気象予報士試験 学科専門②「数値予報のしくみ」完全解説|データ同化と初期値・静力学と非静力学・格子とパラメタリゼーション・GSM/MSM/LFMの使い分け・予測可能性|出題傾向とオリジナル問題15問+一問一答20問【元気象庁職員が解説】

格子を思わせる六角形の背景に、緑色の日本地図と観測点の光を重ねたイメージ 気象

数値予報は学科専門で毎回2〜3問出る分野で、「数値予報モデルの基本方程式と近似(静力学・非静力学)」「初期値の作り方(データ同化)」「格子間隔と表現できる現象・パラメタリゼーション」「気象庁の各モデルの仕様(GSM・MSM・LFM・アンサンブル)」「予報誤差の成長と予測可能性」が問われます。数字(格子間隔・予報時間・メンバー数)は運用変更で変わるので、「細かいモデルほど予報時間が短い」「アンサンブルはスプレッドで信頼度を測る」といった関係で理解しておくのが安全です。この記事は出題傾向、3つの図解、オリジナル問題15問+一問一答20問で構成しています。ガイダンスと精度評価は次の記事で扱います。

のぶ
やん
予報現業では毎日、GSM・MSM・LFMの3つのモデルと海外のモデルを並べて見ます。「MSMは局地的な大雨を出しやすいが位置がずれる」「GSMは台風の進路が安定」のようなモデルの癖を知って使うのが予報官の仕事です。試験では、その癖の理由(格子間隔・パラメタリゼーション・初期値)が問われます。

出題傾向|第55〜65回でどう出たか

直近11回で数値予報に分類できる出題はのべ27問(1回あたり2〜3問)。ガイダンス・アンサンブルを含めるとさらに増えます。

分野・論点出題頻度典型的な問われ方
格子間隔・解像度と表現できる現象◎ ほぼ毎回格子より小さい現象はパラメタリゼーション、格子間隔の数倍以下は表現不可、水平と鉛直の格子
気象庁モデルの仕様と使い分け◎ ほぼ毎回GSM・MSM・LFMの領域・格子・予報時間・用途、境界値、静力学と非静力学
データ同化・初期値○ 2回に1回第一推定値、4次元変分法、観測の品質管理、解析予報サイクル
パラメタリゼーション○ 2回に1回積雲対流・放射・境界層・雲物理・地表面の各過程、なぜ必要か
基本方程式と近似△ 3回に1回プリミティブ方程式、静力学近似が使える条件、CFL条件とタイムステップ
予報誤差の成長・予測可能性△ 3回に1回初期値誤差の増幅、予測可能な期間(約2週間)、アンサンブルの目的
当サイトの分類。「解像度と予報時間」「パラメタリゼーション」が2本柱
この分野の攻略ポイント
  • 流れは「観測→データ同化(初期値)→モデル(力学+物理)→ガイダンス→予報官」。初期値の質が予報の質を決める
  • 解像度の原則:格子が細かいほど計算量が増え、領域を狭く・予報時間を短くせざるを得ない(GSM 13km・11日 → MSM 5km・39〜78時間 → LFM 2km・10〜18時間)
  • 格子で表現できない現象(積乱雲・乱流・放射・雲の微物理)はパラメタリゼーションで「格子平均への効果」として計算する。格子が細かくなると積雲対流のパラメタリゼーションが不要になる(LFM)
  • 誤差は初期値のわずかな違いから指数関数的に成長(カオス)。予測可能性の限界は総観規模で約2週間。だからアンサンブル

数値予報の全体の流れ

① 観測データ地上・ゾンデ・衛星・レーダー・航空機など② データ同化(客観解析)前回の予報値(第一推定値)を観測で修正して初期値を作る③ 数値予報モデル(時間積分)力学過程+物理過程(パラメタリゼーション)④ ガイダンス統計的に系統誤差を補正し天気要素に翻訳⑤ 予報官の判断複数モデル・実況を見て予報を発表予報値が次回の第一推定値になる(解析予報サイクル)数値予報は「観測→同化→予報→補正」のサイクル。初期値のわずかな誤差が時間とともに成長する(カオス)
図1 数値予報のサイクル。前回の予報が次回の初期値の土台になる

数値予報は、大気の状態を格子点上の数値(気圧・気温・風・水蒸気など)で表し、物理法則の方程式をコンピュータで時間積分して未来の状態を計算する方法です。出発点となる初期値は、観測値をそのまま並べたものではなく、前回の予報値(第一推定値)を観測で修正して作ります(データ同化)。観測は場所も時刻もまばらで、格子点すべてを埋められないからです。予報が終わると、その予報値が次の初期値の土台になる。この繰り返しを解析予報サイクルと呼びます。

基本方程式と近似|静力学と非静力学

方程式内容ポイント
運動方程式(3成分)風の時間変化=気圧傾度力+コリオリ力+重力+摩擦ニュートンの第2法則。鉛直成分を静力学平衡で置き換えるのが静力学近似
熱力学方程式気温の時間変化=断熱変化+非断熱加熱(放射・潜熱・顕熱)第一法則。潜熱・放射の項はパラメタリゼーションで
連続の式質量保存。収束すると密度(気圧)が増える・上昇流が生じる静力学モデルでは鉛直流を連続の式から診断的に求める
状態方程式p=ρRT気圧・密度・気温を結ぶ
水蒸気の保存式水蒸気(と雲水・雨など)の時間変化=移流+蒸発−凝結雲物理過程を含む
基本方程式。これらをまとめて「プリミティブ方程式」(静力学近似したもの)と呼ぶ

静力学近似は「鉛直方向の加速度を無視して、気圧傾度力と重力がつり合っている」とする近似で、水平スケールが鉛直スケール(約10km)より十分大きい現象(格子間隔が10km程度以上)で成り立ちます。全球モデル(GSM)はこの近似を使った静力学モデルです。一方、格子間隔が数km以下になると積乱雲のような強い鉛直加速度をもつ現象を直接計算する必要があり、鉛直の運動方程式をそのまま解く非静力学モデル(MSM・LFM)を使います。

時間積分の刻み(タイムステップ)はCFL条件で制限されます。1ステップの間に情報が1格子以上進んではいけない(Δt < Δx/速度)ので、格子を細かくするとタイムステップも短くしなければならず、計算量は格子間隔の3〜4乗で増えます。これが「細かいモデルほど領域・予報時間が短い」理由です。音波や重力波の速さで制限されるため、それらを暗黙的に扱う工夫(セミインプリシット法)や、風速だけで制限するセミラグランジュ法が使われます。

データ同化|初期値の作り方

用語内容
第一推定値前回(6時間前など)の初期値から計算した短時間予報値。観測のない場所や要素を埋め、力学的に整合した場を与える
客観解析第一推定値と観測値を、それぞれの誤差の大きさに応じた重みで組み合わせて格子点の値を決める。観測誤差が小さいほど観測に近づける
4次元変分法(4D-Var)同化する時間幅(6時間など)の中の観測を、モデルの時間発展と整合するように初期値を最適化する。GSM・MSMで採用。観測時刻がばらばらでも使える
アンサンブルカルマンフィルタ(EnKF・LETKF)アンサンブル予報のばらつきから「その日の誤差の大きさ・相関」を推定して重みを決める。ハイブリッド手法として組み込まれている
品質管理観測値の誤り(センサー不良・通信エラー・代表性のない値)を第一推定値との差などで検出して除外
衛星データ現在の初期値に最も貢献。輝度温度(放射量)をそのまま同化(変分法なら放射伝達モデルで比較できる)。海上・南半球で特に重要
初期値化同化の結果に含まれる不自然な高周波の揺れ(重力波)を取り除き、予報開始直後の不安定を防ぐ
データ同化の用語。「第一推定値」「誤差に応じた重み」「4D-Var」が頻出

「観測値をそのまま初期値にすればよいのでは」と思いがちですが、観測は空間的にまばら(海上・上空はほとんどない)で誤差があり、そのまま使うとモデルの中で不整合な波が発生します。第一推定値という「力学的に整合した下地」に観測を溶け込ませるのが同化の考え方です。

格子とパラメタリゼーション|表現できない現象をどう扱うか

全球モデル GSM(約13km)積乱雲台風・低気圧・前線は表現できる。積乱雲1個は格子より小さく「パラメタリゼーション」で扱う局地モデル LFM(約2km)積乱雲積乱雲を直接計算できる(非静力学)。ただし全球には使えず、予報時間も短い格子間隔の5〜8倍より小さい現象はモデルで表現できない(13kmなら約100km未満は苦手)
図2 格子間隔と積乱雲。13km格子では積乱雲は格子1つより小さく、直接は計算できない

モデルは格子点の値しか持たないので、格子間隔より小さい現象(サブグリッドスケール)は直接表現できません。実際には格子間隔の5〜8倍程度の大きさがないとまともに表現できないので、13km格子なら100km未満の現象は苦手です。しかし積乱雲・乱流・放射・雲粒の成長などは格子より小さくても大気全体に大きな影響を与えるため、格子点の値(気温・湿度・風など)からその効果を統計的・経験的に見積もるのがパラメタリゼーションです。

物理過程何を見積もるか備考
積雲対流格子内の積乱雲による潜熱の放出・水蒸気の鉛直輸送・降水格子が細かくなると(数km以下)積乱雲を直接計算でき、不要になる。LFMは積雲対流パラメタリゼーションを使わない
雲物理(雲微物理)雲水・雲氷・雨・雪・あられの生成・成長・落下格子スケールの雲による降水。細かいモデルほど重要
放射太陽放射・赤外放射の吸収・射出による加熱・冷却雲・水蒸気・CO₂・オゾンの効果。計算が重いので間引いて実行
大気境界層・乱流地表付近の乱流による運動量・熱・水蒸気の鉛直輸送混合層の発達、地上気温・風の予測に直結
地表面過程地面・海面と大気の熱・水蒸気のやり取り、積雪、土壌水分海面水温は観測値を与える(結合しない場合)
重力波抵抗山岳で発生する重力波が上空で砕けて風を弱める効果格子で表現できない地形の効果
パラメタリゼーションの対象。「格子で解けないものを格子の値から見積もる」

気象庁のモデル|仕様は関係で覚える

モデル領域・格子予報時間主な用途特徴
全球モデル GSM全球・水平約13km・鉛直128層5.5日(132時間)、12UTC初期値は11日(264時間)週間予報・台風進路予報・府県予報の骨格・海外静力学。境界値不要。1日4回
メソモデル MSM日本周辺・約5km・鉛直96層39時間(00・12UTCは78時間)府県予報・大雨大雪の量的予想・警報非静力学。側面境界値はGSMから。1日8回(3時間ごと)
局地モデル LFM日本周辺・約2km・鉛直76層10〜18時間航空・局地的な大雨・竜巻の環境場非静力学。積雲対流パラメタリゼーションなし。1日24回(毎時)
全球アンサンブル GEPS全球・約27〜40km18日(週1回は34日)週間予報・台風の不確実性・2週間気温予報・早期天候情報・1か月予報多数のメンバー(数十)で不確実性を評価
メソアンサンブル MEPS日本周辺・約5km39時間大雨・大雪の不確実性、警報級の可能性MSMを親モデルとするアンサンブル
季節アンサンブル全球・大気海洋結合数か月3か月予報・暖候期寒候期予報・エルニーニョ予測海洋の変化まで計算
気象庁の主なモデル(2025年時点の目安)。格子間隔・予報時間・メンバー数は更新されるので最新の「数値予報モデルの概要」で確認

覚え方は「細かいほど短い」です。全球13km→11日、メソ5km→39〜78時間、局地2km→10〜18時間。領域モデル(MSM・LFM)は側面境界で外からの空気を与える必要があり、それは一段粗いモデル(GSMやMSM)の予報値から取ります。だから領域モデルは親モデルの予報より長く計算できず、境界付近の精度は親モデルに依存します。海外のモデル(ECMWF・GFSなど)との比較はWindyの使い方で実物を見られます。

のぶ
やん
「MSMのほうがGSMより細かいのだから、いつでもMSMのほうが正確」ではありません。細かいモデルは局地的な大雨を「出す」力はありますが、位置や時間がずれることも多い。予報官はGSMで大きな流れを、MSM・LFMで局地の可能性を見て、アンサンブルで自信の度合いを測ります。この使い分けの理屈が試験で問われます。

誤差と予測可能性|なぜ2週間が限界か

0246810予報時間(日)予報値(ある地点の気温偏差など)初期値をわずかに変えた多数の予報(アンサンブルメンバー)→ ばらつき(スプレッド)が小さい期間は信頼度が高く、大きくなると信頼度が低い決定論予報1本ではこの不確実性が分からない
図3 初期値をわずかに変えると予報は時間とともに広がる。この広がりを利用するのがアンサンブル予報
  • 大気はカオス的で、初期値のわずかな誤差(観測できない小さな乱れ)が時間とともに指数関数的に成長する。誤差の倍増時間は総観規模で2〜3日程度
  • 観測をどれだけ増やしても初期値の誤差は0にならないので、決定論的な予報の限界は総観規模で約2週間とされる(ローレンツ)。それより先は「平年からのずれの確率」(季節予報)としてしか予測できない
  • 現象が小さいほど予測可能な時間は短い:積乱雲は1時間程度、メソスケールの雨域は半日程度、温帯低気圧は数日、偏西風の大きな流れは1〜2週間
  • 誤差の源は初期値の誤差だけでなくモデルの誤差(パラメタリゼーションの不完全さ、解像度)もある。アンサンブルでは初期値だけでなくモデルの物理過程にもばらつきを与える
  • アンサンブル予報は初期値をわずかに変えた多数の予報(メンバー)を計算し、その平均(アンサンブル平均、1本の予報より精度が高い)とばらつき(スプレッド)から信頼度・確率を求める。詳しくはガイダンス・精度・アンサンブル

ひっかけ10選

選択肢の言い方正誤なぜ
数値予報の初期値は観測値をそのまま格子点に内挿して作る×第一推定値(前回の予報)を観測で修正する(データ同化)
全球モデルは非静力学モデルである×GSMは静力学。MSM・LFMが非静力学
格子間隔と同じ大きさの現象はモデルで正確に表現できる×格子間隔の5〜8倍程度以上が必要
格子が細かいモデルほど予報時間を長くできる×計算量が増えるので短くなる
積雲対流のパラメタリゼーションは格子間隔が細かいほど重要になる×数km以下では積乱雲を直接計算でき不要になる
領域モデル(MSM)は側面境界値を必要としない×外側からGSMの予報値を与える
観測を十分に増やせば数値予報の誤差はなくせる×カオス性により誤差は必ず成長。限界約2週間
アンサンブル予報のスプレッドが大きいほど予報の信頼度は高い×スプレッド大=ばらつき大=信頼度が低い
衛星の輝度温度は気温に変換してから同化する×放射伝達モデルを使って輝度温度のまま同化する
アンサンブル平均は個々のメンバーより一般に精度が高い○予測しにくい細部の誤差が打ち消される
ひっかけ10選

オリジナル問題15問

仕様の数字は「関係」で判断。過去問は気象業務支援センターで。

問1 【データ同化】 難易度:★ 択一
数値予報の初期値について正しいものを選べ。
  1. ① 観測値をそのまま格子点に内挿して作る
  2. ② 前回の予報から得た第一推定値を、観測値でその誤差に応じた重みをつけて修正して作る
  3. ③ 観測値だけを用い、予報値は使わない
  4. ④ 衛星観測は精度が低いので初期値には使わない
  5. ⑤ 初期値の誤差は予報時間とともに小さくなる
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正解:②
②。データ同化。観測はまばらで誤差があるので、力学的に整合した第一推定値に溶け込ませる。誤差は成長する。
問2 【データ同化】 難易度:★★ 択一
4次元変分法(4D-Var)について正しいものを選べ。
  1. ① 1つの時刻の観測だけを用いる
  2. ② 同化する時間幅の中の観測をモデルの時間発展と整合するように使って初期値を最適化する
  3. ③ アンサンブル予報を必要とする手法である
  4. ④ 観測値の品質管理を行わない
  5. ⑤ 静力学モデルでは使えない
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正解:②
②。GSM・MSMで採用。時刻のばらばらな観測(衛星など)を活かせる。
問3 【方程式】 難易度:★★ 択一
静力学近似について正しいものを選べ。
  1. ① 鉛直方向の運動方程式を、気圧傾度力と重力のつり合いに置き換える近似で、水平スケールが鉛直スケールより十分大きい現象で成り立つ
  2. ② 水平方向の運動方程式を省略する近似である
  3. ③ 格子間隔が2km程度の局地モデルで用いられる
  4. ④ 積乱雲の鉛直加速度を正確に計算できる
  5. ⑤ 気温を一定とする近似である
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正解:①
①。格子10km程度以上のモデル(GSM)で使用。MSM・LFMは非静力学。
問4 【格子】 難易度:★ 択一
数値予報モデルの格子間隔について正しいものを選べ。
  1. ① 格子間隔と同じ大きさの現象まで正確に表現できる
  2. ② 格子間隔を半分にすると計算量は約2倍になる
  3. ③ 格子間隔の数倍以下の大きさの現象は表現できない
  4. ④ 格子間隔を細かくするとタイムステップを長くできる
  5. ⑤ 鉛直方向の格子は水平方向より粗い
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正解:③
③。5〜8倍程度が目安。半分にすると水平で4倍、タイムステップも半分で計約8倍以上。CFL条件でΔtは短くなる。鉛直層は数十m〜数百mで水平より細かい。
問5 【パラメタリゼーション】 難易度:★ 択一
パラメタリゼーションについて正しいものを選べ。
  1. ① 格子で表現できる現象を計算する手法である
  2. ② 格子間隔より小さい現象の効果を、格子点の値から統計的・経験的に見積もる手法である
  3. ③ 放射過程はパラメタリゼーションの対象ではない
  4. ④ 格子を細かくするほどすべてのパラメタリゼーションが必要になる
  5. ⑤ 観測値を初期値に取り込む手法である
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正解:②
②。積雲対流・放射・境界層・雲物理・地表面など。積雲対流は格子が数km以下では不要になる。
問6 【パラメタリゼーション】 難易度:★ 択一
積雲対流のパラメタリゼーションについて正しいものを選べ。
  1. ① 局地モデル(約2km)では必須である
  2. ② 格子間隔が十分細かく積乱雲を直接計算できるモデルでは不要になる
  3. ③ 雲の放射効果を計算する手法である
  4. ④ 全球モデルでは使われない
  5. ⑤ 地表面の熱交換を計算する手法である
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正解:②
②。LFMは積雲対流パラメタリゼーションを用いない。GSM・MSMでは使用。
問7 【モデル】 難易度:★ 択一
気象庁の全球モデル(GSM)について正しいものを選べ。
  1. ① 非静力学モデルで格子間隔は約2kmである
  2. ② 水平格子間隔は約13kmで、週間予報や台風進路予報に用いられる
  3. ③ 予報時間は最長39時間である
  4. ④ 側面境界値をメソモデルから受け取る
  5. ⑤ 日本周辺のみを計算する
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正解:②
②。静力学、全球、最長264時間(12UTC)。境界値不要。
問8 【モデル】 難易度:★ 択一
気象庁のメソモデル(MSM)について正しいものを選べ。
  1. ① 全球を約5km格子で計算する
  2. ② 日本周辺を約5km格子の非静力学モデルで計算し、側面境界値は全球モデルの予報値から与える
  3. ③ 予報時間は最長11日である
  4. ④ 静力学モデルである
  5. ⑤ 積雲対流のパラメタリゼーションを用いない
解答・解説を見る
正解:②
②。予報時間39〜78時間。MSMは積雲対流パラメタリゼーションを用いる。
問9 【モデル】 難易度:★ 択一
気象庁の局地モデル(LFM)について正しいものを選べ。
  1. ① 格子間隔約13kmで全球を計算する
  2. ② 格子間隔約2kmで日本周辺を計算し、予報時間は10〜18時間程度で航空や局地的な大雨の予測に用いる
  3. ③ 予報時間は最長11日である
  4. ④ 静力学近似を用いる
  5. ⑤ 1日1回だけ実行される
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正解:②
②。非静力学、毎時実行。細かいほど短い。
問10 【モデル】 難易度:★ 択一
モデルの解像度と予報時間の関係について正しいものを選べ。
  1. ① 解像度が高いほど計算量が増えるため、領域を狭くし予報時間を短くせざるを得ない
  2. ② 解像度が高いほど予報時間を長くできる
  3. ③ 解像度と予報時間は無関係である
  4. ④ 全球モデルは領域モデルより解像度が高い
  5. ⑤ 領域モデルは全球モデルより予報時間が長い
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正解:①
①。GSM 13km・11日、MSM 5km・39〜78時間、LFM 2km・10〜18時間。
問11 【モデル】 難易度:★★ 択一
領域モデルの側面境界について正しいものを選べ。
  1. ① 領域モデルは境界値を必要としない
  2. ② 側面境界値は一段粗いモデルの予報値から与えられ、領域の縁付近の精度は親モデルに依存する
  3. ③ 側面境界値は観測値から直接作る
  4. ④ 側面境界値は初期時刻の値を固定して使う
  5. ⑤ 側面境界の影響は領域の中央で最も大きい
解答・解説を見る
正解:②
②。MSMはGSMから、LFMはMSMから。時間変化する境界値を与える。
問12 【予測可能性】 難易度:★ 択一
数値予報の予測可能性について正しいものを選べ。
  1. ① 観測を十分に増やせば予報誤差はなくなる
  2. ② 初期値のわずかな誤差が時間とともに成長するため、総観規模の決定論的予報の限界は約2週間とされる
  3. ③ 予測可能な期間は現象の大きさによらず一定である
  4. ④ 積乱雲は温帯低気圧より長い時間先まで予測できる
  5. ⑤ 予報誤差は初期値の誤差だけから生じ、モデルには誤差がない
解答・解説を見る
正解:②
②。小さい現象ほど予測可能時間は短い。モデル誤差もある。
問13 【アンサンブル】 難易度:★ 択一
アンサンブル予報について正しいものを選べ。
  1. ① 初期値をわずかに変えた多数の予報を行い、そのばらつきから予報の信頼度や確率を求める
  2. ② スプレッドが大きいほど予報の信頼度が高い
  3. ③ アンサンブル平均は個々のメンバーより必ず精度が低い
  4. ④ 決定論的予報と同じ解像度で同じ計算量で実行できる
  5. ⑤ 短時間予報にのみ用いられる
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正解:①
①。スプレッド大=信頼度低。アンサンブル平均は一般に精度が高い。多数計算するため解像度は落とす。週間〜季節予報で活用。
問14 【データ同化】 難易度:★★ 択一
衛星観測データの同化について正しいものを選べ。
  1. ① 衛星データは初期値にほとんど寄与しない
  2. ② 輝度温度を放射伝達モデルで計算した値と比較し、そのまま同化することができる
  3. ③ 衛星データは陸上でのみ使われる
  4. ④ 衛星の輝度温度は必ず気温に変換してから同化する
  5. ⑤ 衛星データは静止衛星のものだけが使われる
解答・解説を見る
正解:②
②。変分法の利点。海上・南半球で特に重要。極軌道衛星のマイクロ波・赤外サウンダが主力。
問15 【方程式】 難易度:★★ 択一
CFL条件について正しいものを選べ。
  1. ① タイムステップの間に情報が1格子間隔以上進んではならないという時間積分の安定条件で、格子を細かくするとタイムステップも短くする必要がある
  2. ② 格子間隔を細かくするとタイムステップを長くできる条件である
  3. ③ データ同化の収束条件である
  4. ④ パラメタリゼーションの精度条件である
  5. ⑤ 静力学近似が成り立つ条件である
解答・解説を見る
正解:①
①。Δt<Δx/c。セミインプリシット法やセミラグランジュ法で緩和する。

一問一答20問|分野別の成績が出ます

数値予報 一問一答20問

数字は「細かいほど短い」の関係で。

この分野でよくある質問

Q. モデルの格子間隔や予報時間は覚える必要がありますか?

A. 大まかな値(GSM約13km・11日、MSM約5km・39〜78時間、LFM約2km・10〜18時間)と「細かいほど短い」という関係を覚えてください。細かい数字は運用変更で変わるので、選択肢も桁違いの値で作られることが多いです。

Q. データ同化と客観解析は同じですか?

A. ほぼ同じ意味で使われます。客観解析は「観測から格子点値を客観的に決める」こと、データ同化は「モデルの予報値と観測を組み合わせて初期値を作る」ことで、現在の手法(変分法・アンサンブルカルマンフィルタ)は後者の考え方です。

Q. パラメタリゼーションはなぜ誤差の原因になるのですか?

A. 格子内の平均状態から積乱雲などの効果を「推定」しているため、実際の雲と一致しないからです。特に対流性の降水の量と位置はパラメタリゼーションの影響が大きく、モデル間の差の主因です。

Q. なぜ2週間より先は予報できないのですか?

A. 大気がカオス的で、観測できないほど小さな初期値の誤差が数日で倍増を繰り返し、2週間ほどで気候的なばらつきと同程度になるからです。それより先は「平年より高い確率が何%」という確率予報になります。

Q. この分野は実技で使いますか?

A. 実技の資料はほとんどが数値予報の出力(予想天気図・予想図)です。「12時間後の予想図」「FXFE」などの資料の性質と限界を知っていると、読み取りの判断が速くなります。

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基礎知識

学科一般

学科専門

実技

ツール・実況

まとめ
  • 流れは観測→データ同化(第一推定値を観測で修正)→モデル→ガイダンス→予報官。解析予報サイクル
  • 静力学近似は水平≫鉛直の現象で成立(GSM)、MSM・LFMは非静力学。CFL条件で格子が細かいほどタイムステップが短い
  • 格子の5〜8倍以下は表現不可。サブグリッドはパラメタリゼーション(積雲対流・放射・境界層・雲物理・地表面)。積雲対流は数km以下で不要
  • モデルは細かいほど領域が狭く予報時間が短い:GSM 13km・11日/MSM 5km・39〜78h/LFM 2km・10〜18h。領域モデルは側面境界値を親から
  • 誤差は指数関数的に成長し限界は約2週間。アンサンブルはスプレッドで信頼度(大=低)、平均は1本より高精度

出典:気象庁「数値予報モデルの概要」「数値予報解説資料」「数値予報課報告・別冊」、気象業務支援センター「気象予報士試験 過去の試験問題」。オリジナル問題の設問・選択肢は当サイト作成です。モデルの仕様は更新されるため最新の資料で確認してください。

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