「世界一寒い村」として知られるロシア・サハ共和国のオイミャコンは、1933年2月6日に−67.7℃を記録した、人が定住する場所としては世界で最も寒い村のひとつです。1月の平均気温は約−46℃、日本の最低気温記録(旭川−41.0℃)より低い気温が「平均」として1か月続きます。
この記事では、オイミャコンがなぜそこまで寒くなるのか、記録の中身、−50℃の世界でどうやって暮らしているのか(学校・車・トイレ・食事)、夏との気温差100℃という驚きの事実、そして日本の寒さとの比較を、当サイトの世界の国別最低気温ランキングや日本の歴代最低気温ランキングを参照しながら気象予報士がまとめます。

オイミャコンは「寒い」だけでなく「気温差が世界一」でもあります。冬の−67.7℃に対し、夏は34.6℃(2010年)を観測。同じ村で100℃以上の差があるのは、海から遠く離れたシベリア内陸ならではです。
オイミャコンはどこにある?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国・地域 | ロシア連邦 サハ共和国(ヤクーチア) |
| 位置 | 北緯63度、東経143度。ヤクーツクの東約900km、インディギルカ川上流の盆地 |
| 標高 | 約740m |
| 人口 | 約500人 |
| 地名の意味 | 「凍らない水」——温泉が湧き、厳寒でも凍らない場所があることに由来 |
| アクセス | ヤクーツクから「コリマ街道(骨の道)」を車で2日、約900km |
| 冬の日照時間 | 12月は日の出から日の入りまで約4時間 |
| 1月の平均気温 | 約−46℃(最高でも−40℃前後) |
| 7月の平均気温 | 約+15℃(最高は30℃を超える日も) |
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記録——世界一寒い村の数字
| 項目 | 記録 | 備考 |
|---|---|---|
| 観測史上最低気温 | −67.7℃(1933年2月6日) | 北半球で人が定住する場所の最低記録のひとつ。非公式には−71.2℃(1924年)という記録も |
| ライバルの記録 | −67.8℃(ベルホヤンスク、1892年2月) | 約630km離れた町。この2つが「北半球の寒極」 |
| 観測史上最高気温 | +34.6℃(2010年) | 冬との差は102℃を超える |
| 年平均気温 | 約−15℃ | 東京(約16℃)とは30℃以上の差 |
| 冬の期間 | 10月〜4月 | この間の平均気温はすべて氷点下 |
| 参考:日本の最低気温 | −41.0℃(旭川、1902年1月25日) | 世界の国別ランキングでも上位。ただしオイミャコンの1月「平均」より高い |
北半球の寒極は長らくベルホヤンスク(−67.8℃)とされ、オイミャコン(−67.7℃)とは0.1℃差です。人が定住しない場所を含めれば南極のボストーク基地−89.2℃が世界最低で、グリーンランドでも−69.6℃が観測されています。世界一暑い都市・寒い都市ランキングもあわせてどうぞ。
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なぜオイミャコンはそこまで寒いのか
① 海から1,000km以上離れた内陸
海は冬でも0℃前後の熱を持つ巨大な暖房ですが、オイミャコンは北極海からも太平洋からも遠く、その恩恵を受けません。同じ北緯63度でも、暖流の影響を受けるアイスランドのレイキャビクの1月平均は約0℃です。
② 山に囲まれた盆地で冷気がたまる
チェルスキー山脈とベルホヤンスク山脈に挟まれた谷底にあり、冷えた空気が逃げ場を失って底にたまります。日本で盆地の旭川や陸別・江丹別が最低気温の上位を占めるのと同じ理屈です。
③ 雪面の放射冷却と冬の巨大な高気圧
冬のシベリアには地球上で最も強い高気圧(シベリア高気圧)が居座り、雲のない晴天が続きます。日照は数時間しかなく、雪面からは放射で熱がどんどん逃げ、夜になるたびに気温が下がります。上空より地表が冷たい「逆転層」ができ、冷気は日中も解けません。
−50℃の暮らし——学校・車・トイレ・食事
- 学校:−52℃までは通常授業。それより下がると休校になります(小学生は−50℃前後で休み)。
- 車:エンジンを止めると再始動できないため、冬は一晩中アイドリングするか、暖房付きガレージに入れます。バッテリーとオイルは特別仕様です。
- 水道・トイレ:永久凍土のため地中に配管を通せず、多くの家に屋内水洗トイレがありません。屋外のトイレや汲み取り式が一般的で、水は川の氷を切り出して溶かします。
- 食事:凍らせた魚を薄く削る「ストロガニナ」、馬肉、トナカイ肉が主食。野菜は育たないため保存食が中心です。
- 服装と体:毛皮の帽子・ブーツは必須で、まつげが凍り、メガネは金属部分が肌に張り付きます。息を吐くと水蒸気が音を立てて凍る「星のささやき」と呼ばれる現象も。
- 葬儀:凍土を掘るために焚き火で数日かけて地面を溶かします。
夏は暑い!気温差100℃の世界
意外なことに、オイミャコンの夏は暑くなります。7月の平均気温は約15℃で、30℃を超える日もあり、2010年には34.6℃を観測しました。日照時間が長く、乾いた大陸の空気が日中に一気に温まるためです。冬の−67.7℃との差は102℃を超え、人が住む場所として世界最大の気温差です。同じ理由で、ベルホヤンスクは2020年6月に38.0℃という北極圏の最高気温を記録しました。世界の気温差については世界一気温差が激しい場所・国ランキングで詳しく解説しています。
日本の寒さと比べると
| 地点 | 最低気温記録 | 1月の平均気温 |
|---|---|---|
| オイミャコン(ロシア) | −67.7℃ | 約−46℃ |
| 旭川(北海道) | −41.0℃ | 約−7℃ |
| 陸別(北海道) | −38.2℃ | 約−11℃ |
| 富士山頂 | −38.0℃ | 約−19℃ |
| 東京 | −9.2℃ | 約5℃ |
日本で最も寒い旭川の記録−41.0℃は、オイミャコンでは1月の「暖かい日」の気温です。1月の平均気温で比べると、オイミャコンは富士山頂より27℃も低い計算になります。
オイミャコンを訪ねるなら
- 時期:「世界一の寒さ」を体験するなら1月。ただし−50℃以下では露出した肌が数分で凍傷になります。
- 行き方:ヤクーツクまで空路、そこからコリマ街道を車で約2日。ツアー参加が現実的です。
- 持ち物:スマホのバッテリーは数分で落ちます。カメラは内ポケットで保温し、防寒具は現地の毛皮製が最強。
- 注意:2026年時点でロシアへの渡航には外務省の危険情報が出ています。最新の渡航情報を必ず確認してください。
193か国ランキングで見る「寒さ」|ロシアと日本の位置
オイミャコンを抱えるロシアは、最低気温の記録・年較差・降雪量のどれで見ても世界トップクラスです。日本との比較で確認します。
観測史上の最低気温の低さ:ロシアは1位
| 順位 | 国 | 観測史上の最低気温 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ロシア | -67.8℃ | 28.8 |
| 2位 | カナダ | -63.0℃ | 31.0 |
| 3位 | アメリカ | -62.2℃ | 31.4 |
| 4位 | カザフスタン | -57.0℃ | 33.9 |
| 5位 | モンゴル | -55.6℃ | 34.5 |
| 6位 | キルギス | -53.6℃ | 35.5 |
| 7位 | 中国 | -53.0℃ | 35.8 |
| 8位 | オーストリア | -52.6℃ | 36.0 |
| 9位 | スウェーデン | -52.6℃ | 36.0 |
| 10位 | アフガニスタン | -52.2℃ | 36.2 |
| 26位 | 日本 | -41.0℃ | 41.5 |
ロシアは1位(-67.8℃、偏差値28.8)。日本は26位(-41.0℃)。1位はロシア(-67.8℃)、最下位はナウル(20.0℃)、109か国の平均は-23.0℃です。詳しくは世界の国別最低気温ランキング観測史上・地域別・年代別に比較をご覧ください。
年平均気温の低さ(首都):ロシアは4位
| 順位 | 国 | 年平均気温 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | モンゴル | 0.9℃ | 22.0 |
| 2位 | アイスランド | 4.4℃ | 27.1 |
| 3位 | カザフスタン | 4.7℃ | 27.5 |
| 4位 | ロシア | 6.4℃ | 30.0 |
| 5位 | フィンランド | 6.6℃ | 30.3 |
| 6位 | ノルウェー | 6.7℃ | 30.4 |
| 7位 | エストニア | 7.2℃ | 31.2 |
| 8位 | スウェーデン | 7.5℃ | 31.6 |
| 9位 | カナダ | 7.8℃ | 32.0 |
| 10位 | ベラルーシ | 8.2℃ | 32.6 |
| 61位 | 日本 | 16.2℃ | 44.3 |
ロシアは4位(6.4℃、偏差値30.0)。日本は61位(16.2℃)。1位はモンゴル(0.9℃)、最下位はスーダン(30.4℃)、193か国の平均は20.2℃です。モスクワは6.4℃で4位。首都で最も寒いのはウランバートル(0.9℃)です。詳しくは世界の寒い国ランキング年平均気温が低い国はどこ?月別・年平均でをご覧ください。
気温の年較差の大きさ(首都):ロシアは10位
| 順位 | 国 | 気温の年較差 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | モンゴル | 36.3℃ | 76.8 |
| 2位 | カザフスタン | 34.7℃ | 75.1 |
| 3位 | ウズベキスタン | 31.0℃ | 71.0 |
| 4位 | 北朝鮮 | 30.5℃ | 70.5 |
| 5位 | 中国 | 30.3℃ | 70.3 |
| 6位 | カナダ | 29.6℃ | 69.5 |
| 7位 | 韓国 | 28.7℃ | 68.5 |
| 8位 | トルクメニスタン | 28.7℃ | 68.5 |
| 9位 | アルメニア | 28.3℃ | 68.1 |
| 10位 | ロシア | 28.3℃ | 68.1 |
| 18位 | 日本 | 24.1℃ | 63.5 |
ロシアは10位(28.3℃、偏差値68.1)。日本は18位(24.1℃)。1位はモンゴル(36.3℃)、最下位はナウル(0.4℃)、193か国の平均は11.7℃です。詳しくは世界一気温差が激しい場所・国ランキングをご覧ください。
年間降雪量の多さ(首都):ロシアは7位
| 順位 | 国 | 年間降雪量 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | リヒテンシュタイン | 333.8cm | 123.1 |
| 2位 | アイスランド | 235.2cm | 100.3 |
| 3位 | フィンランド | 171.8cm | 85.6 |
| 4位 | カナダ | 159.1cm | 82.7 |
| 5位 | エストニア | 142.9cm | 79.0 |
| 6位 | ブータン | 142.3cm | 78.8 |
| 7位 | ロシア | 137.6cm | 77.7 |
| 8位 | ベラルーシ | 125.1cm | 74.8 |
| 9位 | ノルウェー | 121.4cm | 74.0 |
| 10位 | ラトビア | 114.5cm | 72.4 |
| 45位 | 日本 | 20.1cm | 50.5 |
ロシアは7位(137.6cm、偏差値77.7)。日本は45位(20.1cm)。1位はリヒテンシュタイン(333.8cm)、最下位はバヌアツ(0.0cm)、193か国の平均は17.7cmです。詳しくは世界の年間降雪量ランキングいちばん雪が降る国はどこ?月別・年合をご覧ください。
ロシア(モスクワ)と東京の月別気温比較
オイミャコンよりはるかに温暖なモスクワでも、冬は東京より10℃以上低くなります。月別の平均気温と193か国中の低い順の順位です。
| 月 | ロシアの平均気温 | 低い順 | 日本(東京) |
|---|---|---|---|
| 1月 | -8.2℃ | 3位 | 4.2℃(47位) |
| 2月 | -5.0℃ | 4位 | 5.3℃(39位) |
| 3月 | -2.1℃ | 3位 | 10.1℃(53位) |
| 4月 | 7.6℃ | 13位 | 15.2℃(60位) |
| 5月 | 11.2℃ | 8位 | 18.3℃(65位) |
| 6月 | 18.2℃ | 37位 | 22.5℃(73位) |
| 7月 | 20.1℃ | 44位 | 27.9℃(153位) |
| 8月 | 19.8℃ | 39位 | 28.3℃(171位) |
| 9月 | 13.7℃ | 14位 | 25.3℃(110位) |
| 10月 | 6.2℃ | 4位 | 18.0℃(68位) |
| 11月 | -0.3℃ | 3位 | 12.9℃(58位) |
| 12月 | -4.5℃ | 3位 | 6.8℃(51位) |
モスクワの1月は−8℃前後、オイミャコンは−46℃で、同じ国の中で40℃の差があります。夏のモスクワは20℃前後で東京より快適です。
よくある質問
Q. オイミャコンとベルホヤンスク、どちらが寒い?
記録はベルホヤンスク−67.8℃(1892年)がオイミャコン−67.7℃(1933年)を0.1℃上回ります。ただし観測方法が異なる時代の記録で、両方を「北半球の寒極」と呼ぶのが一般的です。
Q. オイミャコンで一番寒い月は?
1月で平均−46℃前後、最高気温でも−40℃前後です。12月と2月も−40℃以下が続き、10月から4月までの7か月間は平均気温が氷点下です。
Q. 日本の最低気温は世界で何位?
旭川の−41.0℃(1902年)は109か国中26位。ヨーロッパの多くの国より低く、日本は「意外と寒い記録を持つ国」です。日本の歴代最低気温ランキングもご覧ください。
Q. 人が住める寒さの限界は?
オイミャコンやヤクーツクのように−60℃台でも暮らしは成り立ちます。露出した皮膚は−40℃で数分、−50℃以下では1分程度で凍傷になるため、屋外活動は短時間に限られます。
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- オイミャコンはロシア・サハ共和国の人口約500人の村。1933年に−67.7℃を記録した「世界一寒い村」。
- 1月の平均気温は約−46℃で、日本の最低記録(旭川−41.0℃)より低い。
- 寒さの理由は「海から遠い内陸×山に囲まれた盆地×雪面の放射冷却とシベリア高気圧」。
- 夏は34.6℃まで上がり、気温差は100℃超で世界最大級。
- −52℃までは学校に通い、車は一晩中アイドリング、トイレは屋外——寒さと共存する暮らし。
出典:ロシア連邦水文気象環境監視局、WMO世界気象極値アーカイブ、気象庁 歴代全国ランキング・平年値、各種報道・現地取材記録。気温の平均値は概数です。
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