こんにちは!気象予報士ののぶやんです。
9月30日14時00分ごろ、与那国島近海を震源とする地震があり、沖縄県の与那国町で震度3を観測しました。気象庁によると、震源の深さは約10km、地震の規模はマグニチュード(M)6.0。石垣市と竹富町で震度2、多良間村で震度1を観測し、「日本の沿岸では若干の海面変動があるかもしれませんが、被害の心配はありません」と発表されています。台湾でも東部の花蓮・宜蘭などで揺れを観測しました。
気象庁の震央地名「与那国島近海」でM6以上の地震が起きたのは、2022年5月9日(M6.6)以来、約4年4か月ぶりです(台湾付近では2025年12月にM7.0が起きています)。「与那国島って地震が多いの?」「大きな地震の前ぶれ?」と気になった方も多いと思います。
この記事では、元気象庁職員の気象予報士として、気象庁の震度データベースなどから与那国島近海・台湾付近を震源とする地震779回分(1919年〜2026年)を集計し、どれくらい多いのか、なぜ多いのか、今年は増えているのか、M6のあとにもっと大きな地震は来るのかをデータで確かめました。震源・期間・震度を選ぶと回数や震源の地図が切り替わるツールも置いています。
- 9月30日14時00分、与那国島近海でM6.0・深さ約10kmの地震。与那国町で震度3、石垣市・竹富町で震度2。津波の被害の心配はなし。「与那国島近海」でのM6以上は2022年5月以来、約4年4か月ぶり
- 与那国島近海が震源で日本のどこかが震度1以上になる地震は、1996〜2025年の平均で年8.3回。台湾付近(年4.2回)と合わせると年12.4回、約1か月に1回のペース
- なぜ多い?フィリピン海プレートが琉球海溝から沈み込み、しかも台湾でユーラシア側の大陸とぶつかっている「沈み込み」と「衝突」が重なる場所だから。与那国島近海の震源の約4割は深さ30km未満と浅い
- 2026年は多い?与那国島近海が震源の地震は9月30日の地震を含めて7回で、年換算9.4回。ここ10年の平均(7.8回)よりやや多いが、特別に多い年ではない。与那国町で揺れた回数(震度1以上)はむしろ平年より少なめ
- M6以上のあと7日以内に、もっと大きな地震が起きたのは36回中4回(約1割)。まれでも起こり得るので、数日は揺れと津波の情報に注意を。政府の地震調査委員会は「与那国島周辺のM7.0〜7.5程度の地震」の30年以内の発生確率を90%程度以上と評価しています
与那国島・台湾付近の地震がわかるツール
震源(与那国島近海・台湾付近)、期間、揺れの基準(日本のどこかで震度1以上/与那国町で震度1以上)、震度を選ぶと、回数、1年あたりの回数、いちばん最近の地震、最大の地震、年ごとの回数、震源の地図が切り替わります。ページを開いたときに気象庁の最新の地震情報も読み込むので、これから起きた地震も自動で加わります。
たとえば「与那国島近海」「1996年以降」「M6以上だけ」を選ぶと、「いちばん最近の地震(M6.0)と同じか大きい地震は、その前は2022年5月9日(M6.6)」と、今回の地震がどれくらい久しぶりかが出ます。「台湾付近」に切り替えると2024年4月のM7.7や2025年12月のM7.0が、「与那国町で震度1以上」「震度3以上」を選ぶと、与那国島でどれくらいの頻度で強めの揺れがあるかがわかります。市町村ごとの地震の回数や地盤、30年確率は与那国町の地震リスクデータベースでも確認できます。
9月30日の地震:どこでどれくらい揺れた?
| 震度 | 市町村(観測点のある地域) |
|---|---|
| 震度3 | 与那国町(与那国島) |
| 震度2 | 石垣市(石垣島)、竹富町(西表島) |
| 震度1 | 多良間村(宮古島地方) |
震央は北緯23.8度・東経122.9度で、与那国島の南およそ75kmの海の中です。台湾の花蓮からは東へおよそ130km。台湾の気象署も花蓮沖の地震(M5.9)として発表し、花蓮・宜蘭などで台湾の震度階級で2を観測しています。
震源の深さ約10kmは、この海域ではかなり浅いほうです。浅い地震は震源の真上付近でよく揺れる一方、M6.0程度であれば、今回のように津波は「若干の海面変動」にとどまることがほとんどです。ただし、同じ海域でもM7を超えると話は別で、2024年4月3日の台湾付近の地震(M7.7)では沖縄本島地方と宮古島・八重山地方に津波警報が出され、与那国島で30cmの津波を観測しました。
与那国島近海の地震はどれくらい多い?
震度データベースで、震源が「与那国島近海」「台湾付近」で日本のどこかが震度1以上になった地震を数えました。観測点の数や震度の決め方が大きく変わった1996年以降の30年間でくらべています。
| 震央地名 | 震度1以上(年平均) | 震度3以上 | 震度4以上 | 2026年(9/30まで) |
|---|---|---|---|---|
| 与那国島近海 | 248回(年8.3回) | 18回 | 3回 | 7回(うち震度3が1回) |
| 台湾付近 | 125回(年4.2回) | 12回 | 1回 | 3回 |
| 合計 | 373回(年12.4回) | 30回 | 4回 | 10回 |
与那国島近海だけで年8回あまり、台湾付近を合わせるとほぼ毎月1回、日本のどこかが揺れている計算です。ただし多くは震度1〜2で、震度3以上は30年で30回(年1回程度)、震度4以上は4回でした。
では、与那国島そのものはどれくらい揺れているのでしょうか。震源の場所を問わず、各市町村の観測点で震度1以上を観測した回数を、八重山・宮古の市町村でくらべました。
| 市町村 | 震度1以上の回数(2016〜2025年) | 1年あたり | 多い震源 |
|---|---|---|---|
| 与那国町 | 136回 | 13.6回 | 与那国島近海・台湾付近 |
| 石垣市 | 147回 | 14.7回 | 与那国島近海・台湾付近・石垣島近海 |
| 宮古島市 | 217回 | 21.7回 | 宮古島近海・宮古島北西沖 |
| 竹富町 | 274回 | 27.4回 | 西表島付近(群発地震を含む) |
与那国町は年13〜14回で、石垣市とほぼ同じ。竹富町が多いのは、西表島付近で群発地震がたびたび起きるためです。与那国町の特徴は回数よりも「揺れの原因」で、与那国町で震度1以上になった地震(1957年以降)の約4分の3(556回中424回)が与那国島近海か台湾付近を震源とする地震でした。与那国島の揺れは、ほぼ「すぐ近くの海と台湾」から来ていると言えます。
与那国島近海と台湾付近の地震、どう違う?
| 与那国島近海 | 台湾付近 | |
|---|---|---|
| 回数(1996〜2025年) | 248回 | 125回 |
| Mの中央値 | 4.8 | 5.8 |
| M6以上 | 12回 | 55回 |
| 与那国島からの距離(中央値) | 約55km | 約112km |
| 深さ(中央値) | 32km | 36km |
| 与那国町でも揺れた割合 | 67% | 92% |
台湾付近の地震は与那国島から遠い分、日本で揺れを感じるのはM5〜6以上の大きめの地震が中心で、その9割以上で与那国町が揺れています。日本でいちばん台湾に近い与那国島は、台湾の地震の揺れを最初に受け止める場所でもあるのです。与那国島近海の地震は規模が小さめでも、距離が近いぶん揺れが届きます。
なぜ与那国島・台湾付近は地震が多いのか
与那国島の南の海底には、南西諸島に沿って琉球海溝がのびています。ここでフィリピン海プレートが陸側のプレートの下へ沈み込んでいるため、プレートの境界や沈み込んだプレートの中で地震が起きやすくなっています。仕組みは、東北の太平洋側や南海トラフと同じ「沈み込み帯」です。
与那国島付近が特別なのは、そのすぐ西の台湾で、フィリピン海プレートがユーラシア大陸側とぶつかって(衝突して)いることです。台湾の山が高いのも、東部の花蓮沖で地震が多いのもこのためで、与那国島は「沈み込み」と「衝突」の境目のすぐそばにあります。
震源の深さを見ると、1996年以降に与那国島近海で起きた地震(深さのわかる255回)のうち、深さ30km未満が107回(42%)、30〜60kmが98回(38%)、60〜100kmが34回(13%)、100km以上が16回(6%)でした。今回の深さ約10kmのような浅い地震が多いのが特徴です。ツールの地図では、震源が与那国島の南〜西(台湾寄り)に集まっている様子がわかります。
2026年は多い?今年の与那国島付近の地震
| 2026年(9月30日まで) | 年換算 | 2016〜2025年の平均 | |
|---|---|---|---|
| 与那国島近海が震源(震度1以上) | 7回 | 約9.4回 | 7.8回 |
| 台湾付近が震源(震度1以上) | 3回 | 約4.0回 | 5.1回 |
| 与那国町で震度1以上(震源を問わず) | 8回 | 約10.7回 | 13.6回 |
与那国島近海が震源の地震は、今年は9月30日の地震を含めて7回。年換算で9.4回と、過去10年の平均(7.8回)より少し多めですが、2015年(16回)や2020年(15回)のような多い年にはおよびません。与那国町で揺れた回数はむしろ平年より少なく、「今年は与那国島で地震が急に増えている」わけではありません。
この1年ほど目立つのは規模です。「与那国島近海」でのM6以上は2022年5月9日(M6.6)以来で、1996年以降では13回目。台湾付近でも2025年12月28日にM7.0(与那国町で震度3)が起きています。全国で地震が多く感じられる理由は最近地震が多いのはなぜ?2026年でもまとめています。
過去に与那国島が大きく揺れた地震
| 発生日 | 震源 | M | 与那国町の震度 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 2024年4月3日 | 台湾付近 | 7.7 | 4 | 沖縄に津波警報、与那国島で30cmの津波 |
| 2015年4月20日 | 与那国島近海 | 6.8 | 4 | 同じ日の夜にもM6.0・M6.4が発生 |
| 2004年10月15日 | 与那国島近海 | 6.6 | 5弱 | 深さ83km。与那国町で1996年以降唯一の震度5弱 |
| 2001年12月18日 | 与那国島近海 | 7.3 | 4 | 深さ8km |
| 1967年10月25日 | 台湾付近 | 6.7 | 4 | |
| 1966年3月13日 | 与那国島近海 | 7.3 | 5 | 与那国島で死者2人など。Mは気象庁の現在の値。震度5は旧震度階級 |
| 1963年2月13日 | (詳細不明) | 不明 | 4 | |
| 1959年4月27日 | 与那国島近海 | 不明 | 4 | 深さ113km |
| 1958年3月11日 | 石垣島近海 | 7.2 | 4 |
与那国町が震度4以上になったのは、観測が残る1957年以降で9回。およそ7〜8年に1回のペースです。震度5弱以上は2004年の1回(旧震度階級の震度5を含めると2回)で、与那国島がしょっちゅう強く揺れているわけではありません。
与那国島に津波は来る?
| 発生 | 震源・規模 | 与那国島・八重山への津波 |
|---|---|---|
| 2026年9月30日 | 与那国島近海 M6.0 | 「若干の海面変動があるかもしれないが被害の心配なし」(気象庁) |
| 2024年4月3日 | 台湾付近 M7.7 | 沖縄本島地方と宮古島・八重山地方に津波警報。与那国島で30cmを観測 |
| 1771年4月24日 | 八重山地震(明和の大津波) | 石垣島を中心に八重山・宮古を大津波が襲い、1万人を超える死者 |
M6程度の地震では、今回のように被害の出る津波になることはまれです。ただ、M7を超えると2024年のように津波警報が出ることがあり、歴史をさかのぼれば1771年の明和の大津波という大災害もありました。与那国島付近は、揺れの強さ以上に津波への備えが大切な地域です。震源が近い場合は津波の到達まで時間が短いため、強い揺れや長い揺れを感じたら、警報を待たずに高い場所へ移動してください。
M6の地震のあと、もっと大きな地震は来る?
過去のデータで確かめました。1919年以降、与那国島近海で起きたM6以上の地震は36回(今回を除く)。その後7日以内に、与那国島近海か台湾付近で次の地震(日本で震度1以上)があったのは16回、最初の地震より大きな地震が起きたのは4回(約1割)でした。
| 最初の地震 | 7日以内に起きた、より大きな地震 |
|---|---|
| 1983年6月21日 M6.0 | 1983年6月24日 M6.3 |
| 1994年5月23日 M6.1 | 1994年5月24日 M6.6 |
| 2015年4月20日20:45 M6.0 | 14分後に M6.4(この日は10:42にM6.8が先に発生) |
| 2018年10月23日 M6.1 | 2018年10月24日 M6.3 |
9割はそれ以上大きな地震にはつながっていませんが、1割は「あとの方が大きかった」ことになります。気象庁も、大きな地震のあとは一般に「1週間程度は同じくらいの地震に注意」と呼びかけています。数日は、揺れを感じたら海岸から離れる、津波の情報を確認することを意識しておくと安心です。
与那国島で大きな地震が起きる確率は?(30年以内に90%程度以上の意味)
政府の地震調査研究推進本部(地震調査委員会)は、2022年3月に公表した日向灘・南西諸島海溝周辺の長期評価で、「与那国島周辺のひとまわり小さい地震(M7.0〜7.5程度)」の30年以内の発生確率を90%程度以上としています。1919年以降、このクラスの地震がこの周辺で12回起きており、平均の間隔は8.6年という計算です。なお評価には、プレート境界の地震だけでなく陸側のプレート内の地震も含まれている可能性があり、確率が高めに見積もられているかもしれない、という注記もついています。
「90%」と聞くと身構えてしまいますが、これは与那国島の真下で大地震が起きるという意味ではなく、与那国島周辺の広い範囲でM7級の地震が「数年〜10年に1回くらい起きている」という実績を確率にしたものです。30年確率の数字の見方は「30年以内に70〜80%」はどれくらい高い?、全国の比較は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングでくわしく解説しています。
沖縄県の地震は全国で何番目?
下のツールで、47都道府県の地震の回数や30年確率を切り替えてくらべられます。沖縄県は本島周辺だけでなく、与那国島・西表島・宮古島の周辺の地震も含めた値です。
都道府県・市町村のランキングは地震が多い都道府県・市町村ランキングと地震が少ない県・市町村ランキング、「回数が少ない=安全」とは限らない話は地震が少ない県は本当に安全か?にまとめています。
与那国島・八重山の地震と津波に備える
- 強い揺れ・長い揺れを感じたら、津波警報を待たずに高い場所へ。与那国島は震源が近いため、津波が来るまでの時間が短い可能性があります
- 海外(台湾・フィリピンなど)の大地震でも津波が来ることがあります。到達時間の目安は海外の地震で日本に津波は来る?で解説しています
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- 住まいの揺れやすさは揺れやすい地盤ランキング、保険の考え方は地震保険料が高い県・安い県ランキングへ
地震が起きた直後の震源・震度は地震速報リアルタイム地図で、与那国島の天気・気温の傾向は与那国島の気候(平年値)で見られます。台風の季節の八重山については石垣島・宮古島の台風シーズンもどうぞ。
よくある質問
Q. 与那国島近海で地震が多いのはなぜですか?
与那国島の南の琉球海溝でフィリピン海プレートが陸側のプレートの下に沈み込み、さらにすぐ西の台湾ではフィリピン海プレートが大陸側とぶつかっています。「沈み込み」と「衝突」が重なる場所のため、地震が多くなっています。
Q. 与那国島近海の地震は1年に何回くらいありますか?
与那国島近海を震源として日本のどこかで震度1以上を観測する地震は、1996〜2025年の平均で年8.3回です。台湾付近を震源とする地震(年4.2回)を合わせると年12.4回、ほぼ毎月1回のペースです。
Q. 9月30日の与那国島近海の地震の規模と震度は?
2026年9月30日14時00分ごろ、与那国島近海の深さ約10kmでM6.0の地震が起き、与那国町で震度3、石垣市と竹富町で震度2、多良間村で震度1を観測しました。気象庁は「若干の海面変動があるかもしれませんが、被害の心配はありません」と発表しました。
Q. 2026年は与那国島の地震が増えていますか?
与那国島近海を震源とする地震は、9月30日までで7回(年換算約9.4回)と、過去10年の平均(7.8回)よりやや多い程度です。与那国町で震度1以上を観測した回数は8回で、平均(年13.6回)より少なめです。特別に増えているとは言えません。
Q. M6の地震のあと、もっと大きな地震は起きますか?
1919年以降の与那国島近海のM6以上の地震36回のうち、7日以内により大きな地震が起きたのは4回(約1割)でした。多くはそれ以上大きくなりませんが、まれに起こるため、1週間程度は揺れや津波の情報に注意してください。
Q. 与那国島で大きな地震が起きる確率は?
地震調査研究推進本部は、与那国島周辺でM7.0〜7.5程度の地震が30年以内に起きる確率を90%程度以上と評価しています(2022年3月公表)。1919年以降このクラスの地震が12回、平均8.6年に1回起きていることにもとづく値です。
Q. 台湾の地震で与那国島に津波は来ますか?
来ることがあります。2024年4月3日の台湾付近の地震(M7.7)では、沖縄本島地方と宮古島・八重山地方に津波警報が発表され、与那国島で30cmの津波を観測しました。M6程度であれば、通常は被害のおそれのない小さな海面変動にとどまります。
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- M7級の30年確率は90%程度以上。揺れを感じたら津波を意識して高い場所へ
出典・データについて
- 気象庁「震度データベース検索」(震央地名:与那国島近海・台湾付近、1919年1月1日〜2026年9月28日。市町村別は与那国町・石垣市・宮古島市・竹富町。回数は当ブログで集計)
- 気象庁「震源・震度情報」(2026年9月30日14時00分ごろの与那国島近海の地震)
- 地震調査研究推進本部 地震調査委員会「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)」(2022年3月)、「南西諸島周辺及び与那国島周辺」
- 気象庁・報道各社の2024年4月3日の台湾付近の地震に関する発表(津波警報・与那国島での津波観測)
- 震度は日本国内の観測点で観測された震度。1996年より前は観測方法と観測点の数が異なるため、回数の比較は1996年以降で行っています
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