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こんにちは!気象予報士ののぶやんです。
大型で強い台風第30号(チャンパー)は、23日(金)6時に沖縄の南にあって、北西へ時速15kmで進んでいます。気象庁が23日6時45分に発表した予報では、台風はこのあと先島諸島の近くで向きを北へ変え、東シナ海を北上。26日(月)3時に九州の西、27日(火)3時には東海道沖まで進み、そのときには温帯低気圧に変わっている見込みになりました。
これまでの予報では「九州の西を北上して対馬近海へ」という進路でしたが、今回の発表で予報の最後が東海道沖になり、関東・東海・近畿・四国の方にとっても「自分の所に来るの?」「月曜・火曜の通勤は大丈夫?」と気になる進路になっています。
そこでこの記事では、元気象庁職員の気象予報士として、気象庁の予報円の中心から本州・四国の17地点と台風の中心との距離を計算し、そのころ「台風」なのか「温帯低気圧」なのかを、週間天気予報と並べて表示するツールを作りました。さらに、気象庁のベストトラック(1951〜2025年)で台湾〜先島付近を北上してから本州に近づいた10月中旬以降(10月15日以降)の台風を探し、そのとき東京・横浜・静岡・名古屋・大阪で実際に何mmの雨が降ったかを、気象庁の観測データで確かめています。
- 台風30号は26日(月)3時に九州の西(996hPa)、27日(火)3時に東海道沖(998hPa)へ進み、27日3時には温帯低気圧に変わる予報(気象庁 23日6時45分発表)
- 予報円の中心を直線でつなぐと、高知約22km(26日14時ごろ)、徳島約56km、和歌山約60km、大阪約102km(26日19時ごろ)、浜松約61km・静岡約73km(27日0〜2時ごろ)まで近づく計算。関東は予報の最終時刻(27日3時)で横浜約134km、東京約163km、伊豆大島は約57km
- ただし27日3時の予報円は半径370kmと大きく、本州の南岸沿いを通るか、海上を通るかはまだ決まっていない
- 本州の雨は2回に分かれる見込み。1回目は24日(土)の前線の雨(東京・静岡・名古屋で降水確率90%、近畿・四国では雷を伴って激しく降る所も)、2回目は26日(月)〜27日(火)の台風(温帯低気圧)の雨
- 台湾〜先島付近を北上してから本州に近づいた10月15日以降の台風は75年で3個。そのときの3日間雨量は東京で22.0〜54.5mmと、本州に直接来た強い台風(2004年23号・2017年21号の約200mm)より少なめ。ただし静岡・大阪では100mmを超えた例もある
本州の台風30号チェッカー(台風との距離と週間予報を自動表示)
地点を選ぶと、気象庁の最新の台風情報からその地点に最も近づく時刻と距離、そのころの中心気圧を計算し、そのとき「台風」なのか「温帯低気圧」なのかも表示します。下には同じ地点の週間天気予報(天気・降水確率・最低/最高気温と平年との差)を並べます。ページを開くたびに最新の発表を読み込みます。
類例と比べる:似たコースの台風のとき、何mm降った?
地点を選ぶと、今回と似たコースをたどった3つの台風と、本州に直接上陸した強い台風2つ(対照例)のときの3日間の降水量を横棒で比べます。観測データをそろえたのは東京・横浜・静岡・名古屋・大阪の5地点です。
台風30号の進路予想:東シナ海を北上し、27日3時に東海道沖で温帯低気圧に
| 日時 | 中心位置 | 中心気圧 | 最大風速(最大瞬間) | 種別 | 予報円の半径 |
|---|---|---|---|---|---|
| 23日(金)6時 | 沖縄の南 22.2N 124.0E | 955 hPa | 40 m/s(60 m/s) | 台風(大型・強い) | (実況) |
| 23日(金)18時 | 与那国島の南南西約40km 24.2N 122.8E | 965 hPa | 40 m/s(55 m/s) | 台風(強い) | 45km |
| 24日(土)6時 | 与那国島の北北西約60km 25.0N 122.8E | 975 hPa | 35 m/s(50 m/s) | 台風(強い) | 80km |
| 25日(日)3時 | 東シナ海 28.6N 123.7E | 985 hPa | 30 m/s(40 m/s) | 台風 | 185km |
| 26日(月)3時 | 九州の西 32.5N 129.1E | 996 hPa | 20 m/s(30 m/s) | 台風 | 300km |
| 27日(火)3時 | 東海道沖 34.4N 138.9E | 998 hPa | 18 m/s(25 m/s) | 温帯低気圧 | 370km |
台風は23日夕方に与那国島のすぐ近く(18時に与那国島の南南西約40km)を通り、24日にはほとんど停滞するように速度を落としてから北へ向きを変えます。25日3時には東シナ海で985hPa・最大風速30m/s、26日3時には九州の西で996hPa・最大風速20m/sと、北上しながら勢力を落とし、26日3時の予報では暴風警戒域がなくなります。先島諸島への影響は台風30号は先島諸島にいつ最接近?、九州の週末の雨は台風30号は九州に来る?で解説しています。
今回の発表でいちばん大きく変わったのは、その先です。26日3時の時点で台風は北東へ時速30kmで進み、27日3時には東海道沖(伊豆半島の南の海上)で998hPaの温帯低気圧になっている見込みです。27日3時の進む速さは東北東へ時速40kmで、偏西風に乗って足早に東へ抜けていくイメージです。
注意したいのは予報円の大きさです。26日3時の予報円は半径300km、27日3時は半径370kmあります。27日3時の予報円の中には、東海・関東の大部分から、はるか南の伊豆諸島の南の海上までがすっぽり入ります。中心が予報円の北寄りを通れば本州の南岸にかなり近いところを、南寄りを通れば本州からかなり離れた海上を進むことになり、雨や風の強さは進路しだいで大きく変わります。
本州・四国の17地点と台風の中心の距離(予報円の中心どおりに進んだ場合)
| 地点 | 予報の範囲内で最も近い距離 | 時刻 | そのころの中心気圧 |
|---|---|---|---|
| 高知 | 約22km | 26日(月)14時ごろ | 997hPa |
| 徳島 | 約56km | 26日(月)17時ごろ | 997hPa |
| 和歌山 | 約60km | 26日(月)18時ごろ | 997hPa |
| 大阪 | 約102km | 26日(月)19時ごろ | 997hPa |
| 神戸 | 約110km | 26日(月)19時ごろ | 997hPa |
| 津 | 約87km | 26日(月)22時ごろ | 998hPa |
| 名古屋 | 約124km | 26日(月)23時ごろ | 998hPa |
| 浜松 | 約61km | 27日(火)0時ごろ | 998hPa |
| 静岡 | 約73km | 27日(火)2時ごろ | 998hPa |
| 伊豆大島 | 約57km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| 横浜 | 約134km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| 甲府 | 約144km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| 東京 | 約163km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| 八丈島 | 約166km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| 千葉 | 約173km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| さいたま | 約176km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
| 銚子 | 約232km | 27日(火)3時(最終時刻) | 998hPa |
26日3時の「九州の西」と27日3時の「東海道沖」を直線で結ぶと、その線は四国の南岸から紀伊半島の付近をかすめ、遠州灘を通って伊豆半島の南へ抜けていきます。このため距離の計算では、高知が約22km、徳島が約56km、和歌山が約60kmと、四国・近畿南部がかなり近くなります。東海は浜松が約61km(27日0時ごろ)、静岡が約73km(27日2時ごろ)、名古屋が約124km(26日23時ごろ)です。
関東は、予報の最終時刻の27日3時の時点で伊豆大島約57km、横浜約134km、東京約163km、千葉約173km、銚子約232km。低気圧は東北東へ進むので、27日の朝にかけて房総半島の南の海上を通り、関東の沿岸にさらに近づく可能性があります。
ただし、これは1日に1点しかない予報の位置をまっすぐの線でつないだ計算です。実際の低気圧は、本州の南岸に沿って少し弧を描くように進んだり、海上を通ったりします。さらに、上で書いたとおり予報円は半径300〜370kmもあるので、「何km」という数字そのものより、「26日の昼から夜は四国・近畿、26日夜〜27日未明は東海、27日未明〜朝は関東」という時間帯の目安として使ってください。
本州・四国の週間予報(24〜28日)
| 府県 | 24日(土) | 25日(日) | 26日(月) | 27日(火) | 28日(水) |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京地方 | 雨時々止む 90% | くもり一時雨 50% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 神奈川県 | 雨時々止む 90% | くもり一時雨 50% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | くもり時々晴れ 30% |
| 千葉県 | くもり時々雨 80% | くもり一時雨 50% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | くもり時々晴れ 30% |
| 埼玉県 | 雨時々止む 90% | くもり一時雨 50% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 伊豆諸島 | くもり時々雨 90% | くもり一時雨 50% | くもり時々雨 70% | くもり時々雨 60% | くもり 40% |
| 静岡県 | 雨時々止む 90% | くもり一時雨 70% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | くもり時々晴れ 30% |
| 愛知県 | 雨時々止む 90% | くもり一時雨 70% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 三重県 | 雨時々止む 90% | くもり一時雨 70% | くもり時々雨 70% | くもり一時雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 大阪府 | 雨時々止む 80% | くもり時々雨 80% | くもり時々雨 70% | くもり時々雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 兵庫県 | 雨時々止む 80% | くもり時々雨 80% | くもり時々雨 70% | くもり時々雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 和歌山県 | 雨時々止む 80% | くもり一時雨 70% | くもり時々雨 60% | くもり一時雨 60% | 晴れ時々くもり 20% |
| 徳島県 | くもり時々雨 90% | くもり時々雨 70% | くもり時々雨 70% | くもり時々晴れ 30% | 晴れ時々くもり 20% |
| 高知県 | くもり時々雨 90% | くもり時々雨 70% | くもり時々雨 70% | くもり時々晴れ 30% | 晴れ時々くもり 20% |
週間予報を横に並べると、降水確率の山が2つあるのがわかります。1つ目は24日(土)で、関東・東海は90%、近畿は80%、四国は90%。2つ目は26日(月)〜27日(火)で、関東〜近畿は60〜70%です。四国は27日には30%に下がり、西の地域から先に雨が抜ける予報です。そして28日(水)はどこも20〜40%で、晴れ間が戻る予報です。
週間予報には予報の「信頼度」も付いています。東京地方は26日(月)が信頼度A(予報が当たりやすい)で、25日(日)と27日(火)はC(変わりやすい)です。26日は雨の予報の確度が高く、27日にどのくらい雨が残るかは、低気圧の進路と速さしだいということです。
| 地点 | 25日(日)最低気温 | 27日(火)最高気温 | 28日(水)最低気温 | 平年(最低/最高) |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 17℃(+4.3) | 22℃(+1.7) | 14℃(+1.3) | 12.7℃/20.3℃ |
| 横浜 | 17℃(+3.3) | 22℃(+1.7) | 15℃(+1.3) | 13.7℃/20.3℃ |
| 静岡 | 19℃(+5.5) | 27℃(+5.0) | 15℃(+1.5) | 13.5℃/22.0℃ |
| 名古屋 | 19℃(+6.4) | 24℃(+2.8) | 13℃(+0.4) | 12.6℃/21.2℃ |
| 大阪 | 22℃(+8.1) | 24℃(+2.3) | 13℃(−0.9) | 13.9℃/21.7℃ |
| 和歌山 | 21℃(+7.5) | 24℃(+2.5) | 13℃(−0.5) | 13.5℃/21.5℃ |
| 徳島 | 21℃(+7.1) | 24℃(+2.8) | 13℃(−0.9) | 13.9℃/21.2℃ |
| 高知 | 23℃(+9.7) | 27℃(+3.9) | 14℃(+0.7) | 13.3℃/23.1℃ |
気温も特徴的です。台風が東シナ海を北上する25日(日)の朝は、南から暖かく湿った空気が入って、西日本ほど平年よりかなり高くなります。高知の最低気温は23℃で平年より9.7℃高く、大阪22℃(+8.1℃)、名古屋19℃(+6.4℃)、東京17℃(+4.3℃)です。低気圧が近づく27日(火)も、静岡では最高気温27℃(平年より5.0℃高い)の予報です。
ところが低気圧が東へ抜けた28日(水)の朝は、大阪・徳島で13℃と平年並みか少し低めに。大阪は25日の22℃から3日で9℃下がる計算です。低気圧の後ろから北西の乾いた空気が入るためで、服装の調整が必要です。日ごとの寒暖差は寒暖差チェッカーでも確かめられます。
図解:前線の雨のあと、温帯低気圧に変わりながら南岸を進むしくみ
本州の雨は、性質の違う2つの雨に分けて考えるとわかりやすいです。
① 24日(土)の雨は「前線の雨」です。気象庁が23日4時39分に発表した東京都の天気概況では、「24日は、日本の南の前線が伊豆諸島付近まで北上し、湿った空気の影響を受ける見込み」とされています。台風の中心はまだ与那国島の近くにありますが、台風の周りから流れ出す暖かく湿った空気が前線に送り込まれ、前線の北側の本州で雨雲が広がります。近畿では「昼前まで雷を伴い激しく降る所」があり、徳島県では「明け方まで雷を伴い非常に激しく降る所」がある予報です。台風が遠くても雨が強まるこのパターンは、「台風が前線を刺激する」とは?で詳しく解説しています。
② 26日(月)〜27日(火)の雨は「低気圧の雨」です。台風が北緯30度より北に進むと、海面水温が下がってエネルギーの補給が減り、さらに上空の偏西風に乗って北東〜東へ速度を上げます。このとき、台風の中心の周りに冷たい空気と暖かい空気の境目(前線)ができてくると、台風は「温帯低気圧」に変わります。今回は26日3時の時点ではまだ台風(最大風速20m/sで、国際的な区分ではトロピカル・ストーム=TS)で、27日3時には温帯低気圧になっている予報です。つまり、本州の南岸を通るころに、ちょうど台風から温帯低気圧に変わっていく見込みです。
ここで誤解されやすいのが、「温帯低気圧に変わった=弱くなった」ではないことです。温帯低気圧は、台風のように中心付近だけに風雨が集中するのではなく、前線をともなって雨や風の範囲が広がるのが特徴です。27日3時の予報でも最大風速18m/s・最大瞬間風速25m/sで、中心気圧は26日3時の996hPaから998hPaとほとんど変わりません。詳しくは温帯低気圧になれば安心?にまとめています。
低気圧が本州の南岸を東へ進むとき、本州の太平洋側では、低気圧の東側(進む向きの右側)で南から暖かく湿った空気が流れ込み、山地の南斜面などで雨雲が発達しやすくなります。四国の太平洋側、紀伊半島の南東側、静岡県や伊豆半島、伊豆諸島は、南風が山にぶつかって雨が多くなりやすい地形です。一方で、低気圧の中心が南の海上を離れて通れば、関東の内陸などでは雨は弱めで終わることもあります。
過去のデータで確かめる:台湾〜先島を北上してから本州に近づいた台風は75年で3個
まず、10月中旬以降に本州へ近づく台風がどのくらいあるかを数えました。気象庁のベストトラック(1951〜2025年の75年分)で、10月15日以降に、台風または台風から変わった温帯低気圧として各地点の300km以内に来た数は、次のとおりです。
| 地点 | 300km以内に来た数 | うち台風の強さのまま |
|---|---|---|
| 東京 | 11個 | 7個 |
| 横浜 | 11個 | 7個 |
| 静岡 | 13個 | 10個 |
| 名古屋 | 12個 | 8個 |
| 大阪 | 9個 | 6個 |
| 八丈島 | 23個 | 12個 |
東京・横浜は75年で11個、つまり7年に1回くらいです。10月中旬を過ぎてから台風が本州に近づくこと自体は、それほど珍しくありません。10月の台風全体の傾向は10月の台風は来る?確率と過去の例、11月以降まで含めた話は台風はいつまで来る?で紹介しています。
ただ、今回のように台湾〜先島付近(北緯24〜31度・東経127度より西)を台風の強さで北上してから、本州の300km以内に来た台風にしぼると、75年で1998年の台風10号(ゼブ)、2000年の台風20号(サンサン)、2001年の台風21号(ハイエン)の3個しかありません(2004年の台風24号は八丈島の300km以内に来ただけ)。多くの台風は、沖縄の東の海上から本州に向かって北上してくるからです。
| 台風(期間) | 東京 | 横浜 | 静岡 | 名古屋 | 大阪 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000年 台風20号(サンサン) 11月1〜3日/類例 | 22.0mm | 31.0mm | 93.5mm | 15.5mm | 104.0mm |
| 1998年 台風10号(ゼブ) 10月16〜18日/類例 | 54.5mm | 59.5mm | 124.0mm | 116.0mm | 139.5mm |
| 2001年 台風21号(ハイエン) 10月16〜18日/類例 | 29.5mm | 36.5mm | 49.0mm | 43.5mm | 33.5mm |
| 2004年 台風23号(トカゲ) 10月19〜21日/対照例 | 214.5mm | 208.0mm | 245.0mm | 165.5mm | 220.5mm |
| 2017年 台風21号(ラン) 10月21〜23日/対照例 | 209.0mm | 200.0mm | 156.5mm | 229.5mm | 204.0mm |
いちばん似ているのは2000年の台風20号(サンサン)
3個のうち、今回のコースとよく似ているのが2000年の台風20号(サンサン)です。台湾の東を北上したあと、11月1日21時(日本時間)に東シナ海(北緯28.6度・東経125.7度)で温帯低気圧に変わり、九州南部を横切って、2日15時ごろには四国の南(北緯33.4度・東経134.9度)を通過しました。今回の予報も「東シナ海を北上→九州の西→本州の南岸」で、温帯低気圧に変わるタイミングが少し遅い以外は、ほぼ同じ形です。
このときの3日間雨量は、東京22.0mm、横浜31.0mm、名古屋15.5mmと少なめだった一方、静岡93.5mm、大阪104.0mmとまとまった雨になりました。温帯低気圧になっていても、南からの湿った空気が当たる地点では100mm前後の雨が降ったことになります。大阪は低気圧の中心から約150km(ベストトラックで計算)離れていました。
1998年の台風10号(ゼブ)と2001年の台風21号(ハイエン)
1998年の台風10号(ゼブ)は、先島諸島の西を北上したあと、台風の強さを保ったまま鹿児島県に上陸し、四国から近畿の西部を通って日本海へ抜けました。3個の中ではいちばん本州の陸地に近いコースで、3日間雨量は大阪139.5mm、静岡124.0mm、名古屋116.0mmと東海・近畿で100mmを超え、東京でも54.5mmでした。
2001年の台風21号(ハイエン)は、先島諸島付近を北上したあと東へ向きを変え、本州の南の海上を進んで、八丈島の近く(約70km)を通りました。本州からは離れたコースだったため、雨は東京29.5mm、静岡49.0mm、大阪33.5mmと、5地点とも50mm未満にとどまっています。
対照例:本州に直接来た強い台風は200mm級
比べるために、10月後半に本州へ直接上陸した強い台風も並べました。2004年の台風23号(トカゲ)は955hPa前後の強い勢力で高知県に上陸し、近畿・東海を横断。3日間雨量は静岡245.0mm、大阪220.5mm、東京214.5mmでした。2017年の台風21号(ラン)は超大型の勢力で静岡県に上陸し、名古屋229.5mm、東京209.0mm、大阪204.0mm。どちらも5地点のほとんどで200mm前後と、東京・横浜では類例のおよそ3〜10倍の雨が降っています。
つまり、東シナ海を回って弱まりながら来るタイプは、本州に直接来る強い台風より雨は少なめ(東京で20〜50mm台)。ただし静岡や近畿では100mmを超えた例もある、というのが過去のデータからわかることです。参考までに、気象庁の週間予報には「この先7日間の降水量の合計の平年並の範囲」が付いていて、東京は10.9〜39.9mm、静岡は11.7〜43.6mm、名古屋は11.5〜33.1mm、大阪は8.1〜26.2mmです。類例の雨量は、関東では平年並〜やや多い程度、静岡・大阪では平年並の範囲を大きく上回った例があることになります。
今回は、類例と違って24日(土)の前線の雨が先に降るのがポイントです。24日に雨で地面が湿ったあと、26〜27日に低気圧の雨が加わるので、2回の雨を合わせた量で考える必要があります。土砂災害は降り始めからの雨の積み重ねで危険が高まるため、24日に多く降った地域ほど、26〜27日は少ない雨でも注意が必要です。
東京の10月下旬の天気と、台風のデータ(サイト内ツール)
東京の10月26日前後の天気の傾向(過去の晴れ・雨の割合や気温)は、日付と地点を選んで確かめられます。名古屋・大阪・静岡に切り替えて、月曜〜火曜の予定の参考にどうぞ。
去年の同じころの東京の天気と比べると、今年の暖かさや雨の多さがわかります。
読み込み中…
都道府県ごとの台風の接近数を比べるツールです。10月の東京都・静岡県・愛知県・大阪府の数字も確かめられます。
各地の気候は東京の気候・名古屋の気候・大阪の気候・静岡の気候、過去の水害の記録は東京都の水害の歴史・静岡県の水害の歴史・大阪府の水害の歴史で確認できます。24日・26日・27日の過去の天気の傾向は10月24日・10月26日・10月27日のページにまとめています。
関東・東海・近畿・四国への影響:日ごとの見通し
23日(金):晴れ間のある所も。四国・近畿は夜から雨、所により非常に激しく
23日5時発表の天気予報では、東京地方は「くもり 昼過ぎまで時々晴れ」で、関東・東海は高気圧に覆われて大きな崩れはありません。一方、四国と近畿南部は夜から雨になり、徳島県では「夜遅く雷を伴い非常に激しく降る所」、高知県の室戸でも「夜遅く雷を伴い非常に激しく降る」予報です。三重県南部(紀勢・東紀州)も夜遅く激しく降る見込みです。23日の夜に帰宅する方は、雨具を持って出かけてください。
24日(土):前線の雨。関東・東海で降水確率90%、近畿は昼前まで激しい雨の所も
前線が伊豆諸島付近まで北上し、本州の太平洋側は広く雨になります。東京・神奈川・埼玉・静岡・愛知・三重は「雨時々止む」で降水確率90%。大阪府は「昼過ぎまで雨、昼前まで雷を伴い激しく降る所がある」、徳島県は「明け方まで雷を伴い非常に激しく降る所」、高知県は「明け方まで雷を伴い激しく降る所」がある予報です。三重県でも昼前まで激しく降る所がある見込みです。土曜日の屋外のイベントや行楽は雨の前提で計画を。雨の強さは、気象庁の「キキクル(危険度分布)」で確かめられます(キキクルの見方)。
25日(日):関東は雨が小康状態、東海・近畿はにわか雨も。季節外れの暖かさ
関東は「くもり一時雨」で降水確率50%、東海は70%、近畿は70〜80%です。台風は東シナ海を北上中で、南から暖かく湿った空気が流れ込み、朝の気温は平年より3〜10℃高くなります(東京17℃、大阪22℃、高知23℃)。大阪・兵庫は「くもり時々雨」で80%なので、近畿は25日もにわか雨に注意が必要です。前日の雨で増水している川や沢には近づかないようにしましょう。
26日(月):台風(温帯低気圧に変わりつつある)が四国・近畿の南へ。雨と南寄りの風が強まるおそれ
予報円の中心どおりなら、台風は26日3時に九州の西にあり、昼過ぎに四国の南岸付近、夕方〜夜に紀伊半島付近、夜遅くに東海の南へ進む計算です。週間予報は関東〜四国で「くもり時々雨」、降水確率60〜70%。月曜の帰宅時間帯に近畿・東海で雨や風が強まる可能性があります。台風に関する気象情報が発表された場合は、その内容で雨のピークの時間帯を確認してください。線状降水帯の予測情報が出たときの考え方は線状降水帯直前予測とは?にまとめています。
27日(火):温帯低気圧が東海道沖から関東の南へ。朝の通勤・通学に影響の可能性
27日3時に東海道沖で温帯低気圧になり、東北東へ時速40kmで進む予報です。関東は27日の未明〜朝が雨と風のピークになる可能性があり、火曜の朝の通勤・通学の時間帯と重なるおそれがあります。最大瞬間風速は25m/sの予報で、伊豆諸島や関東・東海の沿岸部では南寄りの風が強まり、海上ではうねりが高くなります。風速ごとの影響は風速の目安、鉄道や飛行機が止まる基準は飛行機・電車が止まる風速で解説しています。
28日(水)以降:天気は回復、気温は平年並みへ
28日は「晴れ時々くもり」で、関東〜四国の降水確率は20〜40%。低気圧が東へ離れ、北西からの乾いた空気で朝の気温は平年並みに戻ります。11月1日(日)には東京競馬場で天皇賞(秋)があり、当日の天気は天皇賞(秋)2026の天気で最新の予報を自動表示しています。11月の天気の傾向は11月は暖かい?1か月予報もどうぞ。
注意点と、2回の雨に備えるチェックリスト
今回の台風30号で本州の方に意識してほしいのは、次の3つです。
1つ目は「温帯低気圧に変わっても油断しない」こと。27日3時の予報で最大風速18m/s・最大瞬間風速25m/sは、看板や傘が飛ばされたり、歩きにくくなったりする強さです。台風から温帯低気圧に変わる途中は、風の強い範囲が中心から離れた所まで広がることもあります。風で停電が起こる目安は台風で停電するのは風速何mから?にまとめています。
2つ目は「予報円が大きい」こと。27日3時の予報円は半径370kmで、東京を含む関東・東海の大部分と、伊豆諸島の南の海上までがすっぽり入ります。進路が北にずれれば雨も風も強まり、南にずれれば影響は小さくなります。25日(日)〜26日(月)の新しい台風情報で、予報円が小さくなっていく様子を確認してください。
3つ目は「雨が2回に分かれる」こと。24日の前線の雨で地面や川の水かさが上がったところに、26〜27日の雨が加わります。大雨の警戒レベルや、自治体の避難情報の意味は大雨の警戒レベル4とは?で確認できます。
- 23日(金)のうちに:ベランダや玄関まわりの鉢植え・物干しざおなど、飛びやすい物を片づける。側溝や排水口の落ち葉を取り除く
- 24日(土):前線の雨。近畿・四国は雷を伴って激しく降る所も。屋外の予定は雨天の扱いを確認
- 25日(日):雨の合間に買い出しを。スマートフォンの充電、モバイルバッテリー・懐中電灯の電池を確認
- 26日(月)の帰宅:近畿・東海は夕方〜夜に雨や風が強まる可能性。早めの帰宅や、交通機関の運行情報を確認
- 27日(火)の通勤・通学:関東は未明〜朝がピークの可能性。前の晩に運行情報と学校・職場の連絡を確認
- 伊豆諸島への船・飛行機:26〜27日はうねりや南風で欠航しやすい。移動の予定は振替の手段を確認
- 服装:25日ごろまでは朝でも暖かい一方、28日以降は平年並みに下がるので、羽織りものを用意
雨の量は、毎日の観測データでも確かめられます。今日どこで雨が多かったかは今日の雨が多かった所ランキング、気圧の変化は今日の気圧、台風の情報のまとめは台風情報のページでどうぞ。
よくある質問
Q. 台風30号は関東に来ますか?
気象庁の23日6時45分の予報では、27日(火)3時に東海道沖へ進み、そのときには温帯低気圧に変わっている見込みです。予報円の中心どおりなら、27日3時の時点で伊豆大島の約57km、横浜の約134km、東京の約163kmにあり、そのあと東北東へ進むため、27日朝にかけて関東の沿岸にさらに近づく可能性があります。ただし27日3時の予報円は半径370kmと大きく、海上を離れて通る可能性もあります。
Q. 台風30号はいつ温帯低気圧に変わりますか?
23日6時45分の予報では、26日(月)3時に九州の西にあるときはまだ台風で、27日(火)3時に東海道沖にあるときは温帯低気圧になっています。本州の南岸を通る26日から27日にかけて、台風から温帯低気圧に変わっていく見込みです。
Q. 温帯低気圧に変われば安心ですか?
安心とはいえません。27日3時の予報でも中心気圧998hPa、最大風速18m/s、最大瞬間風速25m/sで、26日3時の台風のとき(996hPa、最大風速20m/s)とあまり変わりません。温帯低気圧は前線をともなって雨や風の範囲が広がることがあるので、引き続き注意が必要です。
Q. 東海・近畿・四国にはいつ近づきますか?
予報円の中心を直線でつないだ計算では、高知に26日14時ごろ(約22km)、徳島に17時ごろ(約56km)、和歌山に18時ごろ(約60km)、大阪・神戸に19時ごろ(約102〜110km)、名古屋に23時ごろ(約124km)、浜松に27日0時ごろ(約61km)、静岡に2時ごろ(約73km)最も近づきます。実際の進路は直線とは違い、予報円も大きいので、時間帯の目安として使ってください。
Q. 関東の雨はいつ降りますか?
雨は2回に分かれる見込みです。1回目は24日(土)で、日本の南の前線が伊豆諸島付近まで北上し、東京地方は降水確率90%の雨。2回目は26日(月)〜27日(火)で、台風から変わる温帯低気圧が近づき、降水確率は26日70%、27日60%です。28日(水)は晴れ時々くもりで20%の予報です(10月22日17時発表の週間予報)。
Q. 過去に似たコースの台風で、本州ではどのくらい雨が降りましたか?
1951〜2025年に台湾〜先島付近を北上してから本州に近づいた10月15日以降の台風は3個で、3日間の雨量は東京で22.0〜54.5mmでした。いちばん似たコースの2000年台風20号では、東京22.0mm、静岡93.5mm、大阪104.0mm。本州に直接上陸した強い台風(2004年23号、2017年21号)のときの約200mmより少なめですが、静岡・近畿では100mmを超えた例もあります。
Q. 台風30号が過ぎたあとの天気はどうなりますか?
28日(水)は関東〜四国で晴れ時々くもり、降水確率20〜40%の予報です。朝の気温は大阪・徳島で13℃と平年並みか少し低めになり、25日の暖かさ(大阪の最低気温22℃)から一気に下がるので、服装の調整が必要です。
- 台風30号は26日3時に九州の西、27日3時に東海道沖へ。27日3時には温帯低気圧に変わる予報(998hPa、最大瞬間風速25m/s)
- 予報円の中心どおりなら、26日昼〜夜に四国・近畿、26日夜〜27日未明に東海、27日未明〜朝に関東の南を通る計算。高知約22km、浜松約61km、静岡約73km、東京約163km(27日3時)
- 27日3時の予報円は半径370km。南岸沿いか海上か、進路はまだ決まっていない
- 雨は24日(土)の前線の雨と26〜27日の低気圧の雨の2回。28日(水)は回復
- 似たコースの過去の台風では東京で22.0〜54.5mmと本州直撃の強い台風(約200mm)より少なめ。ただし静岡・大阪では100mm超の例も。温帯低気圧になっても風雨に注意
出典:気象庁「台風情報」(2026年10月23日6時45分発表)、気象庁「天気予報」(10月23日5時発表の府県天気予報・府県天気概況、10月22日17時発表の週間天気予報)、気象庁「過去の気象データ検索」(日降水量)、気象庁 RSMC Tokyo ベストトラック(1951〜2025年)。距離・過去の台風の抽出・雨量の合計は当サイトの計算。ベストトラックの時刻は世界時を日本時間に直して記載。


