「世界でいちばん湿度が高い国はどこ?」——気温・降水量・日照時間に続く世界ランキングシリーズ、日本の夏の宿敵、湿度です。
湿度には国別の公的統計が存在しないため、今回はEU・コペルニクス気候変動サービス(ECMWF)が公開する公的な再解析データ「ERA5」から、国連加盟193か国の首都の相対湿度(2022〜2024年平均)を調査し、データを取得できた193か国をランキングにしました。今回は193か国すべてでデータを取得できました。
もちろん今回も「年間」と「1月〜12月の各月」の切り替え付き。「蒸し暑い」の正体を探りに行きましょう。日本(東京)の年平均72.5%は、世界で107位です。

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世界の湿度ランキング【地域別・月別/年間】
ボタンで「地域」と「期間(年間・各月)」を絞り込めます。値は各国の首都1地点の平均相対湿度で、偏差値はその期間のデータがある国の中での位置づけです。
調査方法について:値はECMWF(欧州中期予報センター)/EUコペルニクス計画の再解析データERA5から、各国首都の地点について2022〜2024年の日平均相対湿度を集計したものです(Open-Meteo APIを使用して取得)。再解析データとは、世界中の観測データを物理モデルで統合した「地球全体の気象データベース」で、WMOや各国気象機関の観測値がベースになっています。国全体の平均ではなく首都1地点の値である点にご注意ください。
湿度が高い国TOP10を考察|赤道の島国と熱帯雨林
世界一湿度が高いのはサモア(Apia・年平均87.8%)。2位ブルネイ(87.6%)、3位コートジボワール(86.6%)と続きます。
上位は赤道直下の島国と熱帯雨林の国がずらり。海に囲まれ、気温が高く、毎日スコールが降る——水蒸気の供給源に事欠かない国々です。年平均80%超というのは、日本でいえば梅雨のジメジメが1年中続くイメージ。降水量ランキングの上位国と、かなり顔ぶれが重なります。
湿度が低い国は?|砂漠の国は「カラカラの国」
逆に世界一湿度が低いのはサウジアラビア(Riyadh・年平均27.1%)。スーダン(27.9%)、ナミビア(32.4%)と、おなじみ中東・北アフリカの砂漠国が続きます。
年平均30%前後というのは、日本の冬の乾燥注意報レベルが一年中続く世界。最高気温ランキング・日照時間ランキングの上位国とほぼ同じ顔ぶれで、「暑くて、晴れて、乾いている」が砂漠気候のフルセットだとよく分かります。
「湿度が高い=蒸し暑い」ではない!相対湿度の落とし穴
ランキングを眺めると、意外な国が上位にいることに気づくはずです。アイスランドやアイルランドなど、寒い海洋性気候の国も湿度は高いのです。
これは「相対湿度」が気温に対する割合だから。空気は冷たいほど水蒸気を蓄えられないため、含まれる水蒸気が少なくても湿度の数字は高く出ます。つまり高緯度の高湿度は「しっとり」、熱帯の高湿度は「ムシムシ」。同じ80%でも体感はまったく別物です。蒸し暑さの正体は「高温×高湿度」の掛け算なんですね。
月別に切り替えると、この違いもよく見えます。ヨーロッパ勢は冬に湿度が上がり夏に下がる「冬型」、モンスーンアジアは雨季の夏に上がる「夏型」。日本(東京)も6〜9月に高く、冬はぐっと下がる夏型です。
日本の湿度は世界で見ると?
日本(東京)は年平均72.5%・世界107位・偏差値51.7。数字だけ見ると世界の中では中位ですが、問題は真夏に「高温」と「高湿度」が同時に来ること。月別で7月・8月に切り替えると、日本の順位がぐっと上がるのが確認できます。
気象庁の平年値では、東京の相対湿度は12月〜2月が50%台、6〜9月は75%前後。「夏の日本は世界有数の蒸し暑さ」と言われるのは、東南アジアの都市に匹敵する湿度に、35℃級の気温が重なるためです。
なぜ差が出るのか?気象予報士的に解説
- 海との距離:水蒸気の供給源は海。島国・沿岸国は高く、大陸内陸は低くなります。
- 気温と飽和水蒸気量:同じ水蒸気量でも、気温が低いほど相対湿度は高く出ます。寒流沿いの霧の多い地域も高湿度です。
- 亜熱帯高圧帯:下降気流は乾いた空気を運びます。砂漠国の低湿度はこれが原因。
- モンスーン:湿った季節風が吹く時期だけ湿度が跳ね上がり、乾季との差が大きくなります。
気温・降水量・日照時間・湿度と4つのランキングを並べると、どれも「同じ大気循環」の別の顔だと分かります。砂漠の国は「暑い・晴れ・乾燥」、赤道の島国は「雨・曇り・多湿」——地球の設計図は一貫しています。
データの注意点|再解析データと「首都1地点」の値
本ランキングの値は、観測所の生データではなく、世界中の観測を物理モデルで統合したERA5再解析データの首都地点の値です。市街地のピンポイントの観測値とは数%ずれることがあります。また国全体の平均ではないため、国土が広い国(ロシア・アメリカなど)は首都の値が国を代表しない点もご注意ください。
日本国内の湿度の平年値は、気象庁の「過去の気象データ検索」で地点ごとに確認できます。
まとめ|湿度の世界地図は「海と気温」で決まる
今回の内容についてまとめました。
- 世界一湿度が高いのはサモア(年平均87.8%)。赤道の島国・熱帯雨林国が上位を独占
- 世界一低いのはサウジアラビア(年平均27.1%)。砂漠国は「暑い・晴れ・乾燥」のフルセット
- 寒い国も相対湿度は高い。「湿度が高い=蒸し暑い」ではなく、蒸し暑さは高温×高湿度の掛け算
- 日本(東京)は年平均72.5%・世界107位。ただし夏だけ見れば世界有数の蒸し暑さ
- 値はERA5再解析(公的データ)による首都1地点・2022〜2024年平均
これで気象世界ランキングシリーズの他のランキングもあわせてどうぞ。
引用・出典(公的データ・一次情報)
- ERA5再解析データ(ECMWF/EUコペルニクス気候変動サービス):本ランキングの相対湿度データの原典
- Open-Meteo Historical Weather API:ERA5データの取得に使用(オープンデータAPI)
- 気象庁「過去の気象データ検索」:日本国内の湿度平年値
- WMO(世界気象機関):再解析の基礎となる世界観測網の国際基準
※値は各国首都1地点・2022〜2024年の平均相対湿度(ERA5)です。今回は193か国すべてでデータを取得できたため、「データなし」の国はありません。


