小笠原諸島西方沖でM7.0の深発地震、なぜ遠い東北・関東が揺れた?異常震域を震度データで検証|距離と揺れの判定ツール

気象

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こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

10月25日(日)11時09分ごろ(気象庁の速報の見出しでは11時10分ごろ)、小笠原諸島西方沖を震源とするマグニチュード(M)7.0の地震がありました。気象庁によると震源の深さは約470km。最大震度は東京都小笠原村の震度3で、「この地震による津波の心配はありません」と発表されています。

不思議なのは揺れ方です。震央から約850km離れた東京23区(千代田区)で震度2、約1,100km離れた宮城県南部・山形県村山・福島県で震度2、盛岡や青森県階上町でも震度1。ところが、東京とほぼ同じ距離の名古屋・大阪・静岡市では震度1以上の観測がありませんでした。Googleトレンドでも「小笠原諸島」が急上昇ワードに入り、検索候補には「小笠原 地震 異常震域」「深発地震 小笠原」が並んでいます。

この記事では、気象庁の震度データと1973年からの53年分の地震カタログ(USGS)を使って、「なぜ遠い東北が揺れて、近い東海・近畿は揺れなかったのか(異常震域)」「深発地震とは何か」「大地震の前触れなのか」を数字で確かめます。自分の地域が今回どれくらい揺れたかを調べられるツールも作りました。

この記事の結論(30秒で読める版)
  • 津波の心配なし・南海トラフ臨時情報の発表なし・大地震の前触れを示すデータもなし。10月25日11時09分ごろの小笠原諸島西方沖の地震はM7.0・深さ約470kmの「深発地震」(気象庁の速報値)で、最大震度3(小笠原村)
  • 震度1以上は16都県。震度2は東京23区や埼玉・千葉・茨城・栃木・神奈川に加え、震央から約1,050〜1,150km離れた宮城・山形・福島でも。一方、東京とほぼ同じ距離(約790〜850km)の静岡市・名古屋・津・大阪は震度1未満。宮城と同じくらい遠い福岡(約1,100km)も震度1未満
  • これが「異常震域」。地震波が、冷たく硬い太平洋プレートの中を北へ伝わって関東・東北に届き、反対に西へ向かう波は熱くやわらかいマントルを通るので弱まるためです
  • 伊豆・小笠原の深いところでは、M6以上の深発地震が1973年から43回(約1.3年に1回、USGSの値で今回を含む)。M7以上(USGS)は今回を除いて5回で、最大は2015年5月30日のM8.1(気象庁)・深さ682km。このときは小笠原村と神奈川県二宮町で震度5強でした
  • 深発地震は余震が少なく、津波も起こしにくいのが特徴。日本の南で起きたM6.8以上の深発地震11回のうち10回は、30日以内に近くでM5.5以上の地震が続いていません。南海トラフ地震臨時情報の対象(想定震源域とその周辺のM6.8以上)でもありません。判定ツールで自分の地域の距離と揺れを確かめられます

▶ あなたの地域は何km?今回の揺れを調べるツールへ

今回の地震、あなたの地域は? 距離と震度の判定ツール+深発地震カタログ

①で地域を選ぶと、震央からの距離・震源までの距離・今回の揺れと、同じくらいの距離なのに揺れ方が違った地域を表示します。グラフの青い点(東北・関東・伊豆諸島・小笠原)とオレンジの点(中部・近畿以西・北海道・沖縄)を比べると、「距離が同じでも揺れが違う」ことがひと目でわかります。②では1973年以降の日本周辺の深発地震(深さ300km以上・M6.0以上)を、規模・場所で絞りこんで地図と表で見られます。③は気象庁の最新情報から深さ100km以上の地震を自動で拾うので、次に深い地震が起きたときにもそのまま使えます。選んだ地域は次に開いたときも覚えています。

① 今回の地震、あなたの地域は何km離れていて、どれくらい揺れた?
読み込み中…
● 東北・関東・伊豆諸島・小笠原 ● 中部・近畿・中国・四国・九州・北海道・沖縄 ◎ 選んだ地域
② 日本周辺の深発地震カタログ(深さ300km以上・M6.0以上、1973年〜)
③ 最新:気象庁が発表した深い地震(深さ100km以上・自動更新)
気象庁の地震情報を読み込み中…
※①は気象庁「震源・震度情報」(2026年10月25日11時17分発表、速報値)の地域ごとの最大震度。47都道府県すべてに少なくとも1地点を入れています。距離は震央(北緯28.0度・東経139.9度)から各地域の代表地点までの概算(当サイト計算)で、震源距離は深さ470kmを含めた直線距離。震度1以上の発表がなかった地点は「0(震度1未満)」としています。②はUSGS(米国地質調査所)の地震カタログ(1973年1月1日〜2026年10月25日、北緯20〜50度・東経120〜155度)で、マグニチュードはUSGSの値(今回はUSGSでM6.5、気象庁ではM7.0)。場所の区分は当サイトによるものです。

10月25日の小笠原諸島西方沖の地震:何が起きた?

項目内容
発生時刻2026年10月25日(日)11時09分ごろ
震源小笠原諸島西方沖(北緯28.0度、東経139.9度)
深さ約470km(速報値)
規模M7.0(気象庁の速報値)/USGSはM6.5・深さ約492km
最大震度震度3(東京都小笠原村)
震度2東京23区(千代田区)、青ヶ島村、宮城県南部、山形県村山、福島県中通り・浜通り、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、神奈川県東部
震度1以上16都県(青森・岩手・宮城・山形・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野・静岡)
津波この地震による津波の心配はありません
表1 10月25日11時09分ごろの地震の概要
気象庁「震源・震度情報」(2026年10月25日11時17分発表)より。マグニチュードは気象庁とUSGSで計算方法が違うため値が異なります。

震源の小笠原諸島西方沖は、父島の西およそ250kmの海の下。震央から一番近い観測点の小笠原村で震度3でしたが、注目したいのは震度1以上が出た16都県がすべて東日本だということです。中部地方では新潟県中越・長野県中部・山梨県東部・静岡県伊豆で震度1でしたが、愛知・岐阜・三重から西、そして北陸では震度1以上の観測がありませんでした。

東京23区で震度2を観測したのは千代田区で、中央区・港区・新宿区などは震度1。埼玉県南部ではさいたま市大宮区・川口市・春日部市などで震度2でした。揺れの観測は発生から約1分後の11時10分(気象庁の到達時刻)。震源が遠く深いので、震源から遠い地域ほど揺れが届くまで時間がかかります。地域ごとの過去の地震の傾向は東京都の地震情報や小笠原村の地震情報でも確認できます。

なぜ遠い東北・関東が揺れ、近い東海・近畿は揺れない?「異常震域」の仕組み

ふつう地震の揺れは、震源から遠くなるほど弱くなります。ところが深い地震では、震央から離れた地域のほうが近い地域より強く揺れることがあります。これを「異常震域」といいます。

異常震域の仕組み(模式図) 西(東海・近畿)北東(関東・東北) 地表 熱くやわらかいマントル 地震波が吸収されて弱まる ↑ 太平洋プレート(冷たく硬い) 震源(深さ約470km) プレートを通って弱まらずに届く→震度2 弱まる→震度1未満 ※わかりやすくするため形や深さは誇張しています
図1 深い地震の揺れが、沈み込むプレートを通って遠くの太平洋側に届くしくみ

日本の下には、東から太平洋プレートが沈み込んでいます。伊豆・小笠原の下では、このプレートが深さ500km以上まで垂れ下がり、北へたどると関東・東北の下ではだんだん浅くなって日本海溝につながっています。

沈み込んだプレートは、まわりのマントルより冷たく硬いので、地震波(特に揺れを感じさせる細かい揺れ)が弱まりにくい性質があります。深さ470kmで起きた地震の波は、このプレートの中を「通り道」にして北へ伝わり、関東・東北の太平洋側の地表に強めに届きます。

一方、震央の真上や西側(東海・近畿)へ向かう波は、プレートの上にある熱くやわらかいマントルを通ります。ここは地震波を吸収しやすく、揺れが弱まってしまう。だから、東京とほぼ同じ距離の名古屋・大阪で震度1未満、ずっと遠い宮城・山形で震度2という、地図で見ると不思議な分布になるのです。

震度の分布が「震央を中心にした同心円」ではなく、関東から東北の太平洋側へ帯のように伸びるのが異常震域の典型です(図2)。同じ仕組みは北海道や東北の下の深い地震でも見られ、たとえば日本海の深いところで起きた地震で北海道や東北の太平洋側が揺れることがあります。緊急地震速報の出方にも影響することがあり、詳しくは「緊急地震速報の誤報はなぜ?」で解説しています。

震央(深さ470km)仙台東京名古屋大阪福岡新潟秋田父島高知震度3震度2震度1震度1未満(主な都市)
図2 10月25日11時09分ごろの地震の震度分布(観測点412か所)。震度は関東から東北の太平洋側へ帯のように広がり、震央に近い東海・近畿では観測されていない
気象庁「震源・震度情報」(11時17分発表)の観測点ごとの震度と緯度経度から当サイト作成。白丸は震度1以上の発表がなかった主な都市。

データで検証:同じ距離なのに、揺れはこんなに違う

気象庁が発表した地域ごとの震度を、震央からの距離(当サイトで各地域の代表地点から概算)で並べ直しました。震源からプレートに沿って北へ向かう東北・関東と、マントルを通る方向にある中部・近畿以西などを、同じ距離帯で比べます。

震央からの距離東北・関東・伊豆諸島の震度中部・近畿以西などの震度
約670〜800km千葉県南部 2、新島 1、三宅島 1静岡県伊豆 1、静岡市 0、浜松市 0、潮岬 0
約800〜900km東京23区 2、茨城県南部 2、埼玉県南部 2、千葉県北東部 2、千葉県北西部 2、神奈川県東部 2、多摩東部 1、神奈川県西部 1山梨県東部・富士五湖 1、名古屋市 0、津市 0、大阪市 0、高知市 0、甲府市 0、岐阜市 0、大津市 0、京都市 0、神戸市 0、奈良市 0、徳島市 0、高松市 0
約900〜1,000km茨城県北部 2、栃木県北部 2、栃木県南部 2、埼玉県北部 2、群馬県北部 1、群馬県南部 1長野県中部 1、長野市 0、鹿児島市 0、金沢市 0、福井市 0、鳥取市 0、岡山市 0、松山市 0、大分市 0、宮崎市 0
約1,000〜1,200km宮城県南部 2、山形県村山 2、福島県中通り 2、福島県浜通り 2、宮城県中部 1、宮城県北部 1、山形県置賜 1、福島県会津 1新潟県中越 1、新潟市 0、富山市 0、福岡市 0、松江市 0、広島市 0、山口市 0、佐賀市 0、長崎市 0、熊本市 0
約1,200〜1,450km青森県三八上北 1、岩手県内陸北部 1、秋田市 0、青森市 0那覇市 0
表2 距離帯ごとの比較(数字は今回の震度、0は震度1未満)
気象庁「震源・震度情報」の地域ごとの最大震度。距離は当サイトの概算(各地域の代表地点まで)。震度1以上の発表がない地点を0としています。

表2のとおり、約800〜900kmの距離帯では、東北・関東の8地域のうち6地域が震度2、中部・近畿以西などの13地点は山梨県東部の震度1を除いてすべて震度1未満。さらに約1,000〜1,200km離れた宮城・山形・福島で震度2が出ている一方、同じ距離帯の福岡・広島・熊本・新潟市などは震度1未満。東北でも日本海側の秋田市は震度1未満で、太平洋側ほど揺れやすいことも読み取れます。距離だけで揺れを考えると説明できない分布で、まさに異常震域の形です。

ちなみに東京から福岡までの直線距離は約880km。今回の東京23区は震央から約855kmなので、「東京で起きた地震を福岡で感じる」くらい離れた場所で震度2が出たことになります。ツールの①で自分の地域を選ぶと、同じ距離なのに揺れ方が違った地域が自動で表示されます。

深発地震とは? 深さ300km以上の地震の基礎知識

地震は、震源の深さで大きく3つに分けられます。日本で起きる地震の多くは深さ数km〜数十kmの「浅い地震」ですが、沈み込むプレートの中では、もっと深いところでも地震が起きます。

区分(一般的な目安)深さ日本での例特徴
浅発地震約60〜70kmより浅い内陸の活断層の地震、海溝沿いのプレート境界の地震震央付近で強く揺れる。大きいと津波や大きな被害
やや深発地震約70〜300km関東の下の深さ70km前後〜100km台の地震、北海道・東北の下の深いプレート内の地震など広い範囲で揺れることが多い
深発地震約300〜700km小笠原諸島西方沖、鳥島近海、日本海、オホーツク海の深部震央付近でも揺れが小さく、遠くの太平洋側で揺れる(異常震域)。津波はほぼ起こさない
表3 震源の深さによる地震の区分
区分の深さは文献によって多少違います(当サイトでは一般的な目安を記載)。

深発地震が起きるのは、沈み込んだプレートが残っている場所だけです。世界でも、太平洋を囲むプレートの沈み込み帯(日本〜伊豆・小笠原〜マリアナ、トンガ・フィジー、南米など)に集中しています。深さ約700kmより深いところでは地震はほとんど起きません。

今回の深さ470kmは、地球の半径(約6,400km)の約7%の深さ。東京から大阪までの距離(約400km)より深いところで岩盤が壊れたことになります。ツールの②で「伊豆・小笠原の深部」を選ぶと、1973年以降のこの領域の深発地震の深さは360〜664km(USGS)、真ん中の値は約470kmで、今回はまさに「典型的な深さ」でした。

過去の小笠原諸島西方沖・深発地震(53年分のデータ)

USGSのカタログで、日本周辺(北緯20〜50度・東経120〜155度)の深さ300km以上・M6.0以上の地震を数えると、1973年以降89回(年平均約1.7回)。そのうち43回が伊豆・小笠原の深部(小笠原諸島西方沖・鳥島近海など)で、日本周辺の深発地震のほぼ半分がここに集中しています。

発生日場所(当サイト区分)M(USGS)深さ(USGS)
1982年7月4日伊豆・小笠原の深部7.1536km
1984年3月6日伊豆・小笠原の深部(鳥島近海)7.4457km
1998年8月20日伊豆・小笠原の深部7.1440km
2000年8月6日伊豆・小笠原の深部7.4395km
2015年5月30日伊豆・小笠原の深部(小笠原諸島西方沖)7.8664km
2026年10月25日(今回)伊豆・小笠原の深部(小笠原諸島西方沖)6.5492km
表4 伊豆・小笠原の深部で起きたM7.0以上(USGS)の深発地震と今回
USGS Earthquake Catalog より当サイト集計。今回はUSGSではM6.5、気象庁ではM7.0。

なかでも記憶に残るのが2015年5月30日20時23分の小笠原諸島西方沖の地震です。気象庁の値でM8.1・深さ682km。小笠原村と神奈川県二宮町で震度5強、埼玉県の鴻巣市・春日部市・宮代町で震度5弱を観測し、関東地方を中心に全国の広い範囲で揺れました。震央から約850km離れた関東で震度5弱・5強が出たのも、異常震域によるものです。

2015年5月30日2026年10月25日(今回)
発生時刻20時23分ごろ11時09分ごろ
震源小笠原諸島西方沖小笠原諸島西方沖
深さ(気象庁)682km約470km(速報値)
M(気象庁)8.17.0(速報値)
M(USGS)7.86.5
最大震度5強(小笠原村、神奈川県二宮町)3(小笠原村)
関東の揺れ埼玉県鴻巣市・春日部市・宮代町で震度5弱東京23区・埼玉・千葉・茨城・栃木・神奈川で震度2
被害東京都で地震関連の負傷8件、埼玉県3人、神奈川県2人など(17時時点で大きな被害の情報は確認していません)
津波なしなし
表4-2 2015年の小笠原諸島西方沖地震と今回の比較
気象庁報道発表、地震調査研究推進本部の資料、気象庁「震源・震度情報」より。M7.0とM8.1ではエネルギーが約45倍違います。

最近の10年あまりでも、伊豆・小笠原の深部ではM6以上が2015年以降10回(USGS、今回を含む)。2024年4月27日にも、今回とほぼ同じ場所(北緯27.8度・東経139.6度付近、深さ約500km)でM6.5(USGS)の地震が起きています。「めったに起きない異常な地震」ではなく、1〜2年に1回くらいは起きている地震といえます。

ほかの領域では、1978年3月7日と1993年10月12日に東海道南方沖の深さ350〜440kmでM6.9(USGS)、1984年1月1日に三重県南東沖の深さ約370kmでM7.2(USGS)の地震があり、いずれも同じ太平洋プレートの深いところで起きた地震です。日本海の深部では2007年7月16日に京都府沖の深さ約350kmでM6.8(USGS)、オホーツク海では2012年8月14日にM7.7(USGS)などが起きています。

深発地震は大地震の前触れ? 南海トラフとの関係は

「深い地震のあとに大地震が来るのでは?」と心配する声もあります。データで見てみましょう。

USGSのカタログで、日本の南の深さ300km以上で起きたM6.8以上の深発地震11回について、その後30日以内に震源から150km以内で(深さ60km以上の)M5.5以上の地震が起きたかを数えました。結果は11回中10回は0回。例外は2015年のM7.8(USGS)だけで、24日後に約80km離れた深さ約460kmでM6.5(USGS)などが起きています。

特徴浅い大地震深発地震
余震多い(数か月〜数年続く)少ない(日本の南のM6.8以上の深発地震11回中10回は、30日以内に近くでM5.5以上なし)
津波海底が動くと発生深すぎて海底をほとんど動かさないため、ほぼ起こさない
揺れ震央付近が最も強い震央付近は弱め、遠くの太平洋側で揺れる
被害大きくなりやすい規模の割に小さい傾向(2015年M8.1では負傷者などの被害)
表5 浅い大地震と深発地震のちがい
余震の件数は USGS カタログ(深さ60km以上・M5.5以上)の当サイト集計。

南海トラフ地震との関係についても確認しておきます。気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を出すのは、南海トラフの想定震源域やその周辺でM6.8以上の地震が起きたときなどです。小笠原諸島西方沖は想定震源域から遠く離れた場所で、しかも深さ470kmと仕組みのまったく違う地震です。10月25日17時の時点で、臨時情報は発表されていません。

なお同じ25日の朝8時59分ごろには日向灘でM5.3・最大震度3(熊本県・宮崎県・鹿児島県)の地震もありましたが、M6.8に届かず、臨時情報の対象ではありません。小笠原諸島西方沖と日向灘の震央は約900km離れていて、関係はないと考えられます。とはいえ、日本はどこでも大きな地震が起こりうる国。「前触れかどうか」を気にするより、ふだんの備えの確認が大切です。

いまの日本の地震活動をサイト内ツールで確かめる

下は気象庁の最新の地震情報です。深い地震のあとに続けて地震が起きていないかも、ここで確認できます。

都道府県ごとの地震の多さ(震度1以上の年間回数など)は、下のツールで全国比較できます。今回震度2が多かった関東から、東京都を初期表示にしています。

住んでいる地域の地震の傾向は地域別の地震情報(例:東京都・宮城県・山形県・福島県)、過去の大きな地震は地震データベース、家族の備えは地震の備え診断で確認できます。地震の大きさの感覚は「M9.9はどのくらい?エネルギー計算ツール」で、M7.0とM8.1のエネルギーの差(約45倍)も計算できます。

深い地震で揺れたときに確認したいこと

やることポイント
津波の情報を確認深発地震は津波をほぼ起こしませんが、必ず気象庁の発表で確認。今回は「津波の心配なし」
揺れの長さに注意遠くから届く揺れは、ゆっくり長く続くことがあります。高層階やエレベーターでは揺れが収まるまで動かない
家具の固定震度2〜3でも落ちやすい棚の上の物は、大きな地震の前に見直しておく
連絡方法家族の集合場所と、災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を確認
スマホの通知緊急地震速報の受信設定と、モバイルバッテリーの充電
表6 深い地震で揺れたときのチェックリスト

2015年のM8.1の深発地震では、東京都で地震に関連する負傷が8件、埼玉県で3人、神奈川県で2人など、深い地震でもけが人が出ました(地震調査研究推進本部)。「震源が遠いから大丈夫」ではなく、揺れを感じたらまず身の安全。そのうえで、震源と津波の情報を気象庁の発表で確認しましょう。

よくある質問

10月25日の小笠原諸島西方沖の地震はどんな地震でしたか?

10月25日11時09分ごろ、小笠原諸島西方沖の深さ約470kmで起きたM7.0(気象庁)の深発地震です。最大震度は東京都小笠原村の震度3で、東京23区や宮城・山形・福島など東日本の16都県で震度1以上を観測しました。津波の心配はありません。

異常震域とは何ですか?

震央から遠い地域のほうが、近い地域より強く揺れる現象です。深い地震で起きやすく、地震波が冷たく硬い太平洋プレートの中を伝わって関東・東北の太平洋側に届く一方、西側では熱くやわらかいマントルで弱まるために起こります。

なぜ東京や宮城で揺れて、名古屋や大阪は揺れなかったのですか?

深い震源からの地震波が、沈み込んだ太平洋プレートの中を北へ伝わり、関東・東北に弱まらずに届いたためです。名古屋や大阪は震央からの距離は東京とほぼ同じ(約850km)ですが、地震波がやわらかいマントルを通るため弱まり、震度1未満でした。

深発地震とは何ですか?

一般に震源の深さが約300km以上の地震をいいます。沈み込んだプレートの中で起き、日本周辺では小笠原諸島西方沖、鳥島近海、日本海、オホーツク海の深部などで発生します。深さ約700kmより深いところでは、地震はほとんど起きません。

小笠原諸島西方沖の深い地震はよく起きますか?

USGSのデータでは、伊豆・小笠原の深部で深さ300km以上・M6.0以上の地震が1973年以降43回、2015年以降も今回を含めて10回起きています。1〜2年に1回くらいは起きている地震で、最大は2015年5月30日のM8.1(気象庁)、深さ682kmの地震です。

深発地震は大地震の前触れですか?

深発地震は余震が少ないのが特徴で、日本の南の深さ300km以上で起きたM6.8以上の11回のうち10回は、30日以内に近くでM5.5以上の地震が起きていません。南海トラフ地震臨時情報の対象でもありません。ただし日本はどこでも大地震が起こりうるので、ふだんの備えは大切です。

深発地震で津波は起きますか?

深発地震は震源が深すぎて海底をほとんど動かさないため、津波はほぼ起こしません。今回も気象庁は「この地震による津波の心配はありません」と発表しました。ただし津波の有無は、必ず気象庁の発表で確認してください。

2015年の小笠原諸島西方沖地震ではどのくらい揺れましたか?

2015年5月30日20時23分ごろの地震(M8.1・深さ682km、気象庁)では、東京都小笠原村と神奈川県二宮町で震度5強、埼玉県鴻巣市・春日部市・宮代町で震度5弱を観測し、関東地方を中心に全国の広い範囲で揺れました。

まとめ
  • 10月25日11時09分ごろ、小笠原諸島西方沖でM7.0・深さ約470kmの深発地震。最大震度3、津波の心配なし
  • 震度2が東京23区から約1,100km離れた宮城・山形・福島まで広がった一方、それより近い名古屋・大阪(約850km)は震度1未満=異常震域
  • 原因は、地震波が冷たく硬い太平洋プレートの中を通って関東・東北の太平洋側に届き、西側ではやわらかいマントルで弱まるため
  • 伊豆・小笠原の深部ではM6以上が1973年以降43回。最大は2015年のM8.1(深さ682km、関東で震度5強)
  • 深発地震は余震・津波が少なく、南海トラフ臨時情報の対象外。それでも揺れたら身の安全を最優先に、備えの見直しを

出典:気象庁「地震情報」(震源・震度情報 2026年10月25日11時17分発表、同日8時59分ごろの日向灘の地震)、気象庁報道発表「平成27年5月30日20時23分頃の小笠原諸島西方沖の地震について(第3報)」、同(第1報)、地震調査研究推進本部「2015年5月30日 小笠原諸島西方沖の地震」、USGS(米国地質調査所)Earthquake Catalog(1973年1月1日〜2026年10月25日、北緯20〜50度・東経120〜155度、深さ60km以上・M5.5以上を取得、2026年10月25日取得)、気象庁「南海トラフ地震に関連する情報」。距離・回数・領域区分は当サイトの集計。マグニチュードは表記のない限り気象庁の値。

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