「札幌市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、札幌市10区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い北区の11%から最も低い南区の1.6%まで、同じ市内で6.9倍の差があります。
この記事では札幌市10区の確率を一覧にし、北区・東区が市内で突出して高く南区・西区が低い理由(石狩低地の泥炭・軟弱地盤と豊平川扇状地の礫層)、2018年の北海道胆振東部地震で札幌に何が起きたか、札幌直下で想定される地震を気象予報士がまとめます。

札幌の確率は政令市の中でも低い部類ですが、区による差は7倍と最大級です。北区・東区の泥炭地は全国でも指折りの軟弱地盤で、2018年の胆振東部地震では震源から50km以上離れた東区で震度6弱を観測しました。
札幌市10区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 北区 | 11% | 1.4% | 43.3 |
| 2 | 東区 | 11% | 1.4% | 43.3 |
| 3 | 手稲区 | 8.5% | 1% | 42.3 |
| 4 | 厚別区 | 4.2% | 0.5% | 40.6 |
| 5 | 清田区 | 3.3% | 0.3% | 40.3 |
| 6 | 中央区 | 2.3% | 0.2% | 39.9 |
| 7 | 白石区 | 2.3% | 0.2% | 39.9 |
| 8 | 豊平区 | 2% | 0.1% | 39.7 |
| 9 | 西区 | 1.9% | 0.1% | 39.7 |
| 10 | 南区 | 1.6% | 0.1% | 39.6 |
札幌市10区の平均は4.8%で、北海道の県庁所在地メッシュ値2.3%(都道府県ランキングでは39位)、全国の市区町村平均28.1%と比べると市の平均は道の代表値(札幌市中央区)を上回りますが、全国平均の6分の1程度です。上位の北区・東区と、下位の豊平区・西区・南区では、同じ市でも「別の街」といえるほど数字が違います。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料・台風接近数を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(北海道を黄色で強調表示)。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
北区・東区の泥炭地は突出して高い。北区11.0%・東区11.0%は市内の他の区の3〜7倍です。この2区は石狩低地に広がる泥炭地・軟弱地盤の上にあり、表層地盤増幅率が全国でもトップクラスに大きい地域です。2018年の北海道胆振東部地震では、震源の厚真町から約60km離れた東区で震度6弱を観測し、中央区の震度4〜5弱とは2階級の差が出ました。
手稲区も沿岸低地で高め。手稲区8.5%は石狩湾に面した砂丘・沿岸低地と泥炭地が広がり、北区・東区に次ぐ値です。
豊平川扇状地の区は低い。南区1.6%・西区1.9%・豊平区2.0%・中央区2.3%・白石区2.3%は、豊平川が山地から運んだ礫(れき)でできた扇状地の上にあり、硬く締まった地盤です。札幌の中心市街地がこの扇状地に築かれたのは偶然ではなく、水はけと地盤の良さが理由でした。
清田区・厚別区は「揺れ」より「液状化・盛土」。清田区3.3%・厚別区4.2%は確率としては低いものの、2018年の胆振東部地震では清田区里塚で谷を埋めた造成地が液状化し、住宅が大きく傾く被害が出ました。確率が低い区でも造成地の地盤には注意が必要です(液状化しやすい地域とは)。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
札幌市で想定される地震
札幌直下の伏在活断層:札幌市の被害想定では、市街地の地下に伏在する月寒断層(M7.3)・西札幌断層(M7.0)と、市の東縁を走る野幌丘陵断層帯(M7.5)の3つを想定地震としています。月寒断層の地震では東区・北区・白石区などで震度7、市内の広い範囲で震度6強とされ、最悪ケースで死者8,000人超という想定です。活断層としての30年確率は低いものの、直下型の被害は甚大です。
石狩低地東縁断層帯:札幌市の東側、江別市から千歳市・苫小牧方面へ延びる長さ約60km以上の活断層帯で、主部はM7.9程度と評価されています。
2018年 北海道胆振東部地震(M6.7):厚真町で北海道初の震度7。札幌市では東区で震度6弱、清田区里塚の液状化、里塚・美しが丘の地盤沈下に加え、道内全域が停電する「ブラックアウト」で市民生活が止まりました。
千島海溝・日本海溝の巨大地震:千島海溝沿いのM8.8程度以上の超巨大地震は30年以内に7〜40%と評価されていますが、札幌市での揺れは震度5弱〜5強程度と想定されています。
札幌市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 7.3回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 633回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 4 | 市役所(中央区)付近の観測点の値。2018年胆振東部地震では東区で震度6弱を観測 |
| 30年確率(6弱以上) | 2.3% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 15.3% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.29 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 扇状地 | 国土地理院 地形分類 |
札幌市は「市全体の確率は低いが、区によって地盤の差が極端に大きい」都市です。北区・東区に住む場合は、確率の数字よりも、地盤増幅率とハザードマップの揺れやすさマップを重視してください。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(北海道は等地1等地(イ構造・保険金額1,000万円あたり年7,300円)で全国最安グループ)
都道府県で見る北海の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
札幌市の区ごとの比較に加えて、北海道全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:北海は47位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
| 47位 | 北海道 | 2.3% | 39.2 |
北海道は47位(2.3%、偏差値39.2)。1位は高知県(77.7%)、47位は北海道(2.3%)、全国平均は28.8%です。比較:宮城36位・新潟23位・東京13位・福岡40位。詳しくは今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率ランキングをご覧ください。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):北海は22位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 22位 | 北海道 | 1.36倍 | 52.2 |
北海道は22位(1.36倍、偏差値52.2)。1位は石川県(1.60倍)、47位は長野県(0.97倍)、全国平均は1.33倍です。比較:宮城12位・新潟5位・東京23位・福岡13位。詳しくは揺れやすい地盤ランキングをご覧ください。
有感地震の年間回数の多さ:北海は4位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
北海道は4位(153回、偏差値58.3)。1位は長野県(650回)、47位は佐賀県(8回)、全国平均は68回です。比較:宮城7位・新潟20位・東京2位・福岡39位。詳しくは地震が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:北海は5位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
北海道は5位(16、偏差値63.7)。1位は福島県(34)、47位は沖縄県(0)、全国平均は5です。比較:宮城3位・新潟6位・東京12位・福岡21位。詳しくは震度6強以上を観測した市町村一覧をご覧ください。
北海道内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
北海道の179市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 厚岸町 | 83.8% |
| 2 | 浜中町 | 83.3% |
| 3 | 根室市 | 80.9% |
| 4 | 様似町 | 76.2% |
| 5 | 白糠町 | 75.7% |
| 6 | 釧路市 | 72.0% |
| 7 | 池田町 | 67.8% |
| 8 | 釧路町 | 67.2% |
| 9 | 幕別町 | 67.1% |
| 10 | 別海町 | 66.3% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 |
|---|---|---|
| 1 | 南幌町 | 2.22倍 |
| 2 | むかわ町 | 2.20倍 |
| 3 | 新ひだか町 | 2.19倍 |
| 4 | 新冠町 | 2.18倍 |
| 5 | 白老町 | 2.18倍 |
| 6 | 長沼町 | 2.15倍 |
| 7 | 幕別町 | 2.14倍 |
| 8 | せたな町 | 2.14倍 |
| 9 | 妹背牛町 | 2.12倍 |
| 10 | 当別町 | 2.12倍 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 |
|---|---|---|
| 1 | 函館市 | 60.6回 |
| 2 | 根室市 | 59.2回 |
| 3 | 別海町 | 52.0回 |
| 4 | 浦河町 | 49.9回 |
| 5 | 新ひだか町 | 47.4回 |
| 6 | 伊達市 | 45.0回 |
| 7 | 釧路市 | 42.0回 |
| 8 | 壮瞥町 | 39.5回 |
| 9 | 安平町 | 35.5回 |
| 10 | 厚真町 | 33.9回 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは16市区町村(厚岸町=6弱、釧路町=6弱、釧路市=6弱、豊頃町=6弱、幕別町=6弱、浦河町=6弱、鹿追町=6弱、新ひだか町=6弱、新冠町=6弱、平取町=6弱、むかわ町=6強、安平町=6強 ほか)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 札幌市で最も安全な区は?
南区・西区・豊平区・中央区は豊平川扇状地の硬い礫層の上にあり、確率は2%前後と全国的にも最低クラスです。北区・東区の泥炭地は5倍以上の11%です。
Q. 2018年の地震で札幌はどうなった?
東区で震度6弱、清田区里塚で液状化と地盤沈下、全道停電(ブラックアウト)が発生しました。震源の厚真町から60km離れていても地盤で震度が2階級変わった例です。
Q. 札幌の想定地震は?
市直下の月寒断層(M7.3)・西札幌断層(M7.0)・野幌丘陵断層帯(M7.5)で、月寒断層の地震では東区・北区・白石区で震度7、最悪ケースで死者8,000人超の想定です。
Q. 道内の他の市町村は?
旭川・函館・釧路など道内179市町村の確率と地盤は北海道の地震リスク一覧で確認できます。
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出典:気象庁 震度データベース(1919年1月〜)、防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、役所付近の250mメッシュ値)区別の確率は防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版・平均ケース・全地震)の各区役所付近250mメッシュ値です。地形・断層の解説は国土地理院 地形分類、地震調査研究推進本部の長期評価によります。。当サイトは独自の地震予測を行っていません。偏差値・順位は当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)から集計しています。
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