わるため、最新の台風情報とキキクルを確認してください。

まとめ
  • 久留里線の久留里〜上総亀山間は、台風25号の影響で盛土が3か所崩れ、2027年4月1日の廃止を前に鉄道での復旧を断念
  • 終点に近い坂畑では2日で551.0mm、21日の375.0mmは観測史上1位。9月は1,119.0mm(平年の4.4倍)
  • 9月7日の210.5mmに続く二段構えの大雨。記録的な雨量から、大雨が崩壊に大きく関わったとみられる
  • 房総7地点すべてで9月の雨は観測史上1位。4地点はすでに年間の最多記録も超え、坂畑もあと113mm
  • 大雨のあとは雨がやんでも崩れやすい。台風30号の接近時は、キキクルと避難情報を早めに確認

出典:気象庁「過去の気象データ検索」(坂畑・牛久・木更津・大多喜・鴨川・鋸南・茂原。2026年の値は速報値を含む)、Impress Watch「JR久留里線、久留里〜上総亀山間の復旧断念」、乗りものニュース(いずれもJR東日本の10月23日の発表を報道)をもとに筆者集計・作成。

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