「新潟市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、新潟市8区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い南区の17.3%から最も低い西蒲区の10.8%まで、同じ市内で1.6倍の差があります。
この記事では新潟市8区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、新潟市で想定される地震、新潟県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

新潟市は8区すべてが10〜17%と低く、確率だけ見ると全国平均以下です。ところが表層地盤増幅率は2.2と全国の政令市で最高クラス。信濃川・阿賀野川の三角州と砂丘でできた新潟市は、「大きな地震は少ないが、来たときは揺れと液状化が大きい」街です。
新潟市8区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 南区 | 17.3% | 4.4% | 45.8 |
| 2 | 東区 | 15.5% | 4.6% | 45.0 |
| 3 | 中央区 | 15.4% | 4.6% | 45.0 |
| 4 | 江南区 | 14.4% | 4% | 44.6 |
| 5 | 秋葉区 | 14.4% | 3.6% | 44.6 |
| 6 | 西区 | 13.9% | 3.9% | 44.4 |
| 7 | 北区 | 11.2% | 3.3% | 43.4 |
| 8 | 西蒲区 | 10.8% | 2.4% | 43.2 |
新潟市8区の平均は14.1%。新潟県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は15%で都道府県ランキングでは23位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い南区・東区・中央区・江南区・秋葉区と、低い西区・北区・西蒲区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(新潟県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
市内はどこも低く、差が小さい。南区17.3%・東区15.5%・中央区15.4%・江南区14.4%・秋葉区14.4%・西区13.9%・北区11.2%・西蒲区10.8%と、最高と最低の差は7ポイントしかありません。新潟市は海溝型巨大地震の震源から遠く、確率を押し上げる要因が活断層に限られるためです。
確率は低いが「揺れやすさ」は全国トップクラス。新潟市役所付近の表層地盤増幅率は2.23。1.6以上で「揺れやすい」とされる指標で、大阪市(1.44)や東京都心より大きな値です。信濃川と阿賀野川が運んだ厚い沖積層と砂丘・潟湖の埋立地でできているため、同じ地震でも震度が1階級上がりやすい地盤です。
液状化の「教科書」になった街。1964年の新潟地震(M7.5)では、市内の砂地盤が広範囲で液状化し、県営川岸町アパートの転倒や昭和大橋の落橋が起きました。この地震が液状化研究の出発点になっています。信濃川沿いの旧河道・砂丘の間の低地(中央区・東区・西区)は現在も液状化の想定区域です。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
新潟市で想定される地震
長岡平野西縁断層帯:新潟平野の西縁を南北に走る全長約83kmの活断層帯で、M8.0程度の地震が想定されています。30年以内の発生確率は2%以下ですが、発生すれば新潟市の広い範囲で震度6強〜7が想定される、市にとって最大のリスクです。
日本海側の海域の地震:1964年新潟地震(M7.5、粟島付近)では新潟市で震度5(当時の階級)を観測し、津波と液状化で大きな被害が出ました。日本海東縁部では2024年能登半島地震のようなM7クラスが繰り返しており、新潟市の海岸部にも津波が想定されています。
過去の地震:2004年新潟県中越地震(M6.8)で新潟市は震度5弱、2007年新潟県中越沖地震(M6.8)で震度5弱〜5強、2024年能登半島地震では西区で震度5強を観測し、西区・江南区などで液状化被害が広がりました。
新潟市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 15.2回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 868回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 5強 | 市役所付近の観測点の値。2024年能登半島地震で西区は震度5強・広域で液状化被害 |
| 30年確率(6弱以上) | 15.4% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 44.4% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 2.23 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 三角州・海岸低地 | 国土地理院 地形分類 |
新潟市の年平均有感地震回数は15.2回(新潟県は都道府県で20位)、表層地盤増幅率は2.23で「揺れやすい」地盤に分類されます。30年確率は全国平均を下回りますが、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(新潟県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は7,300円、47都道府県で27番目に高い)
都道府県で見る新潟の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
新潟市の区ごとの比較に加えて、新潟県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:新潟は23位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
| 23位 | 新潟県 | 15.0% | 44.4 |
新潟県は23位(15.0%、偏差値44.4)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):新潟は5位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
新潟県は5位(1.53倍、偏差値63.8)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:新潟は20位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 20位 | 新潟県 | 45回 | 47.7 |
新潟県は20位(45回、偏差値47.7)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:新潟は6位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
新潟県は6位(11、偏差値57.5)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
新潟県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
新潟県の30市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 刈羽村 | 23.3% |
| 2 | 見附市 | 19.9% |
| 3 | 柏崎市 | 17.7% |
| 4 | 燕市 | 17% |
| 5 | 三条市 | 16.9% |
| 6 | 新潟市 | 15.4% |
| 7 | 弥彦村 | 15.2% |
| 8 | 加茂市 | 14.7% |
| 9 | 田上町 | 14.5% |
| 10 | 長岡市 | 14.3% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 新潟市 | 2.23 | 三角州・海岸低地 |
| 2 | 燕市 | 2.21 | 後背湿地 |
| 3 | 三条市 | 2.17 | 後背湿地 |
| 4 | 田上町 | 2.15 | 後背湿地 |
| 5 | 刈羽村 | 2.13 | 後背湿地 |
| 6 | 加茂市 | 2.13 | 後背湿地 |
| 7 | 弥彦村 | 2.12 | 後背湿地 |
| 8 | 見附市 | 2.12 | 後背湿地 |
| 9 | 聖籠町 | 1.85 | 砂丘 |
| 10 | 阿賀野市 | 1.84 | 自然堤防 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 長岡市 | 53.1回 | 7 |
| 2 | 小千谷市 | 48.8回 | 6強 |
| 3 | 上越市 | 47.7回 | 6弱 |
| 4 | 南魚沼市 | 43.7回 | 6弱 |
| 5 | 十日町市 | 43.4回 | 6強 |
| 6 | 魚沼市 | 37.4回 | 6弱 |
| 7 | 出雲崎町 | 33.5回 | 6弱 |
| 8 | 阿賀町 | 27.9回 | 5強 |
| 9 | 柏崎市 | 27回 | 6強 |
| 10 | 刈羽村 | 26.7回 | 6強 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは11市区町村(南魚沼市=6弱、刈羽村=6強、村上市=6強、魚沼市=6弱、津南町=6弱、出雲崎町=6弱、小千谷市=6強、十日町市=6強、柏崎市=6強、長岡市=7、上越市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 新潟市で最も地盤が良い区は?
30年確率では西蒲区(10.8%)と北区(11.2%)が最も低い値です。ただし市内はどこも沖積層と砂丘の上で、確率が低い区でも液状化の対策は必要です。
Q. 新潟市は確率が低いのに危険と言われるのはなぜ?
表層地盤増幅率が2.2と全国トップクラスで、同じ地震でも震度が上がりやすく、砂地盤の液状化が起きやすいためです。1964年新潟地震と2024年能登半島地震はどちらも液状化で大きな被害が出ました。
Q. 2024年能登半島地震で新潟市はどうなった?
西区で震度5強を観測し、西区・江南区・中央区などで液状化による住宅の傾斜・道路の隆起が多数発生しました。震源から100km以上離れていても地盤で被害が決まる例です。
Q. 新潟市で想定される最大の地震は?
長岡平野西縁断層帯の地震(M8.0程度)で、市内の広い範囲に震度6強〜7が想定されています。30年以内の確率は2%以下ですが、規模が大きく被害想定も最大です。
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- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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