飛行機が欠航する天気の基準|横風・視程・雲底・雷雪の目安をVFR/IFRで解説、欠航リスクチェッカーと空港別の傾向【気象予報士】

9月の台風接近数で色分けした日本地図に空港の光と風の線を重ねたイメージ 気象

飛行機が欠航するかどうかは「風速○m/s以上」のような一律の基準ではなく、「横風・視程・雲底・雷や雪の有無」を航空会社が機材ごとに判断して決めています。ただし目安はあります。旅客機の横風制限はおおむね30〜35ノット(15〜18m/s)、視程と雲底は飛行区分(VFR・MVFR・IFR・LIFR)で4段階に整理でき、雷が空港周辺にあると地上作業が止まります。この記事では、その目安を数字で示し、METARの数値を入れると欠航・遅延リスクの目安が出るチェッカーと、日本の空港別の「欠航しやすい天気」をまとめました。今の状況は世界385空港の「いま飛べるか」マップMETAR・TAF リアルタイム表示で確認できます。

のぶやん
のぶやん

「風速25m/sで欠航」といった一つの数字が独り歩きしていますが、実際は滑走路に対する横風の成分が問題で、同じ20m/sでも滑走路と平行なら飛べて、直角なら難しい。この記事はその考え方を説明します。

欠航の目安の結論
  • :滑走路に対する横風成分が30〜35ノット(15〜18m/s)を超えると多くの旅客機で着陸できない。追い風は10ノット程度が上限
  • 視程・雲底:視程1.6km未満または雲底500ft未満(LIFR)は、CAT II/III対応の空港・機材以外は着陸できない。視程5km・雲底1,000ft以上(MVFR以上)なら通常運航
  • :空港から数kmに雷があると給油・荷役が止まり、出発遅延・上空待機・目的地変更が起きる
  • :除雪と防除氷作業で遅延。着氷性の雨(FZRA)は運航が大きく制限される
  • 台風:暴風域に入る見込みで前日に計画運休が決まるのが近年の標準

欠航リスクの目安チェッカー

METAR(空港の実況)の風速・風向・視程・雲底を入れると、横風成分と飛行区分、リスクの目安が出ます。風向と滑走路の角度差は、空港ページの滑走路方位から求めます(例:福岡空港の滑走路は16/34=南南東・北北西なので、西風なら角度差約70度)。

欠航・遅延リスクの目安チェッカー(METARの数値を入れる)

m/s m/s

視程・雲

m
ft

現象

風|横風成分で決まる

旅客機は滑走路の向きに離着陸するので、問題になるのは滑走路に直角な風の成分(横風成分)です。横風成分=風速×sin(風向と滑走路の角度差)。滑走路と平行な風なら横風は0で、直角なら風速そのまま。各機種には横風の制限値(デモンストレーテッド・クロスウインド)があり、小型のリージョナル機で25ノット前後、ボーイング737やエアバスA320クラスで33〜38ノット前後、大型機でも35〜40ノット程度が目安です。滑走路が濡れていたり雪があるとさらに厳しくなります。

横風成分運航の目安
〜15ノット(〜8m/s)通常運航。揺れは小さい
15〜25ノット(8〜13m/s)通常運航だが着陸時に揺れる。ガストが大きいと着陸やり直し(ゴーアラウンド)が増える
25〜33ノット(13〜17m/s)機材・乗員の制限に近づく。条件付き運航、目的地変更の可能性
33ノット以上(17m/s以上)多くの旅客機で制限超え。欠航・ダイバートの可能性が高い
機種・滑走路の状態・航空会社の規定で異なる目安

追い風は10ノット(一部15ノット)が上限で、追い風が強いと反対向きの滑走路に切り替えます。福岡空港のように滑走路が1本で向きが固定されている空港は、横風の影響を受けやすくなります。各空港の滑走路の向きと「横風になりやすい風向」は、福岡空港など空港別ページに載せています。風速の数字と体感の対応は風速の目安で。

視程と雲底|飛行区分(VFR・IFR)で見る

飛行区分視程雲底(シーリング)運航への影響
VFR(有視界飛行が可能)8km超3,000ft超問題なし
MVFR(限界的)5〜8km1,000〜3,000ft通常運航。上空待機がやや増える
IFR(計器飛行)1.6〜5km500〜1,000ft計器進入。到着間隔が広がり遅延
LIFR(低い計器飛行)1.6km未満500ft未満CAT II/III運用の空港・機材以外は着陸不可。欠航・ダイバート
米国の区分だが、世界共通の物差しとして使われる。視程と雲底の悪いほうで決まる

雲底は、雲量がBKN(5〜7)以上の雲の底の高さです。霧(FG)は視程1km未満なので自動的にLIFRになります。成田・羽田・新千歳・関西などはCAT III(視程200m前後でも着陸できる)の設備があり、パイロットと機材が対応していれば霧でも降りられますが、地方空港はCAT Iまでが多く、視程550m・雲底200ftを下回ると着陸できません。「いま飛べるか」マップで世界385空港の区分を色で確認できます。

雷・雪・台風・火山灰|現象別の影響

現象METARの記号何が起きるか
TS / TSRA / CB空港周辺(目安5〜8km)に雷があると、給油・荷物の積み下ろし・誘導が中断。出発遅延、到着機は上空待機か目的地変更。夏の午後に多い
SN / -SN滑走路の除雪で一時閉鎖、機体の防除氷作業で1機あたり数十分の遅れ。積雪が続くと欠航が連鎖
着氷性の雨・霧雨FZRA / FZDZ機体に氷が付く危険。運航が大きく制限される。北海道・東北の冬に
FG / BR視程が急に落ちる。明け方に多く、日が出ると回復。CAT IIIのない空港で欠航
台風(風・雨として現れる)暴風域に入る見込みで前日〜当日朝に計画運休。風がおさまっても機体の配置の乱れで翌日まで影響
火山灰VAエンジンへの影響で空域が閉鎖。桜島・阿蘇・霧島の噴火で鹿児島・熊本・宮崎便に影響
低層ウインドシアWS(RMKやTAF)着陸直前の急な風の変化。着陸やり直しが増える。前線通過や積乱雲の周辺
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日本の空港別|欠航しやすい天気

空港滑走路欠航・遅延の主因時期
新千歳(RJCC)01/19 ×2大雪・地吹雪・着氷。除雪で滑走路閉鎖12〜2月
羽田(RJTT)4本(A〜D)冬の強い北風で使える滑走路が減り遅延。台風1〜2月・9月
成田(RJAA)16/34 ×2春の南風の強風(横風)、霧、台風3〜4月・9月
関西(RJBB)06/24 ×2台風(2018年台風21号で冠水)、冬の強い北西風9月・1〜2月
福岡(RJFF)16/34 ×1滑走路1本のため横風の影響大。夏の雷雨、台風7〜9月
那覇(ROAH)18/36 ×2台風。夏〜秋は接近のたびに欠航7〜10月
鹿児島(RJFK)16/34桜島の火山灰、霧、台風通年(灰)・秋
釧路・女満別・中標津海霧(夏)、雪(冬)6〜8月・12〜2月
出雲・鳥取・但馬冬の季節風と雪、横風12〜2月
各空港ページに月別の気象傾向と過去10年の実績(視程・風・雷の頻度)があります

台風のときの目安は、台風のたまご・最新進路予想の各国モデル比較で「暴風域に入る時刻」を見ると、欠航が決まる前日の段階で見当がつきます。沖縄・石垣・宮古の台風シーズンは沖縄に台風が多い時期で月別に整理しています。

欠航を予想して備えるための順番

  1. 前日:TAF(空港の予報)でTEMPO・BECMGの中身を見る。TSやFZ、視程4桁が2000以下、横風になる風向が予報されていれば要警戒。読み方はMETAR・TAFの読み方
  2. 当日朝:METARの実況で横風成分と飛行区分を確認(上のチェッカー)。飛べるかマップで出発地と到着地の色を見る
  3. 出発前:航空会社の運航情報。条件付き運航(引き返し・目的地変更の可能性あり)の表示が出たら、到着地の天気も確認
  4. 備え:欠航時の振替・払い戻しの規定、翌日の宿、乗り継ぎの余裕。台風は前日に計画運休が決まるので、早めの変更が安い

欠航の基準 よくある質問

飛行機は風速何m/sで欠航しますか?

一律の基準はなく、滑走路に対する横風成分で判断されます。多くの旅客機の横風制限は30〜35ノット(15〜18m/s)前後で、滑走路と平行な風なら風速が強くても飛べることがあります。追い風は10ノット程度が上限です。

霧で欠航するのはなぜですか?

視程と雲底が低いと着陸に必要な目視ができないためです。成田・羽田・新千歳などはCAT IIIの設備で視程200m前後でも着陸できますが、地方空港はCAT Iまでが多く、視程550m・雲底200ftを下回ると着陸できません。

雷で遅れるのはなぜですか?

空港周辺に雷があると、感電の危険から給油や荷物の積み下ろしなど地上作業が中断されるためです。到着機は上空で待機するか目的地を変更します。

VFRとIFRの違いは何ですか?

VFRは有視界飛行方式で視程8km超・雲底3,000ft超、IFRは計器飛行方式で視程1.6〜5km・雲底500〜1,000ftの区分です。旅客機は常にIFRで飛びますが、空港の天気の区分として「どのくらい悪いか」の物差しに使われます。

台風のときはいつ欠航が決まりますか?

近年は暴風域に入る見込みが出た前日の午後〜夕方に計画運休が発表されることが多いです。風がおさまっても機体や乗員の配置の乱れで翌日まで影響が残ります。

今の空港の天気はどこで見られますか?

当サイトのMETAR・TAF リアルタイム表示(日本語デコード付き)と、飛行区分を色分けした「いま飛べるか」マップで確認できます。空港別ページには過去10年の実績もあります。

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ツール・実況

まとめ
  • 欠航は一律の風速ではなく「横風成分・視程・雲底・雷雪」で決まる
  • 横風30〜35ノットが多くの旅客機の限界。滑走路の向きで同じ風でも違う
  • 視程1.6km未満・雲底500ft未満(LIFR)はCAT III空港以外は着陸不可
  • 雷は地上作業停止、雪は除雪と防除氷、台風は前日の計画運休
  • TAFで前日に、METARと飛べるかマップで当日に確認

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出典:気象庁「航空気象」、国土交通省航空局、各航空会社の公開情報、NOAA Aviation Weather Center(飛行区分)。横風制限などの数値は一般的な目安で、機種・航空会社・滑走路状態により異なります。

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