地震が少ない県は本当に安全か?【回数×30年確率×最大震度で検証】香川・徳島・高知は回数最少でも確率70%超、兵庫・熊本・石川も「少ない県」だった

日本地図上に有感地震の少なさを色で示した点と、30年確率の棒グラフ、想定震源域を示す破線の円を重ねたイメージ 気象

「地震が少ない県に引っ越したい」「うちの県は地震が少ないから大丈夫」——地震が少ない県ランキングを公開して以来、こうした声をよくいただきます。結論から言うと、「有感地震の回数が少ない県」と「大地震が来ない県」はまったく別ものです。

この記事では、当サイトの地震リスクデータベース(1919年以降の気象庁震度データベース・全国1,756市区町村)から、地震回数が少ない県の「30年以内に震度6弱以上の確率」「過去最大震度」「地震保険の等地」を並べて、「少ない=安全」がどこまで成り立つのかを気象予報士が検証します。

のぶやん
のぶやん

回数が少ない県ベスト12のうち、香川・徳島・高知・岡山の4県は30年確率が40〜78%と全国トップクラス。1995年の兵庫、2016年の熊本、2024年の石川も、地震の前は「地震が少ない県」でした。回数は「これまで」、確率は「これから」の話です。

  1. 地震が少ない県ベスト12——回数・確率・最大震度・保険料を並べる
    1. 【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
  2. 「地震が少ない県」を襲った大地震の一覧
      1. 停電・断水に備えるなら
  3. なぜ「回数」と「危険度」がずれるのか
    1. ① 有感地震の回数は「群発地震と余震」で決まる
    2. ② 内陸の活断層は「数千年に1回」なので、普段は静か
    3. ③ 30年確率にも限界がある
  4. 「本当に安全に近い県」はあるのか
  5. 「地震が少ない」ことの本当のリスク
  6. 都道府県で見る「回数」と「確率」のずれ|佐賀を例に
    1. 有感地震の年間回数の少なさ:佐賀は1位
    2. 30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:佐賀は35位
    3. 表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):佐賀は8位
    4. 地震保険料の安さ:佐賀は24位
  7. 佐賀県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
    1. 30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
    2. 地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
    3. 有感地震の回数が多い市区町村
      1. 水害・台風の備えは保険の見直しから
  8. よくある質問
    1. Q. 佐賀県は本当に地震が少ない?
    2. Q. 地震が少ない県で起きた大地震の共通点は?
    3. Q. 回数と確率、どちらを見るべき?
    4. Q. 地震が少ない県に引っ越すメリットは?
  9. あわせて読みたい関連ランキング

地震が少ない県ベスト12——回数・確率・最大震度・保険料を並べる

県内で観測された有感地震の累計回数(1919年〜2026年8月)が少ない順に12県を並べ、県庁所在地の30年確率(6弱以上)、その全国偏差値、県内で観測した過去最大震度、地震保険の等地(保険金額1,000万円あたりの年間保険料・イ構造)を添えました。

少ない順都道府県有感地震累計30年確率 6弱以上確率偏差値過去最大震度地震保険(イ構造)
1佐賀県808回7.8%416弱1等地グループ・7,300円
2富山県889回12.2%435強1等地グループ・7,300円
3山口県1,021回5.5%405強1等地グループ・7,300円
4香川県1,254回73.6%685強2等地グループ・11,600円
5滋賀県1,269回14.4%445弱1等地グループ・7,300円
6大阪府1,428回28.1%506弱2等地グループ・11,600円
7島根県1,537回4.7%405強1等地グループ・7,300円
8徳島県1,558回77.5%705強3等地グループ・23,000円
9岡山県1,679回42.9%565強1等地グループ・7,300円
10福岡県1,680回6.3%416弱1等地グループ・7,300円
11奈良県1,721回14.5%445弱1等地グループ・7,300円
12高知県1,795回77.7%706弱3等地グループ・23,000円
地震回数が少ない12県の指標(当サイト地震リスクデータベース、J-SHIS 2024年版、損害保険料率算出機構 基準料率)

一目でわかるのは、回数と確率がまるで連動していないことです。高知県(77.7%)・徳島県(77.5%)・香川県(73.6%)は回数では全国で最も少ないグループなのに、南海トラフ巨大地震の想定震源域に面しているため30年確率は全国最高クラスで、地震保険料も3等地グループ(高知・徳島)や2等地(香川)と高くなっています。逆に、東北の宮城県(累計12,609回、全国7番目に多い)は震度7を経験しているのに、県庁所在地の30年確率は7.7%と低めです。

【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認

下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料・台風接近数を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(佐賀県を黄色で強調表示)。

「地震が少ない県」を襲った大地震の一覧

過去30年の主な内陸直下型地震は、いずれも当時「地震が少ない」と言われていた地域で起きました。

地震最大震度当時の評判・状況
1995兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)兵庫県(累計3,548回・少ない順24位)7「関西に大地震は来ない」という安全神話が広く信じられていた
2000鳥取県西部地震(M7.3)鳥取県(5,256回・30位)6強活断層として認定されていない場所で発生
2005福岡県西方沖地震(M7.0)福岡県(1,680回・10位)6弱「福岡に地震はない」と言われ、企業誘致でも地震の少なさが宣伝されていた
2016熊本地震(M7.3)熊本県(7,975回・34位)7(2回)企業誘致で「地震が少ない」ことがアピールされていた
2018大阪府北部地震(M6.1)大阪府(1,428回・6位)6弱大阪市内で観測史上初の震度6弱
2024能登半島地震(M7.6)石川県(4,595回・27位)730年確率は志賀町6.5%・輪島市6.0%と全国平均以下だった
「地震が少ない」と言われていた地域で起きた主な地震(累計回数と順位は当サイト集計、2026年8月時点)

※熊本県・石川県・鳥取県の累計回数は2016年・2024年・2000年の地震の余震で大きく増えており、地震の「前」はさらに少ない県でした。震度7を観測した地震の一覧も参考にしてください。

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停電・断水に備えるなら

台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。

なぜ「回数」と「危険度」がずれるのか

① 有感地震の回数は「群発地震と余震」で決まる

県別の累計回数トップは長野県(69,497回)ですが、その大半は1965〜70年の松代群発地震によるものです。東北3県や茨城県の回数も2011年以降の余震で膨らんでいます。つまり回数は「たまたま近くで大きな地震や群発地震があったか」を反映する指標で、これから大地震が起きるかどうかとは直接の関係がありません。

② 内陸の活断層は「数千年に1回」なので、普段は静か

海溝型地震(南海トラフ・日本海溝)は数十〜百数十年ごとに繰り返すため、周辺では余震や小さな地震が多く、確率も高く計算されます。一方、内陸の活断層は平均活動間隔が数千〜数万年で、普段はほとんど地震を起こしません。だからこそ「地震が少ない県」ほど、直下型地震が突然やってくるのです。兵庫・鳥取・福岡・熊本・石川の地震は、すべてこのタイプでした。

③ 30年確率にも限界がある

J-SHISの30年確率は活断層の評価と海溝型地震の繰り返しを積み上げたもので、知られていない活断層や評価の難しい断層は反映されにくいという限界があります。能登半島地震の震源断層も、確率地図では十分に評価されていませんでした。確率が低いことは「大地震の可能性がゼロ」を意味しないと、「30年以内に70〜80%」の意味の記事で詳しく解説しています。

「本当に安全に近い県」はあるのか

回数も確率も低いのは、富山県(12.2%)・山口県(5.5%)・島根県(4.7%)・佐賀県(7.8%)・滋賀県(14.4%)・奈良県(14.5%)です。ただし、富山県には呉羽山断層帯、山口県には大原湖断層帯、島根県には宍道(鹿島)断層、滋賀県には琵琶湖西岸断層帯、奈良県には奈良盆地東縁断層帯という活断層があり、2018年の島根県西部地震(M6.1・震度5強)や2016年の鳥取県中部地震のように「確率が低い地域」でM6クラスは実際に起きています。

つまり、相対的にリスクが低い県はあっても、安全な県はありません。県単位で選ぶより、揺れやすい地盤かどうか液状化しやすい地形かどうか、建物の耐震性、という「自分の家の条件」のほうが被害を左右します。

「地震が少ない」ことの本当のリスク

  • 備えが薄くなる:地震経験が少ない地域ほど住宅の耐震化・家具固定・備蓄が進みにくく、同じ震度でも被害が大きくなりがちです。
  • 行政の初動経験がない:熊本地震や能登半島地震では、避難所運営や物資輸送の経験不足が指摘されました。
  • 「大丈夫」という思い込み:福岡県西方沖地震・熊本地震・能登半島地震の共通点は、住民も企業も「ここは地震が少ない」と信じていたことです。
  • 保険料が安いのは加入のチャンス:1等地グループ(7,300円/年)の県は地震保険料が最も安く、確率の低さを「保険に入らない理由」ではなく「安く備えられる理由」と考えるのが合理的です(地震保険料ランキング)。

都道府県で見る「回数」と「確率」のずれ|佐賀を例に

有感地震が最も少ない佐賀県を強調して、回数・確率・地盤・保険料の47都道府県ランキングを並べます。回数が少ない県でも、確率や地盤で見ると別の顔が見えてきます。

有感地震の年間回数の少なさ:佐賀は1位

順位都道府県有感地震の年間回数偏差値
1位佐賀県8回44.1
2位富山県8回44.1
3位山口県10回44.2
4位香川県12回44.5
5位滋賀県12回44.5
6位大阪府13回44.6
7位島根県14回44.7
8位徳島県15回44.8
9位岡山県16回44.9
10位福岡県16回44.9
有感地震の年間回数の少なさランキング(1919年以降の平均、少ない順)

佐賀県は1位(8回、偏差値44.1)。1位は佐賀県(8回)、47位は長野県(650回)、全国平均は68回です。比較:富山2位・香川4位・高知12位・東京46位。詳しくは地震が少ない県・市町村ランキングをご覧ください。

30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:佐賀は35位

順位都道府県30年以内に震度6弱以上の確率偏差値
1位高知県77.7%69.9
2位徳島県77.5%69.8
3位香川県73.6%68.2
4位和歌山県73.1%68.0
5位静岡県72.8%67.9
6位千葉県71.2%67.3
7位埼玉県62.4%63.7
8位岐阜県61.9%63.5
9位大分県57.4%61.6
10位三重県48.9%58.2
35位佐賀県7.8%41.4
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さランキング(J-SHIS 2024年版)

佐賀県は35位(7.8%、偏差値41.4)。1位は高知県(77.7%)、47位は北海道(2.3%)、全国平均は28.8%です。比較:富山31位・香川3位・高知1位・東京13位。回数が少ない香川・徳島・高知が確率では上位3位を占めます。詳しくは今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率ランキングをご覧ください。

表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):佐賀は8位

順位都道府県表層地盤増幅率偏差値
1位石川県1.60倍68.6
2位千葉県1.55倍65.2
3位茨城県1.54倍64.5
4位埼玉県1.54倍64.5
5位新潟県1.53倍63.8
6位山口県1.51倍62.4
7位香川県1.50倍61.8
8位佐賀県1.50倍61.8
9位富山県1.45倍58.4
10位福井県1.45倍58.4
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均)ランキング(J-SHIS)

佐賀県は8位(1.50倍、偏差値61.8)。1位は石川県(1.60倍)、47位は長野県(0.97倍)、全国平均は1.33倍です。比較:富山9位・香川7位・高知43位・東京23位。佐賀は回数が最少でも、佐賀平野の軟弱地盤で増幅率は全国8位。「揺れにくい」わけではありません。詳しくは揺れやすい地盤ランキングをご覧ください。

地震保険料の安さ:佐賀は24位

順位都道府県地震保険料偏差値
1位北海道7,300円43.9
2位青森県7,300円43.9
3位岩手県7,300円43.9
4位秋田県7,300円43.9
5位山形県7,300円43.9
6位栃木県7,300円43.9
7位群馬県7,300円43.9
8位新潟県7,300円43.9
9位富山県7,300円43.9
10位石川県7,300円43.9
24位佐賀県7,300円43.9
地震保険料の安さランキング(イ構造・1,000万円あたり年額、安い順)

佐賀県は24位(7,300円、偏差値43.9)。1位は北海道(7,300円)、47位は静岡県(27,500円)、全国平均は11,436円です。比較:富山9位・香川36位・高知42位・東京45位。詳しくは地震保険料ランキングをご覧ください。

佐賀県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10

佐賀県の20市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。

30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村

順位市区町村30年確率(6弱以上)
1太良町9.9%
2上峰町9.8%
3佐賀市9.2%
4みやき町8.3%
5神埼市7.8%
6白石町6.5%
7小城市6.2%
8嬉野市4.9%
9江北町4.6%
10吉野ヶ里町3.7%
佐賀県の30年確率(6弱以上) 上位10(20市区町村中)

地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村

順位市区町村表層地盤増幅率
1佐賀市2.05倍
2上峰町1.94倍
3白石町1.93倍
4小城市1.90倍
5神埼市1.86倍
6太良町1.85倍
7みやき町1.78倍
8嬉野市1.75倍
9江北町1.75倍
10玄海町1.51倍
佐賀県の表層地盤増幅率 上位10(20市区町村中)

有感地震の回数が多い市区町村

順位市区町村年平均有感地震回数
1佐賀市13.8回
2上峰町11.2回
3唐津市11.2回
4神埼市10.8回
5みやき町10.8回
6白石町9.2回
7嬉野市8.5回
8小城市7.5回
9吉野ヶ里町7.0回
10基山町6.5回
佐賀県の年平均有感地震回数 上位10(20市区町村中)

過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは1市区町村(みやき町=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。

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水害・台風の備えは保険の見直しから

地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 佐賀県は本当に地震が少ない?

有感地震の累計回数は47都道府県で最少です。ただし2026年7〜8月には県内で震度5弱を含む有感地震が続発し、「少ない県」でも群発は起きることを示しました。

Q. 地震が少ない県で起きた大地震の共通点は?

いずれも内陸の活断層による直下型で、発生前は「地震が少ない」と信じられていました。活断層は数千年に1回しか動かないため、普段の回数には表れないのです。

Q. 回数と確率、どちらを見るべき?

これからのリスクを見るなら「確率」と「地盤」、地域の地震の癖(群発・余震)を知るなら「回数」です。両方を見て、最終的には自宅の耐震性と地盤で備えるのが正解です。

Q. 地震が少ない県に引っ越すメリットは?

日常の揺れによるストレスや、家具転倒などの小さな被害は減ります。地震保険料も安い県が多く、災害が少ない県ランキングで他の災害と合わせて比較できます。

あわせて読みたい関連ランキング

まとめ
  • 有感地震の回数が少ない県(佐賀・富山・山口・香川・滋賀・大阪…)と、30年確率が低い県は一致しない。
  • 香川・徳島・高知・岡山は回数が少なくても南海トラフのため確率は40〜78%。
  • 1995年兵庫、2000年鳥取、2005年福岡、2016年熊本、2024年石川は、いずれも「地震が少ない県」で起きた内陸直下型地震。
  • 活断層は数千年に1回なので普段は静か。回数は「これまで」、確率は「これから」の指標で、確率にも限界がある。
  • 相対的に低い県はあっても安全な県はない。地盤・地形・耐震性という「自分の家の条件」で備える。

出典:気象庁 震度データベース(1919年1月〜)、防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、役所付近の250mメッシュ値)都道府県別の累計回数は気象庁震度データベースを当サイトが集計したもの、30年確率は防災科学技術研究所 J-SHIS(2024年版・県庁所在地付近メッシュ)、活断層の評価は地震調査研究推進本部、地震保険料は損害保険料率算出機構の基準料率(2022年10月以降適用)によります。。当サイトは独自の地震予測を行っていません。偏差値・順位は当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)から集計しています。

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