世界の年間降水量ランキング【国連加盟193か国】いちばん雨が多い国・少ない国はどこ?地域別に比較

気象

「世界でいちばん雨が多い国はどこ?」——最世界ランキングシリーズの今回は年間降水量です。

今回は、FAO(国連食糧農業機関)のAQUASTATがまとめ、世界銀行オープンデータとして公開されている公的データ(国土平均の年降水量・長期平均値)をもとに、国連加盟193か国の年間降水量を調査し、データを確認できた179か国をランキングにしました。確認できなかった14か国は「データなし」として掲載しています。

日本の年間降水量は1,668mm。世界平均(約1,170mm)の約1.4倍で、179か国中47位です。「日本は雨の国」と言われますが、世界で見ると実際どのくらいの位置なのか——ランキングで確かめていきましょう。

世界の年間降水量ランキング【地域別・降水量帯別】

ボタンで「地域」と「年間降水量の帯」を絞り込めます。偏差値はデータを確認できた179か国の中での位置づけです。なお降水量は気温の記録と違って「平年値(長期平均)」の比較になるため、年代別の区分はありません。かわりに多雨〜乾燥の降水量帯で切り替えられるようにしています。

地域で絞り込み:
年間降水量の帯で絞り込み:
少ない多い値=国土平均の年降水量(長期平均)
データなし(14か国):ソマリア・アンドラ・リヒテンシュタイン・モナコ・モンテネグロ・サンマリノ・セルビア・キリバス・マーシャル諸島・ミクロネシア連邦・ナウル・パラオ・トンガ・ツバル
出典:FAO AQUASTAT(世界銀行オープンデータ経由、指標AG.LND.PRCP.MM)。値は国土面積で平均した年降水量の長期平均値。偏差値は記録を確認できた179か国を母集団として算出。

調査方法について:値はFAO AQUASTATの「国土面積で平均した年降水量(長期平均)」で、世界銀行オープンデータ(指標コード AG.LND.PRCP.MM)から取得した最新公表値です。国連加盟193か国のうち、この公的データベースに値がない14か国は「データなし」としています。都市や観測点単位の降水量とは異なる点にご注意ください(詳しくは後述)。

雨が多い国TOP10を考察|熱帯の島国と赤道直下が総なめ

世界一雨が多い国はコロンビア(年間3,240mm)。2位サントメ・プリンシペ(3,200mm)、3位パプアニューギニア(3,142mm)と続きます。

上位の顔ぶれを見ると、赤道付近の南米北部・中米・東南アジア・太平洋の島国がずらり。共通するのは「熱帯収束帯(ITCZ)」と呼ばれる、貿易風がぶつかって雲が湧き続けるベルト地帯に位置していることです。海に囲まれて水蒸気の供給が無尽蔵な島国は、さらに有利になります。

日本人の感覚だと「日本より雨が多い国が46か国もあるの?」と驚くかもしれません。梅雨と台風で有名な日本ですら、熱帯の常時多雨地帯には敵わないんですね。

雨が少ない国ランキング|年間18mmの国もある

逆に世界一雨が少ないのはエジプト(年間わずか18mm)。続いてリビア(56mm)、サウジアラビア(59mm)と、中東・北アフリカの砂漠国が並びます。

東京では1日で100mmを超える大雨が降ることがありますが、これらの国ではその数分の一の量が「1年分」。国土の大半が亜熱帯高圧帯(いわゆる砂漠ベルト)に覆われているためです。最高気温ランキングで上位だった国々と、雨が少ない国はきれいに重なります。暑さと乾燥はセットなんです。

地域別に見る年間降水量

アジア:モンスーンの恵み、日本は47位

東南アジアの赤道帯(マレーシア・インドネシア・ブルネイなど)が2,500mm超の多雨地帯。南アジアもモンスーンの影響で総じて多雨です。日本の1,668mmは世界47位・偏差値56.2で、先進国・温帯の国としては世界屈指の多雨国。梅雨前線・秋雨前線・台風・冬の日本海側の雪と、1年中降水機会があるのが効いています。

中東・アフリカ:乾燥の横綱と多雨のギニア湾岸が同居

中東は大半が500mm未満の乾燥帯。一方アフリカは、北部の砂漠国と、赤道をはさむギニア湾岸〜中部アフリカ(リベリア・シエラレオネなど2,000mm超)の多雨国が同居していて、大陸内の降水コントラストは世界最大級です。

ヨーロッパ:極端が少ない「穏やかな大陸」

ヨーロッパは大半が500〜1,000mm帯に収まります。偏西風と温帯低気圧が一年を通じてほどよく雨を運ぶため、極端な多雨も極端な乾燥もありません。日本より雨が多い国はほぼ皆無です。

南北アメリカ:アマゾンの多雨と砂漠のコントラスト

コロンビアをはじめ、アマゾン・中米カリブの国々が上位に並びます。一方で国平均にすると隠れてしまいますが、チリのアタカマ砂漠のように「数年間まったく雨が降らない」場所も同じ大陸にあります。

オセアニア:島国は多雨、大陸国は乾燥

太平洋の島国は軒並み2,000mm超の多雨国。ところが同じオセアニアでも大陸国のオーストラリアは534mmと、世界有数の乾燥国です。国土の大部分が亜熱帯高圧帯にかかる「乾燥大陸」で、島国との差は10倍近くにもなります。

なぜここまで差が出るのか?気象予報士的に解説

  • 熱帯収束帯(ITCZ):赤道付近は貿易風が収束して上昇気流が起き、毎日のように雨雲が発達します。上位国はほぼこのベルトの住人です。
  • 亜熱帯高圧帯:緯度20〜30度付近は下降気流が卓越し、雲ができにくい「砂漠ベルト」。サハラ・アラビア・オーストラリア内陸はここにあります。
  • モンスーン(季節風):アジアの多雨は夏の湿った季節風のおかげ。日本の梅雨もこの仕組みの一部です。
  • 地形性の雨:湿った風が山にぶつかると雨が激増します。日本海側の雪、紀伊半島・屋久島の多雨はこのタイプです。

ざっくり言えば、年間降水量ランキングは「地球の大気の循環図」をそのまま国別に並べたもの。緯度と海との距離でおおよそ決まってしまう、というのが答えです。

【追加】月別の降水量ランキング|雨季と乾季が見える

「年間の合計だけでなく、月ごとの雨も見たい!」というわけで、月別に切り替えられる降水量ランキングを追加しました。上の年間ランキングはWorld Bank(世界銀行)の国土平均・長期平均ですが、月別の内訳がある公的統計は存在しないため、こちらはERA5再解析データによる各国首都1地点・2022〜2024年平均を使用しています(データソースが異なるため数値は一致しません)。

地域で絞り込み:
期間で切り替え(年合計・各月):
少ない多い値=首都の降水量(ERA5再解析・2022〜2024年平均)
出典:ECMWF/EUコペルニクス計画の再解析データERA5(Open-Meteo API経由)。値は各国の首都1地点・2022〜2024年の平均降水量(mm)。上の年間ランキング(World Bank・国土平均)とはデータソースが異なるため、数値は一致しません。偏差値は当該期間の全193か国を母集団として算出。

調査方法について:ECMWF(欧州中期予報センター)/EUコペルニクス計画の再解析データERA5から、各国首都の地点について2022〜2024年の日別降水量を集計し、月別・年合計の3年平均を算出しました(Open-Meteo APIを使用して取得)。193か国すべてでデータを取得しています。

月別で見えてくること|地球の雨は「季節で引っ越す」

  • モンスーンアジアの雨季:インドや東南アジアは6〜9月に雨が集中。雨季のピーク月には、月400mm超——東京の梅雨の2倍以上の雨が1か月で降ります。
  • サヘルの短い雨季:年間ランキング下位の乾燥国も、7〜8月だけは順位が急上昇。ニアメやハルツームの雨はほぼこの2〜3か月に集中しています。
  • 地中海性気候は「冬に雨」:南欧・中東の地中海沿岸は夏カラカラ・冬しっとり。日本と真逆のリズムです。
  • 南半球は季節が逆:1月と7月を切り替えると、雨の主役が北半球から南半球へ引っ越す様子がわかります。

年合計が同じでも、「一年中コンスタントに降る国」と「雨季に一気に降る国」ではまるで暮らしが違います。月別ランキングは、いわば地球の雨の「時刻表」。赤道の雨の帯(熱帯収束帯)が季節とともに南北へ移動する様子が、順位の入れ替わりとして見えてきます。

日本の月別降水量は?|梅雨と秋の二山型

日本(東京)の年合計は1551mmで、首都どうしの比較では世界49位。月別に見るといちばん雨が多いのは6月(約233mm)で、梅雨と秋雨・台風シーズンに雨が集中する「二山型」がはっきり出ています。冬の1月は約31mmと、実は世界的に見てもかなり乾いた月。「季節ごとに雨のキャラクターが変わる」のが日本の降水の個性です。

ちなみに月別で世界一の記録を出すのはパラオの7月(約936mm)。1か月で東京の年間降水量の6割が降る計算で、熱帯の雨季の凄まじさがわかります。

「国の平均」データの注意点|観測点の世界記録とは別物

本ランキングの値は国土全体を面積平均した長期平均値です。つまり「国内のどこか特定の場所」の値ではありません。たとえばインドは国平均だと1,000mm前後ですが、東部のマウシンラム/チェラプンジは年平均1万mm超の「世界一雨が多い場所」として知られ、チェラプンジでは1860〜61年に年間26,470mmというWMO公認の世界記録も観測されています。

また日本国内でも、屋久島の山岳部は年4,000mm超、東京は約1,600mm、北海道のオホーツク海側は700mm台と、国内差は5倍以上あります。「国の平均」はあくまで国どうしの比較の物差し、と考えてください。

日本国内の降水量や気象データの詳しい平年値は、気象庁の「過去の気象データ検索」で誰でも確認できます。

まとめ|雨の世界地図は「緯度」で決まる

今回の内容についてまとめました。

まとめ
  • 世界一雨が多い国はコロンビア(年間3,240mm)。上位は赤道直下の島国・熱帯国が独占
  • 世界一雨が少ない国はエジプト(年間18mm)。中東・北アフリカの砂漠国が続く
  • 日本は1,668mm・世界47位。世界平均の約1.4倍で、温帯の国としては世界屈指の多雨国
  • 多雨帯(2000mm以上)は32か国、乾燥帯(500mm未満)は38か国。緯度と大気循環でほぼ決まる
  • 値は国土平均の長期平均値。観測点単位の世界記録(チェラプンジ年26,470mm)とは別物

気温の「記録」と違って、降水量の平年値は毎年少しずつしか変わりません。ただ温暖化で「降り方」は確実に極端になっています。次回はそのあたり——「大雨の記録」の世界ランキングも面白そうですね。

姉妹編の気温ランキングもあわせてどうぞ。

世界の国別最高気温ランキング【国連加盟193か国】

世界の国別最低気温ランキング【国連加盟193か国】

【偏差値つき】猛暑日・酷暑日が多い都道府県・市町村ランキング|70年代〜20年代の年代別×平年値で独自集計
猛暑日(35℃以上)が多い都道府県・市町村ランキングを気象予報士が独自集計。全国969地点を1970年代〜2020年代の年代別と平年値で比較でき、偏差値つき。地点別1位は多治見、都道府県1位は京都。40℃以上の酷暑日ランキングも掲載。

引用・出典(公的データ・一次情報)

※【追加】月別ランキングの出典:ERA5再解析データ(ECMWF/EUコペルニクス気候変動サービス)およびOpen-Meteo Historical Weather API(各国首都1地点・2022〜2024年平均)。

※国土平均の長期平均値のため、必ずしも直近の気候を反映するものではありません。データなしの14か国は、上記データベースに値が収録されていない国です。

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