雷が多い県はなぜ石川(金沢)と栃木(宇都宮)なのか|冬雷と夏雷の違い、雷日数ランキングを気象予報士が解説

日本地図上に雷日数を色で示した点と稲妻、雷日数の棒グラフを重ねたイメージ 気象

「雷が多い県はどこ?」——「雷都(らいと)」を名乗る宇都宮のある栃木県を思い浮かべる人が多いはずです。ところが気象庁の平年値で雷日数を数えると、日本一は石川県(金沢)の年45.1日。栃木県(宇都宮)は26.5日で10位です。

この記事では、全国117観測地点の雷日数(平年値1991〜2020年)から、雷が多い県ランキングと「なぜ金沢が日本一で、宇都宮が雷都なのか」を、冬の雷(冬雷)夏の雷(夏雷)の違いで気象予報士が解説します。

のぶやん
のぶやん

私は気象庁で働いていた気象予報士です。金沢と宇都宮はどちらも「雷の街」ですが、雷が鳴る季節が正反対。金沢は12〜1月、宇都宮は7〜8月です。

雷日数が多い県ランキング トップ10(平年値)

順位都道府県(観測地点)年間雷日数冬(12〜2月)夏(6〜8月)タイプ
1位石川県(金沢)45.1日21.1日8.3日冬雷型
2位福井県(福井)37.4日16.8日8.3日冬雷型
3位新潟県(新潟)34.7日13.6日7.7日冬雷型
4位秋田県(秋田)34.3日10.9日5.9日冬雷型
5位富山県(富山)33.6日9.3日12日夏雷型
6位鳥取県(鳥取)28日10日8.2日冬雷型
7位鹿児島県(鹿児島)27.4日2.4日14.3日夏雷型
8位島根県(松江)26.6日7.9日8.8日夏雷型
9位熊本県(熊本)26.6日1.4日16.4日夏雷型
10位栃木県(宇都宮)26.5日0.3日16日夏雷型
雷日数(雷電または雷鳴を観測した日数)の平年値、県庁所在地の気象官署

1位石川45.1日、2位福井37.4日、3位新潟34.7日、4位秋田34.3日、5位富山33.6日——上位5県はすべて日本海側で、雷の半分近くが冬に鳴る「冬雷型」です。観測地点別では金沢45.1日に次いで酒田41.8日、高田(上越)39.8日、福井、輪島と続き、日本海沿岸がずらりと並びます。

一方、7位鹿児島、9位熊本、10位栃木は夏に集中する「夏雷型」。夏(6〜8月)の雷日数だけなら熊本16.4日、宇都宮16.0日、前橋15.7日が全国トップ3で、栃木の「雷都」は「夏の雷」の日本一級という意味では正しいのです。

【ツール】指標と月を切り替えて全国順位を確認

下のツールでは、気温・雨・雪・晴れ・湿度・風・雷・台風・地震などの指標を年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(石川県を黄色で強調表示)。並び順を変えると「少ない県」「低い県」のランキングになります。

なぜ金沢は冬に雷が多いのか|世界的にも珍しい「冬雷」

冬、シベリアから吹き出す−30℃以下の寒気が、対馬暖流で暖かい(10℃前後)日本海の上を渡ります。海面から大量の水蒸気と熱が供給されて積乱雲が発達し、それが北陸の海岸にぶつかって雷を落とす——これが冬雷です。金沢の雷日数は12月8.4日・1月7.9日と、真冬の月がそれぞれ夏のピークの2倍以上あります。

冬の雷は世界的に珍しく、ノルウェー沿岸と日本海側くらいでしか見られません。しかも1発のエネルギーが夏の雷の100倍以上になることがあり、「一発雷」と呼ばれて送電線や風力発電の被害が問題になっています。北陸では冬の雷を「鰤起こし(ぶりおこし)」と呼び、ブリ漁の始まりの合図にしてきました。

金沢の月別雷日数

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
金沢7.94.82.62.01.71.82.93.62.02.15.38.4
宇都宮0.00.10.62.03.53.25.77.12.70.90.30.2
金沢と宇都宮の月別雷日数(平年値)。ピークの季節が正反対

なぜ宇都宮は夏に雷が多いのか|山と平野の「雷の通り道」

夏の午後、強い日差しで地面が熱せられると、湿った空気が上昇して積乱雲(入道雲)ができます。関東平野の北には日光・那須の山があり、山で発生した積乱雲が午後の風に乗って平野へ流れ出すのが宇都宮・前橋・熊谷です。栃木では「雷は日光様の山から来る」と言い、7〜8月の夕方に集中して落雷します。

同じ仕組みで、阿蘇の山を背負う熊本、霧島・桜島の鹿児島、飛騨山脈の高山も夏雷の多い街です。「内陸の平野の、山に近い側」が夏の雷の名所になります。

のぶやん
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雷が鳴っている時間は夏より冬のほうが短いのに、冬雷のほうが日数は多い。「1日に何回鳴ったか」ではなく「鳴った日の数」で数えるからです。

雷が少ない県

順位都道府県年間雷日数
47位北海道9.2日
46位宮城県9.8日
45位岡山県12.6日
44位福島県12.6日
43位和歌山県12.7日
42位千葉県13.3日
41位愛媛県13.4日
40位香川県13.4日
雷日数が少ない県

最少は北海道(札幌)の9.2日、次いで宮城9.8日。北海道は夏の気温が上がりにくく積乱雲が育ちにくいうえ、冬雷の起きる日本海側でも北にいくほど海面水温が低く雷雲が弱まります。観測地点では雄武(北海道)が年2日、北見枝幸2.3日で日本最少です。

47都道府県 雷日数ランキング(全順位)

順位都道府県年間冬(12〜2月)夏(6〜8月)
1位石川県45.1日21.1日8.3日
2位福井県37.4日16.8日8.3日
3位新潟県34.7日13.6日7.7日
4位秋田県34.3日10.9日5.9日
5位富山県33.6日9.3日12日
6位鳥取県28日10日8.2日
7位鹿児島県27.4日2.4日14.3日
8位島根県26.6日7.9日8.8日
9位熊本県26.6日1.4日16.4日
10位栃木県26.5日0.3日16日
11位福岡県25.5日2.8日13.2日
12位宮崎県23.5日1日13.7日
13位奈良県23.1日1.5日12.3日
14位佐賀県23.1日1.1日14日
15位群馬県21.8日0.1日15.7日
16位岐阜県21.7日0.8日13日
17位長崎県21.6日2.3日10.1日
18位沖縄県20.4日1.3日9.7日
19位大分県20.3日0.2日13.4日
20位埼玉県20.2日0.2日13.6日
21位京都府19.6日0.7日11.7日
22位滋賀県18.9日1.6日10.8日
23位静岡県18.1日1.5日8日
24位愛知県18日0.4日11.1日
25位茨城県17.9日0.6日9.5日
26位長野県17.9日0.7日12.4日
27位大阪府17.3日1.4日8.5日
28位高知県16.2日0.6日8.8日
29位山口県16日0.4日9.9日
30位山形県15.9日1日9.7日
31位徳島県15.9日0.6日8.4日
32位青森県15.2日1.9日4.9日
33位広島県15.1日0.2日9.7日
34位山梨県14.8日0.4日9.1日
35位東京都14.5日0.6日6.9日
36位三重県14.3日0.5日8.1日
37位兵庫県14日1日6.6日
38位神奈川県13.8日1日5.6日
39位岩手県13.6日0.5日7.2日
40位香川県13.4日0.7日7.1日
41位愛媛県13.4日1.4日6.4日
42位千葉県13.3日0.9日6.2日
43位和歌山県12.7日0.7日5.4日
44位福島県12.6日0.3日8.8日
45位岡山県12.6日0.4日7.1日
46位宮城県9.8日0.1日6.3日
47位北海道9.2日1.1日3.4日
47都道府県の雷日数(県庁所在地の平年値)

117地点すべての月別データと偏差値は雷日数が多い都道府県ランキングで検索できます。雷までの距離の測り方や、雷が鳴ったときの安全な場所については当サイトの雷の解説記事もご覧ください。

指標別に見る「雷の多さ」|冬の雷と夏の雷でランキングが入れ替わる

年間の雷日数に加えて、冬(12月)と夏(8月)の月別ランキングを並べると、日本海側と内陸で主役が入れ替わることが分かります。

年間の雷日数の多さ:石川は1位

順位都道府県雷日数偏差値
1位石川県45.1日82.9
2位福井県37.4日72.7
3位新潟県34.7日69.2
4位秋田県34.3日68.7
5位富山県33.6日67.7
6位鳥取県28.0日60.4
7位鹿児島県27.4日59.6
8位島根県26.6日58.5
9位熊本県26.6日58.5
10位栃木県26.5日58.4
年間の雷日数の多さランキング(平年値)

石川県は1位(45.1日、偏差値82.9)。1位は石川県(45.1日)、47位は北海道(9.2日)、全国平均は20.1日です。比較:栃木10位・新潟3位・福井2位・東京35位。詳しくは雷日数が多い都道府県ランキングをご覧ください。

12月の雷日数(冬季雷):石川は1位

順位都道府県雷日数(12月)偏差値
1位石川県8.4日86.5
2位福井県7.4日81.5
3位新潟県6.1日74.9
4位秋田県4.8日68.3
5位富山県4.8日68.3
6位鳥取県4.5日66.8
7位島根県3.3日60.7
8位福岡県1.0日49.1
9位長崎県1.0日49.1
10位青森県0.9日48.6
12月の雷日数(冬季雷)ランキング(平年値)

石川県は1位(8.4日、偏差値86.5)。1位は石川県(8.4日)、47位は大分県(0.1日)、全国平均は1.2日です。比較:栃木34位・新潟3位・福井2位・東京35位。冬の雷は日本海側の独壇場で、太平洋側はほぼゼロです。詳しくは雷日数の詳しいランキングをご覧ください。

8月の雷日数(夏の熱雷):石川は30位

順位都道府県雷日数(8月)偏差値
1位栃木県7.1日71.4
2位群馬県6.9日69.9
3位佐賀県6.9日69.9
4位熊本県6.9日69.9
5位埼玉県6.0日63.3
6位岐阜県5.9日62.5
7位奈良県5.9日62.5
8位福岡県5.9日62.5
9位長野県5.3日58.1
10位大分県5.3日58.1
30位石川県3.6日45.6
8月の雷日数(夏の熱雷)ランキング(平年値)

石川県は30位(3.6日、偏差値45.6)。1位は栃木県(7.1日)、47位は北海道(1.4日)、全国平均は4.2日です。比較:栃木1位・新潟35位・福井31位・東京37位。夏は関東北部・内陸が上位に入り、雷都・宇都宮の栃木がトップクラスになります。詳しくは雷日数の詳しいランキングをご覧ください。

12月の雨の日の多さ:石川は1位

順位都道府県雨の日の割合(12月)偏差値
1位石川県50.0%78.8
2位福井県48.9%77.8
3位富山県46.8%75.8
4位新潟県43.4%72.7
5位鳥取県38.7%68.3
6位島根県36.7%66.4
7位滋賀県27.3%57.7
8位秋田県26.0%56.5
9位沖縄県25.7%56.2
10位福岡県22.0%52.8
12月の雨の日の多さランキング(約60年の天気出現率)

石川県は1位(50.0%、偏差値78.8)。1位は石川県(50.0%)、47位は群馬県(7.3%)、全国平均は19.0%です。比較:栃木41位・新潟4位・福井2位・東京37位。冬季雷の多い県は12月の雨・雪の日も多く、日本海側の「冬の荒れやすさ」が共通しています。詳しくは雨の日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

石川(金沢)の月別の雷日数と全国順位

金沢の月別の雷日数と全国順位です。夏よりも11〜1月のほうが多いという、世界的にも珍しい季節分布です。

石川の雷日数順位1位
1月7.9日1位石川(7.9日)
2月4.8日1位石川(4.8日)
3月2.6日1位石川(2.6日)
4月2.0日2位栃木(2.0日)
5月1.7日13位栃木(3.5日)
6月1.8日20位鹿児島(3.9日)
7月2.9日31位熊本(6.7日)
8月3.6日30位栃木(7.1日)
9月2.0日30位宮崎(3.9日)
10月2.1日3位秋田(4.2日)
11月5.3日2位秋田(5.6日)
12月8.4日1位石川(8.4日)
石川県の月別値と全国順位

8月は30位と目立ちませんが、12〜3月は4か月連続で1位、11月も2位。年間45日の半分以上を11〜3月に稼いでいます。

よくある質問

Q. 冬の雷はなぜ危険と言われる?

冬季雷は1発あたりのエネルギーが夏の雷の100倍以上になることがあり、上向きに放電する特殊な雷も含まれます。落雷の発生回数は少なくても、送電線や風力発電設備への被害が大きく、北陸では対策が進んでいます。

Q. 雷が多い県は雨も多い?

冬の雷が多い日本海側は雨・雪の日数も多い傾向がありますが、夏の雷が多い関東内陸は年間では雨の日が少なめです。雷の多さと雨の多さは必ずしも一致しません。

Q. 雷が少ない県は?

北海道(札幌)が年間9日前後で最も少なく、沖縄・太平洋側の一部も少なめです。北海道は夏の気温が上がりにくく、冬は雷雲が発達する日本海の暖かさも届きにくいためです。

Q. 雷が鳴ったらどうすればいい?

建物や車の中に避難するのが基本で、木の下は危険です。雷注意報が出ているときは屋外の活動を控え、気象庁の雷ナウキャストで動きを確認してください。注意報・警報の違いも参考になります。

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まとめ
  • 雷日数の日本一は石川県(金沢)の年45.1日。2位福井、3位新潟、4位秋田、5位富山と日本海側が独占
  • 日本海側は12〜1月に多い「冬雷」。暖かい日本海の上を寒気が渡って積乱雲ができる、世界的に珍しい雷
  • 栃木(宇都宮)は年26.5日で10位だが、夏だけなら熊本・宇都宮・前橋が全国トップ3。「雷都」は夏雷の日本一級
  • 夏雷は山で生まれた積乱雲が午後に平野へ流れ出すもの。内陸平野の山側に多い
  • 最少は北海道の9.2日、観測地点では雄武の年2日

出典:気象庁の平年値(1991〜2020年)および観測データ、気象庁 雷日数の平年値(117地点)。偏差値は47都道府県の平均を50とした値です。都道府県の値は原則として県庁所在地の気象官署の平年値を用いています。

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