ロケットの「夜光雲」はなぜ見えた?H3ロケット10号機・MMX打ち上げ|夜明け前に光る理由と、あなたの街から見えたかを計算【地球の影の高さツール】

気象

こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

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※本文の数値は、JAXAの発表(打ち上げ時刻)と気象庁のアメダス観測(2026年10月20日5時まで)をもとに、当サイトで計算したものです。

2026年10月20日4時41分03秒、火星衛星探査機「MMX」を載せたH3ロケット10号機が種子島宇宙センターから打ち上げられました。まだ真っ暗な夜明け前だったのに、Yahoo!リアルタイム検索のトレンドでも、朝7時すぎに「ロケット見えた」「夜光雲」が上位に入りました。でも、地上は夜なのに、なぜロケットは光って見えたのでしょうか。

答えは「地上は夜でも、数百km上空には太陽の光が当たっていたから」です。当サイトで太陽の位置を計算すると、打ち上げの約5分半後(4時46分半)、種子島では太陽が地平線の下21度にあり、種子島の真上で日が当たるのは高度約460kmより上だけ。ところが東へ1000km離れた海の上では、高度約150kmより上に日が当たっていました。東へ高く上がっていくロケットは、ちょうどこの「光の当たる空」に飛び込んでいったわけです。JAXAも「打ち上げの約5分30秒後から太陽光が当たり、輝き始める」と予想していました。

この記事では、元気象庁職員の気象予報士として、地球の影の高さという考え方でロケットが光る仕組みを図で説明し、あなたの街から見えたのか(見える条件だったか)を、太陽の高さ・種子島の方角と仰角・その時刻の天気から確かめられるツールを作りました。日時を変えれば、次の打ち上げや人工衛星を見るときにも使えます。

この記事の結論(30秒で読める版)
  • 地上が夜でも、高い所には太陽の光が当たる。光が当たる最低の高さ(地球の影の高さ)は太陽が地平線の下に深く沈むほど高くなる(沈む角度10度で約100km、20度で約410km)
  • 打ち上げ5分半後の4時46分半、種子島の真上で日が当たるのは高度約460kmより上、東へ1000kmの海上なら約150kmより上。東の海上へ高く進んだ機体と、そこから広がった燃焼ガスに日が当たって輝いた
  • 一方で地上は本州〜九州の多くで「夜」か「天文薄明」(太陽が地平線の下18度前後)。空が真っ暗なので、低い空の光るガスがよく目立った
  • カギは天気。5時の気象庁の観測では、天気を観測している150地点のうち晴れは41地点、くもり85地点、雨22地点。前線のかかった東海・北陸・山陰などは見えにくく、九州の多く・種子島・屋久島・奄美・沖縄、四国東部・岡山、千葉・横浜などは晴れていた
  • ロケットの「夜光雲」は、高い空で燃焼ガスの水蒸気が凍って日光を反射する現象(JAXAの説明)。夜明け前・日没後の1〜2時間で、地上は暗く上空に日が当たる時間だけに起こる

【ツール】ロケットはどこで光る?あなたの街の「空の暗さ」と「光が当たる高さ」

地点(気象庁の観測地点約150か所と東京、または現在地)と日時を選ぶと、その場所の太陽の高さ(空の暗さ)、種子島の方角と距離、種子島の真上と東へ1000kmの海上に高度100〜500kmの点があったとき、それが空のどこに見えて、日が当たっているかを計算します。地図では、選んだ時刻に「この高さより上なら日が当たる」範囲を色分けしました。2026年10月20日の明け方の時刻を選ぶと、その地点の実際の天気(気象庁の観測)も表示します。

ロケットはどこで光る?「地球の影の高さ」計算ツール
見る場所
日時(日本時間)
地図:この高さより上なら日が当たる(選んだ時刻)
前後の時刻で見ると(選んだ時刻の10分前〜90分後)
計算:太陽の位置は米国海洋大気庁(NOAA)の太陽位置の式、地球は半径6371kmの球として「その地点で太陽が沈んでいる角度」から光の当たる最低の高さを求めています(大気による屈折・減光は考えない目安)。天気は気象庁のアメダス(気象台などで天気を観測している約150地点)の2026年10月20日4時・5時の値です(1時間ごとの観測)。地点は気象庁の観測地点の位置です。

使い方のコツ:地図の色が明るい(黄色い)ほど、低い高さまで日が当たっています。時刻を進めると、黄色い範囲が東から西へ広がっていくのがわかります。ロケットが光って見えるのは「自分の空はまだ暗い(夜〜天文薄明)」のに「ロケットのいる高さには日が当たっている」時間です。

図解:地上は夜なのに、なぜ高い所だけ光るのか

地球は丸いので、太陽が地平線の下に沈んでいても、上空の高い所からは、まだ(もう)太陽が見えています。夕焼けのあと、地上は暗いのに高い雲だけが赤く光っていることがありますよね。あれと同じことが、もっと高い数百kmの世界で起きています。

太陽の光(東から) 観測地(真っ暗) 種子島 高く東へ進んだ機体 →光が当たって輝く 地上は夜でも、高い所には日が当たる 点線より上(黄色)=日が当たる/下=地球の影 ※模式図(縮尺は誇張)。地球の影の高さは、太陽が地平線の下に沈んでいる角度が大きいほど高くなる
地球の影(点線より下)の中にいる観測地は真っ暗。でも、東の高い空へ進んだロケットは影の外に出て、太陽の光を浴びて輝く。

光が当たる最低の高さ=地球の影の高さは、地球の半径をR(約6371km)、その地点で太陽が地平線の下に沈んでいる角度をdとすると、R×(1÷cos d − 1) で計算できます。沈む角度が小さいうち(夜明け直前・日没直後)は影が低く、深く沈むほど急に高くなります。

01002003004005006007000°5°10°15°20°25°打ち上げ5分半後の種子島上空:459km同じ時刻、東へ1000kmの海上:148km光が当たる最低の高さ(km)太陽が地平線の下に沈んでいる角度
太陽が地平線の下に沈んでいる角度と、光が当たる最低の高さ(地球を球とした幾何計算)。点線は薄明の区切り(6度・12度・18度)。
太陽が沈んでいる角度光が当たる最低の高さ目安
3度約9km日の出の約10分前・日の入りの約10分後
6度約35km市民薄明の終わり(空はまだ明るい)
9度約79km—
12度約142km航海薄明の終わり
15度約225km—
18度約328km天文薄明の終わり=真っ暗
21度約453kmMMX打ち上げ5分半後の種子島
24度約603km—
地球の影の高さ(R=6371kmの球として計算。実際は大気で光が弱まるため、もう少し高い所から明るくなる)

国際宇宙ステーション(ISS、高度約400km)が夜明け前や日没後の空に明るく見えるのも同じ理屈です。日の出・日の入りの時刻は季節と場所で大きく変わるので、全国49地点の日の出・日の入りツールや昼の長さの記事もあわせてどうぞ。逆に真夜中は太陽が地平線の下に深く沈んでいるので、数百km上空でも影の中に入り、ISSも見えなくなります。

データ検証:打ち上げ5分半後(4時46分半)、各地の空はどうだった?

まず、時間とともに「日が当たる高さ」がどう下がっていったかを見てみます。

時刻(10月20日)種子島の太陽の高さ種子島の真上で日が当たる高さ東へ1000kmの海上で日が当たる高さできごと
4時41分-22.3°約516km約179km打ち上げ
4時46分半-21.1°約459km約148km光り始め(JAXAの予想)
4時51分-20.2°約416km約125km
5時01分-18.0°約328km約81km
5時11分-15.9°約252km約47km
5時26分-12.6°約158km約13km
5時41分-9.4°約87kmほぼ地表
5時52分-7.1°約49kmほぼ地表探査機分離のころ
6時21分-0.8°ほぼ地表ほぼ地表種子島の日の出
当サイト計算。種子島=北緯30.40度・東経130.975度。探査機分離のころ=NHKの報道(打ち上げの約1時間11分後)。日の出は太陽の上端が地平線に出る時刻(大気差込み)

打ち上げの瞬間、種子島の真上で日が当たるのは高度約520kmより上でした。ロケットがどれだけ高く上がっても、種子島の近くにいるあいだは影の中です。ロケットの実際の飛行経路は公表資料で確かめられなかったため、ここでは仮に種子島から東へ約1000kmの海上に点を置いて計算しました。そこでは打ち上げ時に約180km、5分半後には約150kmより上に日が当たっています。東の海上へ高く進んだ機体やガスが、このあたりで日の当たる高さに入ったと考えると、JAXAの「約5分30秒後から輝き始める」という予想とつじつまが合います。地域ごとの見え方の予想図は、JAXAの特設ページ(鹿児島・福岡・高知・広島・大阪・石川・名古屋・静岡・東京・仙台・奄美・小笠原)で確認できます。

次に、主な地点から見た空です。「種子島の上空200km」「東へ1000kmの海上の上空200km(モデルの点)」が、それぞれどの方角・仰角(地平線からの角度)に見えたかを計算し、5時の天気(気象庁の観測)を並べました。

地点太陽の高さ(空の暗さ)種子島の方角・距離種子島の上空200km東へ1000kmの上空200km5時の天気見える条件
札幌-13.0°(天文薄明)南西・1,680km地平線の下南 0.3°くもり—
仙台-13.1°(天文薄明)南西・1,260km南西 3.2°(影)南 6.5°くもり△
新潟-14.5°(天文薄明)南西・1,110km南西 5.0°(影)南南東 6.8°雨×
東京-13.9°(天文薄明)西南西・1,010km西南西 6.5°(影)南 11.7°—△
横浜-13.9°(天文薄明)西南西・980km西南西 6.9°(影)南南東 12.3°晴れ◎
千葉-13.6°(天文薄明)西南西・1,030km西南西 6.2°(影)南 12.1°晴れ◎
名古屋-16.1°(天文薄明)南西・770km南西 10.8°(影)南南東 10.8°雨×
金沢-16.4°(天文薄明)南西・860km南西 8.9°(影)南南東 7.9°雨×
大阪-17.3°(天文薄明)南西・640km南西 14.3°(影)南東 10.0°—△
神戸-17.6°(天文薄明)南西・620km南西 14.8°(影)南東 9.6°くもり△
岡山-18.6°(夜)南南西・550km南南西 17.2°(影)南東 8.0°晴れ◎
広島-19.8°(夜)南南西・470km南南西 20.8°(影)東南東 6.5°雨×
松江-19.3°(夜)南南西・600km南南西 15.6°(影)南東 6.2°雨×
高松-18.5°(夜)南西・520km南西 18.3°(影)南東 8.6°晴れ◎
高知-18.9°(夜)南西・430km南西 22.8°(影)東南東 8.8°くもり△
松山-19.6°(夜)南南西・420km南南西 23.3°(影)東南東 7.4°くもり△
福岡-21.6°(夜)南・360km南 27.2°(影)東南東 4.7°くもり—
長崎-22.0°(夜)南南東・280km南南東 33.9°(影)東南東 4.6°晴れ—
熊本-21.3°(夜)南・270km南 34.9°(影)東南東 5.5°晴れ◎
大分-20.5°(夜)南・320km南 30.1°(影)東南東 6.4°晴れ◎
宮崎-20.7°(夜)南南西・180km南南西 47.4°(影)東南東 6.9°晴れ◎
鹿児島-21.5°(夜)南南東・130km南南東 55.0°(影)東南東 5.8°くもり△
種子島-21.1°(夜)南・40km南 79.6°(影)東 6.7°晴れ◎
屋久島-21.4°(夜)東・30km東 81.1°(影)東 6.3°晴れ◎
名瀬-22.4°(夜)北北東・270km北北東 35.3°(影)東 4.6°晴れ—
那覇-24.0°(夜)北東・570km北東 16.6°(影)東北東 2.0°晴れ—
石垣島-27.3°(夜)北東・950km北東 7.4°(影)地平線の下晴れ—
父島-11.2°(航海薄明)西北西・1,150km西北西 4.5°(影)北北西 36.6°くもり△
八丈島-13.7°(天文薄明)西南西・890km西南西 8.5°(影)南南東 21.3°くもり△
4時46分半の計算値と、2026年10月20日5時の気象庁アメダスの天気(5時の値がない所は4時)。見える条件:◎=空が暗く、日が当たっている点が仰角5°以上に見えて、晴れ/△=位置はよいがくもり・霧など/×=雨/—=光る点が地平線すれすれか下。「(影)」=この時刻、種子島の上空200kmはまだ地球の影の中。実際に見えたかは、雲の切れ間や地形、建物にもよります

見えたかどうかは天気しだい:20日5時の空は「前線の南北」で分かれた

20日の朝は、前線が東北地方から西日本付近にのびていて、本州の広い範囲が曇りや雨でした。気象庁が天気を観測している150地点の5時の天気は、晴れ41地点・くもり85地点・雨22地点・霧2地点。晴れていたのは次の地点です。

晴れていた地点(5時):稚内、北見枝幸、羽幌、雄武、紋別、網走、根室、浦河、江差、銚子、千葉、館山、横浜、軽井沢、河口湖、上野、岡山、徳島、高松、清水、大分、長崎、福江、佐賀、熊本、延岡、宮崎、油津、枕崎、種子島、屋久島、名瀬、沖永良部、名護、久米島、那覇、南大東、宮古島、与那国島、西表島、石垣島。

晴れていたのは、九州(長崎・佐賀・熊本・大分・宮崎・枕崎など)と種子島・屋久島・奄美・沖縄・先島、四国東部(徳島・高松)と岡山、関東の千葉・銚子・館山・横浜、それに北海道のオホーツク海側など。一方、前線に近い東海(名古屋・静岡・岐阜)、北陸(新潟・富山・金沢)、山陰(松江・米子)と広島は雨で、ロケットを見るのは難しい空でした。九州でも鹿児島・福岡はくもり。このデータには東京の天気はありませんが、近くの横浜・千葉が晴れ、内陸のつくば・熊谷はくもりで、雲の切れ間しだいだったと考えられます。

「この日の朝、自分の街は晴れていた?」は、気象庁の過去の観測から当サイトが毎日まとめている過去の天気検索や、10月20日の天気の傾向のページでも確かめられます。

「夜光雲」って何?ロケットの光る雲と、本物の夜光雲のちがい

JAXAの説明では、ロケットの「夜光雲」は高度約80kmの冷たい高層大気の中で、ロケットの燃焼ガス(水蒸気)が氷になり、太陽の光を反射して夜空に明るく輝く現象です。打ち上げ後、日の出まで時間に余裕があるときに見えることがあり、高層大気の状態や風向きで形が変わるので、予測は難しいとされています。2段目の燃焼中には、ガスが薄く広がる様子が肉眼で見える可能性もある、とも案内されていました。

海外では、夜明け前や日没後のロケットの光るガスは、形から「ジェリーフィッシュ(クラゲ)」とも呼ばれます。JAXAによると、機体そのものは夜空で最も明るい星くらいの明るさで見えることがあり、2段目エンジンの燃焼中は、ガスが薄く広がっていく様子も肉眼で見える可能性があるとされていました。点のように光る機体と、ぼんやり広がるガスの2つを見分けると、写真や動画の見え方も理解しやすくなります。

もともと「夜光雲」は、高度80km前後の中間圏にできる、とても高い所の雲を指す気象の言葉です。普通の雲(対流圏、高くても十数km)よりはるかに高いので、地上が暗くなってからも日の光を受けて青白く光ります。自然の夜光雲は、中間圏がいちばん冷える高緯度地方の夏に多く、日本ではめったに見られません。ロケットの「夜光雲」は、ロケットが運んだ水蒸気が同じような高さで凍ってできる、いわば人工の夜光雲です。

雲のできる高さの違いは、雲の種類(10種雲形)や、気象予報士試験の解説記事大気の構造(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏)でくわしく紹介しています。

ロケットの光る雲(人工の夜光雲)本物の夜光雲普通の雲
高さ約80km(JAXAの説明)。燃焼ガスはさらに高い所でも広がる80km前後(中間圏)地上〜十数km(対流圏)
正体燃焼ガスの水蒸気が凍った氷の粒・ガスとても小さな氷の粒水滴や氷の粒
見える時間夜明け前・日没後の1〜2時間(地上は暗く、上空に日が当たる時間)日没後・夜明け前の薄明の時間昼(夜は光らない)
見える場所打ち上げ場所から数百〜千km以上離れた所でもおもに高緯度(北欧・カナダなど)の夏どこでも
ロケット雲の説明はJAXA「MMX/H3夜空のパブリックビューイング」による

同じ時刻でも、東と西、夏と冬で「光り方」はこんなに違う

表を見ると、打ち上げ5分半後の太陽の高さは、東京−13.9度(天文薄明)に対し、福岡−21.6度・那覇−24.0度(夜)でした。10月20日の日の出は東京5時52分、大阪6時07分、福岡6時27分、那覇6時31分(当サイト計算)。東の地方ほど夜明けが早いので、関東は天文薄明(ほぼ真っ暗だが、夜明けの光がわずかに届き始める時間)、九州・沖縄はまだ真夜中と同じ暗さだったわけです。空が暗い西の地方ほど光るガスは目立ちますが、機体が光り始める東の海上を見るには、東の地方のほうが近くて仰角も高くなります。

では、もし同じ4時46分半だったら、季節によってどう変わるでしょうか。種子島の上空で計算しました。

日付種子島の太陽の高さ種子島の真上で日が当たる高さ東へ1000kmで日が当たる高さ種子島の空
1月15日-31.2°約1081km約516km夜
2月15日-28.7°約891km約401km夜
3月15日-22.3°約516km約187km夜
4月15日-13.9°約192km約33km天文薄明
5月15日-7.8°約60km地表から航海薄明
6月15日-5.9°約34km地表から市民薄明
7月15日-8.0°約62km地表から航海薄明
8月15日-12.1°約146km約18km天文薄明
9月15日-16.5°約274km約64km天文薄明
10月15日-20.5°約429km約133km夜
11月15日-24.8°約647km約252km夜
12月15日-29.0°約914km約414km夜
4時46分半(日本時間)で固定して計算。季節によって日の出の時刻が大きく変わるため、同じ時刻でも条件が変わる

冬(12〜2月)の4時46分は太陽が地平線の下29〜31度と深く、数百km上空でも影の中。逆に夏(5〜7月)は空がもう明るくなり始めていて、光るガスが空に溶け込んでしまいます。10月下旬の4時台は、「地上は真っ暗、東の高い空には日が当たる」という、ちょうどよいタイミングだったと言えます。

サイト内のツールで「晴れる確率」と「今の空」を確かめる

ロケットや人工衛星、流星群を見るときに一番大事なのは、結局「晴れるかどうか」です。下のツールでは、地点と日付を選ぶと、過去58年(1968〜2025年)にその日が晴れた割合がわかります。夜明け前の打ち上げが多い季節の目安にしてください。

読み込み中…

都道府県ごとの「晴れの日の多さ」を月別に比べるなら、こちらのツールが便利です。10月は太平洋側ほど晴れが多く、日本海側は北西の季節風で曇りやすくなっていきます。

打ち上げの当日に「今、空はどうなっている?」を見たいときは、全国のライブカメラ一覧で雲のようすを、おでかけ天気で時間ごとの予報を確認できます。

次にロケットや人工衛星を見るときのコツ

  • 時間帯:見やすいのは、自分の空が暗い(太陽が地平線の下12度より深い)のに、高い所には日が当たっている時間。つまり夜明け前の1〜2時間か、日没後の1〜2時間。真夜中の打ち上げは、上空も影の中なので光る雲になりにくい。流星群と同じく「月明かり」と「晴れる確率」もチェック
  • 方角:種子島の打ち上げで光るのは、おもに東の海上へ進んだ後。見るのは「種子島の方角から、その東側」にかけて。今回の計算では、関東からは南西〜南、近畿からは南西〜南東、九州からは南〜東南東の空。ツールの表で地点ごとに確認できる
  • 高さ:JAXAの案内では仰角10〜20度の低い空。腕を伸ばしてこぶしを横にすると約10度、2つで約20度。見る方角の地平線が開けた場所を選ぶ
  • 天気:低い空なので、真上が晴れていても地平線近くに雲があると見えない(星空観測に向く天気の見方も参考に)。打ち上げ方向の雲を、ライブカメラや気象衛星で確かめる
  • 安全:暗い時間なので、道路や堤防、立入禁止の場所では見ない(JAXAも注意を呼びかけている)。延期で時刻が変わることもあるので直前に確認
PR|夜明け前の空を見るなら

低い空の光るガスや人工衛星は、双眼鏡があると見え方がぐっと変わります(JAXAも「双眼鏡があると便利」と案内)。倍率7〜8倍・口径30〜42mmくらいの、手持ちしやすいものが星空観察の定番です。10月下旬の夜明け前は、内陸だと10℃を下回ることもあるので、上着も忘れずに。双眼鏡をAmazonで見る/楽天市場で見る

よくある質問(FAQ)

Q. H3ロケット10号機(MMX)は何時に打ち上げられた?

2026年10月20日4時41分03秒(日本時間)に、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました(JAXA発表)。火星衛星探査機「MMX」は打ち上げの約1時間11分後にロケットから切り離されたと報じられています。

Q. 夜明け前で真っ暗だったのに、なぜロケットが光って見えたの?

地上は夜でも、高い所には太陽の光が当たっているからです。当サイトの計算では、打ち上げ5分半後の4時46分半に、東へ1000kmの海上では高度約150kmより上に日が当たっていました。東へ高く上がった機体や燃焼ガスがこの光を反射して輝きました。

Q. ロケットの「夜光雲」とは?

JAXAの説明では、高度約80kmの冷たい高層大気中でロケットの燃焼ガス(水蒸気)が氷になり、太陽の光を反射して夜空に明るく輝く現象です。もともとの夜光雲は高度80km前後の中間圏にできる自然の雲で、日本ではめったに見られません。

Q. 東京や大阪からも見えた?

計算上は、東京からは西南西〜南の低い空(種子島の上空200kmは仰角約6度、東へ1000kmの上空200kmは仰角約12度)、大阪付近からは南西〜南東の空に見える位置関係でした。ただし20日の朝は前線の影響で本州の多くが曇りや雨(5時に神戸はくもり、名古屋は雨)で、晴れていた横浜・千葉や岡山・高松などのほうが条件に恵まれました。

Q. ロケットが見やすいのはどんな時間?

自分のいる場所の空が暗く(太陽が地平線の下12度より深い)、ロケットの高さには日が当たっている時間です。おおむね夜明け前の1〜2時間か、日没後の1〜2時間。真夜中の打ち上げは上空も地球の影の中なので、光る雲にはなりにくくなります。

Q. 地球の影の高さはどうやって計算するの?

地球の半径R(約6371km)と、その地点で太陽が地平線の下に沈んでいる角度dから、R×(1÷cos d−1)で求められます。dが10度なら約100km、20度なら約410km。この記事のツールでは、地図の各地点についてこの高さを計算して色分けしています。

Q. 人工衛星やISSが見える理由も同じ?

同じです。国際宇宙ステーション(高度約400km)が夜明け前や日没後に明るく見えるのは、地上は暗いのに、ISSのいる高さには日が当たっているからです。真夜中は地球の影に入るので見えなくなります。

あわせて読みたい:空を見上げる日の天気
まとめ
  • H3ロケット10号機(MMX)は2026年10月20日4時41分03秒に打ち上げ。夜明け前の暗い空で、機体や燃焼ガスが光って見えた
  • 光った理由は「地上は夜でも、高い所には日が当たる」から。日が当たる最低の高さは、打ち上げ5分半後に種子島の真上で約460km、東へ1000kmの海上で約150km
  • 地球の影の高さはR×(1÷cos d−1)。太陽が深く沈むほど高くなり、真夜中は数百km上空も影の中
  • 見えたかどうかは天気しだい。5時は九州の多く・奄美・沖縄、四国東部・岡山、千葉・横浜などが晴れ、東海・北陸・山陰・広島は雨
  • ツールで地点と日時を選べば、次の打ち上げや人工衛星でも「自分の空は暗いか」「その高さに日が当たるか」を確かめられる

出典:JAXA「H3ロケット10号機による火星衛星探査機(MMX)の打上げ日時について」、JAXA「MMX/H3夜空のパブリックビューイング」、気象庁「アメダス」(2026年10月20日4時・5時の天気)、気象庁「天気予報(東京地方 20日4時48分発表)」、NOAA「Solar Calculator」(太陽位置の計算式)。

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