台風で休校・休業になる基準は?暴風警報など警報の種類と、過去の大型台風で交通が止まった時間帯【気象予報士が解説】

風速の時間変化と警報レベルごとの色分け帯を示したグラフのイメージ 気象

台風が近づくと「明日、学校は休みになる?」「会社に行かなきゃいけない?」「電車は動く?」と一斉に検索が増えます。この記事では、休校・休業が決まる典型的な基準台風で出る警報の種類、そして過去の大型台風で交通が止まった時間帯を、気象予報士がまとめます。

先に結論を言うと、休校の基準は法律ではなく学校(自治体・教育委員会)ごとに決まっていて、多くは「朝の決まった時刻に暴風警報が出ているか」で判断されます。会社には統一基準がなく、鉄道の「計画運休」が事実上の目安になっています。

のぶやん
のぶやん

気象庁にいたころ、いちばん多かった問い合わせが「学校は休みですか?」でした。気象庁は警報を出すだけで、休校を決めるのは学校なんです。

休校を決める典型的なルール

公立の小中学校では、教育委員会が定めた基準を各校が採用しているのが一般的です。地域差はありますが、次のようなパターンが多く見られます。

条件よくある対応
午前6時〜7時の時点で、学校所在地の市区町村に暴風警報(暴風雪警報)が出ている休校(自宅待機)
同じく特別警報(大雨・暴風など)が出ている休校
午前10時〜11時までに警報が解除された午後から登校(学校による)
大雨警報・洪水警報だけが出ている登校になる学校が多い(土砂災害警戒区域などでは休校の場合も)
登校後に暴風警報が出た早めの下校、または保護者への引き渡し
注意報のみ通常どおり登校
公立小中学校でよく見られる休校基準の例(自治体・学校により異なります。必ず学校の配布物・連絡アプリを確認してください)

高校は都道府県ごと、私立は学校ごとの基準です。大学は「公共交通機関の計画運休」や「所在地の警報」を基準にしているところが増えました。なお、幼稚園・保育園は「休園」より「登園自粛のお願い」になることが多く、共働き世帯の悩みどころです。

自分の学校の基準を確認する方法

  • 年度初めに配られる「気象警報発表時の対応」のプリント(連絡アプリの固定ページにあることも)
  • 市区町村の教育委員会サイトの「警報発令時の措置」
  • 当日朝の連絡メール・アプリ。判断が難しい日は6時台に一斉配信されます

【ツール】都道府県の台風・風・雨の指標を切り替えて順位を確認

下のツールでは、台風の接近数・平均風速・雨の日の割合・降水量などを年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(東京都を黄色で強調表示)。

台風で出る警報の種類|「暴風警報」が鍵

気象庁の防災気象情報は注意報 → 警報 → 特別警報の3段階です(注意報・警報・特別警報の違い)。台風のときに出るのは主に次の6種類で、休校の判断に使われるのはほぼ「暴風警報」です。

警報どんなとき台風での意味
暴風警報平均風速がおおむね20m/s以上(地域で基準が異なる)の予想休校・運休の判断基準。暴風域に入る半日ほど前に出る
大雨警報土砂災害や浸水の危険台風本体より先に出ることが多い
洪水警報河川の増水・氾濫大雨警報とセットになりやすい
高潮警報高潮による浸水湾奥の低地では最も危険な警報
波浪警報高波沿岸部・離島の船の欠航基準
暴風・大雨・高潮・波浪の特別警報数十年に一度の危険直ちに命を守る行動を
台風時に発表される警報(気象庁)

暴風警報の基準は地域によって違います。たとえば東京23区は平均風速25m/s、大阪市は20m/s、那覇市は25m/sのように、その土地で「災害が起きる風の強さ」で決められています。同じ台風でも警報が出る県と出ない県があるのはこのためです。

警報の「前」に確認できる情報

  • 暴風域に入る確率:気象庁が5日先まで、市町村ごとに3時間刻みで発表。前日に「明日朝に70%」なら休校の可能性大
  • 早期注意情報(警報級の可能性):翌日以降に警報級の現象が起きる可能性を「高」「中」で表示
  • 台風情報の予報円:予報円の中心が自分の地域を通る時刻が、暴風のピーク(台風の予報円がだんだん大きくなるのはなぜ?

いま発生している台風と各国モデルの進路予想は台風のたまご 最新情報(米軍JTWC・ヨーロッパ・Windy進路予想)、雨雲・風の実況は全国実況モニター(雨雲・衛星・キキクル)でまとめて確認できます。

会社は休みになる?休業の考え方

会社の休業に法律上の基準はありません。実務上は次の3パターンが多く見られます。

  1. 鉄道の計画運休に連動:計画運休が発表されたら在宅勤務・休業とする。2018年以降、都市部で主流になった方法
  2. 警報に連動:事業所所在地に暴風警報・特別警報が出たら休業。学校と同じ考え方
  3. 個別判断:「無理せず出社時刻を遅らせる」「安全が確保できなければ休んでよい」という通達

台風による休業を「休業手当(平均賃金の6割以上)」の対象にするかどうかは、天災による不可抗力かどうかなど個別の事情で変わります。就業規則と、厚生労働省のQ&Aを確認してください。

過去の大型台風で交通が止まった時間帯

鉄道の「計画運休」は、2014年10月の台風19号でJR西日本が近畿圏で初めて実施し、2018年9月30日の台風24号でJR東日本が首都圏で初めて実施(20時以降の在来線を全面運休)。2019年の台風15号・19号で全国に定着しました。

台風上陸日時交通が止まった時間帯(主な例)
2018年 台風21号9月4日 12時ごろ 徳島、14時ごろ 神戸関西の鉄道は昼前から順次運休。関西空港は高潮で浸水し、連絡橋にタンカーが衝突して閉鎖
2018年 台風24号9月30日 20時ごろ 和歌山首都圏初の計画運休。JR東日本は20時以降の在来線を運休、翌朝は運転再開が遅れて大混雑
2019年 台風15号9月9日 5時前 千葉市付近首都圏の鉄道は始発から運休、昼前後に順次再開。千葉県で最長2週間以上の停電
2019年 台風19号10月12日 19時前 伊豆半島東海道新幹線が12日終日運休、首都圏の在来線は昼ごろから計画運休。13日午前に順次再開
2022年 台風14号9月18日 19時ごろ 鹿児島市付近九州新幹線・在来線が18〜19日に計画運休。19日は本州の広い範囲でも運休
2023年 台風7号8月15日 5時ごろ 和歌山県潮岬付近お盆のUターンと重なり、東海道・山陽新幹線が15日終日運休
近年の大型台風の上陸時刻と交通への影響(気象庁の台風経路、各社発表から整理)

この表からわかるのは、止まる時間帯は「上陸の6〜12時間前から上陸後6時間ほど」ということです。暴風域は台風の中心の前後100〜200kmに広がるので、時速30〜40kmの台風なら中心の到達より3〜6時間前から暴風になります。また、飛行機は前日夕方に欠航が決まり、高速道路は風速が強まると通行止めになります。

判断のタイムライン(目安)

タイミング起きることやること
3〜5日前予報円が日本にかかる。暴風域に入る確率が出る旅行・出張の予備日、買い物
前日 昼〜夕方鉄道の計画運休、飛行機の欠航が発表される会社・学校の連絡を確認。ベランダの片付け、充電
前日 夜〜当日 未明暴風警報が発表される翌朝の休校判断はこの警報で決まる
当日 朝6〜7時学校が休校判断連絡アプリを確認
上陸前後 各6時間暴風のピーク。停電・断水の可能性外出しない。窓から離れる
通過後警報解除→交通が順次再開(数時間〜半日)倒木・冠水に注意して外出
台風接近時の判断タイムライン(目安)

台風の被害は「右側」で大きい

進行方向の右側は台風自身の風と移動の速さが重なり、左側より風が強くなります。同じ「上陸」でも、自分の地域が台風の右側に入るか左側かで暴風の程度がまったく違うので、進路図で確認してください(台風の雨風は右側が強くて左側が弱いって本当?)。また、風向きの変化で台風がどこを通ったかもわかります(台風の風向変化の法則)。

あなたの街で過去にどんな台風被害があったかは市区町村別 災害履歴データベースで、台風が来やすい時期は台風はなぜ9月に多い?月別の発生数・接近数・上陸数で確認できます。

都道府県ランキングで見る暴風警報の出やすさ|風・台風・雨

休校・休業の目安になる暴風警報は、平均風速や台風接近数が多い県ほど発表されやすくなります。東京都を強調して47都道府県のランキングを確認します。

台風の接近数の多さ:東京は25位

順位都道府県台風の接近数偏差値
1位沖縄県7.7回107.3
2位宮崎県3.9回57.4
3位鹿児島県3.9回57.4
4位山口県3.8回56.1
5位福岡県3.8回56.1
6位佐賀県3.8回56.1
7位長崎県3.8回56.1
8位熊本県3.8回56.1
9位大分県3.8回56.1
10位岐阜県3.5回52.1
25位東京都3.3回49.5
台風の接近数の多さランキング(年平均接近数)

東京都は25位(3.3回、偏差値49.5)。1位は沖縄県(7.7回)、47位は北海道(1.9回)、全国平均は3.3回です。比較:沖縄1位・大阪16位・愛知12位・北海47位。詳しくは台風の接近数ランキングあなたの市町村には年何個来る?気象庁データをご覧ください。

平均風速の強さ:東京は26位

順位都道府県平均風速偏差値
1位沖縄県5.3m/s83.3
2位秋田県4.3m/s69.3
3位石川県4.0m/s65.1
4位千葉県3.9m/s63.7
5位和歌山県3.8m/s62.3
6位青森県3.7m/s60.9
7位北海道3.6m/s59.5
8位三重県3.6m/s59.5
9位兵庫県3.6m/s59.5
10位広島県3.6m/s59.5
26位東京都2.9m/s49.6
平均風速の強さランキング(平年値)

東京都は26位(2.9m/s、偏差値49.6)。1位は沖縄県(5.3m/s)、47位は山形県(1.7m/s)、全国平均は2.9m/sです。比較:沖縄1位・大阪36位・愛知19位・北海7位。詳しくは平均風速ランキングをご覧ください。

9月の雨の日の多さ:東京は18位

順位都道府県雨の日の割合(9月)偏差値
1位栃木県39.5%66.4
2位富山県39.1%65.4
3位宮崎県39.0%65.1
4位千葉県38.8%64.6
5位秋田県38.4%63.5
6位石川県38.3%63.3
7位高知県38.2%63.0
8位群馬県37.7%61.7
9位鳥取県37.7%61.7
10位埼玉県36.9%59.6
18位東京都35.1%54.9
9月の雨の日の多さランキング(約60年の天気出現率)

東京都は18位(35.1%、偏差値54.9)。1位は栃木県(39.5%)、47位は岡山県(26.2%)、全国平均は33.2%です。比較:沖縄17位・大阪36位・愛知23位・北海35位。詳しくは雨の日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

年降水量の多さ:東京は24位

順位都道府県年降水量偏差値
1位高知県2,666mm73.8
2位宮崎県2,626mm72.9
3位鹿児島県2,435mm68.4
4位石川県2,402mm67.6
5位富山県2,374mm66.9
6位静岡県2,327mm65.8
7位福井県2,300mm65.2
8位沖縄県2,161mm61.9
9位熊本県2,007mm58.3
10位佐賀県1,951mm56.9
24位東京都1,598mm48.6
年降水量の多さランキング(平年値)

東京都は24位(1,598mm、偏差値48.6)。1位は高知県(2,666mm)、47位は長野県(965mm)、全国平均は1,657mmです。比較:沖縄8位・大阪35位・愛知25位・北海45位。詳しくは降水量が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。

よくある質問

Q. 暴風警報は何m/sで出る?

基準は地域ごとに違い、東京23区は平均風速25m/s、沖縄本島は25m/s、内陸の一部では20m/sなど、その地域で被害が出る風速に合わせて設定されています。注意報・警報・特別警報の違いをご覧ください。

Q. 午前7時に警報が出ていないのに休校になった

多くの自治体は「午前7時(または6時)時点で暴風警報」を基準にしますが、教育委員会や学校が独自に判断することもあります。学校の連絡網・ホームページで確認しましょう。

Q. 大雨警報だけでは休校にならない?

自治体によります。大雨・洪水警報では登校を求める地域が多い一方、近年は「大雨警報でも休校」に変更する自治体が増えています。

Q. 会社は休みになる?

法律上の規定はなく、企業の判断です。計画運休が発表された場合は前日のうちに在宅勤務や休業を決める企業が増えています。

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まとめ
  • 休校の基準は学校ごと。多くは「朝6〜7時に暴風警報が出ているか」で判断。大雨警報だけでは登校になることが多い
  • 台風で出る警報は暴風・大雨・洪水・高潮・波浪と特別警報。休校・運休の鍵は暴風警報
  • 会社に法定基準はなく、鉄道の計画運休に連動する会社が増えた
  • 交通が止まるのは上陸の6〜12時間前から上陸後6時間が目安。計画運休は前日の昼〜夕方に発表される
  • 「暴風域に入る確率」と「早期注意情報」を前日に見れば、翌朝の休校はほぼ予想できる

出典:気象庁「台風の統計資料」(発生数・接近数・上陸数、1951年〜)、気象庁「予報用語」、気象庁「暴風域に入る確率」「早期注意情報」、各鉄道会社の発表。記事内の数値は気象庁の年間確定値にあわせて自動更新しています(最終更新:2026年9月2日、確定年:2025年)。

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