こんにちは!気象予報士ののぶやんです。
11月5日、「2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)のノミネート30語が発表され、最高気温40℃以上の日を表す「酷暑日(こくしょび)」が選ばれました。酷暑日は、気象庁が2026年4月17日に正式な名称として決めたばかりの言葉です。そしてこの夏、40℃以上を観測したのは全国22地点・のべ36地点で、2010年以降で最も多くなりました。名前が決まったその年に、いきなり「当たり年」になったわけです。
この記事では、元気象庁職員の気象予報士として、酷暑日の意味と決まった経緯、2026年に40℃を記録した場所、そして「猛暑日」「ゲリラ豪雨」「爆弾低気圧」など過去に流行語になった気象用語との比較をまとめました。気温を入れると呼び名がわかり、全国51地点の「今年の夏日〜酷暑日の日数」がわかるチェッカーも置いています。大賞・トップテンの発表は12月1日です。
- 酷暑日とは:1日の最高気温が40℃以上の日。気象庁がアンケートと有識者の意見をふまえ、2026年4月17日に名称を決定(日本気象協会が2022年から独自に使っていた言葉)
- 流行語大賞2026:11月5日にノミネート30語に入った。大賞・トップテンは12月1日発表
- 2026年の酷暑日:全国22地点・のべ36地点・10日で2010年以降最多。7月21〜25日は国内初の5日連続、最高は浜松市佐久間の41.1℃(7月23日)
- 過去の気象の流行語:1990年「気象観測史上(はじめての…)」、2007年「猛暑日」、2008年「ゲリラ豪雨」、2012年「爆弾低気圧」、2013年「PM2.5」、2018年「災害級の暑さ」など
- 歴代最高気温の上位20位のうち19が2007年以降、17件が2018年以降。40℃はもう「まれな記録」ではなくなっています
酷暑日とは?意味と、決まるまでの経緯
酷暑日は、日最高気温が40℃以上の日のことです。気象庁は2026年2月27日から3月29日まで、気象庁ホームページで40℃以上の日の名称についてアンケートを実施しました。その結果と有識者の意見をふまえ、4月17日に「酷暑日」と決定。報道発表では「アンケートにおいて最も多く支持を集めるとともに、有識者からも社会的にもなじみがあり、日本語としても適切である旨の意見を多くいただいた」と理由が説明されています。
もともと「酷暑日」は、日本気象協会が2022年から40℃以上の日を指す言葉として独自に使っていたものです。さらにさかのぼると、2007年に「猛暑日(35℃以上)」が気象庁の用語になる前は、35℃以上の暑い日を「酷暑日」と呼ぶ例もあったとされます。同じ言葉が、40℃以上を表す公式の言葉として定着したことになります。
| 呼び名 | 条件(その日の気温) | 決まった時期 |
|---|---|---|
| 夏日 | 最高気温25℃以上 | 以前から |
| 真夏日 | 最高気温30℃以上 | 以前から |
| 猛暑日 | 最高気温35℃以上 | 2007年(気象庁の予報用語に追加) |
| 酷暑日 | 最高気温40℃以上 | 2026年4月17日 |
| 熱帯夜 | 夜間の最低気温25℃以上 | 以前から |
| 冬日/真冬日 | 最低気温0℃未満/最高気温0℃未満 | 以前から |
なお、当ブログの夏日・真夏日・猛暑日・酷暑日・熱帯夜とは何か?は2022年に書いた記事で、当時は酷暑日が正式な用語ではありませんでした。最新の定義はこの記事の表のとおりです。
チェッカー:呼び名の判定と、あなたの街の2026年
①は気温を入れると呼び名が出ます。②は地点を選ぶと、2026年5〜10月の夏日・真夏日・猛暑日・酷暑日の日数を、2025年と比べて表示します。下の一覧は並べ替えできます。
| 地点 | 最高気温(日付) | 夏日 | 真夏日 | 猛暑日 | 酷暑日 | 最低25℃以上 | 猛暑日 2025→2026 |
|---|
図解:夏日から酷暑日まで、5℃きざみの「暑さの階段」
2026年の酷暑日はどこで何回?データで振り返る
気象庁の「夏(6〜8月)に酷暑日を観測した地点」の一覧で数えると、2026年夏の酷暑日は22地点・のべ36地点、40℃を観測した日は10日(7月21〜25・27・28日、8月2・3・26日)でした。2025年(25地点・のべ30地点・9日)、2024年(9地点・のべ9地点・4日)を上回っています。
| 年 | 酷暑日を観測した地点数 | のべ地点数 | 40℃の日数 | 1日の最多 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 22地点 | 36 | 10日 | 7地点(7月23日・8月3日) |
| 2025年 | 25地点 | 30 | 9日 | 14地点(8月5日) |
| 2024年 | 9地点 | 9 | 4日 | 6地点(7月29日) |
2026年の主なできごとは次のとおりです。名前が決まってから初めての酷暑日は7月21日。そこから7月25日まで5日連続でどこかが40℃を超え、国内で初めての「5日連続酷暑日」になりました。7月27日には大分県日田で九州で初めての40℃、8月26日には福岡市の博多(アメダス)で観測史上初めて40℃以上の40.4℃(チェッカーの「福岡」は福岡管区気象台の観測で、別の地点です)。年間の最高は浜松市佐久間の41.1℃(7月23日)で、歴代全国ランキングでも6位タイに入っています。
回数が多かったのは美濃・多治見・桑名が各4回、豊田3回、浜松・佐久間・太宰府が各2回。東海と、7月末〜8月の西日本・九州に集中しました。時期は7月下旬と8月上旬に集中し、夏の最後の酷暑日は8月26日(博多・太宰府)でした。主要51地点(チェッカーの対象)では、甲府(40.0℃、7月25日)・佐賀(40.2℃、8月3日)・熊本(40.3℃、8月3日)の3地点が酷暑日を記録しています。
面白いのは、2026年は猛暑日の数では2025年より少ないのに、酷暑日は多かったことです。主要51地点の猛暑日(5〜10月)を合計すると、2025年は1,163日、2026年は841日。東京は29日から12日に減りました。一方で福岡(29→38日)・熊本(38→44日)・広島(18→34日)など、西日本を中心に16地点で増えました。「平均的に暑い夏」より「ピークが極端に高い夏」だった、というのが2026年の特徴です。
40℃は「まれな記録」ではなくなった:歴代ランキングで検証
気象庁の「歴代全国ランキング」で、最高気温の上位20位(同順位を含む20件)を観測年で分けてみました。
| 順位 | 地点 | 最高気温 | 観測日 |
|---|---|---|---|
| 1 | 伊勢崎(群馬) | 41.8℃ | 2025年8月5日 |
| 2 | 静岡(静岡) | 41.4℃ | 2025年8月6日 |
| 2 | 鳩山(埼玉) | 41.4℃ | 2025年8月5日 |
| 4 | 桐生(群馬) | 41.2℃ | 2025年8月5日 |
| 4 | 柏原(兵庫) | 41.2℃ | 2025年7月30日 |
| 6 | 佐久間(静岡) | 41.1℃ | 2026年7月23日 |
| 6 | 浜松(静岡) | 41.1℃ | 2020年8月17日 |
| 6 | 熊谷(埼玉) | 41.1℃ | 2018年7月23日 |
| 9 | 前橋・佐野・美濃・金山・江川崎 | 41.0℃ | 2025・2024・2018・2018・2013年 |
| 14 | 天竜・多治見 | 40.9℃ | 2020・2007年 |
| 16 | 桑名・豊田・中条・青梅・山形 | 40.8℃ | 2026・2026・2018・2018・1933年 |
20件のうち19件が2007年以降、17件が2018年以降です。2025年だけで6件、2026年も佐久間・桑名・豊田の3件が入りました。2007年より前の記録は1933年の山形40.8℃だけで、この記録は2007年まで74年間、国内最高でした。40℃は「何十年に一度の珍しい記録」から「毎年どこかで出る暑さ」に変わり、それが新しい名前を必要とした理由です。歴代記録の詳細は歴代最高気温ランキングや日本一暑い街はどこ?でも紹介しています。
年代ごとの酷暑日の数は、下の表(当ブログの集計)で確認できます。全国のアメダスでの酷暑日ののべ日数は、1970年代の1日から、2010年代は31日、2020年代は2025年までの6年間だけで58日に増えています(11月5日時点の表示)。
| 年代 | 70年代 | 80年代 | 90年代 | 00年代 | 10年代 | 20年代(〜2025) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| のべ日数 | 1日 | 0日 | 5日 | 11日 | 31日 | 58日 |
なぜ40℃まで上がる?酷暑日になりやすい場所の3つの条件
2026年に酷暑日を記録した地点を見ると、美濃・多治見(岐阜)、桑名(三重)、豊田(愛知)、佐久間・浜松(静岡)、甲府(山梨)、日田(大分)、久留米・太宰府(福岡)など、海から離れた盆地や平野の奥が並びます。40℃という極端な気温には、いくつかの条件が重なっています。
①上空に暖かい高気圧が重なる:太平洋高気圧の上にチベット高気圧が張り出すと、いわゆる「二段重ねの高気圧」になり、晴天が続いて空気が上から押し下げられ(下降気流)、地表付近の空気が圧縮されて暖まります。記録的な猛暑の年には、この形がたびたび話題になります。
②山を越えて吹き降りる風(フェーン):山を越えて吹き降りる乾いた風は、下るにつれて気温が上がります。関東の内陸(熊谷・伊勢崎・桐生など)や、東海の内陸(美濃・多治見)では、山越えの風が加わると一気に気温が跳ね上がります。
③海風が届きにくい内陸・盆地:海沿いの街は昼過ぎに海風が入って気温の上昇が止まりますが、内陸や盆地には涼しい海風が届きにくく、熱がこもります。主要51地点で見ても、2026年に40℃に達したのは盆地の甲府と、内陸寄りの佐賀・熊本でした。逆に海に囲まれた那覇や石垣島は、真夏日は多いものの最高気温は35℃前後にとどまり、酷暑日は1度もありません。
これに加えて、都市化による気温の上昇(ヒートアイランド)と、地球温暖化による気温の底上げがあります。気温の「平均」が少し上がるだけでも、極端な高温が出る回数は大きく増えます。ウェザーニュースの分析では、2026年7月の5日連続酷暑日のような現象は、温暖化前の気候なら約74年に1度、現在の気候では約37年に1度と、発生確率が約2倍になっていると報告されています。
酷暑日という言葉は、天気予報でどう使われる?
気象庁は「今後、当庁の発信する情報等において利用する」としていて、2026年の夏から、気象庁の情報などで「酷暑日」という言葉が使われています。天気予報で「あすは各地で酷暑日となる所がある見込みです」と言われたら、最高気温40℃以上の予想が出ているという意味です。猛暑日(35℃以上)が予想される日よりも、さらに一段強い警戒が必要なサインだと受け止めてください。
ちなみに、2026年の夏は名前が決まってから初めての夏でした。7月21日に多治見・郡上八幡などで最初の酷暑日を観測し、そこから5日連続でどこかが40℃以上に。新しい言葉がすぐに使われる夏になったことも、流行語の候補に選ばれた理由のひとつと言えそうです。11月の今は暑さとは無縁に感じますが、東・西日本などには11月14日ごろからの高温の早期天候情報が出ています。
過去に流行語になった気象用語
新語・流行語大賞では、1990年以降、気象に関係する言葉がたびたび選ばれています。トップテンや特別賞に入った主な言葉は次のとおりです(ウェザーニュースのまとめなどから)。
| 年 | 言葉 | その年に起きたこと |
|---|---|---|
| 1990年 | 気象観測史上(はじめての…) | 記録的な暖冬と猛暑、台風の上陸が相次いだ年(受賞はテレビ各局のお天気キャスター) |
| 2007年 | 猛暑日 | 熊谷・多治見で40.9℃(当時の国内最高)。猛暑日が気象庁の用語に |
| 2008年 | ゲリラ豪雨 | 7〜8月に局地的な大雨が多発 |
| 2012年 | 爆弾低気圧 | 4月に急発達した低気圧で各地に暴風 |
| 2013年 | PM2.5 | 中国の大気汚染が日本にも到達し大きく報道 |
| 2018年 | 災害級の暑さ | 熊谷で41.1℃(当時の国内最高)。受賞は気象庁 |
| 2026年 | 酷暑日(ノミネート) | 40℃以上がのべ36地点で2010年以降最多 |
並べてみると、暑さに関する言葉が2007年「猛暑日」→2018年「災害級の暑さ」→2026年「酷暑日」と、およそ10年ごとに出てきます。しかも基準の気温は35℃から40℃へ。言葉の移り変わりが、そのまま日本の夏の変化を記録しているようです。2007年の「猛暑日」は気象庁が用語を決めた年にトップテン入りしました。同じ流れなら、2026年の「酷暑日」も12月1日の発表でトップテンに残るかが注目です。
ほかの気象用語の解説は、ゲリラ豪雨とは、爆弾低気圧とは、黄砂とPM2.5の違い、線状降水帯直前予測とはもどうぞ。
都道府県別に見る:あなたの県の暑さは全国何位?
8月の気温を都道府県別に比べたいときは、下のツールが便利です(初期表示は埼玉県)。猛暑日・酷暑日の多い市町村は猛暑日・酷暑日が多い都道府県・市町村ランキングで、今年の日数は酷暑日・猛暑日・熱帯夜カウンターで確認できます。
酷暑日の日、体と暮らしで気をつけること
- 体温より気温が高い:汗をかいても体の熱が逃げにくく、屋外の作業や運動は命にかかわります。予報で酷暑日が出たら、日中の外出そのものを見直すのが基本です。
- 夜も下がりにくい:酷暑日の夜は最低気温が25℃以上の熱帯夜になりやすく、室内での熱中症も増えます。エアコンは夜も止めないでください。
- 暑さ指数(WBGT)も確認:気温だけでなく湿度や日差しを含めた暑さ指数が、熱中症の危険度の目安です。熱中症警戒アラートと合わせて確認を。
- 車内・屋根裏:40℃の日には、駐車中の車内や屋根裏は50℃を超えることもあります。子どもやペットを車内に残さないでください。
熱中症の救急搬送の状況は熱中症の救急搬送が多い県ランキング、熱帯夜の多い地域は熱帯夜が多い都道府県・市町村ランキング、今日の全国の気温は今日の日本一暑い場所と今日のアメダスランキングで見られます。過去の特定の日の気温は過去の天気検索へ。
よくある質問
Q1. 酷暑日とは何度ですか?
1日の最高気温が40℃以上の日です。35℃以上の猛暑日の、さらに上の段階です。
Q2. 酷暑日の読み方は?
「こくしょび」と読みます。
Q3. 酷暑日はいつ、誰が決めたのですか?
気象庁が2026年4月17日に決めました。2月27日〜3月29日に気象庁ホームページで行ったアンケートで最も支持が多く、有識者の意見もふまえて決定したと発表しています。
Q4. 酷暑日は流行語大賞にノミネートされたのですか?
はい。2026年11月5日に発表された新語・流行語大賞のノミネート30語に入りました。大賞とトップテンは12月1日に発表されます。
Q5. 2026年の酷暑日は何回ありましたか?
夏(6〜8月)に全国22地点・のべ36地点で観測され、2010年以降で最多でした。40℃を観測した日は10日で、7月21〜25日は国内初の5日連続でした。
Q6. 2026年でいちばん暑かったのはどこ?
浜松市佐久間の41.1℃(7月23日)です。歴代全国ランキングでは6位タイで、歴代1位は伊勢崎の41.8℃(2025年8月5日)です。
Q7. 酷暑日の前は「酷暑日」は何を意味していましたか?
2007年に猛暑日(35℃以上)が気象庁の用語になる前は、35℃以上の日を酷暑日と呼ぶ例もあったとされます。また日本気象協会は2022年から40℃以上の日を酷暑日と呼んでいました。
Q8. 過去に流行語になった気象用語は?
2007年「猛暑日」、2008年「ゲリラ豪雨」、2012年「爆弾低気圧」、2013年「PM2.5」、2018年「災害級の暑さ」などがトップテンや特別賞に選ばれています。2017年の「線状降水帯」はノミネートでした。
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出典
- 気象庁「最高気温が40℃以上の日の名称を『酷暑日』に決定」(2026年4月17日)
- 気象庁「歴代全国ランキング」(2026年11月5日閲覧)
- 気象庁「夏(6〜8月)の天候」・酷暑日を観測した地点の一覧(2026年)
- 気象庁「過去の気象データ検索」(主要51地点の日別値、2025・2026年5〜10月)
- ウェザーニュース「平成史 流行語に選ばれた気象関連用語」(2019年3月16日)
- 「現代用語の基礎知識」選 2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞 ノミネート語(2026年11月5日発表、各社報道)
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