「静岡市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、静岡市3区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い駿河区の74.7%から最も低い葵区の72.8%まで、同じ市内で1.0倍の差があります。
この記事では静岡市3区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、静岡市で想定される地震、静岡県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

静岡市は3区とも73〜75%で、全国1,894市区町村の中でも最上位グループです。南海トラフ巨大地震の想定震源域の真上にあるため、区による差はほとんどありません。差が出るのは6強以上の確率と津波の有無です。
静岡市3区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 駿河区 | 74.7% | 48.8% | 68.3 |
| 2 | 清水区 | 73.1% | 49.2% | 67.7 |
| 3 | 葵区 | 72.8% | 43.8% | 67.6 |
静岡市3区の平均は73.5%。静岡県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は72.8%で都道府県ランキングでは5位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い駿河区と、低い清水区・葵区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(静岡県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
南海トラフの直上で、区の差がない。駿河区74.7%・清水区73.1%・葵区72.8%と、3区の差はわずか2ポイントです。静岡市は駿河湾から続く南海トラフの震源域の真上にあり、地盤の違いよりも震源の近さが確率を決めています。6強以上の確率も駿河区48.8%・清水区49.2%・葵区43.8%と極めて高い値です。
安倍川の扇状地は地盤は比較的良い。葵区・駿河区の市街地は安倍川がつくった扇状地の上で、礫が多く沖積平野としては地盤が良い部類です。それでも70%を超えるのは震源の近さのためで、「地盤が良いから安心」とはなりません。
清水区は津波と液状化が上乗せ。清水区の港周辺は巴川の低地と埋立地で、南海トラフ地震では地震発生から数分で津波が到達すると想定されています。駿河区の海岸部(用宗・大浜)も同様です。揺れの確率に加えて、津波避難と液状化への備えが必須の区です。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
静岡市で想定される地震
南海トラフ巨大地震:30年以内の発生確率は70〜80%。静岡市は想定震源域の直上で、県の被害想定では市内の広い範囲が震度6強〜7、清水区・駿河区の海岸部には最大10m前後の津波が最短数分で到達するとされています。1854年の安政東海地震では駿河湾沿岸が大きな被害を受けました。
東海地震と観測体制:静岡市は1970年代の「東海地震説」以来、日本で最も地震観測が密な地域のひとつです。2017年からは「南海トラフ地震臨時情報」の運用が始まり、異常が観測された場合は事前避難を求める地域が市内にもあります。
過去の地震:2009年駿河湾地震(M6.5)では駿河区で震度6弱を観測し、東名高速の路肩崩落が起きました。2011年静岡県東部地震(富士宮市で震度6強)でも市内は震度4〜5弱でした。
静岡市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 13回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 814回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 5強 | 市役所付近の観測点の値。2009年駿河湾地震で駿河区は震度6弱 |
| 30年確率(6弱以上) | 74.7% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 84.7% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.38 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 扇状地 | 国土地理院 地形分類 |
静岡市の年平均有感地震回数は13回(静岡県は都道府県で12位)、表層地盤増幅率は1.38です。30年確率は全国平均を上回り、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(静岡県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は27,500円、47都道府県で4番目に高い)
都道府県で見る静岡の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
静岡市の区ごとの比較に加えて、静岡県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:静岡は5位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
静岡県は5位(72.8%、偏差値67.9)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):静岡は26位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 26位 | 静岡県 | 1.34倍 | 50.9 |
静岡県は26位(1.34倍、偏差値50.9)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:静岡は12位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 12位 | 静岡県 | 83回 | 51.5 |
静岡県は12位(83回、偏差値51.5)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:静岡は11位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 11位 | 静岡県 | 6 | 51.4 |
静岡県は11位(6、偏差値51.4)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
静岡県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
静岡県の35市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 沼津市 | 84.8% |
| 2 | 御前崎市 | 80.7% |
| 3 | 西伊豆町 | 79.9% |
| 4 | 袋井市 | 79.7% |
| 5 | 湖西市 | 79.2% |
| 6 | 牧之原市 | 79% |
| 7 | 吉田町 | 78.5% |
| 8 | 焼津市 | 78% |
| 9 | 菊川市 | 77.5% |
| 10 | 磐田市 | 77% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 沼津市 | 2.15 | 後背湿地 |
| 2 | 湖西市 | 1.93 | 三角州・海岸低地 |
| 3 | 御前崎市 | 1.85 | 砂丘 |
| 4 | 袋井市 | 1.79 | 自然堤防 |
| 5 | 西伊豆町 | 1.75 | 三角州・海岸低地 |
| 6 | 三島市 | 1.53 | 火山山麓地 |
| 7 | 清水町 | 1.47 | 火山山麓地 |
| 8 | 牧之原市 | 1.44 | 砂州・砂礫州 |
| 9 | 焼津市 | 1.44 | 砂州・砂礫州 |
| 10 | 松崎町 | 1.44 | 砂州・砂礫州 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東伊豆町 | 47.4回 | 5強 |
| 2 | 熱海市 | 34.7回 | 5弱 |
| 3 | 伊豆の国市 | 32.9回 | 5強 |
| 4 | 富士宮市 | 32.2回 | 6強 |
| 5 | 河津町 | 29.1回 | 5弱 |
| 6 | 伊豆市 | 26.5回 | 6弱 |
| 7 | 沼津市 | 24.4回 | 5弱 |
| 8 | 富士市 | 23.3回 | 5弱 |
| 9 | 西伊豆町 | 22回 | 5強 |
| 10 | 伊東市 | 21.7回 | 5弱 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは6市区町村(御前崎市=6弱、牧之原市=6弱、焼津市=6弱、富士宮市=6強、三島市=6弱、伊豆市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 静岡市で最も確率が低い区は?
葵区(72.8%)ですが、3区の差は2ポイントしかありません。市内全域が南海トラフ地震の震度6強〜7の想定区域です。
Q. 静岡市に津波はどのくらいで来る?
南海トラフ巨大地震では清水区・駿河区の海岸に最短数分で津波が到達し、最大で10m前後が想定されています。海岸から離れた葵区の市街地には津波は到達しない想定です。
Q. 南海トラフ地震臨時情報が出たら静岡市はどうなる?
「巨大地震警戒」が発表された場合、清水区・駿河区の一部(津波到達が早い地域)は1週間の事前避難の対象になります。市の指定する地域と避難先を事前に確認してください。
Q. 静岡市で最近あった大きな地震は?
2009年8月の駿河湾地震(M6.5)で駿河区が震度6弱を観測しました。南海トラフとは異なる、プレート内部の地震でした。
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- 差の理由は地盤(台地・丘陵か、低地・埋立地か)と活断層までの距離。確率は「区役所付近のメッシュ」の値なので自宅はJ-SHISで確認
- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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