「大阪市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、大阪市24区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い平野区の68.1%から最も低い天王寺区の29.9%まで、同じ市内で2.3倍の差があります。
この記事では大阪市24区の確率を一覧にし、都心の北区・中央区が低く、東部の平野区・城東区が高い理由(上町台地と河内低地・臨海埋立地の地盤の違い)、大阪市で想定される上町断層帯地震と南海トラフ地震、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

意外なことに、都心の北区・中央区・天王寺区・浪速区は市内で最も低いグループです。硬い洪積層の「上町台地」の上にあるからで、逆に平野区・城東区・鶴見区など東部の低地は68%前後と全国でもトップクラス。同じ大阪市でも地盤で2倍以上の差が出ます。
大阪市24区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 平野区 | 68.1% | 23.4% | 65.7 |
| 2 | 城東区 | 67.7% | 22.6% | 65.6 |
| 3 | 鶴見区 | 66.5% | 21.5% | 65.1 |
| 4 | 東成区 | 66.1% | 21.1% | 64.9 |
| 5 | 旭区 | 65% | 20.1% | 64.5 |
| 6 | 東淀川区 | 63.8% | 19.1% | 64.0 |
| 7 | 西区 | 60.4% | 16.3% | 62.7 |
| 8 | 住之江区 | 59.1% | 15.6% | 62.2 |
| 9 | 福島区 | 57.9% | 14.8% | 61.7 |
| 10 | 大正区 | 57.1% | 14.3% | 61.4 |
| 11 | 港区 | 55.8% | 13.5% | 60.9 |
| 12 | 西淀川区 | 54.9% | 13.2% | 60.5 |
| 13 | 淀川区 | 54.1% | 12.9% | 60.2 |
| 14 | 此花区 | 53.7% | 12.5% | 60.1 |
| 15 | 都島区 | 53.3% | 12.2% | 59.9 |
| 16 | 阿倍野区 | 48.3% | 9.8% | 57.9 |
| 17 | 生野区 | 37.2% | 6.1% | 53.6 |
| 18 | 住吉区 | 36.5% | 6% | 53.3 |
| 19 | 東住吉区 | 35.4% | 5.5% | 52.9 |
| 20 | 西成区 | 33.8% | 5.6% | 52.2 |
| 21 | 浪速区 | 32.4% | 5.4% | 51.7 |
| 22 | 中央区 | 32% | 5.2% | 51.5 |
| 23 | 北区 | 30.7% | 5.1% | 51.0 |
| 24 | 天王寺区 | 29.9% | 4.5% | 50.7 |
大阪市24区の平均は50.8%で、大阪府の県庁所在地メッシュ値28.1%(都道府県ランキングでは19位)、全国の市区町村平均28.1%と比べると市の平均は府の代表値や全国平均を大きく上回ります(府の代表値は上町台地にある府庁付近のメッシュのため、府内でも低めの値です)。上位の平野区・城東区・鶴見区・東成区・旭区・東淀川区・西区・住之江区・福島区と、下位の生野区・住吉区・東住吉区・西成区・浪速区・中央区・北区・天王寺区では、同じ市でも「別の街」といえるほど数字が違います。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料・台風接近数を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(大阪府を黄色で強調表示)。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
上町台地の区は低い。大阪市の中央を南北に走る上町台地(天王寺区・中央区・北区南部・浪速区東部・阿倍野区など)は、洪積層と呼ばれる硬い地盤でできており、地震波の増幅が小さくなります。天王寺区29.9%・北区30.7%・中央区32.0%・浪速区32.4%は市内の最低グループで、全国偏差値でもほぼ平均並みです。
東部低地(河内低地)の区は高い。平野区68.1%・城東区67.7%・鶴見区66.5%・東成区66.1%・旭区65.0%・東淀川区63.8%は、かつて「河内湖」と呼ばれる内海だった場所に旧大和川・淀川・寝屋川が土砂を運んでできた軟らかい沖積低地です。表層地盤増幅率が大きく、同じ地震でも震度が1階級上がりやすい地盤です。
臨海部は「揺れ」に加えて「液状化」。此花区53.7%・港区55.8%・大正区57.1%・西淀川区54.9%・住之江区59.1%・西区60.4%・福島区57.9%は、近世以降の新田開発や近代の埋立でできた土地です。確率は中位ですが、砂質の埋立地は液状化しやすく、1995年の兵庫県南部地震でも大阪市の臨海部で液状化が確認されています。
南部は台地と低地の中間。上町台地の南側に続く住吉区36.5%・西成区33.8%・東住吉区35.4%・生野区37.2%は30%台で、阿倍野区48.3%とともに中間的な値です。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
大阪市で想定される地震
上町断層帯:大阪平野を南北に走る全長約42kmの活断層で、地震調査研究推進本部の長期評価ではM7.5程度、30年以内の発生確率は2〜3%と活断層としては高いグループに分類されています。大阪府の被害想定では、この地震で市内の広い範囲が震度6強〜7となり、建物倒壊と火災による甚大な被害が想定されています。
南海トラフ巨大地震:30年以内の発生確率は70〜80%。大阪市では震度5強〜6弱程度の長い揺れが想定され、臨海部には地震発生から約2時間で最大5m前後の津波が到達すると想定されています。地下街・地下鉄の浸水対策が課題です。
そのほかの活断層と直近の地震:北側には有馬-高槻断層帯、東側には生駒断層帯があります。2018年6月の大阪府北部地震(M6.1)では大阪市北区で震度6弱を観測し、都市型のインフラ被害(ガス・水道・鉄道の停止)が広く発生しました。
大阪市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 4.4回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 728回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 4 | 市役所付近の観測点の値。2018年大阪府北部地震では北区で震度6弱を観測 |
| 30年確率(6弱以上) | 32% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 74.4% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.44 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 砂州・砂礫州 | 国土地理院 地形分類 |
大阪市は年平均の有感地震回数が全国的に少ない一方で、30年確率と表層地盤増幅率は高いという典型的な「普段は揺れないが、いざというときの揺れが大きい」都市です。地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」もあわせてご覧ください。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(大阪府は等地2等地(イ構造・保険金額1,000万円あたり年11,600円))
都道府県で見る大阪の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
大阪市の区ごとの比較に加えて、大阪府全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:大阪は19位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
| 19位 | 大阪府 | 28.1% | 49.7 |
大阪府は19位(28.1%、偏差値49.7)。1位は高知県(77.7%)、47位は北海道(2.3%)、全国平均は28.8%です。比較:兵庫37位・京都28位・東京13位・愛知12位。詳しくは今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率ランキングをご覧ください。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):大阪は17位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 17位 | 大阪府 | 1.39倍 | 54.3 |
大阪府は17位(1.39倍、偏差値54.3)。1位は石川県(1.60倍)、47位は長野県(0.97倍)、全国平均は1.33倍です。比較:兵庫24位・京都38位・東京23位・愛知19位。詳しくは揺れやすい地盤ランキングをご覧ください。
有感地震の年間回数の多さ:大阪は42位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 42位 | 大阪府 | 13回 | 44.6 |
大阪府は42位(13回、偏差値44.6)。1位は長野県(650回)、47位は佐賀県(8回)、全国平均は68回です。比較:兵庫24位・京都29位・東京2位・愛知35位。詳しくは地震が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:大阪は15位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 15位 | 大阪府 | 4 | 48.9 |
大阪府は15位(4、偏差値48.9)。1位は福島県(34)、47位は沖縄県(0)、全国平均は5です。比較:兵庫17位・京都28位・東京12位・愛知37位。詳しくは震度6強以上を観測した市町村一覧をご覧ください。
大阪府内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
大阪府の42市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 東大阪市 | 67.6% |
| 2 | 八尾市 | 66.3% |
| 3 | 大東市 | 65.2% |
| 4 | 泉大津市 | 65.1% |
| 5 | 門真市 | 64.3% |
| 6 | 寝屋川市 | 60.9% |
| 7 | 高石市 | 60.1% |
| 8 | 摂津市 | 58.2% |
| 9 | 吹田市 | 58.0% |
| 10 | 高槻市 | 56.0% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 |
|---|---|---|
| 1 | 東大阪市 | 2.30倍 |
| 2 | 門真市 | 2.29倍 |
| 3 | 大東市 | 2.24倍 |
| 4 | 吹田市 | 2.18倍 |
| 5 | 摂津市 | 2.17倍 |
| 6 | 寝屋川市 | 2.16倍 |
| 7 | 八尾市 | 2.16倍 |
| 8 | 高槻市 | 2.13倍 |
| 9 | 泉大津市 | 2.11倍 |
| 10 | 高石市 | 1.94倍 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 |
|---|---|---|
| 1 | 能勢町 | 13.1回 |
| 2 | 島本町 | 11.6回 |
| 3 | 高槻市 | 9.2回 |
| 4 | 枚方市 | 8.9回 |
| 5 | 箕面市 | 8.7回 |
| 6 | 交野市 | 8.5回 |
| 7 | 寝屋川市 | 8.1回 |
| 8 | 四條畷市 | 7.8回 |
| 9 | 豊能町 | 7.1回 |
| 10 | 大東市 | 6.8回 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは4市区町村(箕面市=6弱、茨木市=6弱、枚方市=6弱、高槻市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 大阪市で最も地盤が良い区は?
上町台地の上にある天王寺区・中央区・北区・浪速区・阿倍野区で、確率も市内最低グループです。逆に東部の平野区・城東区・鶴見区の低地は軟らかい沖積層で揺れやすくなります。
Q. 上町断層帯の地震はいつ起きる?
30年以内の発生確率は2〜3%で、活断層としては高いグループです。平均活動間隔は約8,000年で「いつ」は分かりませんが、発生すればM7.5・市内広範囲で震度6強〜7と想定されています。
Q. 南海トラフ地震で大阪市は津波が来る?
地震発生から約2時間で最大5m前後の津波が大阪湾に到達し、此花区・港区・大正区・住之江区・西淀川区などの臨海部で浸水が想定されています。地下街・地下鉄の浸水対策も課題です。
Q. 堺市の区はどうなっている?
堺市7区も同じJ-SHISデータで比較できます。当サイトの大阪府の地震リスク一覧で確認してください。
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出典:気象庁 震度データベース(1919年1月〜)、防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、役所付近の250mメッシュ値)区別の確率は防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版・平均ケース・全地震)の各区役所付近250mメッシュ値です。地形・断層の解説は国土地理院 地形分類、地震調査研究推進本部の長期評価によります。。当サイトは独自の地震予測を行っていません。偏差値・順位は当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)から集計しています。
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