インフルエンザと湿度は関係ない?2026年は夏に流行入り|絶対湿度7g/m³の目安と「今日の絶対湿度」チェッカー

札幌・東京・福岡・那覇の月別絶対湿度のグラフ 気象

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こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

【すぐわかる答え】インフルエンザの流行と「湿度」は無関係ではありませんが、見るべきは相対湿度(%)ではなく「絶対湿度」(空気1m³あたりの水蒸気の量、g/m³)です。国内の研究では、絶対湿度がおよそ10g/m³や7g/m³を下回るころから流行が起きやすいと報告されています。平年値で計算すると、東京・大阪・福岡などは12〜3月に平均が7g/m³を下回り、11月も7〜8g/m³前後まで下がります。一方、2026年は東京都が8月下旬(第34週)に流行開始の目安を超え、絶対湿度が20g/m³近い真夏に流行が始まりました。湿度だけでは流行の時期は決まらない、というのが今季の大事な教訓です。

「インフルエンザって湿度と関係ないの?」「加湿器は何%にすればいい?」——2026年はインフルエンザの流行入りが例年よりかなり早く、東京都では8月末に「流行開始」、9月17日には注意報基準を超えたと発表されました。全国の定点当たり報告数は、10月12〜18日(第42週)で9.08人(前週12.81人から減少)と、ふだんの年ならまだ流行前の時期に高い水準が続いています。

この記事では、元気象庁職員の気象予報士として、気象庁の平年値から全国10都市の「月別の絶対湿度」を計算し、インフルエンザの研究で使われてきた湿度の目安と照らし合わせました。アメダスの最新値から「いま、あなたの街の空気は何g/m³か」を計算するチェッカーと、部屋を何%に加湿すれば目安に届くかもわかるようにしています。

この記事の結論(30秒で読める版)
  • インフルエンザと関係が深いのは相対湿度(%)ではなく絶対湿度(g/m³)。同じ湿度50%でも、25℃なら11.5g/m³、5℃なら3.4g/m³と3倍以上違う
  • 国内の研究では10g/m³(庄司)、7g/m³(高山)を下回るころから流行しやすいと報告。さいたま市では大規模な学級閉鎖が1.2〜4.8g/m³程度の時期に起きた
  • 平年値で計算すると、東京・大阪・福岡は12〜3月に7g/m³未満、札幌・仙台は11〜4月。那覇は1年中7g/m³以上
  • 気温5℃では湿度100%でも6.8g/m³。冬の外気はどんなに湿って見えても7g/m³に届かない
  • 外気5℃・湿度60%の空気を20℃に暖めると、室内の湿度は約24%。20℃の部屋で7g/m³にするには湿度40%以上、10g/m³なら58%以上が必要
  • 2026年は東京都で8月下旬に流行開始(昨季より1か月以上早い)。絶対湿度が高い夏でも流行するので、加湿は対策のひとつで、ワクチン・手洗い・換気・体調管理と組み合わせることが大切

▶ あなたの街の「いまの絶対湿度」をチェック ▶ 月別の絶対湿度カレンダー ▶ 部屋の加湿は何%?

2026年のインフルエンザは「夏に流行入り」した

まず、今季の状況を整理します。東京都の発表によると、都内の定点当たり報告数は2026年第34週(8月17〜23日)に1.49人となり、流行開始の目安の1.00人を超えました。前のシーズン(2025年第39週、9月22〜28日)より1か月以上早い流行開始です。さらに第37週(9月7〜13日)には、都内31保健所のうち14保健所が注意報レベルとなり、その管内人口が都全体の47.87%に達したため、9月17日に注意報基準を超えたと発表されました。

時期できごと数字
2026年第34週(8/17〜23)東京都で流行開始の目安を超える定点当たり1.49人(目安1.00人)
2026年第37週(9/7〜13)東京都で注意報基準を超える都平均9.53人、注意報レベルの保健所の人口47.87%
2026年8/31〜9/13東京都の学級閉鎖など107件(前季の同時期は13件)
2026年第41週(10/5〜11)全国の定点当たり報告数12.81人
2026年第42週(10/12〜18)全国の定点当たり報告数9.08人(3週ぶりに減少、10人超は12道県)
表1 2026年のインフルエンザの流行状況(東京都・厚生労働省の発表、報道から当ブログ作成)

第42週の都道府県別では、沖縄県19.68人、埼玉県15.39人、北海道12.32人、長崎県12.28人、千葉県12.20人、岩手県12.07人などが多くなっています。ここで不思議に思うのが、「インフルエンザは冬に乾燥すると流行る」と言われるのに、なぜ真夏に流行が始まったのかという点です。答えを考えるために、まず「湿度」の正体から見ていきましょう。

今日の絶対湿度チェッカー:あなたの街の空気は何g/m³?

地点を選ぶと、気象庁アメダスの最新の気温と湿度から絶対湿度を計算し、研究で使われてきた目安(10・7・5g/m³)と比べて表示します。下には、全国47地点のうちいま空気が乾いている順のトップ10も出します。毎日、何度でも使えます。

今日の絶対湿度チェッカー(全国47地点・気象庁アメダスの最新値)
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気温と相対湿度は気象庁アメダスの最新の観測値(10分ごと)。絶対湿度(空気1m³に含まれる水蒸気の量)は当ブログがTetensの式で計算した値です。目安の線(10・7・5g/m³)は国内の研究で流行との関連が報告された値で、感染する・しないを判定するものではありません。

同じ地点でも、絶対湿度は雨の日や南風の日に上がり、晴れて北風が吹く日に下がります。冬型の気圧配置で北風が吹くと、太平洋側では空気が一気に乾きます(冬型の気圧配置はいつから?)。今日の気温や気圧の変化は今日の気圧チェックや今日の日本一でも確認できます。

「湿度50%」でも中身は全然違う:相対湿度と絶対湿度

天気予報やエアコンに表示される「湿度○%」は相対湿度です。これは「その気温で空気が含める水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)に対して、いま何%含んでいるか」を表す割合です。ところが、空気が含める水蒸気の量は気温でまったく違います。気温が低いほど、同じ%でも水蒸気の量はずっと少なくなります。

同じ「湿度50%」でも水蒸気の量は3倍以上違う夏 25℃・湿度50%11.5g飽和23.1g/m³の半分冬 5℃・湿度50%3.4g飽和6.8g/m³の半分冬 5℃→暖房20℃外気 湿度60%(4.1g)↓ 暖めると湿度 約24%水蒸気の量は同じ4.1g7gにするには加湿が必要数字は空気1m³あたりの水蒸気の量(絶対湿度)。気温5℃では湿度100%でも6.8g/m³Tetensの式による当ブログの計算
図1 相対湿度(%)と絶対湿度(g/m³)の違い

図1のとおり、夏の25℃・湿度50%は11.5g/m³ですが、冬の5℃・湿度50%は3.4g/m³しかありません。しかも気温5℃では、雨が降って湿度100%になっても6.8g/m³です。冬の屋外は、湿っぽく感じる日でも水蒸気の絶対量は少ないのです。

この冷たく乾いた空気を暖房で20℃に暖めると、水蒸気の量はそのままなので、相対湿度は約24%まで下がります。冬の部屋が「カラカラ」になるのはこのためで、結露はいつから?や加湿器はいつから?の記事でも、この仕組みを詳しく解説しています。体感との関係は体感温度・露点温度の計算ツールでも計算できます。

インフルエンザと絶対湿度:研究で使われてきた「10g・7g・5g」

「絶対湿度が低いとインフルエンザが流行しやすい」という考え方は、海外では、Shamanらが動物実験データの再解析(2009年)と米国各州の流行開始の解析(2010年)で、絶対湿度の低下との関係を示したことで広く知られるようになりました。国内でも、気象データと流行の関係を調べた研究がいくつもあります。国立保健医療科学院の学術誌『保健医療科学』に載った遠田ら(2019)の論文は、さいたま市のデータを調べたもので、序論に国内の先行研究がまとめられています。

目安内容出典(遠田ら2019による紹介)
10g/m³5地区の検討で、東京は10g/m³以下で流行が始まる。温帯の日本での「最大公約数」庄司の研究
7g/m³滋賀県で、これを上回ると流行がかなり少ない高山の研究
5g/m³宮城県・北海道では、より低い値が目安庄司の研究
約1.2〜4.8g/m³さいたま市の小学校で大規模な学級閉鎖が起きた日の前日・前々日の絶対湿度(1.0〜4.0g/kg)遠田ら(2019)
表2 インフルエンザの流行と絶対湿度の目安。g/kgからg/m³への換算は論文の係数(0.84m³/kg)による。温湿度計メーカーなどは11g/m³を区切りにした独自の目安を使うこともあります

さいたま市の研究(2010・2011・2014年度の学級閉鎖のデータ)では、学級閉鎖の報告前日の絶対湿度の中央値は3.1g/kg(約3.7g/m³)で、報告前日の値の約98.6%が8.4g/kg(約10g/m³)以下でした。つまり冬の流行のピークは、真冬のとても乾いた空気の時期と重なっているということです。ただし、3年度のうち2年度(2011・2014年度)は統計的に有意な関連がみられず、絶対湿度だけで流行が決まるわけではないことも示されています。

乾燥がよくない理由は、ウイルスの側と体の側の両方にあると考えられています。ウイルスの側では、乾いた空気の中ではウイルスを含んだ飛沫の水分がすぐに蒸発して小さくなり、空中に長く漂いやすくなります。体の側では、厚生労働省が「空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下」すると説明しているように、鼻やのどの粘膜で異物を外へ運ぶしくみ(線毛の動き)が乾燥で弱まります。寝ている間の口呼吸ものどを乾かす原因です。

全国10都市の月別絶対湿度:「7g/m³を下回る月」はいつ?

では、日本の各地で絶対湿度が7g/m³を下回るのはいつごろでしょうか。気象庁の平年値(1991〜2020年)の月平均気温と月平均相対湿度から、全国10都市の月別の絶対湿度を計算しました(月平均どうしから計算した目安です)。

都市10月11月12月1月2月3月4月(8月)
札幌7.24.63.12.72.73.44.814.8
仙台9.66.34.53.73.74.36.218.1
新潟10.27.25.14.14.45.06.718.8
東京10.97.04.53.63.85.27.619.0
名古屋10.87.35.24.34.25.27.419.0
大阪10.97.65.44.54.55.57.519.0
広島10.67.65.54.64.85.77.719.3
福岡11.58.15.64.95.16.28.420.0
鹿児島12.79.46.75.76.17.49.921.1
那覇17.113.810.99.710.311.714.222.4
表3 10都市の月別の絶対湿度(g/m³)。太字は7g/m³未満。気象庁の平年値(1991〜2020年)の月平均気温・相対湿度から当ブログが計算

表3から、次のことがわかります。

  • 東京・名古屋・大阪・広島・福岡は、12〜3月の4か月が7g/m³未満。最も低いのは1〜2月で、東京は3.6〜3.8g/m³とこの5都市の中で最も乾いています(冬の太平洋側は晴れて乾いた北西風が吹くため)
  • 札幌・仙台は11〜4月の6か月が7g/m³未満。札幌の1〜2月は2.7g/m³と最も低い値です
  • 新潟は相対湿度が高い日本海側ですが、気温が低いので12〜4月は7g/m³未満になります
  • 鹿児島は12〜2月の3か月、那覇は1年中7g/m³以上(最も低い1月でも9.7g/m³)
  • 8月はどの都市も14.8〜22.4g/m³と、那覇を除けば冬(1月)の4〜6倍の水蒸気を含んでいます

都市を選んで12か月の変化を見られるように、カレンダーにしました。

月別・絶対湿度カレンダー(平年値から計算)
気象庁の平年値(1991〜2020年)の月平均気温・月平均相対湿度から当ブログが計算した目安です。日々の値はこれより上下します。

全国47都道府県の湿度(相対湿度)を比べたいときは、下のツールで「湿度」を選んでください。月を切り替えると、冬に乾く県・乾かない県がわかります。湿度が低い県ランキングもあわせてどうぞ。

なぜ2026年は真夏に流行が始まったのか

東京都で流行開始の目安を超えた8月下旬、東京の8月の絶対湿度は平年値で約19g/m³。研究の目安(10g/m³や7g/m³)を大きく上回っています。それでも流行が始まったということは、湿度以外の要因が大きかったと考えるのが自然です。

東京都の発表では、2025〜26年シーズン(2025年9月1日〜2026年8月23日)の学級閉鎖などは6,377件と、前シーズン同期(1,537件)の約4倍でした。前シーズンはA香港型(AH3)が約6割でしたが、2026年9月に検査された集団感染事例ではAH1pdm09が85.7%を占め、流行する型が入れ替わっています。もともと沖縄県では夏にも流行がみられる年があり、冷房の効いた室内で人が集まることも指摘されています。流行するウイルスの型の入れ替わり、人の移動や集まり、免疫を持つ人の割合など、流行の時期は複数の要因で決まります。湿度は「流行を後押しする条件のひとつ」であって、湿度が高ければ安心というわけではありません。

一方で、これから11〜12月は全国的に絶対湿度が急に下がる時期です。表3のとおり、東京は10月の10.9g/m³から11月7.0g/m³、12月4.5g/m³へと下がります。冬型の気圧配置が強まる11月以降は(11月の天気2026(1か月予報))、空気の乾燥という「冬の条件」が加わることになります。

部屋の加湿は何%にすればいい?温度別の早見表

研究の目安を部屋に当てはめると、同じ7g/m³にするのに必要な湿度(%)は室温によって変わります。室温を選ぶと、目安に届く相対湿度を計算します。

部屋の加湿計算
室温7g/m³に必要な湿度10g/m³に必要な湿度
15℃55%78%
18℃46%65%
20℃40%58%
22℃36%51%
25℃30%43%
表4 室温別、絶対湿度7g/m³・10g/m³に必要な相対湿度(当ブログの計算)

厚生労働省は、インフルエンザの予防として、空気が乾燥すると気道の防御機能が低下するため加湿器などで適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的としています。表4のとおり、20〜22℃の部屋で湿度50〜60%にすれば、絶対湿度はおよそ9〜12g/m³になり、7g/m³の目安を上回ります(10g/m³に届くのは20℃なら58%以上)。逆に、室温が低い部屋(15℃など)では、湿度55%でやっと7g/m³です。寝室など暖房を控える部屋は、湿度計の数字だけでなく室温もあわせて見てください。

太平洋側と日本海側で違う「冬の乾き方」

冬の乾燥というと「太平洋側」のイメージがありますが、絶対湿度で見ると少し違った姿が見えてきます。冬型の気圧配置のとき、日本海を渡ってきた北西の季節風は、日本海側に雪や雨を降らせ、山を越えた太平洋側には乾いた風として吹き下ります。このため相対湿度は、東京の1月が51%、新潟の1月が72%(平年値)と大きな差があります。

ところが絶対湿度にすると、東京の1月は3.6g/m³、新潟の1月は4.1g/m³。新潟は湿度(%)が高くても、気温が低いため水蒸気の量はそれほど多くありません。札幌は1〜2月が2.7g/m³と10都市で最も低く、相対湿度69%でも空気の中身はとても乾いています。雪国の室内は暖房の時間が長く、部屋の相対湿度はさらに下がりやすいので、加湿の必要性はむしろ大きいといえます。

反対に、那覇は1月でも9.7g/m³と、東京の5月(11.0g/m³)に近い水準です。沖縄県は第42週の定点当たり報告数が19.68人と全国で最も多く、空気が乾かない地域でも流行は起きることがわかります。気候の違いは東京の気候のような地点別の気候ページでも確認できます。

絶対湿度の計算方法(自分で計算したい人へ)

この記事のツールでは、次の手順で絶対湿度を計算しています。気温t(℃)のときの飽和水蒸気圧E(hPa)をTetensの式 E=6.1078×10^(7.5t÷(t+237.3)) で求め、相対湿度RH(%)をかけて水蒸気圧e=E×RH÷100を出します。絶対湿度は 217×e÷(t+273.15)(g/m³)です。

気温飽和水蒸気量(湿度100%)湿度50%のとき湿度30%のとき
0℃4.9g/m³2.4g/m³1.5g/m³
5℃6.8g/m³3.4g/m³2.0g/m³
10℃9.4g/m³4.7g/m³2.8g/m³
20℃17.3g/m³8.7g/m³5.2g/m³
25℃23.1g/m³11.5g/m³6.9g/m³
30℃30.4g/m³15.2g/m³9.1g/m³
表5 気温と相対湿度別の絶対湿度(当ブログの計算)

表5を見ると、気温が10℃下がるごとに、空気が含める水蒸気の量はおよそ半分になることがわかります。秋から冬にかけて「同じ湿度なのに肌やのどが乾く」と感じるのは、この性質のためです。過去の気温を調べて計算したいときは、過去の天気を調べるで日ごとの気温を確認できます。

乾燥する季節の過ごし方

  • 湿度計は「温湿度計」を:温度と湿度の両方がわかれば、表4やツールで絶対湿度がわかります
  • 加湿は50〜60%が目安:60%を大きく超えると結露やカビ・ダニの原因に。ただし冷え込んだ朝は40%台でも単板ガラスの窓は結露するので、窓だけで判断せず湿度計で確認を
  • 換気と加湿はセットで:換気をすると湿度は下がります。換気のあとに加湿器の運転を強めると戻りが早くなります
  • 晴れて北風の日はとくに乾く:冬型の日の太平洋側は、日中に湿度が20〜30%台まで下がることがあります。チェッカーで7g/m³未満なら加湿を意識
  • 湿度だけに頼らない:ワクチン、手洗い、体調が悪いときのマスク・休養など、基本の対策とあわせることが大切です

洗濯物の部屋干しも、加湿の助けになります。乾きやすさの目安は洗濯物が乾く条件と時間の目安で計算できます。

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温度と湿度の両方がわかる温湿度計があれば、上の加湿計算で部屋の絶対湿度がわかります。寝室や子ども部屋には、静かな加湿器を1台あると冬の乾燥対策がぐっと楽になります。

よくある質問

Q. インフルエンザと湿度は関係ないのですか?

無関係ではありません。国内外の研究で、相対湿度より絶対湿度(空気1m³あたりの水蒸気の量)が低い時期に流行が起きやすいことが報告されています。ただし、2026年のように絶対湿度が高い夏に流行が始まることもあり、湿度だけで流行の時期が決まるわけではありません。

Q. 絶対湿度は何g/m³以下になると注意が必要ですか?

国内の研究では、10g/m³(庄司)や7g/m³(高山)を下回るころから流行が起きやすいと報告されています。さいたま市の小学校の研究では、大規模な学級閉鎖が起きた日の前日・前々日の絶対湿度はおよそ1.2〜4.8g/m³でした(3年度のうち統計的に有意だったのは1年度)。

Q. 冬の東京の絶対湿度はどのくらいですか?

気象庁の平年値(1991〜2020年)の月平均気温・湿度から計算すると、東京は12月4.5g/m³、1月3.6g/m³、2月3.8g/m³、3月5.2g/m³で、12〜3月は7g/m³を下回ります。

Q. 部屋の湿度は何%にすればいいですか?

厚生労働省は適切な湿度(50〜60%)を保つことを予防策のひとつとしています。室温20℃なら湿度40%で約7g/m³、50%で約8.7g/m³、58%で約10g/m³になります。室温が15℃と低い部屋では、7g/m³にするのに湿度55%が必要です。

Q. 雨の日なら加湿しなくても大丈夫ですか?

冬は気温が低いため、雨で屋外の湿度が100%近くても、絶対湿度は多くありません。気温5℃では湿度100%でも6.8g/m³です。この空気を暖房で20℃に暖めると相対湿度は40%ほどになるので、室内の加湿は必要です。

Q. なぜ2026年は夏にインフルエンザが流行したのですか?

東京都では2026年第34週(8月17〜23日)に流行開始の目安を超え、前シーズンより1か月以上早くなりました。真夏は絶対湿度が高いため、湿度以外の要因(流行するウイルスの型、人の移動や集まり、免疫を持つ人の割合など)が大きかったと考えられます。

Q. 加湿しすぎるとどうなりますか?

湿度が60%を大きく超える状態が続くと、窓や壁の結露、カビやダニが増える原因になります。冷え込んだ朝は40%台でも窓ガラスが結露することがあるので、窓だけで判断せず、温湿度計で60%を超えていないか確認しましょう。

まとめ
  • インフルエンザと関係が深いのは絶対湿度(g/m³)。研究の目安は10g/m³・7g/m³
  • 平年値では、東京・大阪・福岡などは12〜3月、札幌・仙台は11〜4月に7g/m³未満。那覇は1年中7g/m³以上
  • 気温5℃では湿度100%でも6.8g/m³。冬の室内は加湿しないと20〜30%台に
  • 20℃の部屋なら湿度40%で7g/m³、58%で10g/m³。50〜60%が目安
  • 2026年は真夏に流行入り。湿度は対策のひとつで、ワクチン・手洗い・換気・休養と組み合わせて

出典:東京都「東京都内でインフルエンザが流行開始」(2026年8月27日)、東京都「都内のインフルエンザ、注意報基準を超える」(2026年9月17日)、厚生労働省「インフルエンザの発生状況」(2026年第42週、リセマムの報道による)、厚生労働省「インフルエンザQ&A」、遠田健一・牛山明・宮崎元伸「季節性インフルエンザ流行期における小学校学級閉鎖発生日とその前日・前々日の絶対湿度との関連性」保健医療科学68(4):352-357, 2019、Shaman J, Kohn M (2009) PNAS 106(9)、Shaman J et al. (2010) PLoS Biology 8(2): e1000316、エー・アンド・デイ「絶対湿度について」、気象庁「過去の気象データ検索(平年値)」、気象庁「アメダス」。絶対湿度の計算・図表・ツールは当ブログによるものです。本記事は気象データの解説であり、医学的な診断や治療の助言ではありません。体調が気になるときは医療機関にご相談ください。

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