広島県の気候データ|10指標の全国順位・偏差値と月別データ(気象・台風・地震)

気象データベース47都道府県データ広島県

広島県の気候データ

日照は年2,033時間で中国2位、雨は少なめの瀬戸内型。ただし「まさ土」の斜面だけは、梅雨末期の大雨に弱い——それが広島です。10の指標について、全国順位・偏差値・月別データをまとめました。

気象庁 平年値 1991〜2020年 広島地方気象台 監修:気象予報士 最終更新 2026年8月2日

この県の要点

すごしやすい月

4月・5月・10月・11月

瀬戸内の凪と紅葉——宮島が最も映える季節

すごしにくい月

6月〜8月

7月280mmの梅雨末期と、熱帯夜33.2日の夏

強み

日照は年2,033時間

全国16位・中国2位。空の明るい瀬戸内の都会

注意

梅雨末期の土砂災害/高潮/広島市直下の断層

2018年西日本豪雨と、2014年の土砂災害の記憶

気温

16.5

全国 18位

降水量

1,572mm

全国 26位

降雪量

8cm

全国 25位

日照時間

2,033時間

全国 16位

晴れの出現率

46.7%

全国 17位

湿度

67%

全国 32位

01月別データ ── いつ行くのがよいか

まずは結論から。12ヶ月を1枚にまとめました。旅行や引っ越しの時期選びなら、これだけで判断できます。

1月△ 冬晴れと雪がまだら

9.9 / 2.0

晴れ43%と意外に明るい冬。牡蠣の旬、雪は年3cm

2月△ 雪がちらつく日も残る

10.9 / 2.4

三寒四温。雪がちらつく日も月15%残る

3月○ 良好

14.5 / 5.1

春本番へ。日差しは月177時間に回復

4月◎ ベスト

19.8 / 10.1

昼は20℃前後。平和公園の桜と新緑の季節

5月◎ ベスト

24.4 / 15.1

晴れ46%・日照211時間。一年で最も爽やかな月

6月△ 梅雨入り・227mm

27.2 / 19.8

梅雨入り。月227mmと雨の日が増えていく

7月✕ 梅雨末期・月280mm

30.9 / 24.1

梅雨末期の月280mmは年間最多。土砂災害の警戒月

8月✕ 猛暑・熱帯夜

32.8 / 25.1

昼32.8℃・熱帯夜は月19日前後。都市の暑さも上乗せ

9月△ 台風・残暑

29.1 / 21.1

台風接近のピーク。瀬戸内の高潮に警戒する月

10月◎ ベスト

23.7 / 14.9

晴れ58%は年間1位。空気が入れ替わる行楽月

11月◎ ベスト

17.7 / 8.9

晴れ56%・宮島の紅葉。一年で最も空が澄む頃

12月○ 冬晴れ多め

12.1 / 4.0

晴れ49%と明るい師走。初雪の便りも届く

気温は「最高 / 最低(℃)」の平年値。左の色は過ごしやすさ(緑=ベスト/橙=注意/赤=厳しい)。

0210指標のかたち

「暑いのか寒いのか」「雨が多いのか少ないのか」は、単体の数字を見てもピンときません。全国47都道府県の平均を偏差値50として、10指標を1枚のチャートにまとめました。外側に張り出しているほど「多い・強い・高い」、内側にへこんでいるほど「少ない・弱い・低い」です。日照・晴れ率・風がやや外に張り出し、湿度・台風・地震がへこんだ形をしています。

50=全国平均70 気温54降水量48降雪量47日照時間56晴れの出現率56湿度43紫外線53風速59台風46地震43

中央の太い十角形が偏差値50(=全国平均)、いちばん外の枠が偏差値70です。地震だけは値が一部の県に極端に偏るため、対数をとってから偏差値化しています。

正確な数値と順位、それぞれのランキングページへの入口は下の表にまとめました。「広島県のことが知りたい」人はこのページで完結し、「他県と比べたい」人はランキングへ進めます。

広島県の10指標。値・偏差値・全国順位・中国内順位。
指標偏差値 全国順位中国内順位 全国の中での位置ランキング
🌡️ 気温(年平均気温) 16.5℃ 54 18位/ 47位中 2位/ 5位中 平均気温ランキング →
🌧️ 降水量(年間降水量) 1,572mm 48 26位/ 47位中 4位/ 5位中 降水量ランキング →
⛄ 降雪量(年間降雪量(深さ合計)) 8cm 47 25位/ 47位中 3位/ 5位中 降雪量ランキング →
🌞 日照時間(年間日照時間) 2,033時間 56 16位/ 47位中 2位/ 5位中 日照時間ランキング →
🌤️ 晴れの出現率(晴れの日の割合(58年集計)) 46.7% 56 17位/ 47位中 2位/ 5位中 晴れの出現率ランキング →
💧 湿度(年平均湿度) 67% 43 32位/ 47位中 5位/ 5位中 湿度ランキング →
🧴 紫外線(UV指数の年平均(推定値)) 4.13 53 20位/ 47位中 2位/ 5位中 紫外線ランキング →
🍃 風速(年平均風速) 3.6m/s 59 7位/ 47位中 1位/ 5位中 平均風速ランキング →
🌀 台風(接近数(年平均)) 3.0個/年 46 33位/ 47位中 2位/ 5位中 台風の接近数ランキング →
🌏 地震(震度1以上の回数(年平均)) 19.6回/年 43 33位/ 47位中 2位/ 5位中 地震観測回数ランキング →
この数値を引用する・CSVで保存する
広島県の年平均気温は16.5℃(18位)、年間降水量1,572mm(26位)、
年間日照時間2,033時間(16位)、晴れの出現率46.7%(17位)。
出典:気象予報士のぶやんの学習帳「広島県の気候データ」
   気象庁 平年値(1991〜2020年)/広島地方気象台/
   気象庁 震度データベース/防災科研 J-SHIS 2024年版/
   当サイト58年独自集計(天気出現率)
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   2026年7月 取得

0310の指標を、1つずつ読む

ここからは10の指標を1つずつ取り上げて、広島県がなぜその数字になるのかを気象予報士の視点で解説します。数字そのものは上の表とチャートに出ていますので、ここでは「その数字を生んでいる仕組み」と「数字だけ見ていると誤解すること」を中心に書きます。

01

気温 ── 全国18位、瀬戸内の凪が育てる「都会の夜の暑さ」

結論:広島の気温は全国18位。ただし熱帯夜33.2日は全国8位——凪と都市の合わせ技。
16.5 偏差値 54 全国 18位 / 47位中 中国 2位 / 5位中 平均気温ランキング →

年平均気温16.5℃は全国18位、中国5県では山口に次ぐ2位です。広島市は瀬戸内海に面した三角州の街——海の穏やかさと都市のヒートアイランドが重なる場所で、気温の「平均」より「夜」に個性が出ます。

冬は冬日(最低0℃未満)が年12.8日・全国32位。瀬戸内らしく朝の冷え込みはほどほどで、真冬日はありません。1月の晴れは43%と、日本海側の県とは別世界の「明るい冬」——中国山地が雪雲を止めてくれるおかげです。

夏は8月の平均最高32.8℃と中国5県で最も暑く、熱帯夜は年33.2日で全国8位。夕凪で風が止まる時間帯に都市の熱が抜けず、夜の暑さが残ります。猛暑日は18.2日・全国18位と「そこそこ」ですが、盆地の福山(19.2日)や三次では内陸らしい暑さに——県内でも夜の質はかなり違います。

夏と冬の「極値」広島県の値 全国順位くわしく
猛暑日(最高35℃以上)18.2日 / 年18位 / 47位中 猛暑日ランキング →
熱帯夜(最低25℃以上)33.2日 / 年8位 / 47位中 熱帯夜ランキング →
冬日(最低0℃未満)12.8日 / 年・真冬日は0日32位 / 47位中 冬日・真冬日ランキング →

この3行が、年平均16.5℃という数字の中身です。夏の負荷は「夕凪の夜」に、冬の明るさは「中国山地の壁」に由来する——瀬戸内型気候の教科書のような県です。夏は夜の熱中症対策を、冬は晴れの日の放射冷却による朝の路面凍結を。備えどころは、はっきりしています。

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02

降水量 ── 全国26位、少なめの雨と「まさ土」の急所

結論:年1,572mmは瀬戸内らしい少なめ。だが2018年7月、雨はこの県の急所を突いた。
1,572mm 偏差値 48 全国 26位 / 47位中 中国 4位 / 5位中 降水量ランキング →

年間降水量1,572mmは全国26位、偏差値48——全国平均よりやや少ない、瀬戸内らしい値です。月別では6月227mm・7月280mmの梅雨に集中し、冬の1月はわずか46mm。「ふだんは降らず、梅雨末期にまとめて降る」のが広島の雨の形です。

そして広島には、2018年(平成30年)7月の西日本豪雨という記憶があります。梅雨末期の記録的な大雨で土石流と崖崩れが県内各地で多発し、多くの犠牲者が出ました。2014年8月の広島市の土砂災害も同じ構図——花崗岩が風化した「まさ土」の斜面に宅地が接するこの県では、年間の雨の少なさと、豪雨の被害の大きさが両立してしまうのです。

もうひとつ、雨の量では見えない指標が雷です。広島県の年間雷日数は15.1日で全国34位と少なめ。ピークは8月の3.4日の夏雷型です。数字は控えめでも、積乱雲の急発達が招く局地豪雨は別勘定——夏の午後の空の変化には敏感でいてください。

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03

降雪量 ── 市内は年8cm、県北はスキー場の雪国

結論:広島市の平年値は8cm。だが芸北や庄原は、西日本有数のスキーエリア。
8cm 偏差値 47 全国 25位 / 47位中 中国 3位 / 5位中 降雪量ランキング →

年間降雪量は8cm、全国25位。瀬戸内の街としては意外に多く、寒波の際は日本海の雪雲が中国山地を越えて市内まで届きます。雪の日の出現率は1月17%・2月15%——「積もらないが、ちらつく」冬です。

県北に入ると完全な雪国です。庄原や芸北の高原は西日本有数のスキーエリアで、積雪は毎年の前提。市内から1時間走るだけで「瀬戸内」から「日本海側」へ気候区分が切り替わる——この標高差こそ広島の地形の醍醐味です。冬の中国山地の峠道は冬タイヤの世界。広島市の8cmという平年値を、県全体に当てはめないでください。

市街地でも油断は禁物です。数年に一度の強い寒波では平地でも積雪し、坂の多い住宅地では交通が乱れます。降雪量の順位が下位の県ほど、雪への耐性は低い。この逆説は、雪の指標を読むときに必ず頭に置いてください。

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04

日照時間 ── 全国16位・中国2位、晴れの瀬戸内の実力

結論:年2,033時間は中国2位。中国山地が、冬の雲をすべて止めてくれる。
2,033時間 偏差値 56 全国 16位 / 47位中 中国 2位 / 5位中 日照時間ランキング →

年間日照時間2,033時間は全国16位、中国5県では岡山に僅差の2位です。冬型の気圧配置のとき、日本海の雪雲は中国山地がほぼすべて受け止め、瀬戸内側には乾いた晴天だけが届く——「晴れの国」岡山と同じ仕組みが、広島の空にも効いています。

月別で見ると、最も長いのは5月の211時間、最も短いのは梅雨の6月155時間。1月も139時間と、日本海側(鳥取69時間)の2倍の明るさがあります。日照の谷は梅雨のただ1回だけ——年間を通して「空の当たり外れ」が少ない、安定した日照カーブです。

旅行の計画に使うなら、ベストは晴れ58%の10月と56%の11月。宮島の紅葉と瀬戸内の島巡りは、この時期がいちばん空に恵まれます。5月の新緑も日照211時間と鉄板。梅雨末期の7月だけは、雨のリスクを頭に入れておいてください。

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05

天気出現率 ── 月別の晴れ・曇り・雨・雪

結論:10月の晴れ58%が年間1位。雨の日は全国40位——「降らない」が個性の空。
47% 偏差値 56 全国 17位 / 47位中 中国 2位 / 5位中 晴れの出現率ランキング →

日照時間は「太陽が何時間出ていたか」の合計であって、「晴れの日が何日あったか」ではありません。旅行の日程を決めるときに知りたいのは、たいてい後者のほうです。そこで、その月にどの天気が何割の日に出たかを帯グラフにしました。帯の幅がそのまま出現率(%)です。

年間472623
1月43281317
2月43231915
3月4723264
4月482428
5月462727
6月333235
7月393031
8月542422
9月442828
10月582419
11月562717
12月4928139

帯の幅がそのまま出現率(%)。 晴  くもり  雨 

この形にすると、広島の空の性格が見えます。晴れの帯は10月58%・11月56%と秋が厚く、冬も43〜49%と明るさを保ちます。雪の帯は1月17%・2月15%——ちらつく雪はあっても、空全体は瀬戸内の顔です。

6月・7月は雨の帯が35%・31%まで膨らむ梅雨の空。それ以外の月は雨の帯が2割前後で安定し、年間の雨の日の割合は23.1%・全国40位——「雨の日の少なさ」は全国トップクラスです。この帯グラフは気象庁の平年値(30年)ではなく、1968年から2025年までの58年分の観測を独自集計した値です。

4つの天気それぞれで全国順位を出すと、広島の立ち位置が見えてきます。晴れは全国17位(46.7%)、くもりは18位(26.4%)、雨は40位(23.1%)、雪は18位(3.8%)。雨だけがはっきり下位——「降らない県」であることが数字で裏づけられます。快晴日数は27.6日・全国23位。屋外イベントもスポーツ観戦も、空に恵まれた県です。

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06

湿度 ── 年平均67%で全国32位、中国で最も乾いた県

結論:春は61%まで乾く瀬戸内の空気。梅雨〜夏だけ71〜73%に湿る。
67% 偏差値 43 全国 32位 / 47位中 中国 5位 / 5位中 湿度ランキング →

年平均湿度67%は全国32位、偏差値43——中国5県で最も乾いた県です。海に面していながら乾いているのは、中国山地と四国山地の二重の壁が湿った空気をブロックする瀬戸内ならでは。ただしこの指標も、年平均のままでは中身が見えません。

月別では梅雨末期の7月が73%でピーク、6月71%と梅雨どきだけ湿ります。32℃超の昼と熱帯夜33.2日にこの湿度が重なるため、夏の体感は数字以上。屋外の作業や部活動は、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)で判断してください。

春の3月・4月は61〜62%まで乾き、洗濯と行楽には最高の空気です。そのぶん空気の乾燥と花粉・黄砂が重なる季節でもあり、火の取り扱いにも注意を。「乾いた瀬戸内」は、快適さとリスクが同居しています。

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07

紫外線 ── 全国20位、晴れの多さが押し上げる日差し

結論:UV指数の年平均は4.13で全国20位。8月は6.8の「強い」。
4.13UV指数 偏差値 53 全国 20位 / 47位中 中国 2位 / 5位中 紫外線ランキング →

UVインデックスの年平均は4.13で全国20位。福岡と同じ値で、緯度のわりに高めなのは晴れの多さが効いているからです。「中国地方だから紫外線は控えめ」という思い込みは、瀬戸内側では通用しません。

月別で注目してほしいのは、5月にすでに5.6(「強い」)へ達することです。気温はまだ24℃前後で心地よいのに、紫外線は真夏に迫る水準。瀬戸内の島巡りやサイクリング(しまなみ海道)が気持ちいい季節ほど、対策が抜けやすくなります。海面の照り返しも忘れずに。

ピークは8月の6.8。6月は梅雨の雲でいったん5.5に下がり、梅雨明けとともに跳ね上がる形です。9月も5.0残るため、実質的な対策期間は5月から9月まで。雲があっても紫外線の6〜7割は地表に届くので、曇りの日を「大丈夫な日」と考えないでください。

「何月の何時が強いのか」は、月平均だけでは分かりません。下は晴天時のUVインデックスを月と時刻の両方で並べた表です。

晴天時UVインデックス早見表(月×時刻)

結論:7月の正午〜13時が最も強く9.2。 「非常に強い」に入るのは7月と8月の11〜14時だけですが、5月・6月の正午は7.5〜7.8で「強い」に達します。 気温がまだ過ごしやすい5月の昼にも、真夏に近い紫外線が降っていることが表から読み取れます。

九州の晴天時UVインデックス(九州北部〜中部の代表値)。行が月、列が時刻。
891011121314151617
1月0.00.41.11.92.42.41.81.10.40.0
2月0.20.71.72.73.43.52.81.80.80.2
3月0.41.32.74.04.84.73.82.51.20.4
4月0.92.23.95.46.26.04.93.31.70.6
5月1.53.15.06.77.57.25.94.02.20.9
6月1.63.35.27.07.87.66.44.52.61.1
7月1.83.76.08.19.29.17.75.53.21.5
8月1.43.35.67.68.78.67.14.92.71.1
9月0.92.44.25.96.76.45.03.21.50.4
10月0.61.63.04.24.84.43.21.80.70.1
11月0.20.91.92.73.12.82.01.00.30.0
12月0.10.51.21.92.32.21.60.80.20.0

弱い0〜2中程度3〜5強い6〜7非常に強い8〜10極端に強い11以上

色は気象庁・WHOのUVインデックス区分そのものです。枠で囲んだ数字はその月のピーク。 6時台・7時台と18時以降は、一年を通してUVインデックスが1未満のため列から省いています(対策不要の水準です)。 値は雲のない晴天時の推計で、曇りの日は6〜7割程度に下がります。晴天時の値は緯度でほぼ決まるため、この表は九州北部〜中部の代表値です。広島など中国地方では、この表より1割ほど弱めが目安です。それでも夏のピーク帯の強さは変わりません。

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08

風 ── 全国7位・中国1位、意外に「風の街」ヒロシマ

結論:平均風速3.6m/sは全国7位。デルタの街を、海風と陸風が毎日通り抜ける。
3.6m/s 偏差値 59 全国 7位 / 47位中 中国 1位 / 5位中 平均風速ランキング →

年平均風速3.6m/sは全国7位、偏差値59——中国5県で最も風の強い県です。穏やかなイメージの瀬戸内で意外な数字ですが、太田川デルタに開けた広島市は海と山の間を風が通り抜ける地形。海風・陸風の交代が規則正しく、風の「ある」都市です。

そして風が止まる時間帯こそ、広島の夏の急所です。夕方、海風から陸風へ切り替わる間の「夕凪」は瀬戸内の名物で、蒸し暑さが一気に体にまとわりつきます。熱帯夜全国8位という数字の裏には、この夕凪の存在があります。

季節では10月の4.1m/sが最も強く、6月の3.1m/sが最も弱い年変化です。そして年平均風速という指標には、台風の暴風はほとんど反映されません。広島の風の本当のリスクは平均値の中ではなく、次の指標にあります。

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09

台風 ── 接近は年3.0個で全国33位、それでも高潮は別勘定

結論:接近は年3.0個と少なめ。だが2004年の台風18号は、宮島の回廊を水に沈めた。
3.0個/年(接近) 偏差値 46 全国 33位 / 47位中 中国 2位 / 5位中 台風の接近数ランキング →

この表で台風の指標に使っているのは「上陸数」ではなく「接近数」です。先に理由を書きます。気象庁の「上陸」は台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することを指し、沖縄県は定義上どれだけ台風が通っても上陸に数えられません。上陸数で47都道府県を並べると、日本で最も台風の影響を受ける沖縄が最下位に並ぶという逆転が起きます。また上陸は中心が最初に達した1県だけを数えるため、隣県が大きな被害を受けても数字に表れません。中心から300km以内に入った回数を数える「接近数」なら、47都道府県すべてを同じものさしで、しかも毎年の値として比べられます。

「上陸」とは、台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することをいいます。広島県への直接上陸は3回——九州と四国が二重の壁になってくれる、恵まれた位置です。接近数も年3.0個・全国33位と少なめで、数字の上では「台風に強い県」に見えます。

接近で数えると、広島を含む中国地方(山口県を除く気象庁区分)には年3.0個(気象庁平年値・1991〜2020年)。月別では8月0.8個・9月1.1個で、この2ヶ月に年間の6割が集中します。台風は「来やすい時期」がわかっている——つまり備えを計画できる災害です。市町村別の詳しい接近回数は台風の接近数ランキングで確認できます。

警戒すべきは、瀬戸内の高潮と暴風です。2004年の台風18号は勢力を保ったまま日本海を進み、満潮と重なった広島湾で高潮が発生。厳島神社の回廊が冠水し、沿岸の市街地も浸水しました。1991年の台風19号でも暴風で大きな被害が出ています。「台風の少ない県」の高潮は、忘れたころにやってくる——接近33位という順位に、油断だけは載せないでください。

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10

地震 ── 過去の観測回数と、これからの確率

結論:年19.6回は全国33位。2001年の芸予地震が、この県の地震の「顔」。
約19.6回/年 偏差値 43 全国 33位 / 47位中 中国 2位 / 5位中 地震観測回数ランキング →

全国33位、中国5県では鳥取に次ぐ2位です。107年間の合計は2,097回、年平均19.6回。月別に大きな偏りはなく、4月がやや多いのは2001年の芸予地震(3月24日発生)の余震が春に集中した影響などです。「少なくはないが、多くもない」——それがデータ上の広島です。

中国5県の地震観測回数(震度1以上・回/年)

鳥取県49.1
広島県19.6
岡山県15.7
島根県14.4
山口県9.5

1919〜2026年の107年間の平均。バーの長さは鳥取県を100%とした割合。出典:気象庁 震度データベース検索

「地震が少ない=安全」ではありません

この数字は過去に何回揺れたかであって、これから何回揺れるかではありません。2016年の前まで、熊本は「地震の少ない県」と見られていました——だからこそ、あの地震の教訓は重いのです。石川は2024年に、やはり「回数が多い県」ではないところで大きな被害が出ました。むしろ、回数が少ない県ほど耐震意識と備えが薄いという指摘があります。揺れ慣れていないぶん、家具の固定も備蓄も後回しになりやすいためです。過去の回数は防災の判断材料の半分でしかありません。

そこで、残り半分の「これからの確率」を並べます。地震調査研究推進本部(J-SHIS)が公表している、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率です。

過去の実績

約19.6回/年

震度1以上(1919〜2026年)・全国33位。107年間の合計は2,097回。過去にどれだけ揺れたか

これからの確率

26.5%

今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率。広島県庁位置・J-SHIS 2024年版(2026年7月取得)。これから揺れる可能性

足元の活断層

0.1〜10%

安芸灘断層帯の30年以内の地震発生確率。M7.2程度・地震本部 長期評価。岩国−五日市断層帯(己斐区間M7.1程度)も広島市の足元に

都市の直下に、名前のある断層。広島市の直下には岩国−五日市断層帯(己斐区間M7.1程度・30年確率0.03〜2%、五日市区間M7.2程度・確率不明)が走り、瀬戸内海には安芸灘断層帯(M7.2程度・0.1〜10%)が控えます。2001年の芸予地震(M6.7)では死者1人・負傷者193人——安芸灘のプレート内地震は、この県の「実績のある」揺れ方です。県庁位置の30年確率26.5%(全国20位)には南海トラフの影響も含まれます。回数の少なさと、都市直下の断層。二つを並べて判断材料にしてください。

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04県内の主要都市を比べる

同じ広島県でも、デルタの広島市と、海軍の街・呉、山陽の福山、県北の庄原では顔が違います。とくに冬は、瀬戸内の呉と雪国の庄原で、まるで別の県になります。

広島市県庁所在地

年平均気温
16.5℃
年間降水量
1,572mm
年間日照時間
2,033時間
猛暑日日数
18.2日

太田川デルタの県都。夕凪の熱帯夜33.2日と、冬の明るい晴れが同居する瀬戸内の街。

呉(呉市)呉湾の港町

年平均気温
16.5℃
年間降水量
1,417mm
年間日照時間
2,068時間
猛暑日日数
2.5日

瀬戸内に面した港町。雨1,417mmは県内最少級で、猛暑日2.5日と夏も穏やかな海の気候。

福山(福山市)備後・山陽路

年平均気温
15.7℃
年間降水量
1,172mm
年間日照時間
2,070時間
猛暑日日数
19.2日

山陽路の東の要。日照2,070時間・雨1,172mmは「晴れの国」岡山と同じ顔。

庄原(庄原市)県北・中国山地

年平均気温
12.7℃
年間降水量
1,489mm
年間日照時間
1,719時間
猛暑日日数
15.8日

標高330mの県北の盆地。年12.7℃と涼しく、冬は西日本有数の雪国になる。

05気象予報士の総括

10の指標を通して見ると、広島県は「よく晴れて、降らず、風の通る瀬戸内の都会」だと言えます。日照16位・晴れ17位に対し、雨の日は40位・湿度32位。風は全国7位で、雪は市内8cmなのに県北はスキー場——瀬戸内と中国山地、二つの気候を一枚に折りたたんだ県です。

月別に分解すると、負荷の在りかがはっきりします。雨は6月227mm・7月280mmの梅雨だけに集中し、冬の1月はわずか46mm。夏は32.8℃の昼に夕凪の夜が続き、熱帯夜33.2日は全国8位。「穏やかな日常」と「梅雨末期・まさ土の急所」の落差——2018年の西日本豪雨が示したこの県の読みどころは、月別表の7月に凝縮されています。

そして9番目と10番目、台風と地震。台風は接近33位と少なく、それでも2004年台風18号の高潮は厳島神社の回廊を沈めました。地震は年19.6回・全国33位で、2001年の芸予地震が実績——足元には岩国−五日市断層帯、海には安芸灘断層帯(M7.2・0.1〜10%)が控えます。順位の並びだけでは、この県は読めません

空は「晴れの国」の隣人として楽しみ、梅雨末期は「まさ土」を疑い、夏は「夕凪の夜」で守る——このページの結論はこの一行です。

06近くの県・気候が似た県と比べる

「広島と岡山って何が違うの?」に答えるための入口です。詳細ページが未公開の県は、47都道府県データの一覧表で該当行を確認できます。

47都道府県データの一覧表で、複数の県を並べて比較する →

07関連ページ

出典・集計方法・データの限界
気温・降水量・日照時間・湿度・風速
気象庁の平年値(1991〜2020年)。県の代表値は広島地方気象台の観測値、県内都市は各地の気象台・観測所の値です。
偏差値と全国順位
全国47都道府県の代表観測点の値から当サイトが算出しました。
紫外線(UV指数)
日本国内の実測地点が限られているため、気象庁の紫外線解析値(推定値)をもとにした値です。実測値ではありません。
天気出現率
気象庁の日別天気概況をもとに、日ごとの天気を晴れ・曇り・雨・雪の4区分に集計(1968〜2025年の58年分・当サイト独自集計)。
降雪量
気象庁の平年値(降雪の深さ合計)。
地震
気象庁「震度データベース検索」で震度1以上を観測した回数(1919年1月〜2026年、観測点数の増加による影響を含みます)。
30年確率・活断層
地震調査研究推進本部/防災科研(J-SHIS)の公表値。

1日のうちで天気が変わった日は代表的な天気に寄せているため、天気出現率は体感と数%のずれが出ることがあります。

降雪量と地震の偏差値は、値が一部の県に極端に偏るため、対数変換したうえで算出しています。

台風の列について。月別表の台風は広島県単独ではなく、中国地方(山口県を除く気象庁区分)への接近数の平年値(気象庁・1991〜2020年)です。たとえば「7月 0.6」は「毎年7月に平均0.6個接近する」という意味です。

地震の列について。月別表の地震だけ色を付けていません。4月がやや多いのも「2001年の芸予地震の余震などがその月に起きた」という107年分の歴史であって、季節性ではありません。年間にならすと約19.6回(2,097回÷107年)です。

監修:のぶやん(気象予報士)/最終更新:2026年8月2日

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