熱中症の救急搬送が多い県ランキング【2025年】人口10万人あたり1位は大分・2位岡山・3位奈良、東京・神奈川は最下位クラス|暑さと搬送数がずれる理由

日本地図上に気温の高さを暖色で示した点と、搬送人員を表す棒グラフを重ねたイメージ 気象

「熱中症で救急搬送される人が多い県はどこ?」——暑い県ほど多いと思いきや、データはまったく違う答えを出しました。2025年5〜9月に熱中症で救急搬送された人は全国で過去最多の100,510人。人口10万人あたりに直すと、1位は大分県、2位岡山県、3位奈良県で、日本一暑い街のある埼玉や、猛暑日日本一の京都は上位に入りません。

この記事では、総務省消防庁の2025年(令和7年)確定値を都道府県別・人口あたりで並べ、当サイトの猛暑日・不快指数データと突き合わせて、「暑さ」と「熱中症搬送」のズレはどこから来るのかを気象予報士が解説します。

のぶやん
のぶやん

私は気象庁で働いていた気象予報士です。熱中症の搬送者数を決めるのは気温だけではなく「年齢構成」「屋外で働く人の割合」「救急車を呼ぶ習慣」。気象データと社会データが交差する、ちょっと面白いランキングです。

2025年の熱中症救急搬送|全国100,510人で過去最多

  • 搬送人員:100,510人(2024年の97,578人から3.0%増、2008年の調査開始以来最多)
  • 死亡者:117人(2024年は120人)
  • 65歳以上が57.1%、発生場所は住居が38.1%で最多、次いで道路19.7%、屋外の公共の場12.1%、仕事場10.5%
  • 2025年は梅雨明けが記録的に早く、猛暑日が長期化し、熱中症警戒アラートの発表回数も過去最多

猛暑日の日数そのものは猛暑日・酷暑日が多い都道府県・市町村ランキングにあるとおり全国で2020年代に倍増しており、搬送者数はそれに連動して増え続けています。

【ツール】指標と月を切り替えて全国順位を確認

下のツールでは、気温・雨・雪・晴れ・湿度・風・雷・台風・地震などの指標を年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(大分県を黄色で強調表示)。並び順を変えると「少ない県」「低い県」のランキングになります。

熱中症の救急搬送が多い県ランキング(人口10万人あたり・2025年)

順位都道府県搬送人員人口10万人あたり8月の最高気温(平年)不快指数の順位
1位大分県1,382人126.8人32.2℃18位
2位岡山県2,243人122.6人33.3℃22位
3位奈良県1,542人120.5人33.4℃24位
4位佐賀県936人118.5人32.9℃9位
5位鹿児島県1,803人117.8人32.7℃2位
6位愛媛県1,459人114人32.6℃21位
7位鳥取県602人113.6人32.6℃29位
8位和歌山県989人112.4人32.6℃11位
9位徳島県756人109.6人32.3℃15位
10位香川県1,005人109.2人33℃5位
11位高知県707人107.1人32.1℃13位
12位島根県667人104.2人31.6℃28位
13位群馬県1,958人104.1人31.7℃36位
14位沖縄県1,513人102.9人31.8℃1位
15位宮崎県1,046人101.6人31.6℃10位
熱中症による救急搬送人員(総務省消防庁、2025年5〜9月確定値)を人口10万人あたりに換算。人口は総務省の人口推計(概数)

1位大分126.8人、2位岡山122.6人、3位奈良120.5人、4位佐賀、5位鹿児島、6位愛媛、7位鳥取、8位和歌山、9位徳島、10位香川。上位15県のうち14県が西日本で、しかも瀬戸内・四国・九州の「暑いけれど最も暑い県ではない」地域が並びます。8月の最高気温の平年値は上位県でも32〜33℃台で、大阪(33.7℃)や京都(33.7℃)より低いのです。

搬送が少ない県ランキング|東京・神奈川は最下位クラス

順位都道府県搬送人員人口10万人あたり8月の最高気温(平年)
47位神奈川県4,972人53.9人31℃
46位北海道2,727人54人26.4℃
45位静岡県2,232人63.1人31.3℃
44位東京都9,315人66.1人31.3℃
43位長野県1,351人67.9人31.1℃
42位千葉県4,292人68.6人31℃
41位富山県716人72.3人31.4℃
40位新潟県1,514人72.4人30.8℃
39位山口県954人74人31.3℃
38位福岡県3,808人74.7人32.5℃
人口あたりの搬送が少ない県

最下位は神奈川53.9人、46位北海道54.0人、45位静岡、44位東京66.1人、43位長野、42位千葉。北海道が少ないのは納得ですが、東京・神奈川・千葉は搬送人員の絶対数では全国上位なのに、人口あたりでは大分の半分以下。ヒートアイランドで気温が高い首都圏が、率ではむしろ安全側という逆転です。

なぜ「暑い県」と「搬送が多い県」がずれるのか

① 高齢化率が効く

搬送者の57%は65歳以上です。大分・和歌山・徳島・高知・鳥取・島根はいずれも高齢化率が全国トップクラス(33〜38%)で、東京・神奈川(23〜26%)とは10ポイント以上の差があります。同じ暑さでも高齢者は喉の渇きを感じにくく、エアコンを使わない傾向があり、搬送に結びつきやすい。人口あたり搬送数は「暑さ×高齢化率」でかなり説明できます

② 屋外で働く人・農作業

発生場所の2位が「道路」、4位が「仕事場(建設・農作業を含む)」。西日本の農業県では、高齢者が日中の畑仕事で倒れるケースが目立ちます。首都圏は屋内で働く人の割合が高く、通勤も冷房の効いた電車です。

③ 救急車を呼ぶ距離・習慣

地方では病院が遠く、軽症でも救急車を呼ぶ割合が高い一方、都市部は自力で受診する人が多い。搬送数は「熱中症になった人の数」ではなく「救急車で運ばれた人の数」だという点に注意が必要です。

④ それでも気温は効いている

北海道(8月最高26.4℃)が46位、青森・岩手も下位で、「涼しい県は確実に少ない」という関係はあります。ただし暑い県の中での順位は社会要因で決まる、というのが正しい読み方です。8月の蒸し暑さの順位は日本一蒸し暑い県は?不快指数ランキングで確認できます。

47都道府県 熱中症救急搬送ランキング(全順位)

順位都道府県搬送人員(2025年5〜9月)人口10万人あたり8月最高気温
1位大分県1,382人126.8人32.2℃
2位岡山県2,243人122.6人33.3℃
3位奈良県1,542人120.5人33.4℃
4位佐賀県936人118.5人32.9℃
5位鹿児島県1,803人117.8人32.7℃
6位愛媛県1,459人114人32.6℃
7位鳥取県602人113.6人32.6℃
8位和歌山県989人112.4人32.6℃
9位徳島県756人109.6人32.3℃
10位香川県1,005人109.2人33℃
11位高知県707人107.1人32.1℃
12位島根県667人104.2人31.6℃
13位群馬県1,958人104.1人31.7℃
14位沖縄県1,513人102.9人31.8℃
15位宮崎県1,046人101.6人31.6℃
16位熊本県1,712人101.3人33.3℃
17位岐阜県1,889人98.9人33.4℃
18位福島県1,698人97人30.5℃
19位三重県1,648人96.9人31.6℃
20位長崎県1,191人95.3人31.9℃
21位京都府2,301人91.3人33.7℃
22位石川県984人89.5人31.3℃
23位愛知県6,653人89.1人33.2℃
24位山梨県691人87.5人33℃
25位福井県647人87.4人32.2℃
26位茨城県2,442人87.2人30℃
27位岩手県998人86.8人28.4℃
28位兵庫県4,610人86.2人32.2℃
29位山形県853人84.5人30.5℃
30位広島県2,295人84.4人32.8℃
31位埼玉県6,141人83.9人32.3℃
32位大阪府7,202人82.2人33.7℃
33位滋賀県1,128人80.6人32.1℃
34位栃木県1,514人80.5人30.9℃
35位宮城県1,799人80.3人28.2℃
36位青森県926人79.8人27.8℃
37位秋田県699人77.7人29.2℃
38位福岡県3,808人74.7人32.5℃
39位山口県954人74人31.3℃
40位新潟県1,514人72.4人30.8℃
41位富山県716人72.3人31.4℃
42位千葉県4,292人68.6人31℃
43位長野県1,351人67.9人31.1℃
44位東京都9,315人66.1人31.3℃
45位静岡県2,232人63.1人31.3℃
46位北海道2,727人54人26.4℃
47位神奈川県4,972人53.9人31℃
総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」を人口10万人あたりに換算

熱中症を防ぐために気象データでできること

  • 暑さ指数(WBGT)を見る:気温より湿度と日差しを重視した指標。環境省の熱中症予防情報サイトで市町村ごとに確認できる
  • 熱中症警戒アラート:翌日のWBGTが33以上と予想される府県に前日17時と当日5時に発表。アラートの日は「不要不急の外出を避ける」が基準
  • 猛暑日・熱帯夜の増え方を知る:自分の地域の猛暑日が平年の何倍になっているかは猛暑日・酷暑日が多い都道府県・市町村ランキング熱帯夜が多い都道府県・市町村ランキング
  • 夜の暑さ:搬送場所の1位は住居。熱帯夜が続く週は屋内の熱中症が増える

日本一暑い街の話は日本一暑い街はどこ?、暑さ・寒さ・湿度で見た住みやすい県は住みやすい気候の県ランキングをどうぞ。

気象条件で見る熱中症リスク|8月の気温・湿度・晴れで搬送1位の大分は何位?

搬送率の高い県が、必ずしも「最も暑い県」ではないことを、8月の気温・湿度・晴れの日のランキングで確かめます。

8月の平均気温の高さ:大分は22位

順位都道府県年平均気温(8月)偏差値
1位大阪府29.0℃62.2
2位沖縄県29.0℃62.2
3位鹿児島県28.8℃60.9
4位兵庫県28.6℃59.6
5位香川県28.6℃59.6
6位京都府28.5℃58.9
7位広島県28.5℃58.9
8位和歌山県28.4℃58.2
9位福岡県28.4℃58.2
10位熊本県28.4℃58.2
22位大分県27.7℃53.7
8月の平均気温の高さランキング(平年値)

大分県は22位(27.7℃、偏差値53.7)。1位は大阪府(29.0℃)、47位は北海道(22.3℃)、全国平均は27.1℃です。比較:岡山14位・東京34位・沖縄2位・北海47位。搬送率1位の大分は8月の気温で22位、2位の岡山は上位に入ります。暑さだけでは搬送率を説明できません。詳しくは猛暑日が多い都道府県ランキングをご覧ください。

8月の湿度の高さ:大分は21位

順位都道府県平均湿度(8月)偏差値
1位宮城県81%70.2
2位茨城県81%70.2
3位宮崎県80%67.4
4位岩手県79%64.6
5位青森県78%61.8
6位栃木県78%61.8
7位沖縄県78%61.8
8位千葉県77%59.0
9位富山県77%59.0
10位島根県77%59.0
21位大分県75%53.4
8月の湿度の高さランキング(平年値)

大分県は21位(75%、偏差値53.4)。1位は宮城県(81%)、47位は大阪府(66%)、全国平均は74%です。比較:岡山44位・東京23位・沖縄7位・北海17位。詳しくは湿度が高い県ランキングをご覧ください。

8月の晴れの日の多さ:大分は11位

順位都道府県晴れの日の割合(8月)偏差値
1位徳島県56.1%65.0
2位和歌山県55.9%64.7
3位香川県55.7%64.3
4位愛媛県54.6%62.6
5位広島県54.1%61.8
6位長崎県53.9%61.5
7位兵庫県52.6%59.4
8位山口県52.3%58.9
9位岡山県52.2%58.8
10位佐賀県51.6%57.8
11位大分県50.9%56.7
8月の晴れの日の多さランキング(約60年の天気出現率)

大分県は11位(50.9%、偏差値56.7)。1位は徳島県(56.1%)、47位は栃木県(31.2%)、全国平均は46.7%です。比較:岡山9位・東京35位・沖縄17位・北海41位。晴れて日射が強い日ほど屋外作業や部活動での搬送が増えます。詳しくは晴れの日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

年平均気温の高さ:大分は16位

順位都道府県年平均気温偏差値
1位沖縄県23.3℃83.5
2位鹿児島県18.8℃64.1
3位宮崎県17.7℃59.4
4位長崎県17.4℃58.1
5位高知県17.3℃57.6
6位福岡県17.3℃57.6
7位熊本県17.2℃57.2
8位大阪府17.1℃56.8
9位兵庫県17.0℃56.3
10位山口県17.0℃56.3
16位大分県16.8℃55.5
年平均気温の高さランキング(平年値)

大分県は16位(16.8℃、偏差値55.5)。1位は沖縄県(23.3℃)、47位は北海道(9.2℃)、全国平均は15.5℃です。比較:岡山26位・東京25位・沖縄1位・北海47位。詳しくは暖かい県ランキングをご覧ください。

大分の月別気温・湿度と全国順位

大分市の月別平均気温・湿度と全国順位です。夏の気温は20位前後で突出しておらず、搬送率の高さは気象以外の要因(高齢化率・屋外作業・暑さへの慣れ)が大きいことが分かります。

大分の平均気温順位1位大分の平均湿度順位1位
1月6.5℃9位沖縄(17.3℃)62%34位富山(82%)
2月7.2℃10位沖縄(17.5℃)63%30位富山(78%)
3月10.2℃11位沖縄(19.1℃)65%23位富山(72%)
4月14.8℃16位沖縄(21.5℃)65%22位沖縄(75%)
5月19.3℃19位沖縄(24.2℃)68%24位沖縄(78%)
6月22.6℃22位沖縄(27.2℃)77%15位沖縄(83%)
7月26.8℃22位沖縄(29.1℃)77%21位宮城(83%)
8月27.7℃22位大阪(29.0℃)75%21位宮城(81%)
9月24.2℃22位沖縄(27.9℃)74%23位茨城(81%)
10月19.1℃16位沖縄(25.5℃)70%28位茨城(79%)
11月13.8℃13位沖縄(22.5℃)69%22位山形(78%)
12月8.7℃13位沖縄(19.0℃)64%33位山形(81%)
大分県の月別値と全国順位

7〜9月の気温は22位、湿度は20位前後と全国平均並み。気候が極端でない県でも搬送率が高くなるのは、熱中症が「気温」だけでなく「人」の条件で起きる災害だからです。

よくある質問

Q. 熱中症で搬送が多いのは何月?

7月と8月で全体の7割以上を占め、梅雨明け直後の7月中旬〜下旬にピークがあります。体が暑さに慣れていない時期に急に気温が上がると搬送が急増します。

Q. 搬送率が高い県に共通する特徴は?

高齢化率が高い、農作業など屋外労働が多い、エアコンの普及率や使用率が低い、といった「人と暮らし」の要因です。気象条件では内陸の盆地で日中の最高気温が高い地域が加わります。

Q. 沖縄は暑いのに搬送率が低いのはなぜ?

海風で最高気温が35℃を超える日が少なく、住民が暑さに慣れているためです。日本一暑い街はどこ?でも触れているように、「平均が高い」沖縄と「最高が高い」内陸では熱中症のリスクの出方が違います。

Q. 暑さ指数(WBGT)はどこで確認できる?

環境省の熱中症予防情報サイトで地点別に公開されています。WBGT31以上は「危険」で運動は原則中止です。当サイトの猛暑日ランキング熱帯夜ランキングで地域の傾向を把握しておきましょう。

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まとめ
  • 2025年5〜9月の熱中症救急搬送は全国100,510人で過去最多、死亡117人。65歳以上が57%、住居での発生が38%
  • 人口10万人あたりの1位は大分126.8人、2位岡山、3位奈良、4位佐賀、5位鹿児島。上位15県中14県が西日本
  • 最下位は神奈川53.9人、北海道54.0人、静岡、東京66.1人。首都圏は絶対数は多いが率は低い
  • ずれの理由は高齢化率・屋外労働・救急車を呼ぶ習慣。「暑さ×高齢化」で搬送率はほぼ決まる
  • 対策は暑さ指数(WBGT)と熱中症警戒アラート。夜の住居内も要注意

出典:気象庁の平年値(1991〜2020年)および観測データ、総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」、総務省 人口推計。偏差値は47都道府県の平均を50とした値です。都道府県の値は原則として県庁所在地の気象官署の平年値を用いています。

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