沖縄に台風が多いのはなぜ?月別の接近数と旅行を避けるべき時期を気象庁75年データで解説【気象予報士】

沖縄本島付近を通過する台風の経路と、月別接近数を示すグラフのイメージ 気象

「沖縄旅行、台風が心配……何月なら大丈夫?」——沖縄に行く人が一度は調べる疑問です。結論から言うと、沖縄は日本でいちばん台風が近づく地方で、気象庁の平年値では年に7.7個。日本全体(11.7個)の3分の2が沖縄をかすめています。

この記事では、気象庁の75年分(1951〜2025年)の接近数データから、沖縄に台風が多い理由月別にどれくらい来るのか、そして旅行で避けたい時期・狙い目の時期を気象予報士がまとめます。

のぶやん
のぶやん

私は気象庁で働いていた気象予報士です。「沖縄=台風」のイメージは正しいのですが、月ごとにみるとリスクは大きく違いますよ。

沖縄への台風接近数は年平均7.7個で日本一

気象庁は台風の中心が気象官署から300km以内に入った場合を「接近」と数えています(定義の詳細は台風の「上陸」「通過」「接近」の定義の違いで解説)。地方別の接近数の平年値(1991〜2020年)を並べると、沖縄が飛び抜けていることがわかります。

順位地方合計(1951〜2025年)年平均平年値
1沖縄553個7.4個7.7個
2伊豆・小笠原401個5.3個5.4個
3奄美300個4.0個4.3個
4九州南部279個3.7個3.9個
5九州北部257個3.4個3.8個
6東海248個3.3個3.5個
7四国244個3.3個3.3個
8関東甲信238個3.2個3.3個
9近畿235個3.1個3.4個
10中国213個2.8個3個
11東北192個2.6個2.7個
12北陸186個2.5個2.8個
13北海道119個1.6個1.9個
地方別の台風接近数(気象庁・75年間)

沖縄地方の1951年からの合計は553個、年平均7.4個。2位の伊豆・小笠原(平年値5.4個)を大きく引き離し、人口の多い地方で2位の奄美(4.3個)にほぼダブルスコア、九州南部・北部(3.9個・3.8個)の約2倍です。

最多の年は2004年の15個。逆に最も少なかった年でも3個(1973年・1977年・1995年・2009年)で、75年間で一度も「台風ゼロの年」がありません。沖縄に住む人が「今年は台風が来なかった」と言うことは、統計上まずないわけです。

年代別にみると2010年代が最多

年代年平均の接近数(沖縄)
1950年代(1951〜59)7.1個
1960年代8.1個
1970年代6.6個
1980年代6.7個
1990年代7.3個
2000年代7.9個
2010年代8.3個
2020年代(2020〜2025年)6.7個
沖縄地方への台風接近数の年代別平均(気象庁データから独自集計)

1970〜80年代は少なめ、2010年代は8個台と多めでした。ただし、はっきりした増加トレンドとは言えず、10年単位で波があるのが実態です(温暖化と台風の数の関係はこちら)。

【ツール】都道府県の台風・風・雨の指標を切り替えて順位を確認

下のツールでは、台風の接近数・平均風速・雨の日の割合・降水量などを年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(沖縄県を黄色で強調表示)。

沖縄に台風が多い3つの理由

① 台風の「通り道」の真ん中にある

台風はフィリピンの東の海上で生まれ、太平洋高気圧のふちに沿って北西へ進み、やがて北東へ向きを変えます(転向)。この転向点が夏〜秋は東シナ海〜南西諸島付近になりやすく、沖縄はちょうどカーブの内側にあたります。北西に進む台風も、転向して北東に進む台風も、どちらも沖縄をかすめる位置関係なのです。

② 海面水温が高く、衰えずにやってくる

台風のエネルギー源は27〜28℃以上の暖かい海水です。沖縄周辺の海面水温は夏に29〜30℃に達し、10月でも27℃前後あります。本州に近づく台風は海水温が下がって弱まりながら上陸しますが、沖縄には「非常に強い」「猛烈な」勢力のまま接近します。最大瞬間風速の歴代ランキングの上位が宮古島・与那国島・石垣島で占められているのはこのためです。

③ 偏西風の影響がまだ弱く、動きが遅い

沖縄付近では上空の偏西風の影響が弱いため、台風の速度が時速10〜20km程度と遅く、丸1〜2日暴風域に入り続けることも珍しくありません。本州では半日で通り過ぎる台風が、沖縄では2日間飛行機を止めることがあるのはこのためです。

のぶやん
のぶやん

「沖縄は台風の上陸ゼロ」って知っていますか?気象庁の定義では、上陸は北海道・本州・四国・九州に達した場合だけなので、沖縄は何度直撃されても「通過」扱いなんです。詳しくは定義の記事で。

月別の接近数|8月と9月で全体の半分

では、何月にどれくらい来るのか。1991〜2020年の30年間の月別の平均接近数(沖縄地方)です。

平均接近数30年間の合計目安
1〜3月0個0個来ない
4月0.1個2個ほぼ来ない
5月0.6個17個梅雨入り、まれに接近
6月0.6個19個梅雨明け前後
7月1.4個42個本格シーズン入り
8月2.2個66個最多
9月1.9個58個勢力が強い台風が多い
10月1.0個31個後半は減る
11月0.3個10個まれに接近
12月0.0個1個ほぼ来ない
沖縄地方への月別の台風接近数(気象庁「台風の統計資料」1991〜2020年から集計)。月をまたいで接近した台風は両方の月に数えるため、月別の合計は年間の平年値(7.7個)より多くなります。

8月と9月だけで全体の約半分、7〜10月で8割を占めます。逆に11〜4月は30年間で合計13個、つまり「1年に0.4個」しか来ていません。

注意したいのは9月です。個数では8月がやや多いものの、9月は太平洋高気圧の後退で台風が勢力を保ったまま沖縄本島を直撃するコースが多く、暴風の記録は9月に集中しています(台風が9月に多い理由)。

沖縄旅行で台風を避けるなら|月別のおすすめ度

台風だけでなく、梅雨(沖縄の梅雨は平年5月10日ごろ〜6月21日ごろ)と海水温をあわせて、旅行時期を評価しました。

時期台風リスク天気・海おすすめ度
1〜2月なし曇りが多く肌寒い。海は入れない△(観光・ホエールウォッチング向き)
3〜4月ほぼなし海開き。晴れると初夏の陽気◎(台風ゼロで泳げる貴重な時期)
5月GW明け〜6月中旬梅雨。降れば強い
6月下旬〜7月上旬低〜中梅雨明け直後、晴天率が年間トップ級◎(狙い目。ただし7月から台風が増える)
7月中旬〜8月真夏。暑さと台風○(覚悟のうえで。予備日を持つ)
9月残暑。強い台風のコース△(最も直撃リスクが高い)
10月10月上旬まではまだ台風。後半は快適○(後半は◎)
11月25℃前後、海は下旬まで泳げる◎(台風・梅雨なし、料金も安い)
12月なし20℃前後、曇りがち
沖縄旅行の月別おすすめ度(気象予報士の私見。台風接近数・梅雨・海水温から総合評価)

台風を避けて海にも入りたいなら、3〜4月6月下旬〜7月上旬10月後半〜11月の3つが狙い目です。夏休みに行く場合は「行く日の前後に予備日を取る」「飛行機の欠航時の振替条件を確認しておく」が現実的な対策になります。

月ごとの気温・服装・晴れの確率は沖縄本島(那覇)の天気と服装|月別ガイドで日ごとの58年データを見られます。過去の日別の天気は沖縄の過去30年間の天気傾向も参考にしてください。

離島(石垣・宮古)はもっと多い

気象庁の「沖縄地方」は本島から先島諸島まで含む広い区分です。市町村ごとに役場から300km以内を独自集計すると、石垣市は75年間で303回(全国1位)、宮古島市286回、那覇市278回と、先島諸島のほうが本島より多く台風が近づいています。石垣島・宮古島のシーズンと欠航しやすい時期は別記事で詳しくまとめました。あなたの市町村の回数は台風の接近数ランキング【75年分・年代別】で調べられます。

台風が来たらどうなる?沖縄の「台風慣れ」

  • 飛行機:那覇空港は暴風域に入る前日〜当日に欠航が決まることが多く、丸1日以上止まることもあります。振替は各社の「台風による特別対応」で無料になるのが一般的です。
  • :離島航路は飛行機より早く、波が高くなった段階で欠航します。
  • スーパー・コンビニ:直撃時は閉店。パン・水は前日に売り切れます。
  • ホテル:多くは営業を続けますが、ビーチ・プールは閉鎖。窓のシャッターを閉めるので部屋は暗くなります。
  • 停電:地中化が進んだ那覇市街は少ないものの、離島や郊外では数時間〜1日程度の停電がありえます。

最新の台風の発生状況と各国モデルの進路予想は台風のたまご 最新情報(米軍JTWC・ヨーロッパ・Windy進路予想)、雨雲や風の実況は全国実況モニター(雨雲・衛星・キキクル)で確認できます。

都道府県ランキングで見る沖縄の台風・風・雨

接近数だけでなく、風速・雨の日・降水量でも沖縄が47都道府県のどこにいるかを確認します。

台風の接近数の多さ:沖縄は1位

順位都道府県台風の接近数偏差値
1位沖縄県7.7回107.3
2位宮崎県3.9回57.4
3位鹿児島県3.9回57.4
4位山口県3.8回56.1
5位福岡県3.8回56.1
6位佐賀県3.8回56.1
7位長崎県3.8回56.1
8位熊本県3.8回56.1
9位大分県3.8回56.1
10位岐阜県3.5回52.1
台風の接近数の多さランキング(年平均接近数)

沖縄県は1位(7.7回、偏差値107.3)。1位は沖縄県(7.7回)、47位は北海道(1.9回)、全国平均は3.3回です。比較:鹿児島3位・宮崎2位・東京25位・北海47位。詳しくは台風の接近数ランキングあなたの市町村には年何個来る?気象庁データをご覧ください。

平均風速の強さ:沖縄は1位

順位都道府県平均風速偏差値
1位沖縄県5.3m/s83.3
2位秋田県4.3m/s69.3
3位石川県4.0m/s65.1
4位千葉県3.9m/s63.7
5位和歌山県3.8m/s62.3
6位青森県3.7m/s60.9
7位北海道3.6m/s59.5
8位三重県3.6m/s59.5
9位兵庫県3.6m/s59.5
10位広島県3.6m/s59.5
平均風速の強さランキング(平年値)

沖縄県は1位(5.3m/s、偏差値83.3)。1位は沖縄県(5.3m/s)、47位は山形県(1.7m/s)、全国平均は2.9m/sです。比較:鹿児島14位・宮崎16位・東京26位・北海7位。詳しくは平均風速ランキングをご覧ください。

9月の雨の日の多さ:沖縄は17位

順位都道府県雨の日の割合(9月)偏差値
1位栃木県39.5%66.4
2位富山県39.1%65.4
3位宮崎県39.0%65.1
4位千葉県38.8%64.6
5位秋田県38.4%63.5
6位石川県38.3%63.3
7位高知県38.2%63.0
8位群馬県37.7%61.7
9位鳥取県37.7%61.7
10位埼玉県36.9%59.6
17位沖縄県35.2%55.1
9月の雨の日の多さランキング(約60年の天気出現率)

沖縄県は17位(35.2%、偏差値55.1)。1位は栃木県(39.5%)、47位は岡山県(26.2%)、全国平均は33.2%です。比較:鹿児島30位・宮崎3位・東京18位・北海35位。詳しくは雨の日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

年降水量の多さ:沖縄は8位

順位都道府県年降水量偏差値
1位高知県2,666mm73.8
2位宮崎県2,626mm72.9
3位鹿児島県2,435mm68.4
4位石川県2,402mm67.6
5位富山県2,374mm66.9
6位静岡県2,327mm65.8
7位福井県2,300mm65.2
8位沖縄県2,161mm61.9
9位熊本県2,007mm58.3
10位佐賀県1,951mm56.9
年降水量の多さランキング(平年値)

沖縄県は8位(2,161mm、偏差値61.9)。1位は高知県(2,666mm)、47位は長野県(965mm)、全国平均は1,657mmです。比較:鹿児島3位・宮崎2位・東京24位・北海45位。詳しくは降水量が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。

沖縄(那覇)の月別の風速・雨の日と全国順位

那覇の月別の平均風速と雨の日の割合、全国順位です。風速は12か月すべてで全国1位、雨の日は台風シーズンの8月に1位になります。

沖縄の平均風速順位1位沖縄の雨の日の割合順位1位
1月5.3m/s1位沖縄(5.3m/s)29.9%3位石川(31.1%)
2月5.2m/s1位沖縄(5.2m/s)32.9%1位沖縄(32.9%)
3月5.2m/s1位沖縄(5.2m/s)34.2%4位鹿児島(35.4%)
4月5.1m/s1位沖縄(5.1m/s)31.6%14位富山(36.5%)
5月4.8m/s1位沖縄(4.8m/s)35.8%1位沖縄(35.8%)
6月5.5m/s1位沖縄(5.5m/s)36.0%25位宮崎(49.4%)
7月5.3m/s1位沖縄(5.3m/s)28.1%42位群馬(41.9%)
8月5.2m/s1位沖縄(5.2m/s)37.6%1位沖縄(37.6%)
9月5.3m/s1位沖縄(5.3m/s)35.2%17位栃木(39.5%)
10月5.5m/s1位沖縄(5.5m/s)24.7%27位秋田(42.0%)
11月5.3m/s1位沖縄(5.3m/s)25.5%13位新潟(52.2%)
12月5.3m/s1位沖縄(5.3m/s)25.7%9位石川(50.0%)
沖縄県の月別値と全国順位

平均風速は一年中5m/s前後で全国1位。台風がなくても「風の島」です。雨の日の割合は梅雨(5月)と台風(8月)に1位になる一方、梅雨明け直後の7月は42位と全国で最も雨の日が少ない月になります。

よくある質問

Q. 沖縄旅行で台風に遭う確率は?

8〜9月の1週間の旅行なら、接近(那覇から300km以内)に遭う確率はおよそ3〜4割、暴風域に入る確率は1〜2割が目安です。7月上旬や10月下旬以降は大きく下がります。

Q. 台風で飛行機はどれくらい欠航する?

暴風域に入る前後の1〜2日は那覇空港の便がほぼ全便欠航します。離島便は前日から止まることも多く、石垣島・宮古島の台風シーズンで欠航しやすい時期を解説しています。

Q. 沖縄の建物が台風に強いのはなぜ?

鉄筋コンクリート造が9割以上で、屋根が平らで低い、窓に雨戸やシャッターがある、電線の地中化が進んでいるなど、台風常襲地帯ならではの設計です。

Q. 台風が来ない年はある?

沖縄本島への接近がゼロの年は1951年以降ほとんどありません。ただし年による差は大きく、10回以上接近する年と2〜3回の年があります。台風の当たり年・少ない年ランキングをご覧ください。

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まとめ
  • 沖縄地方への台風接近数は平年7.7個/年で日本一。1951年以降で台風ゼロの年はない
  • 多い理由は「台風の通り道の内側」「高い海水温」「動きが遅い」の3つ
  • 8〜9月で全体の約半分、7〜10月で8割。11〜4月はほぼ来ない
  • 旅行の狙い目は3〜4月・6月下旬〜7月上旬・10月後半〜11月
  • 石垣・宮古など先島諸島は本島よりさらに多い(石垣市は全国1位)

出典:気象庁「台風の統計資料」(発生数・接近数・上陸数、1951年〜)、気象庁「予報用語」、気象庁「沖縄地方の梅雨入り・梅雨明け」。記事内の数値は気象庁の年間確定値にあわせて自動更新しています(最終更新:2026年9月2日、確定年:2025年)。

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