「岡山市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、岡山市4区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い東区の47.9%から最も低い中区の30.7%まで、同じ市内で1.6倍の差があります。
この記事では岡山市4区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、岡山市で想定される地震、岡山県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

「災害が少ない」と言われる岡山市ですが、J-SHISの30年確率は東区47.9%・南区47.6%・北区45.7%と全国平均を大きく上回ります。南海トラフ地震の影響に加え、岡山平野の大部分が旭川・吉井川の三角州と江戸時代以降の干拓地で、表層地盤増幅率1.81と軟らかい地盤だからです。中区だけは操山の丘陵に近く30.7%です。
岡山市4区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東区 | 47.9% | 9.8% | 57.8 |
| 2 | 南区 | 47.6% | 9.8% | 57.7 |
| 3 | 北区 | 45.7% | 8.8% | 56.9 |
| 4 | 中区 | 30.7% | 3.5% | 51.0 |
岡山市4区の平均は43.0%。岡山県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は42.9%で都道府県ランキングでは17位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い東区・南区・北区と、低い中区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(岡山県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
三角州と干拓地の区は高い。東区47.9%・南区47.6%・北区45.7%は岡山平野の沖積低地にあります。南区の大部分は児島湾の干拓地、東区は吉井川・砂川の低地、北区の市街地は旭川の三角州で、いずれも軟らかく厚い堆積層の上です。岡山市役所付近の表層地盤増幅率は1.81と、政令市の中でも高い値です。
中区は丘陵に近く低め。中区30.7%は市内で最も低い値です。区役所付近が操山・龍ノ口山などの丘陵と旭川の間にあり、比較的硬い地盤に近いためです。ただし中区でも旭川・百間川沿いの低地は条件が異なります。
「災害が少ない」は揺れの確率とは別の話。岡山が災害に強いと言われるのは台風・地震の「経験」が少ないためですが、J-SHISの確率は南海トラフ地震の影響で全国平均の1.7倍です。2018年西日本豪雨で明らかになったように、干拓地・低地は水害と液状化の両方に弱い地形です。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
岡山市で想定される地震
南海トラフ巨大地震:30年以内の発生確率は70〜80%。岡山市では震度6弱〜6強の長い揺れが想定され、南区の児島湾沿岸には地震発生から約3時間で最大3m前後の津波が到達するとされています。県の被害想定では液状化による建物被害が県内で最も多い市とされています。
市周辺の活断層:岡山市の直下に主要活断層帯はありませんが、北西の長者ヶ原-芳井断層や県北の那岐山断層帯があります。いずれも30年以内の発生確率は低いグループです。
過去の地震:2000年鳥取県西部地震(M7.3)で岡山市は震度4〜5弱、1946年南海地震(M8.0)では岡山市で震度5(当時の階級)を観測し、干拓地で液状化や家屋の被害が出ました。
岡山市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 9.2回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 945回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 5弱 | 市役所付近の観測点の値。2000年鳥取県西部地震で震度5弱。1946年南海地震では震度5(当時) |
| 30年確率(6弱以上) | 45.7% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 76.3% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.81 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 三角州・海岸低地 | 国土地理院 地形分類 |
岡山市の年平均有感地震回数は9.2回(岡山県は都道府県で38位)、表層地盤増幅率は1.81で「揺れやすい」地盤に分類されます。30年確率は全国平均を上回り、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(岡山県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は7,300円、47都道府県で39番目に高い)
都道府県で見る岡山の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
岡山市の区ごとの比較に加えて、岡山県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:岡山は17位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
| 17位 | 岡山県 | 42.9% | 55.7 |
岡山県は17位(42.9%、偏差値55.7)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):岡山は34位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 34位 | 岡山県 | 1.24倍 | 44.1 |
岡山県は34位(1.24倍、偏差値44.1)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:岡山は38位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 38位 | 岡山県 | 16回 | 44.9 |
岡山県は38位(16回、偏差値44.9)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:岡山は42位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 42位 | 岡山県 | 0 | 44.0 |
岡山県は42位(0、偏差値44.0)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
岡山県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
岡山県の27市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 玉野市 | 49.1% |
| 2 | 岡山市 | 45.7% |
| 3 | 瀬戸内市 | 44.9% |
| 4 | 備前市 | 39.7% |
| 5 | 早島町 | 38.4% |
| 6 | 倉敷市 | 38.3% |
| 7 | 笠岡市 | 30.8% |
| 8 | 浅口市 | 28% |
| 9 | 里庄町 | 26% |
| 10 | 総社市 | 22.6% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 岡山市 | 1.81 | 三角州・海岸低地 |
| 2 | 瀬戸内市 | 1.75 | 三角州・海岸低地 |
| 3 | 備前市 | 1.75 | 三角州・海岸低地 |
| 4 | 早島町 | 1.57 | 干拓地 |
| 5 | 玉野市 | 1.57 | 干拓地 |
| 6 | 倉敷市 | 1.57 | 干拓地 |
| 7 | 笠岡市 | 1.4 | 谷底低地 |
| 8 | 赤磐市 | 1.36 | 谷底低地 |
| 9 | 浅口市 | 1.35 | 谷底低地 |
| 10 | 総社市 | 1.35 | 扇状地 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 真庭市 | 22.9回 | 5強 |
| 2 | 鏡野町 | 11.4回 | 5強 |
| 3 | 和気町 | 10.5回 | 4 |
| 4 | 倉敷市 | 10.2回 | 5弱 |
| 5 | 新見市 | 9.8回 | 5強 |
| 6 | 玉野市 | 9.3回 | 5弱 |
| 7 | 岡山市 | 9.2回 | 5弱 |
| 8 | 里庄町 | 8.6回 | 4 |
| 9 | 浅口市 | 8回 | 4 |
| 10 | 笠岡市 | 7.9回 | 5弱 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのはありません(役所付近の観測点の記録)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 岡山市で最も地盤が良い区は?
中区(30.7%)です。操山などの丘陵に近く、比較的硬い地盤にあります。他の3区は三角州・干拓地の軟らかい地盤の上です。
Q. 岡山は災害が少ないのに確率が高いのはなぜ?
南海トラフ巨大地震の影響で、震度6弱以上の揺れの確率が全国平均の1.7倍になっているためです。過去の被害経験が少ないことと、将来の確率は別の話です。
Q. 岡山市に津波は来る?
南海トラフ巨大地震で、南区の児島湾沿岸に約3時間で最大3m前後の津波が想定されています。到達までの時間は長いので、確実に避難できます。
Q. 岡山市で液状化しやすい場所は?
南区の児島湾干拓地、旭川・吉井川沿いの低地、旧河道などです。県の液状化ハザードマップでは市の南部の広い範囲が「液状化の可能性が高い」とされています。
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- 差の理由は地盤(台地・丘陵か、低地・埋立地か)と活断層までの距離。確率は「区役所付近のメッシュ」の値なので自宅はJ-SHISで確認
- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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