世界の最深積雪ランキング【観測史上・公式記録】伊吹山1,182cmは世界一?オーストリア・アメリカの11m級記録と比較

世界地図に積雪の記録地点を円で示し、雪の粒と記録の棒グラフを重ねたイメージ 気象

「世界でいちばん雪が積もった場所はどこ?」——世界ランキングシリーズ、今回は観測史上の最深積雪です。各国の気象機関が公表している国内記録を集め、深い順にランキングしました。積雪の記録は公表している国が少なく、掲載は16か国・地域ですが、日本がその中でどこにいるかは注目です。

データは各国気象機関の公表値を1か国ずつ確認して集めました。日本の記録は気象庁「観測史上1〜10位の値」から自動取得しています(最深積雪ランキング【日本】と同じデータ)。日本記録は伊吹山(滋賀県)の1182cm(1927年2月14日)。「世界記録」として広く紹介されている値ですが、実は同じ11m級の記録がオーストリアとアメリカにもあります。

世界の最深積雪ランキング【国・地域別・観測史上の記録】

ボタンで「地域」「記録が観測された年代」「出典の区分」を絞り込めます。値は各国・地域の観測史上の最深積雪(観測所の標高つき)。偏差値は掲載16か国・地域の中での位置づけです。日本の値は気象庁データから自動更新されます。

首都の降雪量で見る「雪の多い国」|記録との違い

最深積雪の記録に対して、首都の年間降雪量・1月の気温で見た「雪の多い国」ランキングです。世界2位の記録を持つ日本の位置を確認します。

年間降雪量の多さ(首都):日本は45位

順位国年間降雪量偏差値
1位リヒテンシュタイン333.8cm123.1
2位アイスランド235.2cm100.3
3位フィンランド171.8cm85.6
4位カナダ159.1cm82.7
5位エストニア142.9cm79.0
6位ブータン142.3cm78.8
7位ロシア137.6cm77.7
8位ベラルーシ125.1cm74.8
9位ノルウェー121.4cm74.0
10位ラトビア114.5cm72.4
45位日本20.1cm50.5
45位日本20.1cm50.5
年間降雪量の多さ(首都)ランキング(193か国、平年値)

日本は45位(20.1cm、偏差値50.5)。1位はリヒテンシュタイン(333.8cm)、最下位はバヌアツ(0.0cm)、193か国の平均は17.7cmです。首都ベースでは北欧・カナダ・中央アジアが上位。東京は45位ですが、青森や札幌なら世界の首都をすべて上回ります。詳しくは世界の年間降雪量ランキングいちばん雪が降る国はどこ?月別・年合をご覧ください。

1月の降雪量の多さ(首都):日本は50位

順位国年間降雪量(1月)偏差値
1位ブータン57.4cm100.7
2位リヒテンシュタイン52.7cm96.2
3位カナダ45.2cm88.9
4位フィンランド44.1cm87.9
5位エストニア38.8cm82.8
6位アイスランド38.5cm82.5
7位ノルウェー36.8cm80.9
8位ベラルーシ35.8cm79.9
9位リトアニア35.0cm79.2
10位ラトビア28.2cm72.6
50位日本2.7cm48.1
50位日本2.7cm48.1
1月の降雪量の多さ(首都)ランキング(193か国、平年値)

日本は50位(2.7cm、偏差値48.1)。1位はブータン(57.4cm)、最下位はバヌアツ(0.0cm)、193か国の平均は4.7cmです。詳しくは年間降雪量の世界ランキングをご覧ください。

1月の平均気温の低さ(首都):日本は47位

順位国年平均気温(1月)偏差値
1位モンゴル-17.6℃20.1
2位カザフスタン-12.7℃24.5
3位ロシア-8.2℃28.6
4位カナダ-8.1℃28.7
5位北朝鮮-5.3℃31.2
6位フィンランド-3.8℃32.6
7位ノルウェー-3.6℃32.7
8位ベラルーシ-3.2℃33.1
9位エストニア-3.2℃33.1
10位韓国-3.1℃33.2
47位日本4.2℃39.8
47位日本4.2℃39.8
1月の平均気温の低さ(首都)ランキング(193か国、低い順)

日本は47位(4.2℃、偏差値39.8)。1位はモンゴル(-17.6℃)、最下位は南スーダン(29.5℃)、193か国の平均は15.5℃です。雪が多い国と寒い国は一致しません。日本の豪雪地帯は世界的に見て「暖かいのに雪が多い」珍しい地域です。詳しくは世界の寒い国ランキング年平均気温が低い国はどこ?月別・年平均でをご覧ください。

観測史上の最低気温の低さ:日本は26位

順位国観測史上の最低気温偏差値
1位ロシア-67.8℃28.8
2位カナダ-63.0℃31.0
3位アメリカ-62.2℃31.4
4位カザフスタン-57.0℃33.9
5位モンゴル-55.6℃34.5
6位キルギス-53.6℃35.5
7位中国-53.0℃35.8
8位オーストリア-52.6℃36.0
9位スウェーデン-52.6℃36.0
10位アフガニスタン-52.2℃36.2
26位日本-41.0℃41.5
26位日本-41.0℃41.5
観測史上の最低気温の低さランキング(109か国、各国の記録、低い順)

日本は26位(-41.0℃、偏差値41.5)。1位はロシア(-67.8℃)、最下位はナウル(20.0℃)、109か国の平均は-23.0℃です。詳しくは世界の国別最低気温ランキング観測史上・地域別・年代別に比較をご覧ください。

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よくある質問

Q. なぜ日本は世界有数の豪雪地帯?

シベリアからの寒気が暖かい日本海を渡る際に大量の水蒸気を吸い上げ、日本海側の山地にぶつかって雪になるためです。海と山の距離が近く、寒気の通り道になる地形は世界的に珍しい組み合わせです。

Q. 伊吹山1,182cmは世界一ではない?

長年「世界一」と紹介されてきましたが、オーストリアのゾンブリック(1,190cm、1944年)の記録が上回ります。ただし積雪の観測は国際的な認定制度がなく、観測方法も異なるため、記録の比較には幅があります。

Q. 世界で最も雪が多い都市は?

人口10万人以上では青森市(年降雪量約6〜7m)と札幌市が世界の代表格です。日本三大豪雪地帯とは?をご覧ください。

Q. 降雪量と積雪の違いは?

降雪量は「降った雪の合計」、積雪(最深積雪)は「地面に積もっている雪の深さの最大値」です。酸ケ湯は年降雪量17m超に対し最深積雪は5.6mで、雪は圧縮され溶けるため両者は大きく違います。

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地域
年代(記録が観測された年代で絞り込み)
出典の区分
最深積雪の記録:16か国・地域

出典:各国気象機関の公表値。「公式」=WMO公認または各国気象機関が国内記録として公表した値、「準公式」=気象機関の観測値だが国内記録としての公表ページを確認できず二次資料で確認した値。WMOの極値アーカイブには積雪の項目がなく、国際機関が認定した「世界記録」は存在しません。

【ツール】世界193か国の気候指標を切り替えて順位を確認

下のツールでは、年平均気温・年較差・最高/最低気温の記録・降水量・降雪量・雲量・日照時間・湿度・風速・紫外線を年間・月別に切り替えて、国連加盟193か国の順位と偏差値を確認できます(日本を黄色で強調表示)。

世界の最深積雪 TOP3|伊吹山1,182cmは本当に世界一?

順位国・地域記録地点観測日備考
1位オーストリア1,190cm(標高3,106m)ゾンブリック観測所1944年5月9日ZAMGが「オーストリアで測定された最大の積雪」とする値
2位日本1182cm(標高1,377m)伊吹山(滋賀県)1927年2月14日当ブログの最深積雪ランキング参照
3位アメリカ1,146cm(標高2,438m)タマラック(カリフォルニア州)1911年3月11日451インチ
4位ドイツ830cm(標高2,650m)ツークシュピッツプラット1944年4月2日-
5位スイス816cm(標高2,502m)ゼンティス1999年4月「スイスで公式に測定された最大の積雪」
6位ノルウェー585cmグリョトルスト(フィンセ付近)1918年4月-
7位チェコ491cm(標高1,322m)リサー・ホラ1911年3月8日-
8位スロバキア408cm(標高2,635m)ロムニツキー・シュティート2009年3月-
9位トルコ391cm(標高3,000m)カラベト峠(ヴァン県)2026年3月29日-
10位ポーランド388cm(標高1,991m)カスプロヴィ・ヴィエルフ1939年3月31日戦後の記録は355cm(1995年)
国・地域別 観測史上の最深積雪 TOP10

伊吹山(滋賀県・標高1,377m)の1,182cm(1927年2月14日)は、気象庁の観測史上1位であり、ギネス世界記録や海外の気象専門家の集計でも「世界最深の積雪」として紹介されてきました。ところが、オーストリアの気象機関ZAMG(現GeoSphere Austria)の統計には、ゾンブリック観測所(標高3,106m)で1944年5月9日に観測された1,190cmという値があり、「オーストリアで測定された最大の積雪」として公表されています。アメリカにもカリフォルニア州タマラック(標高2,438m)の1,146cm(1911年3月11日)があり、NOAAが全米記録としています。

つまり11m級の積雪記録は3つあり、ゾンブリックがわずか8cm上回ります。ただし、WMOの極値アーカイブには積雪の項目がなく、どの値も国際機関による正式な「世界記録」認定は受けていません。3つの記録には大きな違いもあります。ゾンブリックとタマラックは標高2,400〜3,100mの高山、伊吹山は標高1,377mで、しかも北緯35度——世界的に見れば温暖な緯度です。「標高1,400mの山で12m近い雪」という記録は、条件を考えれば伊吹山が世界で最も異常な積雪といえます。

なぜ伊吹山にそれほど雪が積もるのか

答えは日本海です。冬のシベリアからの寒気は、暖かい日本海の上を渡るあいだに大量の水蒸気を受け取り、日本列島の山にぶつかって雪を降らせます。「世界でもっとも雪の多い都市」といわれる青森や札幌が示すとおり、日本の日本海側は人が住む地域として世界で最も雪の多い場所です。伊吹山は若狭湾から入った雪雲が濃尾平野に抜ける通り道にあり、1,377mという高さで雪雲の中心を受け止めます。ヨーロッパの記録が標高2,500〜3,100mの高山に集中しているのと比べると、日本の雪の特異さがよくわかります。

ヨーロッパ・北欧の記録

ドイツのツークシュピッツプラット830cm(1944年)とオーストリアのゾンブリック1,190cm(1944年)はともに第二次世界大戦中の同じ冬の記録で、アルプス北側で歴史的な豪雪の年でした。スイスのゼンティス816cm(1999年4月)は「スイスで公式に測定された最大」で、1999年2月のアルプス雪崩災害の冬にあたります。北欧はノルウェー585cm・スウェーデン327cm・アイスランド279cm・フィンランド190cmと、緯度は高いものの日本やアルプスより少なめ。寒すぎて空気中の水蒸気が少ないためです。イギリスの165cm(1947年)、アイルランドの45cmは、日本の感覚では「大雪」の一晩分です。

積雪ではなく「降雪量」の世界記録

区分記録地点期間出典
1シーズン2,896cmマウント・ベイカー(米・ワシントン州)1998〜99年冬NOAA(世界記録として認定)
12か月3,110cmパラダイス(米・レーニア山)1971年2月〜1972年2月NOAA
1シーズン(カナダ)2,446cmマウント・コープランド(BC州)1971〜72年冬カナダ環境・気候変動省
1か月(日本)785cm守門(新潟県・魚沼市)1981年1月気象庁(自動更新)
1日(日本)120cm大山(鳥取県)・安塚(新潟県・上越市)・高田(新潟県・上越市)2010年12月31日気象庁(自動更新)
降雪量(降った雪の合計)の記録

「最深積雪」は地面に積もっている雪の厚さ、「降雪量」は降った雪の合計です。降った雪は自重で締まり、溶けるため、降雪量は積雪よりずっと大きくなります。アメリカ北西部のカスケード山脈は太平洋からの湿った空気を直接受けるため降雪量が世界一多く、マウント・ベイカーの1シーズン2,896cm(約29m)はNOAAが世界記録として認定した値です。

国・地域別の最深積雪記録 一覧(出典つき)

ランキングツールに収録した全16か国・地域の記録と出典です。

順位国・地域記録標高地点観測日区分出典・備考
1位オーストリア1,190cm標高3,106mゾンブリック観測所
Sonnblick
1944年5月9日準公式ZAMG(現GeoSphere Austria)統計・報道
ZAMGが「オーストリアで測定された最大の積雪」とする値
2位日本1182cm標高1,377m伊吹山(滋賀県)1927年2月14日公式気象庁
当ブログの最深積雪ランキング参照
3位アメリカ1,146cm標高2,438mタマラック(カリフォルニア州)
Tamarack
1911年3月11日公式NOAA NCEI
451インチ
4位ドイツ830cm標高2,650mツークシュピッツプラット
Zugspitzplatt
1944年4月2日公式ドイツ気象局(DWD)データ
5位スイス816cm標高2,502mゼンティス
Säntis
1999年4月公式MeteoSwiss・報道
「スイスで公式に測定された最大の積雪」
6位ノルウェー585cm-グリョトルスト(フィンセ付近)
Grjotrust
1918年4月公式ノルウェー気象研究所
7位チェコ491cm標高1,322mリサー・ホラ
Lysá hora
1911年3月8日準公式ČHMÚデータ・報道
8位スロバキア408cm標高2,635mロムニツキー・シュティート
Lomnický štít
2009年3月準公式SHMÚデータ・報道
9位トルコ391cm標高3,000mカラベト峠(ヴァン県)
Karabet Pass
2026年3月29日準公式トルコ気象総局(MGM)データ・報道
10位ポーランド388cm標高1,991mカスプロヴィ・ヴィエルフ
Kasprowy Wierch
1939年3月31日準公式IMGW資料・二次資料
戦後の記録は355cm(1995年)
11位スウェーデン327cm-コッパローセン
Kopparåsen
1926年2月公式SMHI
12位韓国294cm標高222m鬱陵島
Ulleungdo
1962年1月31日公式韓国気象庁(KMA)・報道
13位アイスランド279cm-スケイズフォス発電所
Skeiðsfossvirkjun
1995年3月19日公式アイスランド気象局
14位フィンランド190cm標高480mキルピスヤルヴィ
Kilpisjärvi
1997年4月19日公式フィンランド気象研究所(FMI)
15位イギリス165cm-ルーシン付近(ウェールズ)
near Ruthin
1947年3月公式英国気象庁(Met Office)
居住地域の記録
16位アイルランド45cm-ケースメント飛行場
Casement Aerodrome
1962〜63年冬公式Met Éireann
総観観測所の記録
国・地域別 観測史上の最深積雪と出典(16か国・地域)

調査方法と注意点

  • 世界記録・大陸別記録はWMO「World Weather and Climate Extremes Archive」の記録表(2025年7月31日版)およびWMOの検証発表から転記しました。WMOが正式に審査・認定した記録と、他の公的資料に基づく既存記録の両方が含まれます。
  • 国・地域別の記録は、各国の気象機関の公表値を優先し、気象機関のデータでも国内記録として公表したページを確認できなかった値は「準公式」として二次資料(学術誌・報道・専門サイト)で確認しています。公式データで国内記録を確認できなかった国は掲載していません。
  • 各国の観測網の密度・観測開始年・測器の基準は異なります。特に1900年代前半の記録には測定環境が現在の基準と異なるものがあり、疑義が指摘されている値は備考に記しました。
  • 日本の値は気象庁「観測史上1〜10位の値」から毎月自動取得しています。他国の記録は固定値で、更新が確認でき次第この記事を改訂します。
  • 積雪の記録を公表している気象機関は少なく、カナダ・フランス・イタリア・スペイン・ロシア・中国などは公式の国内記録を確認できなかったため掲載していません。山岳の観測所の値は吹きだまりの影響を受けやすく、測定方法も国によって異なります。

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