「千葉市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、千葉市6区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い中央区の69.5%から最も低い緑区の57.4%まで、同じ市内で1.2倍の差があります。
この記事では千葉市6区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、千葉市で想定される地震、千葉県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

千葉市は6区すべてが57〜70%と高く、全国偏差値でも全区が上位です。差が小さいのは、台地(下総台地)と埋立地(美浜区)の地盤差よりも、房総沖・千葉県東方沖・首都直下という「震源の近さ」が確率を支配しているためです。
千葉市6区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 中央区 | 69.5% | 20.6% | 66.3 |
| 2 | 稲毛区 | 67.4% | 19.1% | 65.4 |
| 3 | 若葉区 | 61.9% | 16.1% | 63.3 |
| 4 | 美浜区 | 61.5% | 15.5% | 63.1 |
| 5 | 花見川区 | 59.7% | 14.5% | 62.4 |
| 6 | 緑区 | 57.4% | 14.1% | 61.5 |
千葉市6区の平均は62.9%。千葉県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は71.2%で都道府県ランキングでは6位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い中央区・稲毛区と、低い若葉区・美浜区・花見川区・緑区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(千葉県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
市内はどこでも高い。中央区69.5%・稲毛区67.4%・若葉区61.9%・美浜区61.5%・花見川区59.7%・緑区57.4%と、最も低い緑区でも全国平均(28.1%)の2倍です。千葉市は関東地震の震源域(相模トラフ)と首都直下地震、千葉県東方沖のプレート境界地震のすべてに近く、地盤の違いより震源の近さが効いています。
東京湾岸の低地と埋立地は「液状化」も。中央区役所付近は都川の沖積低地、美浜区は1960〜70年代の埋立地です。2011年の東北地方太平洋沖地震では美浜区の幕張・稲毛海岸・磯辺などで大規模な液状化が起き、戸建て住宅の傾斜や下水道の被害が長期化しました。確率が同程度でも、埋立地は液状化のリスクが別に上乗せされます。
下総台地の区は地盤は硬いが、確率は高い。若葉区・緑区・花見川区の大部分は関東ローム層におおわれた下総台地で、地盤そのものは硬めです。それでも60%前後なのは、上記の震源の近さのためです。台地の中を刻む谷(谷津)の低地は例外的に軟らかいので注意してください。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
千葉市で想定される地震
首都直下地震と相模トラフ:南関東のM7クラス直下地震は30年以内に70%程度、1923年関東地震型のM8クラス(相模トラフ)はほぼ0〜6%とされています。関東地震では千葉市で震度6相当の揺れがあったと推定され、政府の被害想定でも市内は震度6強の想定区域に含まれます。
千葉県東方沖・房総沖のプレート境界地震:千葉県東方沖ではM6〜7クラスの地震(1987年千葉県東方沖地震 M6.7など)が繰り返し、房総半島沖の「スロースリップ」に伴う群発地震も数年おきに起きています。2011年の東北地方太平洋沖地震では千葉市で震度5弱〜5強を観測しました。
過去の地震:1987年千葉県東方沖地震では千葉市で震度5(当時の階級)、2011年には震度5強と美浜区の液状化、2012年・2024年の千葉県東方沖の地震でも震度4〜5弱を観測しています。
千葉市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 37回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 985回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 5弱 | 市役所付近の観測点の値。1987年千葉県東方沖地震で震度5(当時の階級)、2011年は震度5強 |
| 30年確率(6弱以上) | 57.4% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 96% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.4 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 火山灰台地 | 国土地理院 地形分類 |
千葉市の年平均有感地震回数は37回(千葉県は都道府県で10位)、表層地盤増幅率は1.4です。30年確率は全国平均を上回り、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(千葉県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は27,500円、47都道府県で1番目に高い)
都道府県で見る千葉の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
千葉市の区ごとの比較に加えて、千葉県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:千葉は6位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
千葉県は6位(71.2%、偏差値67.3)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):千葉は2位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
千葉県は2位(1.55倍、偏差値65.2)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:千葉は10位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
千葉県は10位(95回、偏差値52.6)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:千葉は16位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 16位 | 千葉県 | 3 | 47.7 |
千葉県は16位(3、偏差値47.7)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
千葉県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
千葉県の54市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 香取市 | 91.7% |
| 2 | 旭市 | 86.3% |
| 3 | 浦安市 | 84.6% |
| 4 | 君津市 | 83.3% |
| 5 | 神崎町 | 82.4% |
| 6 | 鋸南町 | 81.4% |
| 7 | 東庄町 | 81.2% |
| 8 | 長生村 | 75% |
| 9 | 白子町 | 74.8% |
| 10 | 横芝光町 | 74.3% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 浦安市 | 2.24 | 埋立地 |
| 2 | 香取市 | 2.2 | 旧河道・旧池沼 |
| 3 | 君津市 | 2.12 | 後背湿地 |
| 4 | 鋸南町 | 2.09 | 三角州・海岸低地 |
| 5 | 館山市 | 1.92 | 砂州・砂礫州 |
| 6 | 神崎町 | 1.89 | 火山灰台地 |
| 7 | 鴨川市 | 1.82 | 砂礫質台地 |
| 8 | 旭市 | 1.8 | 砂丘・砂州間低地 |
| 9 | 市川市 | 1.76 | 砂州・砂礫州 |
| 10 | 習志野市 | 1.74 | 三角州・海岸低地 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 香取市 | 102.3回 | 5強 |
| 2 | 成田市 | 86.5回 | 6弱 |
| 3 | 東金市 | 82回 | 5強 |
| 4 | 多古町 | 78回 | 5強 |
| 5 | 銚子市 | 70.6回 | 5強 |
| 6 | 旭市 | 68.8回 | 5強 |
| 7 | 芝山町 | 63.9回 | 5弱 |
| 8 | 市原市 | 62.6回 | 5弱 |
| 9 | 山武市 | 62.6回 | 5強 |
| 10 | 柏市 | 62.1回 | 5強 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは3市区町村(館山市=6弱、印西市=6弱、成田市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 千葉市で最も確率が低い区は?
緑区(57.4%)ですが、それでも全国平均の2倍です。市内の6区は57〜70%の狭い範囲にあり、「安全な区」と呼べる区はありません。
Q. 美浜区は埋立地だから危険?
30年確率は61.5%と市内で中位ですが、2011年に幕張・稲毛海岸などで大規模な液状化が起きた地域です。揺れの確率とは別に液状化対策(地盤調査・基礎の補強)が重要です。
Q. 千葉市に津波は来る?
東京湾内のため太平洋岸ほどの高さにはなりませんが、相模トラフの地震では東京湾内でも2〜3m程度の津波が想定されています。美浜区・中央区の湾岸部は市の津波ハザードマップで確認してください。
Q. 千葉市で想定される最大の揺れは?
首都直下地震や相模トラフの地震で震度6強が想定されています。中央区の低地や美浜区の埋立地では、揺れに加えて液状化の被害が想定されています。
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- 千葉市6区で30年以内に震度6弱以上の確率が最も高いのは中央区(69.5%)、最も低いのは緑区(57.4%)で1.2倍の差
- 市の平均は62.9%、全国の市区町村平均は28.1%、千葉県は都道府県6位(71.2%)
- 差の理由は地盤(台地・丘陵か、低地・埋立地か)と活断層までの距離。確率は「区役所付近のメッシュ」の値なので自宅はJ-SHISで確認
- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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