鰤起こし(ぶりおこし)とは?2026年はいつ鳴る?|冬の雷は12月がピーク、金沢は年間の58%が冬【8都市の月別雷日数ツール】

金沢と東京の月別雷日数(1991〜2020年平均) 気象

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こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

【すぐわかる答え】「鰤起こし(ぶりおこし)」は、晩秋から冬にかけて北陸などの日本海側で鳴る雷のことです。富山湾や能登でブリ漁が本格化する時期に鳴るため、この名前がついています。気象庁の1991〜2020年の観測を集計すると、金沢では12月の雷日数が平均8.6日で1年でいちばん多く、真夏の8月(3.7日)の2倍以上。11〜2月の4か月だけで年間の58%を占めます。2026年も、北陸では冬型の気圧配置が強まる11月下旬〜12月が「鰤起こし」の本番です(東北の日本海側は11月から)。

10月28日には今季はじめての強い寒気が入り、北日本を中心に冬型の気圧配置が強まりました。気象庁の1か月予報(10月29日発表)では、北日本の日本海側で寒気の影響を受けやすく、曇りや雨または雪の日が多い見込みです。「ゴロゴロ鳴ったけど、冬に雷?」と驚いた方もいるかもしれません。

この記事では、日本海側と太平洋側の8都市について、気象庁の月別の雷日数(1991〜2020年の30年平均)を集計し、「冬の雷がどれだけ多いのか」「どこで、いつ鳴るのか」をツールと図で解説します。

この記事の結論(30秒で読める版)

  • 鰤起こしとは:晩秋〜冬の日本海側の雷。ブリ漁の時期に鳴り、「ブリを起こす(呼び寄せる)雷」と言われてきました。冬の季語でもあります。
  • いつ鳴る?:雷日数が増えるのは東北の日本海側で10月、北陸で11月から。金沢・福井・新潟・鳥取は12月が1年で最多、秋田は11月が最多です。
  • どれくらい多い?:金沢は年間45.9日のうち冬(11〜2月)が26.6日・58%。福井54%、新潟53%。東京は冬の雷が年間のわずか7%です。
  • 夏の雷とのちがい:冬の雷雲は高さ4〜6kmほどと低く、1回だけ大きく鳴る「一発雷」や、エネルギーの大きい落雷が多いのが特徴です。
  • 2026年:10月下旬に初めての強い寒気。1か月予報では北日本の日本海側で寒気の影響を受けやすい見込み。北陸は11月下旬〜12月が鰤起こしの本番です。

冬に雷が鳴る街はどこ?8都市の月別雷日数ツール

都市を選ぶと、1年12か月の雷日数(30年平均)がグラフで出ます。青い棒が冬(11〜2月)、オレンジが夏(6〜8月)です。下の表では、選んだ月の雷日数を8都市で比べられます。

–年間の雷日数
–冬(11〜2月)の雷日数
–冬の割合
–いちばん多い月
–

8都市で比べる

データ:気象庁「過去の気象データ検索」月ごとの値(雷日数)を1991〜2020年で平均(のぶやん集計)。雷日数は、気象台で雷鳴や電光を観測した日の数です。

鰤起こしとは?名前の由来と季語としての意味

「鰤起こし(鰤起し)」は、富山県や石川県の能登など、北陸の沿岸で使われてきた言葉です。ブリは秋から冬に日本海を南へ下り、富山湾には11月ごろから脂ののった「寒ブリ」が入ってきます。ちょうどその時期にゴロゴロと雷が鳴ることから、「雷がブリを起こして(呼び寄せて)くれる」と言い伝えられてきました。俳句では冬の季語です。

似た言葉に、北陸・東北など日本海側で広く使われる「雪起こし」(冬の季語)があります。こちらは「雪が降り出す前ぶれの雷」という意味で、同じく冬の日本海側の雷を指します。秋田では雷日数が11月にいちばん多く(5.7日)、この時期に獲れるハタハタは「鰰(魚へんに神)」「雷魚」とも書かれ、雷との縁が深い魚です。

おもしろいのは、ことばの本場である富山市では、冬(11〜2月)の雷が12.6日、夏(6〜8月)が12.5日とほぼ同じで、1年でいちばん多いのは8月(5.3日)だということです。富山は立山連峰に囲まれて夏の雷も多いためで、冬の雷の多さでは、日本海に面した金沢(26.6日)や福井(20.7日)のほうが上です。

なぜ冬の日本海側で雷が鳴るのか(図解)

雷は、背の高い雲の中で氷の粒(あられ・ひょう)と小さな氷の結晶がぶつかり合い、電気がたまることで起こります。夏は強い日ざしで地面が暖まり、高さ10〜15kmにもなる積乱雲ができます。

冬は、シベリアからの冷たい空気が、対馬暖流で比較的暖かい日本海の上を通ります。海から熱と水蒸気をもらった空気は下から温められて不安定になり、日本海の上に雪雲(積乱雲)が次々に発生します。これが季節風で陸に運ばれて、雷を鳴らします。冬の雷を生むのは「冷たい空気」と「暖かい海」の温度差で、寒気が強いほど雷も起きやすくなります。

0km5km10km15km 夏の雷雲(積乱雲) 雲のてっぺん 約10〜15km +++(上部) −−−(中ほど) 冬の雷雲(日本海の雪雲) 雲のてっぺん 約4〜6km +(上部が地面に近い) −
図1 夏の雷雲と冬の雷雲のちがい(模式図)。冬の雷雲は背が低く、電気をためた部分が地面に近いため、正極性の落雷や上向き雷が起きやすい。

冬の雷の3つの特徴

  1. 一発雷:夏のように何十回もゴロゴロ続くのではなく、突然1回だけドーンと鳴ることが多いです。「鰤起こし」が印象に残るのはこのためです。
  2. エネルギーの大きい落雷がある:冬の雷は、雲の上のほうにたまったプラスの電気が地面に落ちる「正極性」の落雷の割合が高く、1回のエネルギーが夏の雷より大きいものがあります。また、風車や鉄塔などの高い建物から雲に向かって放電する「上向き雷」も多く、正極性の雷とあわせて、風車や送電線の被害が冬に多い理由とされています。
  3. 雪・あられ・突風とセット:冬の雷が鳴るときは、あられが激しく降ったり、急に吹雪いたり、突風が吹いたりします。雷は「強い寒気が来たサイン」でもあります。

データで検証:8都市の月別雷日数(30年平均)

都市年間11月12月1月2月冬(11〜2月)の計と割合8月(参考)最多の月
金沢45.9日5.38.67.94.826.6日(58%)3.712月
福井38.3日3.77.56.03.520.7日(54%)3.612月
新潟34.7日4.96.14.53.018.5日(53%)3.312月
秋田35.8日5.74.93.42.916.9日(47%)2.511月
富山34.6日3.34.83.11.412.6日(36%)5.38月
鳥取28.5日1.94.52.92.511.8日(41%)3.712月
仙台9.7日0.10.10.00.00.2日(2%)2.78月
東京14.4日0.40.20.20.21.0日(7%)3.28月
表1 8都市の雷日数(1991〜2020年の平均、日)。気象庁「過去の気象データ検索」の月ごとの値からのぶやん集計

表からわかることをまとめます。

  • 金沢は「冬の雷の街」:12月8.6日・1月7.9日は、8月(3.7日)の2倍以上。年間45.9日は8都市でいちばん多く、その6割が冬です。
  • 福井・新潟・鳥取も12月が最多。北陸〜山陰の日本海沿岸は、12月に雷のピークが来ます。
  • 秋田は11月がピーク(5.7日)。北にいくほど寒気が早く来るため、雷のピークも早くなります。
  • 太平洋側の東京・仙台は真逆。雷は夏(7〜9月)に集中し、冬の雷は東京で年間の7%、仙台では2%しかありません。

都道府県ごとの雷の多さは、サイト内の指標切り替えツールでも比べられます(年間の雷日数)。

月ごとに見る「冬の雷カレンダー」

30年平均の月別雷日数を、日本海側の都市の「季節の進み方」として読むと、次のような流れになります。

月雷が多い都市(8都市中の上位)このころの空
10月秋田 4.4日東北の日本海側で、冬の雷が始まる。北陸はまだ2日前後
11月秋田 5.7日(秋田は1年で最多)、金沢 5.3日、新潟 4.9日冬型の日が増え、北陸でも「鰤起こし」が鳴り始める
12月金沢 8.6日、福井 7.5日、新潟 6.1日(いずれも1年で最多)鰤起こしの最盛期。あられ・突風・初雪をともなう
1月金沢 7.9日、福井 6.0日、新潟 4.5日寒気がいちばん強い時期。雷とともに大雪になることも
2月金沢 4.8日、福井 3.5日、新潟 3.0日海水温が下がり、雷はしだいに減っていく
表2 月別の雷日数の多い都市(1991〜2020年の平均)。気象庁の観測からのぶやん集計

ポイントは、1月より12月のほうが雷が多いことです。寒さは1月のほうが厳しいのに、雷は12月がピーク。12月はまだ日本海の海面水温が高く、寒気が入ったときに雪雲が雷を起こせる高さまで発達しやすいため、と考えられています(1月7.9日と12月8.6日の差は小さく、1月も十分多い時期です)。2月になると海が冷えて、雷はしだいに減っていきます。3月にはほぼ春の雷の水準になり、鰤起こしのシーズンは終わります。「冷たい空気」だけでなく「まだ暖かい海」があってこその冬の雷なのです。

「冬の雷は大雪の前ぶれ」は本当?

日本海側には「冬に雷が鳴ると雪が来る」「雪起こし」という言い伝えがあります。これは気象学的にも理にかなっています。冬の雷は、上空に強い寒気が入って大気が不安定になったときに起こります。つまり雷が鳴るのは「雪を降らせる寒気がいま来ている」サインです。実際、雷を鳴らすような発達した雪雲は、短い時間に強い雪やあられを降らせます。

ただし、雷が鳴ったら必ず大雪になるわけではありません。寒気がそれほど強くなければ、平地では雨やあられで終わることも多く、とくに11月の雷は「雨・あられ」がふつうです。大雪になるかどうかは、上空約1500mの気温(−6℃以下が平地の雪の目安とされる)や、雪雲が同じ場所にかかり続けるかで決まります。初雪の目安は雪は何℃で降る?で解説しています。

データの読み方の注意

  • 雷日数は「気象台の周りで雷を観測した日」の数です。県全体で雷があった日の数ではないので、同じ県でも山沿いや海沿いでは多少ちがいます。
  • 30年平均は1991〜2020年で、気象庁の平年値と同じ期間です。
  • 最近の年の値には、気象庁が「準正常値」(一部に欠けがある値)としているものが多くあります。年ごとの増減を細かく比べるのには向かないため、この記事では30年平均を中心に使っています。
  • 都市の選び方は、日本海側の主な気象台(秋田・新潟・富山・金沢・福井・鳥取)と、比べるための太平洋側(仙台・東京)です。

2026年の鰤起こしはいつ?今季の見通し

冬の雷は「強い寒気」がカギです。2026年は10月下旬に今季はじめての強い寒気が入り、28日は北日本を中心に冬型の気圧配置が強まりました(冬型の気圧配置はいつから?)。ことし10月の雷日数(気象庁、10月30日まで・速報的な準正常値)は、金沢4日(平年2.1日)、富山3日(1.6日)、福井3日(1.8日)と平年の約2倍で、秋田4日は平年並み(4.4日)でした。

気象庁の1か月予報(10月29日発表)では、11月末までの気温は北日本で「平年並か低い」、東日本・西日本では「高い」見込みです。北日本の日本海側は寒気の影響を受けやすく、曇りや雨または雪の日が多いでしょう。このため、

  • 東北の日本海側(秋田など):11月から雷の日が多くなりやすい。平年どおり11月がピークになりそうです。
  • 北陸(金沢・富山・福井・新潟):東日本は気温が平年より高い見込み(高い確率50%)で、強い寒気は北日本が中心になりやすいため、本格的な鰤起こしは寒気が南下する11月下旬〜12月が中心と考えられます。

「今日は鳴りそう?」は、気象庁の雷注意報と雷ナウキャストで確認できます。雷注意報は落雷だけでなく「突風」「ひょう(冬はあられ)」にもいっしょに注意をよびかけるので、出ているときは外出のタイミングに気をつけましょう。

去年の同じ時期の金沢の天気と比べてみましょう。

去年の今ごろの金沢の天気

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12月上旬の金沢、過去はどんな天気だった?

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冬の雷から身を守るには

  • 「1回鳴ったら建物へ」:冬の雷は前ぶれなく1発目が落ちることがあります。ゴロッと聞こえたら、建物や車の中に入りましょう。
  • 傘をさして開けた場所に立たない:海岸、田んぼ、グラウンド、ゴルフ場などは危険です。釣りの竿も要注意。冬の日本海の釣り人は特に気をつけてください。
  • 家電の雷サージ対策:冬の雷はエネルギーが大きいものがあり、パソコンやテレビが故障することがあります。雷サージ対応の電源タップを使う、鳴っている間はコンセントを抜くと安心です。
  • 雷のあとは急な吹雪・あられ:車の運転中は、視界が急に悪くなったり路面が白くなったりします。冬タイヤへの交換はお早めに(冬タイヤに替える時期)。

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よくある質問

Q1. 鰤起こし(ぶりおこし)とは何ですか?

晩秋から冬に、北陸などの日本海側で鳴る雷のことです。富山湾や能登でブリ漁が本格化する時期に鳴るため、「ブリを起こす雷」と呼ばれてきました。冬の季語です。

Q2. 鰤起こしはいつごろ鳴りますか?

11月から雷の日が増え、金沢・福井・新潟では12月が1年でいちばん雷の多い月です(1991〜2020年の平均で金沢8.6日、福井7.5日、新潟6.1日)。

Q3. 冬に雷が多いのはなぜ?

シベリアからの冷たい季節風が、比較的暖かい日本海の上を通って不安定になり、雪雲(積乱雲)ができるためです。冷たい空気と暖かい海の温度差が大きいほど雷が起きやすくなります。

Q4. 冬の雷と夏の雷のちがいは?

冬の雷雲は高さ4〜6kmほどと低く、1回だけ大きく鳴る「一発雷」が多いのが特徴です。正極性の落雷の割合が高く、1回のエネルギーが大きいものもあります。

Q5. 8都市でいちばん冬の雷が多いのは?

この記事で比べた8都市では金沢がいちばん多く、11〜2月の4か月で平均26.6日、年間の58%が冬の雷です。

Q6. 雪起こしとのちがいは?

雪起こしは「雪が降り出す前ぶれの雷」という意味で、北陸・東北など日本海側で広く使われる冬の季語です。鰤起こしと同じ、冬の日本海側の雷を指す言葉です。

Q7. 東京で冬に雷が鳴ることはある?

まれです。東京の11〜2月の雷日数は合計で平均1.0日で、年間の7%しかありません。東京の雷は7〜9月に集中します。

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まとめ

  • 鰤起こしは、ブリ漁の時期に北陸などで鳴る冬の雷。冬の季語。
  • 金沢・福井・新潟・鳥取は12月が1年で最も雷が多い月。金沢は冬の4か月で年間の58%。
  • 原因は「冷たい季節風」と「暖かい日本海」の温度差。背の低い雷雲から、一発の大きな雷が落ちる。
  • 2026年は10月下旬に初めての強い寒気。北陸の本番は11月下旬〜12月の見込み。
  • 鳴ったらすぐ建物へ。家電の雷サージ対策も忘れずに。

出典

  • 気象庁「過去の気象データ検索」月ごとの値(雷日数):金沢・福井・新潟・秋田・富山・鳥取・仙台・東京、1991〜2020年および2026年10月(30日まで)
  • 気象庁「1か月予報」(2026年10月29日発表)
  • 気象庁「雷ナウキャスト」「気象警報・注意報」

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