「日本一暑い街はどこ?」——この問いには、実は3つの答えがあります。「観測史上の最高気温」で答えるなら群馬県伊勢崎市(41.8℃)、「猛暑日の多さ」なら埼玉県熊谷市や京都市、「平年値」なら岐阜県多治見市です。
この記事では、気象庁の全国975地点の観測記録から、熊谷・多治見・浜松・四万十(江川崎)・山形・伊勢崎など「日本一暑い街」を名乗ってきた街を年代順にたどり、なぜそこが暑いのかを気象予報士が解説します。数値は気象庁の更新にあわせて自動で新しくなります。

私は気象庁で働いていた気象予報士です。日本一暑い街の称号は、この20年で多治見→熊谷→浜松→伊勢崎と目まぐるしく動いています。
観測史上の最高気温ランキング トップ10(自動更新)
| 順位 | 地点(都道府県・市町村) | 記録 | 観測日 | 偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 伊勢崎(群馬県・伊勢崎市) | 41.8℃ | 2025年8月5日 | 70.4 |
| 2位 | 静岡(静岡県・静岡市) | 41.4℃ | 2025年8月6日 | 68.7 |
| 2位 | 鳩山(埼玉県・鳩山町) | 41.4℃ | 2025年8月5日 | 68.7 |
| 4位 | 柏原(兵庫県・丹波市) | 41.2℃ | 2025年7月30日 | 67.8 |
| 4位 | 桐生(群馬県・桐生市) | 41.2℃ | 2025年8月5日 | 67.8 |
| 6位 | 佐久間(静岡県・浜松市) | 41.1℃ | 2026年7月23日 | 67.4 |
| 6位 | 浜松(静岡県・浜松市) | 41.1℃ | 2020年8月17日 | 67.4 |
| 6位 | 熊谷(埼玉県・熊谷市) | 41.1℃ | 2018年7月23日 | 67.4 |
| 9位 | 前橋(群馬県・前橋市) | 41.0℃ | 2025年8月5日 | 66.9 |
| 9位 | 佐野(栃木県・佐野市) | 41.0℃ | 2024年7月29日 | 66.9 |
2025年8月5日、群馬県伊勢崎市で41.8℃を観測し、2020年の浜松・2018年の熊谷の41.1℃を0.7℃も更新しました。同じ日に埼玉県鳩山町41.4℃、群馬県桐生市41.2℃、前橋市41.0℃と北関東で記録が続出し、翌6日には静岡市でも41.4℃。2025年は「41℃台が当たり前」になった年として記憶されるでしょう。
全地点の記録と月別・都道府県別の一覧は最高気温ランキング 日本一は?で検索できます。
【ツール】指標と月を切り替えて全国順位を確認
下のツールでは、気温・雨・雪・晴れ・湿度・風・雷・台風・地震などの指標を年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(群馬県を黄色で強調表示)。並び順を変えると「少ない県」「低い県」のランキングになります。
「日本一暑い街」の系譜|山形→多治見→熊谷→浜松→伊勢崎
| 期間 | 日本一暑い街 | 記録 | 観測日 | 暑さの理由 |
|---|---|---|---|---|
| 1933〜2007年 | 山形市(山形県) | 40.8℃ | 1933年7月25日 | 日本海から山を越えるフェーン現象。74年間も記録を守った |
| 2007〜2013年 | 多治見市(岐阜県)・熊谷市 | 40.9℃ | 2007年8月16日 | 盆地に名古屋の都市の熱が流れ込む。8月最高気温の平年値34.1℃は今も日本一 |
| 2013〜2018年 | 四万十市江川崎(高知県) | 41.0℃ | 2013年8月12日 | 四万十川の内陸盆地。4日連続40℃超え |
| 2018〜2020年 | 熊谷市(埼玉県) | 41.1℃ | 2018年7月23日 | 関東平野の奥。東京のヒートアイランドの熱が海風で運ばれる |
| 2020〜2025年 | 浜松市(静岡県) | 41.1℃(タイ) | 2020年8月17日 | 南アルプスを越えるフェーンと高気圧の下降流 |
| 2025年〜 | 伊勢崎市(群馬県) | 41.8℃ | 2025年8月5日 | 熊谷と同じ北関東型。2025年の記録的猛暑 |
なぜ北関東の内陸なのか
伊勢崎・熊谷・館林・前橋はいずれも関東平野の北西部にあります。夏の午後、東京湾から吹き込む海風は東京・埼玉の都市の熱を拾いながら北上し、関東平野の奥に熱をためこみます。さらに西の山を越えてくる風がフェーン現象で乾いて熱くなり、両方が重なる場所が北関東の内陸です。2025年8月5日の41.8℃はこの典型でした。
なぜ多治見・江川崎・山形のような盆地なのか
盆地は熱が逃げにくく、周囲の山を越えた風が下降して昇温します。多治見は名古屋の熱が濃尾平野を経て流れ込む「熱の袋小路」、江川崎は四万十川沿いの狭い盆地、山形は日本海からの風が奥羽山脈を越えるフェーンです。「海から離れた盆地に、暖かい風が山を越えて入る」——これが日本一暑い街の共通条件です。

記録更新の日は必ず「高気圧に覆われて晴れ、上空も暖かく、フェーンが重なる」日です。2025年8月5日は日本の南と大陸の高気圧が二重に重なった典型日でした。
「猛暑日の多さ」で日本一暑い街は?
一発の記録ではなく「毎年どれだけ暑いか」で見ると、答えは変わります。猛暑日(最高気温35℃以上)の日数を2020年代の平均で比べると、次のようになります(気象庁の階級別日数、自動更新)。
| 地点 | 猛暑日 平年値(1991〜2020) | 猛暑日 2020年代平均 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 熊谷(埼玉) | 18.1日 | 35.3日 | 2.0倍 |
| 前橋(群馬) | 13.5日 | 29.2日 | 2.2倍 |
| 京都 | 19.4日 | 37.8日 | 1.9倍 |
| 岐阜 | 16.7日 | 30.7日 | 1.8倍 |
| 甲府(山梨) | 16.9日 | 33.2日 | 2.0倍 |
| 名古屋 | 15.0日 | 29.8日 | 2.0倍 |
| 大阪 | 14.5日 | 27.3日 | 1.9倍 |
| 浜松(静岡) | 4.8日 | 10.7日 | 2.2倍 |
| 山形 | 5.8日 | 13.8日 | 2.4倍 |
| 東京 | 4.8日 | 16.8日 | 3.5倍 |
猛暑日の多さでは京都・熊谷・甲府・岐阜・名古屋・前橋の内陸都市が毎年上位を争い、2020年代の平均では京都が年38日前後で1位です。京都は最高気温の記録こそ39.8℃ですが、盆地で「35℃以上の日が多い」ことでは常連。「記録の日本一」と「毎日暑い日本一」は別物なのです。全地点の猛暑日ランキングと年代別の推移は猛暑日・酷暑日が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。
「平年値」で日本一暑い街は多治見
8月の日最高気温の平年値(1991〜2020年)で全国の観測地点を並べると、1位は多治見(岐阜県)の34.1℃。2位以下は堺33.9℃、豊中33.8℃、枚方・大阪・京都33.7℃と大阪平野〜京都盆地が続きます。都道府県別では大阪府と京都府の33.7℃が最高です(気温が高い都道府県・市町村ランキング)。
つまり、「今年いちばん暑くなる可能性が高い街」は多治見や大阪・京都で、「観測史上の最高気温」は北関東という住み分けになっています。
暑さ日本一の街はどう暮らしているか
- 熊谷市:「あついぞ!熊谷」で街おこし。駅前の大温度計、雪くまかき氷。学校はエアコン完備が早かった
- 多治見市:「うながっぱ」で暑さPR。日中の外出を避ける文化
- 館林市:かつて猛暑日日本一の常連。2018年以降は観測所移転で記録が落ち着いた
- 伊勢崎市:2025年に記録保持者となり、熱中症警戒アラートの常連に
猛暑日が増えるにつれ、夜も下がらない熱帯夜も増えています。寝苦しい街の日本一は熱帯夜が多い都道府県・市町村ランキング、熱中症で救急搬送が多い県は熱中症の救急搬送が多い県ランキングで解説しています。
都道府県で見る「暑さ」ランキング|伊勢崎のある群馬は何位?
「街」の記録に加えて、都道府県単位の平年値でも暑さを比べてみます。県庁所在地の値なので、内陸の観測点(伊勢崎・熊谷・多治見)よりは低めに出ます。
年平均気温の高さ:群馬は32位
| 順位 | 都道府県 | 年平均気温 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 沖縄県 | 23.3℃ | 83.5 |
| 2位 | 鹿児島県 | 18.8℃ | 64.1 |
| 3位 | 宮崎県 | 17.7℃ | 59.4 |
| 4位 | 長崎県 | 17.4℃ | 58.1 |
| 5位 | 高知県 | 17.3℃ | 57.6 |
| 6位 | 福岡県 | 17.3℃ | 57.6 |
| 7位 | 熊本県 | 17.2℃ | 57.2 |
| 8位 | 大阪府 | 17.1℃ | 56.8 |
| 9位 | 兵庫県 | 17.0℃ | 56.3 |
| 10位 | 山口県 | 17.0℃ | 56.3 |
| 32位 | 群馬県 | 15.0℃ | 47.7 |
群馬県は32位(15.0℃、偏差値47.7)。1位は沖縄県(23.3℃)、47位は北海道(9.2℃)、全国平均は15.5℃です。比較:埼玉28位・岐阜22位・静岡11位・沖縄1位。詳しくは暖かい県ランキングをご覧ください。
8月の平均気温の高さ:群馬は36位
| 順位 | 都道府県 | 年平均気温(8月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 大阪府 | 29.0℃ | 62.2 |
| 2位 | 沖縄県 | 29.0℃ | 62.2 |
| 3位 | 鹿児島県 | 28.8℃ | 60.9 |
| 4位 | 兵庫県 | 28.6℃ | 59.6 |
| 5位 | 香川県 | 28.6℃ | 59.6 |
| 6位 | 京都府 | 28.5℃ | 58.9 |
| 7位 | 広島県 | 28.5℃ | 58.9 |
| 8位 | 和歌山県 | 28.4℃ | 58.2 |
| 9位 | 福岡県 | 28.4℃ | 58.2 |
| 10位 | 熊本県 | 28.4℃ | 58.2 |
| 36位 | 群馬県 | 26.8℃ | 47.8 |
群馬県は36位(26.8℃、偏差値47.8)。1位は大阪府(29.0℃)、47位は北海道(22.3℃)、全国平均は27.1℃です。比較:埼玉29位・岐阜11位・静岡26位・沖縄2位。8月の順位では沖縄・九州が上位ですが、最高気温の記録は内陸の関東・東海が独占します。「平均が高い」と「最高が高い」は別物です。詳しくは猛暑日が多い都道府県ランキングをご覧ください。
8月の晴れの日の割合:群馬は43位
| 順位 | 都道府県 | 晴れの日の割合(8月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 徳島県 | 56.1% | 65.0 |
| 2位 | 和歌山県 | 55.9% | 64.7 |
| 3位 | 香川県 | 55.7% | 64.3 |
| 4位 | 愛媛県 | 54.6% | 62.6 |
| 5位 | 広島県 | 54.1% | 61.8 |
| 6位 | 長崎県 | 53.9% | 61.5 |
| 7位 | 兵庫県 | 52.6% | 59.4 |
| 8位 | 山口県 | 52.3% | 58.9 |
| 9位 | 岡山県 | 52.2% | 58.8 |
| 10位 | 佐賀県 | 51.6% | 57.8 |
| 43位 | 群馬県 | 36.3% | 33.4 |
群馬県は43位(36.3%、偏差値33.4)。1位は徳島県(56.1%)、47位は栃木県(31.2%)、全国平均は46.7%です。比較:埼玉38位・岐阜30位・静岡33位・沖縄17位。詳しくは晴れの日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。
8月の湿度の低さ:群馬は13位
| 順位 | 都道府県 | 平均湿度(8月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 京都府 | 66% | 28.2 |
| 2位 | 大阪府 | 66% | 28.2 |
| 3位 | 岐阜県 | 69% | 36.6 |
| 4位 | 愛知県 | 69% | 36.6 |
| 5位 | 岡山県 | 69% | 36.6 |
| 6位 | 広島県 | 69% | 36.6 |
| 7位 | 山梨県 | 70% | 39.4 |
| 8位 | 奈良県 | 70% | 39.4 |
| 9位 | 和歌山県 | 70% | 39.4 |
| 10位 | 香川県 | 70% | 39.4 |
| 13位 | 群馬県 | 72% | 45.0 |
群馬県は13位(72%、偏差値45.0)。1位は京都府(66%)、47位は茨城県(81%)、全国平均は74%です。比較:埼玉23位・岐阜3位・静岡35位・沖縄43位。同じ35℃でも湿度が低いほうが体感は楽です。伊勢崎・熊谷の暑さは「乾いた高温」で、不快指数で見ると順位が変わります。詳しくは湿度が低い県ランキングをご覧ください。
群馬(前橋)の月別気温と全国順位
記録を持つ伊勢崎の隣、前橋の月別平均気温と全国順位です。月平均気温で見ると、前橋は夏でも上位には入りません。日本一の暑さは「平均」ではなく「日中の最高気温」に表れることが分かります。
| 月 | 群馬の平均気温 | 順位 | 1位 | 群馬の晴れの日の割合 | 順位 | 1位 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 3.7℃ | 33位 | 沖縄(17.3℃) | 74.9% | 2位 | 埼玉(76.7%) |
| 2月 | 4.5℃ | 32位 | 沖縄(17.5℃) | 67.4% | 2位 | 埼玉(68.3%) |
| 3月 | 7.9℃ | 31位 | 沖縄(19.1℃) | 58.8% | 1位 | 群馬(58.8%) |
| 4月 | 13.4℃ | 30位 | 沖縄(21.5℃) | 50.1% | 5位 | 山梨(51.7%) |
| 5月 | 18.6℃ | 30位 | 沖縄(24.2℃) | 43.5% | 22位 | 長野(47.9%) |
| 6月 | 22.1℃ | 27位 | 沖縄(27.2℃) | 25.3% | 41位 | 北海(41.4%) |
| 7月 | 25.8℃ | 30位 | 沖縄(29.1℃) | 25.1% | 45位 | 沖縄(55.0%) |
| 8月 | 26.8℃ | 36位 | 大阪(29.0℃) | 36.3% | 43位 | 徳島(56.1%) |
| 9月 | 22.9℃ | 33位 | 沖縄(27.9℃) | 32.4% | 42位 | 沖縄(51.1%) |
| 10月 | 17.1℃ | 33位 | 沖縄(25.5℃) | 48.2% | 24位 | 長崎(59.5%) |
| 11月 | 11.2℃ | 34位 | 沖縄(22.5℃) | 63.9% | 1位 | 群馬(63.9%) |
| 12月 | 6.1℃ | 33位 | 沖縄(19.0℃) | 75.3% | 1位 | 群馬(75.3%) |
月平均気温の順位は一年を通じて30位前後。内陸では夜間に気温が下がるため平均は上がらず、昼間だけ突出して暑くなるのが関東内陸の特徴です。晴れの日の割合は冬に全国2位前後まで上がります。
よくある質問
Q. なぜ海のない群馬・埼玉・岐阜で日本一の暑さが出る?
海から離れて風が通らず、東京湾側からの熱い風や山を越えたフェーン現象で空気が乾いて温まりやすいためです。ヒートアイランドで温まった都心の空気が午後に内陸へ流れ込むことも一因です。詳しくは記事本文の「なぜ暑いのか」をご覧ください。
Q. 沖縄は日本一暑くないの?
年平均気温は日本一ですが、周りが海のため最高気温は35℃前後で頭打ちになります。沖縄の観測史上最高は36℃台で、40℃を超えたことはありません。「平均が暑い」のは沖縄、「瞬間的に暑い」のは内陸です。
Q. 41.8℃はいつ更新される?
2025年8月5日の伊勢崎41.8℃は、2018年熊谷・2020年浜松の41.1℃を0.7℃更新しました。近年は数年に一度のペースで記録が塗り替えられており、次の候補も関東内陸・東海内陸が有力です。最新の記録は歴代最高気温ランキング(自動更新)で確認できます。
Q. 暑い街に住むときの対策は?
日射を遮る(遮熱カーテン・すだれ)、夜間の換気、エアコンの早めの稼働、水分と塩分の補給が基本です。熱中症の救急搬送が多い県ランキングで地域の傾向も確認しておきましょう。
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- 観測史上の日本一は群馬県伊勢崎市の41.8℃(2025年8月5日)。浜松・熊谷の41.1℃を0.7℃更新
- 日本一の称号は山形(1933)→多治見(2007)→江川崎(2013)→熊谷(2018)→浜松(2020)→伊勢崎(2025)と移ってきた
- 共通条件は「海から離れた盆地・平野の奥に、山を越えた暖かい風(フェーン)が入る」
- 猛暑日の多さでは京都・熊谷・甲府・岐阜、平年値では多治見(8月最高34.1℃)が日本一
- 記録・日数・平年値で答えが違う。目的に合わせて使い分けを
出典:気象庁の平年値(1991〜2020年)および観測データ、気象庁「観測史上1〜10位の値」「気温階級別日数」。偏差値は47都道府県の平均を50とした値です。都道府県の値は原則として県庁所在地の気象官署の平年値を用いています。


