エルニーニョなのに寒いのはなぜ?2026年10月末の寒気|過去16回の秋のうち14回で寒気、51地点で検証

気象

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こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

10月28日は冬型の気圧配置が強まり、北日本の上空には12月上旬並みの寒気が流れ込みました(NHK)。札幌・函館・室蘭では初雪を観測し(ウェザーニュースなど)、SNSには「雪降ってる」「寒い」の声があふれています。一方で、気象庁は10月9日に「エルニーニョ現象が過去最大の強さ」と発表し、今冬は暖冬の見込み。「エルニーニョなら暖かいはずでは?」と不思議に思った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、1968〜2023年のエルニーニョの秋16回について、全国51地点の気象庁の観測から11月の気温と「平年より3℃以上寒い日」を集計し、エルニーニョの年でも晩秋の寒気は来るのかを検証しました。地点を選ぶと、過去のエルニーニョの年の11月と、2026年の実況を比べられるチェッカーつきです。

【すぐわかる答え】エルニーニョで暖かくなりやすいのは「冬」で、秋は西日本を中心にむしろ低めに出やすい季節です(気象庁)。過去16回のエルニーニョの秋のうち14回で、全国平均の気温が平年より3℃以上低い日がありました。過去最強クラスだった1997年も、ちょうど10月27〜28日に全国的な寒気が入っています。

この記事の結論(30秒で読める版)
  • エルニーニョ現象は9月に基準値より+4.0℃と、1949年以降で最大(それまでの最大は1997年12月の+3.6℃)。冬にかけて続く見込み(気象庁、10月9日)
  • 気象庁の統計では、エルニーニョの年は冬は西日本で並か高めだが、秋は西日本で低め、北日本で並か低めに出やすい。「エルニーニョ=いつも暖かい」ではない
  • 過去16回のエルニーニョの秋(1968〜2023年)のうち14回で、全国51地点平均の気温が平年より3℃以上低い日があった(10月20日〜11月30日)
  • 11月の平均気温は、エルニーニョの年と他の年でほとんど差がない(前後5年との差:全国 +0.08℃と+0.12℃)。西日本・沖縄では他の年より0.2℃ほど低め
  • 1997年(過去最強クラス)も10月27・28・31日、2002年も10月28〜30日に全国的な寒気。今回の寒気は「エルニーニョの年によくある晩秋の寒気」と言える
  • 今冬の3か月予報(10月20日)は全国で高温傾向。ただし暖冬でも寒波は来るので、冬の備えはいつも通りに。チェッカーであなたの街を確認

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エルニーニョの秋チェッカー:あなたの街の11月は?

地点を選ぶと、過去のエルニーニョの年の11月が、前後の年と比べて暖かかったか寒かったか、「平年より3℃以上寒い日」が何日あったかを表示します。グラフでは平年・1997年・2026年(実況)の日平均気温を重ねて、今年の寒さがどのくらいかを確かめられます。

エルニーニョの秋チェッカー(51地点)
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エルニーニョの秋:気象庁のエルニーニョ現象の発生期間に秋が含まれる1968〜2023年の16回(1968・69・72・76・79・82・86・87・91・97・2002・09・14・15・18・23年)。11月の気温は日平均気温の月平均を前後5年(その年を除く)の平均と比べた差。「平年より3℃以上寒い日」は日平均気温が平年(1991〜2020年、前後2日を含む平均)より3℃以上低い日(基準が最近の平年のため、1990年代以前の年ほど該当しやすい)。2026年の実況は気象庁の観測を自動表示します。

そもそもエルニーニョ現象とは?2026年は「過去最大の強さ」

エルニーニョ現象は、太平洋の赤道付近の東側(南米ペルー沖)で海面水温が平年より高い状態が続く現象です。ふだんは西側(インドネシア・フィリピン近海)にたまっている暖かい海水が東へ広がり、それにともなって積乱雲がさかんにできる場所も東へずれます。

ふだんの年暖かい海水積乱雲(上昇気流)西(インドネシア・フィリピン近海)東(南米ペルー沖)エルニーニョの年暖かい海水積乱雲(上昇気流)西(インドネシア・フィリピン近海)東(南米ペルー沖)エルニーニョの年は、日本の南の対流(雲の発生)が弱まり、日本付近の気圧配置が変わりやすくなる
図:エルニーニョ現象のしくみ(模式図、当ブログ作成)
項目内容
9月の監視海域の海面水温基準値より+4.0℃
過去との比較1949年以降で最大だった1997年12月の+3.6℃を上回り、過去最大の強さ
今後の見通し冬にかけて過去最大の強さのエルニーニョ現象が続く(可能性100%)
日本の天候9月時点では、エルニーニョ現象時の特徴は明瞭に見られない
次回の発表11月10日
表1:2026年のエルニーニョ現象(気象庁 エルニーニョ監視速報 No.409、10月9日発表)

エルニーニョで暖かいのは「冬」、秋は西日本で低めに出やすい

気象庁は、過去のエルニーニョ現象が起きた年の日本の天候を統計的に調べ、季節ごとの傾向を公表しています。

季節気温の傾向統計期間
秋(9〜11月)西日本で低め、北日本で並か低めに出やすい1948〜2021年
冬(12〜2月)西日本で並か高めに出やすい(いわゆる暖冬傾向)1947/48〜2020/21年
表2:エルニーニョ現象が起きているときの日本の気温の傾向(気象庁) 出典:気象庁「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」

つまり、「エルニーニョ=暖かい」は冬の話で、秋については、西日本を中心にむしろ低めに出やすいというのが気象庁の統計です。秋に低めになる理由は統計上の傾向で、仕組みははっきりしない部分もあります。冬に暖かくなりやすいのは、エルニーニョの年は日本の南で積乱雲の発生が弱まり、冬の季節風(西高東低の冬型)が弱まりやすいためと考えられています。ただし、これはあくまで「出やすい」という傾向で、毎年そうなるわけではありません。

データ検証:エルニーニョの秋16回、晩秋の寒気は来た?

では実際に、過去のエルニーニョの秋はどうだったのでしょうか。気象庁のエルニーニョ現象の発生期間に秋が含まれる1968〜2023年の16回について、全国51地点の日平均気温を集計しました。

地域エルニーニョの年(16回)ラニーニャの年(15回)それ以外(27回)
北日本+0.11℃−0.18℃+0.06℃
東日本+0.20℃−0.32℃+0.08℃
西日本−0.03℃−0.25℃+0.17℃
沖縄・奄美−0.01℃−0.28℃+0.17℃
全国+0.08℃−0.27℃+0.12℃
表3:11月の平均気温(前後5年の11月との差、51地点の地域平均) 1968〜2025年。温暖化の影響を除くため、各年の11月を前後5年(その年を除く)の平均と比べた。エルニーニョの年は発生期間に秋が含まれる年、ラニーニャの年はその冬(12〜2月)に発生していた年。当ブログ集計
  • 11月の平均では、エルニーニョの年とそれ以外の年でほとんど差がありません(全国で+0.08℃と+0.12℃)
  • 西日本・沖縄では、エルニーニョの年がそれ以外の年より0.2℃ほど低め。気象庁の「秋は西日本で低め」と同じ向きです
  • はっきり寒くなりやすいのは、むしろラニーニャの年(全国−0.27℃)でした
  • 年ごとの差は大きく、エルニーニョの年でも2002年は全国で−3.0℃と非常に寒い11月、2015年は+1.5℃と暖かい11月でした
あった年割合
エルニーニョの年16回中14回88%
ラニーニャの年15回中14回93%
それ以外の年27回中20回74%
表4:10月20日〜11月30日に「全国平均で平年より3℃以上寒い日」があった年 全国51地点の日平均気温の平年差(1991〜2020年平年、前後2日を含む平均)を平均した値。基準が最近の平年のため、気温の低かった1990年代以前の年ほど該当しやすい。当ブログ集計

エルニーニョの年でも、晩秋に全国的な強い寒気が入るのは「ふつうのこと」です。各地点で「平年より3℃以上寒い日」の数を前後の年と比べても、エルニーニョの年は平均+0.7日と、それ以外の年(−0.7日)よりわずかに多いくらいでした。

過去最強クラスの1997年も、10月27〜28日に寒気

年全国平均で平年より3℃以上寒い日(最初の3日)
1976年10月26日・29日・30日
1986年10月20日・23日・24日
1997年10月27日・28日・31日
2002年10月28日・29日・30日
1969年11月5日・6日・7日
1991年11月5日・6日・12日
表5:エルニーニョの年に全国的な寒気が入った主な日(10月下旬〜11月上旬) 当ブログ集計

エルニーニョ現象がそれまでの最大の強さになった1997年も、ちょうど10月27〜28日に全国的な寒気が入っていました。2002年も同じ時期です。今回の寒気は、エルニーニョの年の晩秋によく見られるパターンだと言えます。一方、温暖化が進んだ最近のエルニーニョの年(2009・14・15・18・23年)は、こうした日が0〜1日と少なくなっています。

なぜ今、寒いのか:日々の寒さを決めるのは偏西風

エルニーニョ現象は、数か月単位の「天候の傾向」に影響する背景の一つです。その日その日の寒さを決めるのは、偏西風の蛇行と、シベリアからの寒気の流れ込みです。10月27〜28日は、北海道付近で低気圧が急速に発達し(爆弾低気圧)、その後ろから強い寒気が流れ込んで、今季初めての本格的な冬型の気圧配置になりました。

  • 札幌・函館・室蘭で10月28日に初雪。札幌は平年と同じ日(札幌の初雪2026)
  • 気象庁は10月26日、北海道・東北に「低温に関する早期天候情報」を発表。11月1日ごろからの約5日間、「かなりの低温」の確率30%以上(低温の早期天候情報)
  • 関東・近畿では北風が強まり、木枯らし1号の発表の可能性も

今冬はどうなる?3か月予報は「高温傾向」、でも寒波は来る

気象庁の3か月予報(10月20日発表、11〜1月)では、気温は北日本で高い確率50%、東・西日本と沖縄・奄美で高い確率60%。9月に発表された寒候期予報(12〜2月)も暖冬傾向で、10月20日の発表でも変更はありませんでした。詳しくは「今年の冬は暖冬?2026-27」で、エルニーニョの冬18回の検証とともにまとめています。

ただし、暖冬は「冬の平均気温が高い」という意味で、寒波が来ないという意味ではありません。今回のように、エルニーニョの年でも強い寒気は入ります。冬タイヤの準備や水道管の凍結対策、暖房器具の点検は、いつもの冬と同じように進めておきましょう。

サイト内のツールで、この冬の寒さを調べる

去年の今ごろと比べる(札幌):

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都道府県別の11月の平均気温(地図・ランキング):

過去の10月28日の天気(51地点):

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今朝の全国の冷え込みは「今日の日本一寒い場所」、過去の天気は「過去の天気検索」、地点ごとの気候は札幌の気候・東京の気候などで調べられます。服装は「セーター・コート・ダウンはいつから?」、暖房は「暖房はいつから?」もどうぞ。

よくある質問

Q. エルニーニョなのに寒いのはなぜですか?

エルニーニョ現象で暖かくなりやすいのは主に冬で、秋は気象庁の統計で西日本で低め、北日本で並か低めに出やすい季節です。また、その日の寒さは偏西風の蛇行やシベリアからの寒気の流れ込みで決まります。過去16回のエルニーニョの秋のうち14回で、全国平均の気温が平年より3℃以上低い日がありました。

Q. 2026年のエルニーニョ現象はどのくらい強いのですか?

気象庁のエルニーニョ監視速報(10月9日)によると、9月の監視海域の海面水温は基準値より+4.0℃で、1949年以降で最大だった1997年12月の+3.6℃を上回り、過去最大の強さです。冬にかけて続く見込みです。

Q. エルニーニョの年の11月は寒いですか?

1968〜2023年の16回では、11月の平均気温は前後5年と比べて全国平均+0.08℃で、それ以外の年(+0.12℃)とほとんど差がありませんでした。西日本・沖縄ではそれ以外の年より0.2℃ほど低めでした。

Q. 1997年のエルニーニョのときも寒くなりましたか?

1997年も10月27日・28日・31日に、全国51地点平均で平年より3℃以上低い日がありました。2002年も10月28〜30日に同じような寒気が入っています。

Q. 今年の冬は暖冬ですか?

気象庁の3か月予報(10月20日、11〜1月)では、気温は北日本で高い確率50%、東・西日本と沖縄・奄美で高い確率60%と、高温傾向です。ただし暖冬でも寒波が来ないわけではありません。

Q. ラニーニャの年はどうですか?

その冬にラニーニャ現象が起きていた年の11月は、前後5年と比べて全国平均−0.27℃と、エルニーニョの年より寒くなりやすい傾向がありました。

まとめ
  • 2026年のエルニーニョ現象は過去最大の強さ(9月に+4.0℃)で、冬にかけて続く見込み
  • エルニーニョで暖かくなりやすいのは冬。秋は西日本で低め、北日本で並か低めに出やすい(気象庁)
  • 過去16回のエルニーニョの秋のうち14回で全国的な強い寒気。1997年・2002年も10月下旬に寒気
  • 11月の平均気温はエルニーニョの年とそれ以外でほぼ同じ。日々の寒さは偏西風と寒気で決まる
  • 今冬は高温傾向の予報でも、寒波への備えはいつも通りに

出典:気象庁「エルニーニョ監視速報(No.409)」、気象庁「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」、気象庁「エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間」、気象庁「3か月予報」(2026年10月20日発表)、気象庁「過去の気象データ検索」、NHK(2026年10月28日)、ウェザーニュース(2026年10月28日)。集計・グラフは当ブログによるものです。

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